2025/03/07 のログ
■ハーラ > 「いやいや危険は無いって…随分と余裕なもんだよね」
ハーラは呆れ顔を隠さない。この国は、異邦人の目から見てもとんでもなく腐敗している。
魔族との戦い、シェンヤン帝国とのにらみ合いに加え、最近は国内でも叛乱が起こっているというのに放置状態だ。
私腹を肥やす王族や貴族の政争で、政府も十全の能力を発揮できないのだろう。
そもそも王も決まっていない状況である。
「冒険者狙いの賊はそのうちギルドから正式に討伐依頼が出る気がするね。
というわけで今狙うなら魔族とかの方かなぁ…」
冒険者ギルドは冒険者の庇護者、当然彼らに害をなす存在をそう放置もしないだろう。
正式に出された依頼を受た方が、ギルドに恩を売れるという意味ではお得だ。
「ティアリスさんからオススメはある?」
いくつか資料を抜いて返し、残ったものをパラパラとめくりながらハーラは訊ねる。
■ティアリス > 「その辺の判断もできてないってことじゃないか?」
判断する人材が不足しているというべきか。
王城の内部における対立・人間関係のドロドロは、外から眺めているだけでは中々わからない。
勿論、王都の為にと戦う忠臣がいないわけではないのだが対応は遅々たるもの。
「魔族か。それなら……これなんてどうかな」
オススメと言われれば、彼女の手元にある資料を覗き込み…伸ばした指先で複数枚を示した。
そこに記載されているのは、いわゆるサキュバス──
人の精を食らう女淫魔であったり、王都の中に潜み事件を起こさんとする筋骨隆々とした男性体の魔族であったり。
「その辺なら、きっといい値もつくと思うよ」
返された資料をまとめて傍らの荷物袋に仕舞いこみつつ、付け足すように報酬のことも教える。
■ハーラ > ティアリスの言葉に、大変だよねぇとハーラは他人事のように呟く。
というより、実際他人事なのだが。
「なるほどなるほど…淫魔ねぇ…?」
ティアリスがオススメしてきた中で、ハーラの興味を惹いたのは女淫魔の情報。
書いてあるのは何ともまぁ、同情の余地の無い悪行三昧。
そして、男を簡単に惑わせるサキュバス故に、男の多い騎士等では討伐は困難だろう。
唇をぺろりと舐めながら、ハーラは情報を物色する。
「ふんふん…にしても、相変わらず魔族の情報は詳しいねぇ」
人間の賊等の情報も入っているが、彼女から提示される資料の多くは魔族のものだ。
それも、王国に上手く潜伏している類の。
■ティアリス > 他人事のような言葉に、ティアリスもまた大変大変…と呟く。
王城内の人間関係にあまり興味はない。王国が潰れなければそれで良いのだ、ぶっちゃければ。
「うん。最近増えてるね、王都に。まぁ派手に害を加えないのなら別にいいんだが」
大きな括りで言えば自分もそうだが、人間と共生している淫魔も此処には少なくない。
そういう連中ならともかく、資料に載っているのは男達を篭絡し、食事をしながら王都の機密情報を探る悪辣な魔族だ。
ならば同輩と言えど情けをかける余地はない。ティアリスがリストに入れているのは、基本そういった連中。
「ま、ちょっとした太い伝手があるもんでね」
後ろ手をベッドについて座ったまま寛ぐ体勢。
その辺は詳しく聞かれても、企業秘密だから教えられない、と笑う。
■ハーラ > 「じゃあまずは…コイツにしようかな」
資料を眺めていたハーラは、やがてそのうちの一つを抜き取ってティアリスに渡す。
それは、王国内で暗躍する中級のサキュバスの一人。
被害者には男性のみならず、ノーシス主教のシスター等もいた。
いずれも、篭絡どころか精気を吸い尽くされ殺されている。
「まぁ弱そうだけど…肩慣らしってことで」
とはいえ、派手に暴れている割には推定される強さは提示された資料の魔族の中では低めの方だ。
他の人間に討伐されかかったこともあるようで、そういう意味では優先した方がいいのかもしれない。
「それじゃ、また調査を頼むね?
直近の行動範囲とか、活動時間とか、あとコイツの女の好みとか」
標的の資料を返しながら、ハーラはにっ、とティアリスに笑いかける。
■ティアリス > 渡された一枚。
最近王都内を荒らし回っている中級サキュバスの情報が載っている。
それに視線を落とし、どこからともなく取り出したペンで端に小さく印をつけた。
「承ったよ。追加情報は、そう時間かからないうちに渡せると思う」
割と派手めに動き回っているようだし、これなら行動範囲始め諸々必要な情報を得るにはすぐだろう。
頷き、ほかの資料とまとめて道具袋に仕舞いこむ。
「さて、取引の話は一旦これでお終いだ。この後はどうする?」
未だベッドに腰かけたまま、ちらりとティアリスはハーラを見上げて微笑む。
■ハーラ > ティアリスの言葉に、ハーラは頷く。
彼女の情報屋としての能力も、ハーラは信用していた。
彼女が時間がかからないうちにと言うなら、本当にすぐに調べてのけるのだろう。
「じゃ、私も準備しとかないとね?はは、腕が鳴るね」
ハーラは椅子から立ち上がり、ティアリスを見下ろす。
勿論、このまま用事は終わりと帰るわけもないのだが。
「そんなの分かってるくせにぃ?」
ティアリスの隣に座ると、指先でつい、と顎を撫でこちらを向けさせる。
そして徐に、軽く唇を重ねた。
「……さ、シよっか?」
■ティアリス > 情報を売るからには、精度が高く提供するまでのスピードも速くなければならない。
その辺り、ティアリスは心がけている。これまで失敗した経験も無い筈だ。
魔族ゆえに、情報の伝手が多いことも要因としてあげられるかもしれない。
「せいぜい返り討ちに遭わないよう気をつけなよ」
見下ろしてくるハーラを見上げるティアリス。
そのまま彼女が隣に座るならば、視線は同じ高さとなる。
「……ふっ。…今日はどんな気分?」
唇が重なればやんわりと微笑み、此方からも顔を寄せて唇を押し付ける。
ハーラの褐色肌と、ティアリスの白い肌。
お互いの二の腕が密着し、肌が触れ合う心地良さに瞳を細めて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者向け宿屋」からティアリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者向け宿屋」からハーラさんが去りました。