2025/05/25 のログ
ご案内:「王都マグメール/商業地区」にコーネリサさんが現れました。
■コーネリサ > 商業ギルド、各種商店、武具屋に、魔道具店……
とりあえず消費行動につながる店舗が軒を連ねた商業区画。
魔導書を扱う店舗の一つから出てきて───しとりと篠突く雨に薄紅色の双眸が緩く瞠られた。
「うぇ、………雨、雨かぁ……」
軒先から空を覗くように上向いた。
赤いリボンでまとめた瞳と同じ光沢を放つ髪が揺れて。
困ったなーって眉を顰める。困ったねーって語り掛けるのは実体を伴わないが恐らく己のそばにいるだろう"隣人"に対しての、ほぼ癖のような独り言。
多少濡れても大丈夫なようにしっかり油紙で包んでもらったから購入物は無事だろうとは思うが、濡れて歩きたいかと言われたら否、なのだ。
雨除けの術をかけてフードかぶって走れば───とか、一応やり方は思いつくものの、やりたいかどうかって言われると無駄に疲れることはしたくない。
魔力量や術の精度にはそれなりに自負があるから、やりたくないのは、体力を使う事の方。
狭い店内に戻るのも憚られ、微妙に入り口から2、3歩ずれた位置で雨宿りを続行。
若干の往生際の悪さは認めるところではあった。
「すぐ止むならいいんだけど、ドウカナー……?」
うんうん唸りながら、空を窺う。天気読みはもうちょっと真面目に勉強するべきかなあ、って思いながら、何かの流れを読み取るように目を細め。
ご案内:「王都マグメール/商業地区」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 店舗でいくつかの文具の購入を済ませて店を出ると、曇り空が耐えきれなくなったことを知った。
「降ってきたか……」
肩掛け鞄から折り畳み式の傘を取り出す。傘を使えるように手を動かしていると、視界の隅に人影を認めて顔を向ける。
先程まで店内にいた、小柄な少女だ。学生だろうか。買った物が濡れるのが嫌で雨宿りしているのだろう。
普段なら特に気にせず歩き去るのだが、確か少女が買ったのは本だったように思う。
「……入っていくかい? しばらく待てば止むだろうから、近くの喫茶店なり何なり、時間を潰せそうな所にまで連れてっていけるけど」
この空模様なら1,2時間もすれば雨は止むだろう。本を読んでいればあっという間だ。ちょっとした親切を申し出る。
とはいえ、少女からしてみればいきなり知らないオッサンが話しかけてきたのだ。警戒するかもしれない。
傘を雨空の下へと差し出しながら、少女の返答を待つ。
■コーネリサ > 空気の流れ、雲の流れ。それから降りてくる雨に。
自然現象ゆえに、それらにも自然魔力の流れというのは生じる。自然現象でなければ余計に、ではあるけれど。それらを見定めるのはなかなかに目が疲れるものだが──
じー、と魔術辞典の細かい文字を追いかけるときのように目を細めて。
ある程度を読み終えた、そんな折。
ふいに掛けられた声音に視線を動かすと軽く瞬く。
特に考えなくとも記憶に引っかかる顔ではなかった。要は知らない人。
親切な言葉ではあるが────物を知らない子供って年齢でもない。
誰?という疑問はさておいて。
「誰?」
とりあえず疑問だったので声になった。
とはいえ、答えを期待してるわけではない。考える時間を稼いだだけにすぎない。
「あーいや、御親切どうもー。でも軒先にいるから別に大丈夫ですよ。…オニーサンのほうが濡れちゃいそうですから、気にせずにー?」
濡れない手段はそれなりに持ってる。
めんどくさがってるだけだから、こうして無償の親切、というものを向けられるとなんというか───己の怠惰を指摘されている気分にはなった。
■ヴァン > 言葉をかけるまで、少女は目を細めて何かを読み解こうとしているようだった。
雨がいつ止むかを空を見て知ろうとしているのかもしれない。
誰、との言葉にはどう答えたものかな、と首を傾げた。
「同じ店で買い物をしていた、ただの他人かな。
俺は文具を、君は――本かな? 買っていて。店を出てちょっと経つのにそこにいたから、雨宿りかなって」
頭に浮かんだ言葉をそのまま並べる。
「なるほど。ただ、他のお店と比べるとここの軒先は少し頼りないように見えるからね。
もうちょっと濡れない場所の方がいいんじゃないかな、と思ってさ」
風が吹き込むと足のあたりが多少濡れるだろう。
突風でも吹いたり、馬車が通り過ぎない限りは少女やその荷物が濡れることはなさそうだ。
ぽっと出た親切心を押し付けるのも、それを拒むのも互いに心苦しかろう。
下手をしたらナンパをしているように思われるかもしれない。
一応、他の場所が良いのではと言及しつつも、少女の意思を確認する。
■コーネリサ > 「はは、真面目ー」
誰、との問いに非常に言葉を選んだらしい答えが返ってきたのには、緩い笑い。
年頃の女学生らしい屈託のなさと生意気さを孕んだ声音がそれに応じて。
相手との会話を特に忌避するわけではないが、それでも親切でありつつも己に選択を迫る様子に肩を竦めた。
「そうですね、雨宿りしてました。でも、その傘だと二人は難しそうだし───。私も『読み』終わったので」
話が弾むような相手なら、一緒に喫茶店でもよかったかもしれない。
しかし相手は、どうなのだろう?いまいち何を考えてるかは読めない大人。
そういうのには近寄らないほうが安全だってことくらいは、経験不足の子供にだってわかることだ。
だから、まあすこーし勿体ないのだけど、ローブの袖口から薄紅色の結晶を取り出した。
血の色を薄めたような濃淡を宿す結晶を、何のためらいもなく握りつぶす。
ぱきりと砕ける小さな音が響いた瞬間、少女のローブの影が一瞬膨らんだ。
魔術的なものに聡いものならそこに無数の存在が一瞬蠢いたのを。
あるいは視線を感じたかもしれない。
「あー、うん、うん、ちゃんと後でおやつは上げるからー」
誰かに言い聞かせるような言葉とともに、不可視のそれを己の頭上へと放り投げた。
キラキラと、雨粒が少女の頭上で砕けて散ってゆく。小さな虹と、目に見えない粒子になった水分は、目に見えない何かが泳いで喰らう。
少女が濡れることはもうなかった。
「お気遣いはありがとーございます、オニーサン」
た、と街路に足を踏み出せば、急ぐでもない足取りで傘の花咲く中を、フードもかぶらず、されど濡れない髪色が鮮やかに揺れて紛れていったのだった。
ご案内:「王都マグメール/商業地区」からコーネリサさんが去りました。
■ヴァン > 「まぁ、確かに。読み終わった……?」
先程までやっていた、目を細めていたあれだろうか。
ローブから取り出されたものに視線を向ける。それはすぐに拳の中に納まった。
何かが生まれた気配に、思わず腰を落とす。
どうやら何かを召喚し、それが雨を防いでいるのだとわかった時には少女は立ち去っていた。
「……いいなあれ」
傘を使うより便利そうだ、と思いつつ男も家路につくのであった。
ご案内:「王都マグメール/商業地区」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿屋」にマイルスさんが現れました。
■マイルス > 平民地区のとある宿屋、帳場でお届け物の話しをすると、今忙しいし二階の何番目の部屋だから直接届けに上がっていいよ、と言われて。
わかりました〜、と階段一つ上がって、右側の手前からいち、にぃ、さん……と数えていって。ここかな、と扉を軽くノックして。
「すみませ〜ん、お届け物です。
……。 あれ……部屋間違ってる? それとも外出中なのかな……」
教えてもらった時にばたばたしていたみたいだし、間違って教えられたと言う事もあるかもしれないけれど。帳場の人だってそこは本職なんだし間違えないと思うけどな、と少し待ってみる。
自分で数え間違えたかもしれない、と思ってもう一度端から扉の数を数え直してみるけれど、合っていると思う。
寝ているのかもしれないし、何かで部屋の外に出てしまっているのかもしれないし。
もう一度、声をかけながら扉をこんこん、と叩いてみながら。
小脇に抱えたお届け物の小さな箱、中身はなんだか知らないけれど、そこはあまり詮索するものじゃないと思っているし。
■マイルス > どうしようか、ここに置いていくわけにもいかないし、降りていって帳場の人に預かってもらうのがいちばん良いかなと考えて。
階下へ降りて、不在みたいですと話に行った頃には帳場の人もひとまず忙しさから開放されていたようで、荷物はちゃんと預かってもらえた。
また何かあった時はお願いします、と丁寧に挨拶をして、次のお届け物へと。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿屋」からマイルスさんが去りました。