2025/05/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にガリアさんが現れました。
■ガリア > 「一応講習っつーか、非番の暇潰しだからな?」
念の為言って置くけど、と言葉にしながら、酒場の端っこの舞台を借りて
徒手格闘の手本や、相談事を受け付ける会を行って居る
別に仕事ではなく暇潰しで在るから、椅子に座ったままと言う雑な教え方では在るし
周りに集まって居る連中も、平日昼から酒場に居る様な暇人だから
まぁ、賑わって居るとは言い難い
とりとめのない雑な談も時折交えつつ、其れは其れとして
生き残る為に必要な術だと思う連中は、真面目に質問を重ねて来るから
決して実入りの無い集まり、と言う訳でも無いだろう
「結局、前線に出張る様な連中は、大体最低限以上の力はある訳だしなァ。
幾ら鍛えても、ある程度の所まではみんな団栗の背比べよさ。
そりゃ長物持ってた方が強いのは当たり前だが、とっさに殴れる時に殴った方が良い場合ってのも
まぁ、無い訳じゃ無いし。」
今の話題は、武器を持って居る時の徒手格闘について、だ。
武器戦闘における徒手格闘の本質は、相手の予測を裏切る素早い一撃
剣を振り回している最中に、懐へ潜り込んで鳩尾を殴りつける、なんて
所謂奇襲では在るが、通りさえすれば、相手を崩せる良い一手だ
とは言え、其れを狙い過ぎても本末転倒。
あくまで、主武器の補助として考えなければと、そんな事を話しつつ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアルジェントさんが現れました。
■アルジェント > 気まぐれに、魔の国で商いをしたモノ好きな人間の隊商を送り届けた。当然日雇い仕事の一環としてもらうものはもらったし、ついでに情報屋に流す人間の国の情報収集かねてのことではあったのだが。
よれたマントをすっぽりと頭からかぶる形で顔立ちや体型を覆い隠したいで立ちで、酒場の扉を潜る。
日の高いうちではあったから人の出入りは特に期待はしてない。
とりあえず旅の汚れ落としと、それから噂話の収集を兼ねて。
思いがけずちらほらと見える人だかり。
酒場の端の方ではあったが、そ戸で盛り上がっている会話を聞くともなしに聞きながら、カウンターのスツールに腰を預けた。
店の中でもマントを外さない己に給仕は若干不審そうな目を向けてくれるが、余計な軋轢───主にミレー族に間違われる事、を避けるためだったから意に介さず、硬貨を2、3枚取り出して差し出した。
「とりあえず、水。──街の外から戻って来たばかりなんだ、お小言は後にしてくれ」
酒場なんだが、と訴える言葉には知らんぷり。
魔の国とは違う空気感はやはり最初の内は違和感を覚えるし、若干の体の重さは覚えてるものだから。
とりあえず注文した水が届くまで、聞くともなしに周囲の会話に意識を傾け。
■ガリア > 「例えば全身鎧の奴相手に殴ったってな。
組みついてはっ倒すか、組みついて関節狙いの方が良いだろ、下手に殴るより。
けど、そうじゃない相手ならよ、軽装備とかなら、狙える場所は幾らか在る。」
脹脛、脇腹、関節各種、急所、その他諸々
狙い所は数多あるが、其れは武器で狙う場所も然程変わらない
徒手空拳の型を、自分の獲物と連動させる訓練が必要だと、其の訓練の方法について話しながら
徐に椅子から立ち上がり、片手に剣を持って居ると言う前提で、軽く動きの例を実演する
横薙ぎに剣を振り、其の遠心力を利用して後ろ回し蹴り
上段に突きを放ち、相手の視線が逸れた所で、もう一歩踏み込み足先を蹴る
或いは敵の一撃を剣で受け止め、其の儘ぐるりと相手の腕を身体で巻き込み
腕十字の形で地面に薙ぎ倒す。
様々な状況を、動きを、想定しながら鍛錬するのだと、そんな事を教導の最後に言った辺りで
丁度時間、舞台で出し物をする演者たちが集まってくる時間だと、店主に声を掛けられた。
「うーす、んじゃ解散解散。」
本日の講習は終了だ、と、両手を掲げて集団を散らせば
其々が再び、酒を飲んだり飯を食ったりに戻って行く。
自らも、流石に腹が減ったと、店主に向けて、串焼きの一本でも頼んでは
――きっと、そんな折になって漸く、先刻まで見なかった姿の客に気付くのだ
別に、この街の人間の全てを覚えている、なんて訳では無い。
けれど、なんと無し、其処に気を引かれたのは、恐らく
無意識に、似た匂いを感じ取ったからやも知れぬ。
「……あ? いんや、酒は良い。」
飲まないのかと、問う店主の声に断りを入れて。
外套姿の隣の席へと、腰を下ろす。
■アルジェント > 聞くともなしに聞く言葉は、武器持ち相手、あるいは武装において格差がある場合の実効的な抵抗の方法、といったところ…何だろうか。
酒場に集う全員が腕に覚えがあるわけじゃない。
暴力沙汰に突然巻き込まれる場合もある。心得があるだけで、知識があるだけで結果が多少変わることもある。
手持ちのない状態で、できることを丁寧に、身振りや手ぶりを交えてるのを、ある意味暇つぶし程度に眺めているものもいる。真剣に聞いているものもいるし、酒場にいる誰彼が見るともなし、聞くともなしに意識は向けているのではないだろうか。
制服が示すとおりに語り手は正規の騎士団か何かに所属しているのだろう。
身ごなしや、動きのしなやかさは言葉に十二分すぎる説得力を持たせていた。
木製のカップに満たされた水を受け取ると、ひとまずのどを潤す。
喉が渇いてるのは事実だから、ぐ、と干して、一息。
どれくらいの時間その講習が続いていたのかは知らないが
そろそろ街に灯が入る時間帯。
夜の空気が滲みだすのを目前に、店主の一声で解散と相成った。
何とはなしに聴衆の中に入っていたが、それを潮に己も多少姿勢を変え
テーブルに向き直る。
2杯目、と、硬貨とカップを差し出しておかわりを強請った。
解散に伴って、各々が注文を繰り出せば、賑わいが増す。
よくある酒場の風景が繰り広げられるようになる中で───。
なんとなく意識が向けられている気がするな、と深く下ろしたフードの奥から金眸が細められた。
傍らに腰を下ろした男の───風貌。
体格はそこまで大柄じゃないのは視線の高さがほど近いことから理解しつつ。
だが。
───スン、と一つ鼻を鳴らす。
「……アンタはいつもああいうことを?」
二杯目のカップを受け取りながら、聴衆に混じり、耳を傾けていたことを知らせるように問いかけた。
■ガリア > 串焼きの一本なら、注文から届くまでは早い
然程かからず届いた皿を受け取り、カウンターの上に乗せれば
串の根元を手で掴みつつ、早速とばかりに頬張った。
腹が減っている、と言う程じゃないが、小腹が空いて居る位
もったいなく齧る訳でも無ければ、早々に半分ほど無くなるのが
きっと、隣からも見て取れるだろう。
「……………おん? ……んや、暇潰しさ。 要望はあったんだけどな。
酒場の連中も、別に誰かに教えを乞う、なんて機会に恵まれねぇのが多いしな。」
師がいて、弟子がいて。 そんな環境であれば、恵まれているのだろう。
だが、必ずしもそうは行かない。 其れなりに名の知れた冒険者連中だって
自己流、と言う物も多いのだ、新人や、低ランクの連中ならば尚更。
偶々手が空いた時、暇潰しも兼ねたのだと、そう答え。
其処で漸く、隣の相手に視線を向けるのだ。
頬杖ついて、被られたフードの奥の人相を眺めつつに
串から肉を引き抜いて。
「アンタは…、……必要って感じでも無さそうだけど。
何か、興味を惹かれる内容でもあったかよ?」
すん、と、鼻を鳴らす。 相手と似た仕草で。
時間稼ぎのお代だ、何て、店主から渡される柑橘の搾り汁
其れを受け取る為に、再び手を伸ばした折
――相手は気付けるやも知れぬ。 其の肌に描かれた独特な文様が。
人の、或いは狼の変化維持を苦手とする人狼が、補助の為に刻む事が在る呪印だと言う事に。
■アルジェント > 男が注文した串焼きの香ばしい匂い
それを嗅ぎつつ、視線はすでに手元へと。
串に刺さった肉はすでに半ばほどが男の口の中に消えている。
うらやましがる様子はないが、健啖ぶりに呆れてるわけでもない。
頼みたければ最初に頼んでいただろう。
話しかけたのも、たまたま耳を傾けていたからという気まぐれ。
「ふぅん、………暇つぶしにしちゃ、丁寧だな、と思った位かな」
教えを請いたくてもそうできない立場の存在にとっては
彼の言葉や、丁寧な指導めいたものはきっと響くのだろう。
大抵は、基礎的なことを教わって、実地で──それこそ獣が経験を経るように生き残ることで磨いてゆくのだろうし。
だからそれは正直な感想。
こちらに向けられた視線に軽く頷く。
「必要ではないが、興味深くはあった」
例えば、彼のような行動を起こすものが増えたら、それは街の防衛意識にもつながってゆく。
正しい知識や行動は、時に防衛設備を整えるのに匹敵するのだから。
───だから酒場を覗いた意義はあったのだと思う。
それを有用だと思う誰かがいるのなら。
「────」
傍らにいるから、フード越しの視界でもそれなりに目に入るものは目に入る。
男が伸ばした腕の肌の部分。
ちらりと覗いたそれに、わずかに息をのんだ。
同時に腑に落ちもする。
似たような、と声にならない声音が緩く口角を刻んだ唇から零れ。
「……あとはアンタが面白そうだなあ、と思った位か」
少しだけ感情が動いたような声色。
容姿を見せないだけで、声音はべつに隠してないから性別くらいは知れるだろう。
だからといってそれが艶めいた意味に通じるわけじゃないのもまた同義としてではあるが。
人の街に狼がいる。
そんな好奇心だった。
■ガリア > 「まぁ、曲がりなりにも立場は在るからなァ。
俺が適当な事を教えて、其れで死んだ連中が居たら、寝ざめも悪ィだろ。」
暇潰しなのは本当だ。 だが、騎士としてこの街に居る以上は。
其れなりの愛着と言う物が、矢張り、無い訳では無いのだから。
元より新兵を教導する立場、適当な教えでは、戦場になんて送り出せない
己の様な連中の教えは、教えた相手が生き延びてこそ、だ。
「にしてもこの串焼き、ちょっと作り置きじゃねぇ? あ、違う? スマン。
……まぁ、幸い話を聞きたがる連中が少しは居るらしくてなァ
需要が有るなら、のんびり続ける心算さ。 今日はもうやんねぇけど。」
流石に、そろそろ休日を謳歌してぇよと、戯言めいて笑いながら。
齧って居る肉の串焼きは手放さないが――柑橘搾りのカップを
要るか、と、其の儘隣の女に差し出して見よう。
「へへ、面白そう、ねぇ…、……まぁ、其れもそうか。
この街で、御仲間に会うなんて、中々無いからな…。
……俺はガリアだ。 騎士の端くれをやってる。」
まぁ、見たら分かるかも知れないけど、と、軽装ながら騎士服の袖口を、軽く摘まみつつ
己から、先に名乗って見せよう。 ……別に口説いて居る訳では無い、今の所は。
ただ、同胞だと知れたなら、きっと。 女と同じ様に、少なからず思う所は在るのだから。
■アルジェント > 「その発言だけでアンタが真面目でいいヒトだってのは分かるかな」
人を食い物にする獣みたいなヒトもいる。
勿論それをわかってもいるのだろうが。
教えを忠実に実行できるものだけじゃあない。
きっとわかっていたって帰ってこれなかった連中はいるのだろう。
それは当然。街の中ほどにそとは優しくないのだし。
遠い街のこととはいえ、内乱や、国の境界線上では戦闘が常に絶えない土地でもある。
───今、タナールの砦はどちらの勢力のものになっていたのだったか、などと思考を外れた場所へ向け。
「場所代替わりに無償で提供するには上等な情報だと思ったよ」
実地で生き残ってきたものの情報はそれなりに高いのだから。
それが彼自身の能力に下支えされているのだろうとしても。
笑って語る言葉、その実それ自体を楽しんでいるのだろうことは態度からも知れる。
差し出されたカップには一瞬戸惑う。
酸っぱそうな匂いがしているのには気づいているが───。
……ややあってから受け取った。
「……………酸いな……」
ぺろ、と文字通り一口分なめて、わずかに鼻の頭に皴がよる。
人間にとっては普通の柑橘なのだろうが。
若干味の好みがずれるのは致し方のないところ。
貰った以上はそのまま口にはするが、水ほどに流し込むようにはいかない。
それを揶揄われたところで、表立って反応は見せないだろうが、マントの下は分からない。
「あー……そう、ともいえるか。似たのは多いみたいだが。
───アルジェント。一応………傭兵?」
端的に名を返し。
それからあちらでも此方でも通りそうな身分を選ぶのなら其れになった。
どちらでも根無し草なのは変わりはしない。
男が示す制服には、制服であること。組織に所属している、という以上の感想は持ちえなかったよう。
■ガリア > 「だって、これで金取ったら上の連中からドヤされるし。
金取り始めたら、聞きに来る奴も居ないだろ。」
だから、別に良いのだ。
そもそも暇潰し、誰かと他愛なく喋って居るのが好きなのも在る。
酒場で酒を飲まない代わり、居座る理由にもなるのだ。
どうせ、此処に居なかったとしても、その辺を気ままにふらふらして居るのが己の休日なのだから。
―――一寸微妙な反応が見えた。 もしや柑橘に慣れて居ないのかと。
己は、正直人間の中で過ごした時間の方が長く、もう味覚は人間寄りだ
けれど、味覚や嗅覚が鋭敏な人狼故に、女の反応も分からないでは無く
くつくつと、小さく笑ってから、無理はするなよと一言言おう
そうして、串焼きの残りを、ぺろりと平らげて仕舞えば。
串を皿の上において、指先を、ぺろりと舐め取り。
「……アルジェント。 ……傭兵かぁ…、…じゃ、生き延びて出会えた事に乾杯って所だなァ。
似た様なのは確かに多いけどよ、厳密に言うと違うだろ?
……まぁ、違うって事にして置かないと面倒ってのも有るんだけどよう。」
似た様なの――例えば、ミレーの事。
具体的に言葉にしないまでも、口ぶりから何の事は察せる筈だ
この国に蔓延る根強いミレー迫害の文化は、少なからず、自分達人狼にも余波が及ぶ
違うと説明した所で、判らない者にとっては、同類としか見做されない事も在るから。
―――言葉にしてから、少々渋い顔を浮かべつつ。僅かに肩を竦め。
「―――……で、其のフードの奥は、見せて貰えねー感じか?」
――恐らく、理由は判る。 だから、これはあくまで戯言だ。
覗き込む様にして、下からその顔を伺おうとしてみつつ
そっと、片手を伸ばして、其のフードの目元を、軽く持ち上げて見ようとする、か。
あくまで、軽く持ち上げるだけ。 ……この場で、取ったりはしない。
■アルジェント > 「アンタが好いんならそれでいいんじゃないか」
群れの──誰かの中にいるのが好きならそれは悪いことではない。
第一相手が好きでやってることだ。
誰かが好きでやってることに、吸い寄せられて耳を傾けるものがいる。
互いに好きに過ごしているのならそれは有意義なのだろう。
「──────……」
揶揄うわけじゃないのだろうが相手の言葉に少し黙り込む。
えた物を返すのも微妙だし。
手許を眺めて、水を混ぜ込んで薄くすると、流し込んだ。
───こふ、と流し込んだ後で小さく咳払い。
「割ってあれば問題ない」
実際果実酒や、果汁割などは口にするので事実その通りだが
若干負けず嫌いな面が覗いたのは否めない。
「ある意味紛れやすくはあるな」
とはいえ、活動に制限が出るのもある。
相手の言葉が何を前提にしてるのかは否定しないまま応じる。
それが今この場で、フードを下ろしたままである理由の大部分を占めているのだから。
「────…目元迄なら。それ以上は上げるなよ」
完全にあげれば、誤解を生む容姿なのがはっきりと露になる。
面倒なもめ事を起こしたくないが故の自衛。
軽くフードの端を持ち上げるのに、とりあえずの注釈。
みたいというなら好きにすればいい、とその動作を妨げることはなく。
視界が明るくなれば、相手とは違う白い肌と、すっきりととおった鼻梁。
それから金色の双眸が店の照明を弾く。
蒼鈍色がグラデーションを描く短めの髪がフードの下から覗いた。
■ガリア > 「ま、結論そう言う事になるよな。」
そう、別に誰かに迷惑をかけて居る訳でも無いのだから。
それに。 そうやって時折、誰かに感謝される事も在る。
それが、存外嬉しい物だと、笑って言うのだ。
別に無理して飲む必要は無かったのだけれど、相手が返却してこない
薄めてでも、無理やり煽ったのを見ては、おー、と感心の声を上げはするが。
――無理してないか、と、少しばかり様子を伺いつつ。
「……案外負けず嫌いだな。 ……、……ふぅん。
……、……、……。」
軽く持ち上げたフードの下に覗く、女の貌。
同じ人狼であるのに、己とは違う、美しい顔立ちに、一寸瞳を瞬かせ。
そ、と、またフードを元の通り降ろして遣れば。
――代わりに、其の容貌を、他の連中には見せない儘で。
叶うなら、そっと其の目元を、己が指先で、撫ぜて見ようと。
「…………予想以上に美人が出てきて、吃驚しちまった。」
小さな声で、女にだけ伝う位の声で。
正直に過ぎる感想を告げれば、ふ、と緩く口元へ弧を描き。
「……口説いたら呆れるか?」
―――戯言だ、きっと、半分は。
されど、残りの半分は、そうでも無いのだろう。
何方と取るかは、女の反応次第。
■アルジェント > 空になったカップをくるりくるりと掌の内側で弄び。
負けず嫌いを揶揄われるのならフン、と一つ鼻を鳴らした。
ある意味当然ではあるのだが、心配はいらない、と空のカップを相手に持たせるのだろう。
「……期待通りのものは見られたかな」
フードを持ち上げた指が、それ以上引き上げることはなくまたもとのように戻す。
その仕草の終りに目元を擽るのにはくすぐったさを感じて撫でられた側の目元を細め。
少なくとも相手の好奇心は満たしたのだろう。
それから寄せられた顔がこちらに向けた言葉には、どう応じるべきかを考えるように軽く腕を組む。
場所を考えれば、その場の勢いとノリ。
別に本気じゃないだろう。
恐らくは己が興味をそそられたように、相手もまた、同胞が故の興味だろうから。
「さて。名前しか知らん男に言われてもなあ…」
容姿についてはともかく。
その上での言葉には何をどうとらえるべきなのか、と首を傾ける。
だからほんの少し悪戯っぽく口角を上げた。
「あきれはしないが──……どんな口説き文句があるのかなあ、とは思うくらいかな?」
■ガリア > 「期待以上だったさ。 隠して置くのが勿体無いくらいになァ。」
空のカップだけを返されれば、ほい、と其れを皿の隣に乗せる。
指先に残る、女の肌の感触。 己とは違う、異性の同胞。
気にするなと言う方が無理でも在ろう、其れは、大なり小なり、だ。
言葉遊びの様に投げかけた己の言葉に、相手もまた言葉遊びめいて返事を向ける。
付き合いが良いな、と、可笑しそうにくつくつと咽喉奥で笑えば。
そうだな、と、言葉を選ぶように少しだけ考え。
「………判った気になる心算はねぇよ。
俺だって、名前と見目しか知らない女には違いねぇ。
……けど、……、だから、もっと知りたいって思っちまったのさ。 イイ女なら、特に。」
――知らないから、知れば良い。 知りたいと思う事は、相手に対する誠意の一歩だ。
其れが口説き文句として成立しているか如何かの評価は、一旦相手に任せるとして
そう言う事を、言葉にする事に、臆面も無いのは判るだろう。
言葉が軽いからではない。 単純に、思った事しか伝えていないだけ。
「―――後、キレーな眼だなって、思ったよ。」
知って居るのは、名前と容姿だけ。
けれど、逆に言えば。 己が目で見た物は、きっと、確かなのだ。
きっと、其れは戯言では無い。 言葉遊びではなく、本当に。
――口説いている、のだろう。
■アルジェント > 「───目立ってもいいことはないからなあ」
頬杖をついて応じる言葉
毛並みを褒められるのは悪い気はしないが、それを狙う狩人に狙われるのはごめんだと
狩って狩られる獣的な言い回し。
言葉遊びめいたそれがすでにそういうやり取りだと言われればそれまでなのかもしれないが──
可笑しそうにしてるのなら然程不愉快ではないのだろう。
言葉を強請った通りに思案を巡らしたらしい。
紡がれたそれには一瞬黙って、くすぐったすぎるなと応じた。
尻尾なり耳鳴りが覗く状態であれば、言葉通りにそれらがむず痒そうに揺れていたのかもしれない。
知らないから、知りたい。
それは分かる気はするのだ。
眸への言及は、頬杖をついていた手を己の目元に。
それから、その指先を相手のそれへと向け
「同じ色だと思うぞ」
厳密に言えば違いはあるのだろう。
だが、同胞としてのそれは同じものとして差し支えないのかもしれない。
紛れ込んだとしても消しえない獣としての証だったから。
「だが、毛並みや目は己のものだからな。褒められるのは悪くはない、かな」
■ガリア > 「………なら、うちにでも来るか?」
――そうしたら、少なくとも周囲の眼は気にしなくても済む。
此処で、人目を避ける様に過ごすよりも、居心地は約束できる、と。
横からずっと、女曰くの、同じ色合いの瞳が、向けられて居るだろう。
獣の証でもある。 だが、其れが同じであると言うなら。
互いが、互いを同胞だと認識できる、確かな証だ。
「―――――俺の眼は、自分じゃ見えねーしさ。
其れが同じだってなら、ちょっと嬉しいかも知れねぇし。
……それに、キレーには変わんねぇよ。」
撤回はして遣らないのだ。 イイ女を、イイ女と評して何が悪い。
懐から硬貨を取り出して、カウンターに置けば、串焼きの分の支払いを済ませ
されど、まだ立ち上がりはせずに、女の様子を眺める
言葉遊びだって、悪くはない。 けれど、こうして言葉を交わすうちに。
ちゃんと、口説きたくなったのだって、事実だ。
「―――――如何する?」
――其れは、明確な誘い。
男の家に赴くなんて事が、何を意味するかなんて、そう多くはないが。
結局のところ、其れでも、と相手が少しでも思えるかどうか、なのだろう
――同胞との出会いと言う、普段には無い僅かな違いが。
或いは、獣の血を。 僅かでも、沸き立たせるのか。
■アルジェント > 直截な言葉に、ふうん、と唸る。
よく知らない男の、よく知らない場所にあるだろう塒。
そこがどんな場所かは知らないし、じ、と向けられる視線には強制力はない。
この店を出てどこに行くにしたってアテはない状況だ。
「そりゃそうか。……
………そうだなあ、まあ、いざとなったら咬みついて逃げるが
それでもよければ?」
判じることはまだあるけれど。
女に危機感が薄いのは──それなりに"行って帰ってきた"立場がそうさせるのかもしれない。
獣の傲慢さかもしれないし──。
きっとお互いそういったことは知らないし、だからこそ興味を持っている段階なのだろう。
誘いに乗ることのリスクと、興趣の天秤の傾きを判じた結果
女はそう応じることにしてみた。
男を侮っているわけでもなく───運任せ。
根無し草らしいそういう選択もありなのかなと思った模様。
結果として獣としての闘争になるのか、あるいは違う結果を生むのか。
その天秤の傾きはまた別の場所で───。
■ガリア > 強制ではない、強制できる立場でも無い
其れでは、口説く、と言う事にはならないのだから。
「噛みつくねぇ、イイだろ、其の方がらしいってもんだ。」
其の時は、振られたって笑い話にするだけだと
気にも留めずに告げて、そして、ゆっくりと立ち上がる。
女が己が誘いに応じるのなら、女にとっては必ずしも
居心地の良いとは言えぬ、この場に居る意味はない
じゃあな、と、店主に一声掛ければ、女が立ち上がるのを待って、店の外へと足を向けよう
まだまだ、喧騒に包まれている街の中を、女を案内しながら、のんびりと自らの家に招く
其の先で、何が在ったかは、きっと、二人しか知らぬ事だ――
■アルジェント > 「………咬みつかれたがってる様に聞こえるんだが?」
若干の困惑。まあいいか、とスツールから立ち上がる。
水の代金はすでに渡していたので会計でもたつくこともなかった。
幾度かは訪れたことのある街ではあるが──
そこに詳しいものの案内には耳を傾ける。
知らないことも知っていることも、ひとまずは面白がるように応答しつつ、連れ立って歩いてゆくのだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルジェントさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からガリアさんが去りました。