2025/04/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にヴェスタさんが現れました。
ヴェスタ > 「エールを一杯、頂きたい。構わんか?」

酒場、と言う場所が賑わうには少し早い時間か。埋まっている席よりも空席の方がずっと多いような、まだ静かな様相の店の中で、カウンター越しにそう声をかける、黒い獣人の男が居た。
構わんか、と問うたのは、自身の見た目ゆえであった。特段珍しいと言うほどではない筈ではあっても、獣人、と言うだけでトラブルを招きかねないと言う事もよく知っている。殊更、猫容姿の獣人と言えば、見かけ上は明らかに違っていても件のミレー種を想起する者も時折は居る。

金さえちゃんと払えばウチは何の文句もないよ、と、男の意図を察してか口の端に笑みを浮かべてエールのジョッキを用意し始める店の主に、うむ、と先にコインを預けて頷いて見せる。
待つ間に、通りに面した大きな窓から見える、店の前を行き交う人々の姿をなんとなく眺めていた。道行く人々をただ眺める、と言うのもこの男にとってはそれなりに面白いものなのだ。

ヴェスタ > 程なくして台の上に置かれたエールのジョッキを受け取り、一度に半分ほど飲み干す。わりと喉は乾いていたようだな、と自覚しつつ。
何か仕事の帰りかい、と声を掛けられれば、ちらりと目を遣り視線で軽く頷いて。

「ああ……捕物の手伝いを一件、な。武装している連中が多いらしいと言うので傭兵として同行したのだがね。いざ行ってみれば、剣を抜くまでもなかった。 この見た目も、そういう場合には案外役に立つものだよ」

ぐ、と空いている方の拳を握り。小さく獣の唸り声を漏らしてみせる。
最初の一人を素手で打ち倒し、ひと吠えの威嚇をした段階で、もう降参してきた有り様だった。誇張するつもりはないが、面白おかしく大仰に、と言う様子でその始終を話してやれば。怖い怖い、などと店の主も笑ってくれている。
普通に話していても低く響いてくるような声音をしているこの獣人男、吠え声はまさに獅子の如しで、見た目と相まって戦いの場では相当に恐ろしい、のは想像もつくと言うもの。
笑う店の主に合わせるように、わはは、と声を上げて笑い返して見せる姿は、ただの気の良い人物でしかないようにもまた見えるのだったが。

ヴェスタ > エールを飲み干し、ついでに干し肉のストックがあるか訪ねる。安物でよければと店の主が言うから、携帯食として持つものだからそれで良し、と追加で頂くことにして。

「では、な。またいずれ訪れるとしよう」

目立つ風体ゆえに覚えられやすい。それで追い出されないような店ならばこちらとしても覚えておくのが良いもので、立ち寄れる店の一つとして記憶に入れておくと何かと助かるものなのだ。
軽く片手を挙げて挨拶を交わし、今宵はこれにて、と去っていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」からヴェスタさんが去りました。