2025/04/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にラナさんが現れました。
■ラナ > 「……まぁ! これは――少し、困りましたね」
夕暮れ時の平民地区、小さな店がいくつか立ち並ぶ通りのとある店の外。白い、シスター風の衣を纏った少女が塀の前に立っている。
足元には大きな麻袋が二つ。道行く人々の邪魔にならないよう、店の入口の真正面は避け、石造りの塀の傍。
「このぐらいなら、と思ったのですが……これでは、宿まで行くのも一苦労です」
袋の縛り口の辺りを、両手に一つずつ掴んで持ち上げる。重そうに、ぴんと張る両腕と、きゅっと細める瞳。
そのまま少しずつ塀に沿って歩き始めるけれど、暫くして、はふ――と息を吐いて袋を地面に下ろし。
荷物が予想以上にかさばってしまったのか、力のない少女の細腕にはつらい重さになってしまっているようで。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグスタフさんが去りました。
■ラナ > 腕が――少し、ぴりぴりするような感覚があって、頑張って進まなくてはと思う集中力が途切れたような、軽い目眩のようなゆらぎ。
もともと一袋目でも、ちょっと重たいかなと思ったのだから、二袋目はよく考えれば無理そうと気づけたのではないか、と迂闊な自分を心の中で叱咤しながら。
一袋を両手で、なら行けたとしても。同じような重さを片手になったら、それはそう、腕が痺れるのも当然のこと。
「日帰りの予定にしていなかったのは幸いですが……、半分なり、届けてもらうとしても。今はなんとか落ち着ける所まで運ばなくては」
片方運んで、戻ってもう片方を運ぶ?……途中で盗まれる危険性の方が高い。
最も無難なのは、一度この片方を買った先刻の店へ戻って、後で取りにこさせてもらうこと、なのだが。何とか運ばなくては、と言う方に考えが行っていて、後ろ方向へ進む知恵が回っていないのだった。
■ラナ > 「だれ――……っ……」
誰かいませんか、と、叫んで助けを求めようとする瞬間、すぐに言葉を詰まらせる。
不安になってきて、心情的には、思い切り誰か呼びたい気持ちでいっぱいだったのだ。
いま……せんかぁ……。と、ぽつり、と絞るような呻くような、小さな声で漏らす。
怖い人が集まってくる可能性もあるとか、叫んでも誰にも届かなかったらもっと不安になるとか、そういうのも――少しは、あるかもしれないけれど。
不安定な気持ちの時に、大きな声を出すこと、そのものが彼女にはとても危険だったのだ。
歌いさえしなければ、大丈夫なはず――しかし、歌と言うものは言葉を紡がずとも成立するものも多々あるのだから。
両手を胸元で軽く握り合わせて、少し祈るような沈黙のあと、誰かを呼ぶのは今は諦める、と。袋を二つ、引きずりそうになっては頑張って持ち上げて、少しずつ歩き、また止まって、また歩き。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からラナさんが去りました。