2024/11/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にセカンドさんが現れました。
■セカンド > 気付けば夜はだいぶ冷え込むようになってきた。
渇いた喉を潤すエールの売り上げがやや落ちて、手っ取り早く身体が温まる火酒が少しづつ売れ始める。
とはいえ火酒をストレートで飲む者はまだ少ない。水や炭酸で割って楽しむ者が多いのが大衆向けの酒場の特徴だ。
「なるほど……?割り方、混ぜ方でだいぶ口当たりが変わるもんやなぁ。
酔っ払いが味覚おかしゅうなっただけやと思っとったが、確かにこれは、なかなか……」
これまで大して意識せずに供していたが、客からの感想――というか苦情をもとに、自ら実験をしているところ。
店員が客の目の前で酒を呷るなど眉を顰められそうなものだが、珍しい光景という訳でもない。
水質が良くない地域では煮沸した水よりもエールを呷る鍛冶屋は多い。
はるか南方では、酒が主食の地域があるという。降水量が不安定な山岳地帯でコーンを原料とした酒を飲むという。
エールよりも弱い酒で甘味と酸味があり、農作業で働くとすぐに酔いは醒めるのだとか。
「マグメールは水が豊かやからなぁ。理想郷の名は伊達やないわ」
多種多様な酒を飲める。女にとってそれは幸福であった。
少し頬を赤らめながら店内を見渡す。馴染の客が多いが、それ以外で気になる客は――。