2024/08/20 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にテンドンさんが現れました。
■テンドン > 湯殿から少し離れた洗い場。
こんな時間帯に風呂に入る奴と言えば大分限られる。
案の定において誰一人として見受けられない。
いや、一つだけ真っ白な塊がそこに在る。
大小様々な白い石鹸の泡が集合して膨れ上がったような物体。
それが物の怪の類ではなく人間だと分かるのは。
その乳白色の泡衣の中から両手が飛び出して石鹸や洗い布を構えてわしわしなおも全身を泡立てて擦っているからである。
「――――――」
見る人が見るならば魑魅魍魎が如し。
ぶくぶくの泡だるまになっている状態から木桶を取る。
近くのお湯場から温泉の湯を掬って自らにかけた。
じゃばーーーーー。
■テンドン > 「ぷふーー」
蚕の蛹が羽化するように姿を現わす。
全身びっしょびしょの濡れ女の風体で目を閉ざし切ったまま。
何時もはポニーテールに結い上げている髪の毛も今は降ろしっぱなし。
額にかぶさっている頭髪の一部を分けて軽く絞るだけで、果肉を握ったかのように水気が雫を結んでぽたぽた落ちる。
「人のいない温泉……控えめに言って最高では?」
使い放題、貸し切り状態。
何をしたって許されてしまう。
例えば其の場から立ち上がり。
ぐるんっと振り向いたお湯場の方に向けてクラウチングスタートスタイル。
濡れた石床を蹴って走る。跳ぶ。
放物線を描いて着水。湯柱が天をもつかまんばかりにそそりあがった。
水の爆弾が破裂するような音響が轟く。水中に飲みこまれるように小柄な体が没する。
■テンドン > 「…へひ」
直ぐにぷかーと浮き上がって来た。
うつ伏せ状態だと死んでしまうので仰向け。
でっかいおっぱいもまんまるく上を向く。
豊かな斜面に流れ落ちる湯雫、脂肪の丸みがそのままウキになって浮力を齎し体を湯面に浮かせている。
「あーーーーーーーーーーーー………」
気持ちよさに目が閉じた。
波の一切無い凪の温泉の中に体が水母みたいに揺蕩う。
「気持ち良すぎる…このままお湯の中に溶けたい。温泉と一体となって温泉の精霊になってしまいたい…」
ぱちゃぱちゃ足を軽くかいて推進力を産み、湯内を泳ぐ。
凄い贅沢。誰も居ないから出来る事だ、凄い。きもちいい。
■テンドン > 「テンドンは時間停止の呪文を会得したっ。時間よ此処で止まれ!明日よ来る事なかれ、有給休暇っっっ!」
はーー!!両手を突き上げる高々。カッと目を見開く。
だが なにも 起きなかった!
「くそ。ボクが個人事業主でなければ……」
休める日は自分で決められるが、明日も仕事だ。
すいすい緩く泳ぎ続けている到達地点にこつんとつむじが湯縁の内側に辿り着く。
ぐるりと仰向け状態から引っ繰り返ると共にお湯の中に沈み込む。
両足の膝をつけて端っこに上半身を持たれかけさせるかのようにする。
肩と腋下だけを外気に露出させて残りは湯中に抱かれている。
■テンドン > 「でーもー♪あーとしばーらくはー、このまーまー、でー♪」
ぽやぽやと歌を歌いながら暫しそこで微睡んでいる。
本当に寝たりはしない、こんなところで寝るのは自殺行為だから。
程々に意識を保って楽しんだ後には湯を上がるのだ。
そうしたら月見でもしながらお酒を飲もうかな。
今日は中々良い夜になるのでは…?
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からテンドンさんが去りました。