2024/12/23 のログ
ティアフェル > 「くぅぅ…っ……ぃ、っつぅ~~……」

 路傍に這い蹲っていたら、結構容赦なく蹴飛ばされてしまった。
 蹴っ飛ばしたのは小さな足だったがそれでも手加減なしでしかも爪先が固くなっていればなかなかのダメージ。
 冒険者でもあるので鍛えてはいるものの……鍛えきれない場所でもある。
 柔らかく衝撃をある程度は殺すけれども、敏感さもあるので…つまり、結構。痛い!

 うぅ、としばし臀部に手を当てて呻いていたが。
 なにすんのよう、と軽く涙目で一言くらい文句を云う前に……、

「え……、ぁ……ぅー……い、いや……うん。
 大丈夫…じゃないけど、大丈夫よ……わたしも道端で蹲ってたりしたのは悪かった、と思わないでもない、し…?
 や、いい、いいよ…、そんな気、遣わないで。へーきへーきお姉さんはこれでもヒーラーなんだから。よゆーよゆー」

 駆け寄る相手を振り返って見れば、ちっちゃい子だった。
 あかん……これは大人として怒ったらあかん奴な気がする。
 そもそも通行の妨げになるような場所に蹲っていたのも問題はある。
 謝りもしないで行ってしまうようなら「ごめんの一言も云えないの!?その口は!!」と啖呵切っちゃったところだったが。
 街灯に照らされた顔が幼くあどけなく泣きそうだったので、慌てて痛みを堪えて。
 へーきだよ、と少し無理して笑いかけながら、嫌がられなければぽす、と彼の小さな頭の上に手を置こうか。

ホーセーア > 当たり前ながら、現状少年モドキが出来る最上級の謝罪述べたつもりではあるのだが
こちら向いた顔が相当な痛み抱えているだろうにも拘らず、
それを堪えながらの優しい・・・年下を慰めるような言葉かけられれば、
これは恐らく子供と勘違いされているなと気づく。
年を誤魔化して許して貰おうなどとは微塵も考えていなかったから、
微妙な笑顔浮かべて罰悪そうにぺこりと頭を下げ。

「・・・大変優しい言葉をかけて貰って悪いのだが、僕はこう見えても立派な成人男性だ。
学院の方で教員をしている、ホーセーアという。見ての通りの魔法使いだ。
信用できないなら、これを見てくれ。
そしてその上で、改めて賠償等の話をさせて貰えると有難い。
金品でというなら今それなりの持ち合わせはあるから、遠慮はしなくて構わないぞ?」

服の中から取り出した教員身分証明証・・・首から下げる小さなカード上の紙に
名前、年齢、担当教科が示されたものを女性の眼前にかざしながら、
女性の服に土などついていないかと見まわし、
もし見つければ出来るだけ丁寧にポンポンと払ってみたり。

ティアフェル >  弟の人数は五人。
 年下男子には慣れている。けれど、弟のような粗雑な扱いは無論しません。他人にやったら軽く犯罪だ。
 むしろ、余所の子は自分ちのサルどもと違ってかわいく思える。
 だから、シュガーな対応を心掛けたのだが。

「………ん?」

 その対応に異存や不服があったらしく、頭を下げる所作に小首を傾げ。
 つまり見た目がガキなだけでガキじゃないんだぞという主張。
 身分証明書は薄暗がりの中では判別しづらかったが。

「ん? んん~~??」

 顔を近づけてじーっと目を凝らして確認し。
 ふーむ…と顎に手を当てて肯いて。

「そっかそっか。
 分かった。えーと、ホーセーア氏。
 わたしはティアフェル。さっきも言った通りヒーラーやってます。
 でも賠償なんて大げさよ。わたしも問題あったと思うし、気にしないで?
 こんなのちょちょいのちょいって、ね」

 ふるふると遠慮の動きで首を振って。
 蹲っていた姿勢から衣服の裾を払って立ち上がると、爪先で蹴飛ばされてしまった臀部へと詠唱を口ずさみ手のひらをかざすと淡い暖色の光りを生み。
 スカートの繊維を通してセルフで施術すると赤みも痛みもあっさり消えて。

「はい! ティアのチャームな尻はこれで元通り。
 こんなことでお金なんかもらえないわよ。もう痛くないしほんと、気にしないでくだされ~
 優しいんだね、お気遣いありがと」

 おどけ交じりに口にしては、に、とこだわりのないさっぱりとしたような笑顔を向け。

ホーセーア > 少年モドキの言い訳めいた弁明は多少疑われていたようではあったが、
教員証確認してもらっての対応には、とりあえず内心胸を撫で下ろし。
・・・まだ若干年下対応残るのは気になったが、
そこらへんはこっちが悪かったのだからと飲み込んで。

「あ、有難うティアフェル嬢。
いやあの、怪我が治せるからいいというものではないだろう。
このまま無罪放免と言われても、それはそれで僕の気がすまない。
せめて何か・・・そういえば。
ティアフェル嬢?君はなぜこんな所でしゃがんでいたのだ?
昼間よりはましだろうが、今でも決して人通りが少ないとは言えないのに
僕でなくても、誰かにぶつかるだろうことは想像に難くない。
もし困りごとだと言うのなら、詫び代わりと言っては何だが力になるぞ、
言っただろう、僕はこう見えても『魔法使い』だと」

女性がヒーラーの本領発揮して自らの傷を癒すのを、
研究者の目線で興味深げに見た後、何もしなくていいと言われれば
そういう訳にはいかないと抗議しかけて、ふと気づいたように問いかけ。
考えてみれば、いくら少年モドキが不注意だったとはいえ、
街中でうら若い女性がろくな明かりも持たずに、
這いつくばるような格好でいるなんて、どう考えても不自然。
何らかのトラブルだと言うなら、その手助けしたいと申し出てみよう。
立派な大人なのだと示すように、薄く筋肉ついた胸を張って軽くトンと叩いてみたりも。

ティアフェル >  年下に対するというより単に誰にでも馴れ馴れしいだけの女であり、素の対応を心掛けていたが。
 相手がなんだか微妙そうなので、うーむ、と首をひねって。
 ここは……敬語か? 敬語なんか? 敬語を使てくれと彼は思っているのか?と悩みながら。

「やー…ティアでいっすよ。
 えぇ……マジいーのに……そんな調子で道端の女に対応してるとカモにされちゃうよ……されます、ぞ?
 ん-……。でもそこまで云うなら。
 うん、お言葉に甘えて手伝ってもらおっかな……もらうです」

 ついつい砕けた調子になってしまうので、軌道修正しての敬語は…非常に珍妙な始末になった。
 我ながらこれが正解とは思えなかったが。ため口よりは大分敬意が伝わて…いると信じたい。絶対伝わってないだろうが。
 蹴られた部分はもう治ったから、これにて~と手を振る…とはならず。
 せっかくのお気持ちだし、無碍にしてはというのと。
 せっかくだし手伝ってもらうかという甘えがもたげて。
 胸をたたく様子は逆に子供っぽさを演出しているような気はしたが敢えて云わず。

「あのね、このあたりで落とし物をしてしまって……
 でもこの暗さでしょ? どこにあるのか全然分かんなくなっちゃって……
 そういうの、探してもらえたりする……しますか?」

 ああ、しゃべりにくいな、とは思ったが。
 相手を尊重するべく卦体な語調となった。

ホーセーア > 「・・・重ね重ねすまないが、頼むから普通に話してくれ。
まだ子ども扱いされているのかと気になっていただけだ、
違うんなら何の問題もない。
あと、カモ云々の心配はいらないぞ。
そのような事をする輩には魔法使いに妙な因縁つけると
只では済まないと教えてやるだけだからな」

やりにくそうな口調で話そうとするティアフェルに
右手パタパタと振りながら、別に普通で構わないぞと
苦笑いしながら伝え。
心配そうな質問には、やっぱり子供の様に悪戯っぽい笑みで
ニィイっとか言いだしそうに。

「ふむふむ・・・その『落とし物』は
ティアじょ・・・ティアにとってどれくらい大事なものなのだ?
それこそ普段から身に着けているといったものなら、
君とのつながりを魔法でたどって探すし、
そうでもないなら形を思い浮かべてくれれば、
探知の魔法で似たようなものがある場所を
全部君の頭に写し出す事も出来る。
そこまでする必要がないのなら、魔法の明かりを君の・・・
そうだな、頭の上にでも浮かべて、
僕と二人でこの辺を探すと言う手もある。
どれでも好きなのを選んでくれ、ああ勿論一つを試してみて駄目だったら
他の方法を選んでくれても構わない、何せ僕の方もひま・・・」

ここまで言いかけて、本来自分が出かけていた目的・・・
試作ケーキの受け取りの事ようやく思い出すが、
誤魔化すようにコホンと軽く空咳して。

「・・・ひまだから、ぞんぶんにじかんかけてくれてかまわないぞ。
さーどれがいい?」

・・・まあ目当ての洋菓子店は深夜まで開いている。
今は迷惑かけた女性の困り事解決する方が先だと、どうにか理性働かせ。
口調が多少上の空めいたものになってしまったのは、仕方ない所で。

ティアフェル > 「あ、そー?
 そんならまあ、そうさしてもらうわ。
 正直苦手なのよねー。畏まったりするのとか。
 いや……この流れだとさ、わたしが悪い女だった場合……いくらか巻き上げて、あなたはカモられたことにも気づかず賠償金を払って帰っていくことになろうよ?」

 因縁をつけたなんてことじゃなくて。
 道端の女に誰彼構わず親切心を見せたりしたら、魔が差す連中だっているさと説く。
 やっぱ……子供だな、となんか無邪気に悪戯な笑みを見せる顔に、抱かずにはいられぬ感想。

「ティアちゃんでも可だよ?
 えーと……どれくらい……? うーんと買ってもらったものだから自分では大事にしてたつもりで……だからこうして探しておるので。
 でも、失くしたり傷んだりするのは厭だからいつも身に着けてるって訳でもないな。
 形を思い浮かべるだけでいーの?
 うーんと、良く分かんないんだけど、じゃあ手っ取り早いやつで頼みたい。
 だって、一緒にはいつくばって探して今度は二人して誰かに蹴っ飛ばされっちゃったら事よ?」

 明かりで照らすだけ、というのは魔法でなくてもできるし、ちょっと原始的な手法ではある。
 這い蹲って探していた原始人が思う事でもないが。
 暇、と云いかけて云い直した様子に。

 あー、こりゃ、あんま暇でもないやつな。

 とそのくらいの察しはついて。

「寒いし早く見つかると助かるなっ」

 それはあまり引き留めてはという気遣いもあったが、実際に北風はとても冷たく凍えそうでもあったので本音でもある。
 だから簡単にすぐ見つかるようにしてほしいと両手を組み合わせて祈るような所作で請うた。

ホーセーア > 「ああ、そうしてくれると助かる。
正直堅苦しいのは苦手でね、変に畏まられても何というかその・・・困る。

・・・言ったろう、僕は成人男性・・・大人だと。
こう見えても裏の世界を何も知らない訳じゃない。
人の事をカモにした女性の話など耳に入ったら、それなりの報復はするつもりだ。
魔法使い流の報復を、な?」

余談だがちょくちょく出ていた子供ムーブは、
意に添わぬとはいえ、長らく子供の姿でいたために
徐々に引っ張られてきているゆえの物で。
そして奪われたものを取り戻すだけが復讐ではない、
どうとでもやりようはあると、
こんな時だけ大人びたというか若干コワい笑み浮かべて。

「・・・申し訳ないが、妙齢の女性に「ちゃん」付けは流石に馴れ馴れしすぎる。
では、ティア君。
手っ取り早く、か・・・大事にしていたというのなら、さほど問題はない。
まずはティア君の髪の毛を1本くれないか?それに案内してもらう」

そう言いながらティアの方に右手伸ばし、無事に髪の毛受け取ったなら
杖持ったままの左手一度振り上げて、とんと小さな音立てて降ろしてから
目を閉じて呪文を唱え始める。

《緑の目の乙女の元離れし品よ、時戻りの術師ホーセーアが請う。
汝、主の手に戻らんと欲すならば、そのありか主の印帯びし我に示せ》

呪文が終わると同時に、少年モドキの右手に握られたままの髪の毛から
同じ色・・・薄茶色の光が、ティアがまだ探していなかった路地の方へ
すうっと伸びていって。
もし後を追うのなら、少し入った先に積まれた荷物の間に
光が吸い込まれて。
そこには目当ての探し物が、やはり薄茶色の光に包まれているだろう。

「どうだね?これが一番手っ取り早い奴なんだが、効果はあったか?
もし違ってたら言ってくれ、
今度は範囲を周囲100mに絞って、形状探査を試してみるがどうだ?」

術の関係なのかその場から動かずに、少し大きな声で結果を尋ね。
すべて無事に済んだなら、折角だから件の洋菓子店で軽く茶でも飲んでいかないかと
その気は全くないのだが、どことなくナンパしているようにも聞こえる言い方で誘い。

ティアフェル > 「んー。そちらが敬意を払わないと厭なのかなと思っただけなんで。

 ……やー。云うほど大人でもないんでない?
 世の中富める者ばかりでも善人ばかりでもない。
 カモにされた方だって悪いんだからね。誰だってお金をくれると云われればできるだけ多く頂戴したいと思うもんでしょ?
 それは責められないことだと思うわ。まして盗むわけでもないんだから。
 子供じゃないならそのくらいは分かるでしょ」

 報復何て物騒なことを口に出して魔法使いの権威を見せるのもあまりスマートではない。
 肩を竦めて、能ある鷹は爪隠すよ、と呟いた。
 そんなに爪をちらつかせちゃ勿体ない。

「ちゃんづけの方がかわいい!
 絶対かわいいもん!! 君とかヤダ! 男じゃないんだから。
 ……髪?」

 媒体が必要ということは理解して。
 ちょうど肩に抜け毛があったから、「これでい?」と渡しては詠唱を始める様子をほほう、と腕組みして興味深そうに観察し。

 やがて唱え終わると一筋の髪から生じた光が失せ物のもとへ導いてくれた。
 それを頼りに探してみると路地に放置されていた積み荷の間に隠れていたビーズと革で仕立てられた腕輪があって。

「わあっ、すごーい! これこれ!
 ありがとー! あっという間に見つけてくれて…!
 助かっちゃった。本当にありがとうね。見つからなかったら今日の終わりがしょんぼりになるところだった」

 嬉しそうに見つけ出した腕輪を嵌めて「おかえりーぃ」と軽く頬ずりし。
 深くお辞儀をして丁寧にお礼を云うと。お茶に誘われて。

「お、いーね。寒いし一杯。あったまってくのも良き良き。
 お供しまーす」

 お茶だけど、酒でも飲みに行くかのような至って気楽なノリで肯いて。
 誘い方はナンパの常套句だったが、どう考えてもそれではないのは察したので軽く応じるのだった。
 そしておいしいケーキに出会ってしまうと、『きゃあ太るー』と悲鳴を上げながらおいしくいただいて翌日からダイエッターに転身する羽目になる。
 そんな一夜。失くした腕輪を嵌めてご機嫌に更け行くのだった。

ホーセーア > 「そういうものかね?
言っている事は、まあその通りだとは思うが
無傷の人間が治療費をせしめるような真似をして
流石に何の咎めも無しというのもどうだろうか。

まあ、仮の話だ。色々言ってても仕方あるまい」

話していて面白い話でもないからと、左手大げさにぶんぶん振って
中断提案してみたり。

「・・・・・・判った。
・・・てぃ、ティア・・・ちゃ・・・んっ
・・・ぜえはあ・・・な、慣れないものだな。
次に会う事があったら、完璧に呼べるようにしておこう・・・」

基本他人を「ちゃん付け」で呼んだ事などなかったから
ものすごくものすごぉく言いにくそうにしながら、
どうにかティアちゃんと。
だが流石に失礼と思ったからか、一応練習はしておくと告げて
申し訳ないと頭下げ。

「いやいや・・・正直こんな事でさっきの詫びになるのなら
お安い御用だよ。
うん、味の方は間違いないから安心したまえ。
ただなあ・・・まあ、ティアちゃん・・・は
僕の連れだから、大丈夫か。では行くとしよう」

探し物・・・手作りらしき腕輪見つけて嬉しがるティアの顔を
何となく年頃の娘見る父親のような柔らかな笑顔浮かべて見つめ。
誘った洋菓子店は少し外見派手だが、甘み多めの美味い菓子を出していて
ついでに初見のはずのティアに対して、やたらサービスが良かった、そんな店。

失せ物を見つけ、甘味を食みながら幸せな笑顔浮かべる女性と
そんな女性見ながら、なんとなく幸せそうな顔する少年モドキの夜は更けていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からホーセーアさんが去りました。