2023/11/14 のログ
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にシースさんが現れました。
シース > 「…ふ、ぅ…」

ゆったりと。湯船の中に身を沈めれば。寒暖差でより強く感じる温もりに、自然と息が漏れた。

王都民なので。この旅籠を利用する機会がそこそこ有る。
気軽な移動とお手頃な値段で行える小規模な日帰り家族旅行…のような物だろう。

今頃両親は。未成年の娘が部屋を出ている内に。晩酌でも楽しんで居る事だろう。
流石にそれを邪魔したいとも思わないし。アルコールという奴は、何だか未だ危険な気がする。
無理にお相伴に与ろうなどとは思わない。もう少し時間を掛けて、一人で露天風呂を愉しんでいくとしよう。

「…なんだか。珍しく、空いてるし…」

普段なら。就寝前にひとっ風呂という客が多そうなのに。
これも一般向けとは違う、宿の奥の方にある露天風呂まで。脚を伸ばしたお陰かもしれない。
お陰でゆったりと手脚を伸ばして湯に浸かる事が出来る。…そもそも。
誰かに見られながら、少しだけ普通と違う身体を晒すのは。どうしても落ち着く事が出来ないので。

シース > それにしても。他種多様な水質、湯船、等の存在が。此処のウリの一つである事は分かっているものの。
少々歩かなければいけない程、宿の棟から離れた露天風呂というのは、いささか不便な気もする。
同じように人目を避けたがる客というのが。思ったよりも多く存在するのだろうか。其処に配慮しているのだろうか。
何となくそのような事を考える。

「他に距離を置きたい理由なんて……っ、ぁ」

もう一つ思い付いてしまった。
人目を避けたい容姿や種族以外。例えば…人目を憚る行為だとか。
もし此処も、そういう為の場所なのだとしたら。
一人か二人で入るには伸び伸び出来るが、それ以上は狭そうだ、という作りも。何だか納得出来てしまう。

「…………っ」

そして。人目の無い所でのあれやこれやと言えば。
ついつい余計な所まで想像してしまい。湯に浸かっていない首から上まで、かっと熱くなってきた。
思わず赤らんだ頬を隠すように湯の中へ。目元の辺りまで沈み込み。ぶくぶくと泡を立てて。

シース > もし此処に。同じように何も知らない誰かが入って来たら。
申し訳なさ全開なので直ぐにでも退散したい所だが…困った事に。
良からぬ想像は、追い払おうとすればする程、頭の中で大きくなる。
そして比例するように。望まずして与えられたもの、生え備えてしまった何か、が。熱い濁り湯の中で…少しずつ。頭を擡げて来るようだ。
現物も何もない。本当にただ、頭の中、想像をこねくり回してしまっただけなのに。

「……ぁぁ、…やだぁもう…」

いよいよ頭の天辺まで湯に潜る。湯も熱い筈なのに、浸かった頭の中も熱い。
行き場も無いしどうすれば良いのかも分からない、宿ってしまったモノの熱さに困惑しつつ。
どうにか収まってくれればそそくさと。この場を痕にするのだろうが…もし。
もし、収まりきらない内に。本当に誰か別の客が来てしまったのなら…その時は。一体何が起きただろうか。

ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からシースさんが去りました。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にイグナスさんが現れました。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「温泉旅籠「九頭龍の水浴び場」」にイグナスさんが現れました。
イグナス > 割と常にいつでもいつだって。欲望にまっすぐ、だらだらするのが心地よいのである。
よって今日もそんなかんじの露天風呂――。
ひんやり冷えて、しとしとと少しずつだけど雪が落ちる。
湯気と混じって消えるのが、実にきれいだ。

「はー………、イイ、ねえ、ンむ。」

にまりと口元を緩めて、一人笑う。ふへへ、と。
大きな岩風呂の湯船に桶を浮かべて、中の猪口に入った酒をちびちび。
たまにはこういう、ちょっとずつもいいもんである。

「はー……風呂に入りながら酒ー…。いいもんだ。
 考えついたのは、どこの誰だったっけか。」