2024/11/02 のログ
■ラヴィニア > 王都マグメール平民地区裏通り。
見上げる空は星が輝き、月も綺麗に夜の闇に浮かんでいる。
けど時間はもう真夜中過ぎ、裏通りを歩くものは誰もいない。
通りの方に視線を向けても、皆ベッドに潜り込む時間帯で、
通りを行き交う人の姿は見えない。
「………ぬあぁー…………。」
裏通りに捨てられた木箱に腰を掛けて、フードをすっぽりと
かぶった頭を抱えて、不思議な声で鳴いている。
その音色は変声前の少年のようなボーイソプラノに近しい声色ではあるが、
声質に抑揚のとても不思議な声色だ。
何故鳴いているか。
人肌が恋しくて、ではなく。
迷子になって不安、でもなく。
怪我をしてどこか痛いとか、体調が悪くて辛いとか、そんなのでもなく。
――…自己嫌悪である。
この肉体に擬態して能力も知性もランクを落とした状態で、
頭もよくない、思考も鈍い状態でも感じるほどの自己嫌悪、
それは……折角思い出した目的地が王都には複数あったのだ。
『冒険者ギルド』
冒険者が集い、依頼を受注し、冒険に出る。
仲間を集め、情報を交換する、ありふれた施設。
それが王都にはいくつもあるらしい。
らしいというのは最初に足を踏み入れた冒険者ギルドで言われただけなので、
真偽不明で今度はギルドの名前とか場所を思い出さなければいけないという次なる問題にぶつかったのだ。
せっかく思い出せてゴールだと思い、無関係な冒険者ギルドに勇んで入り込んだ自分が恥ずかしい……。
■ラヴィニア > 総当たりで行くか、それとも情報を集めるか。
集めると言っても思い出す努力をするだけだけど。
あと、他に出来ることは街を散策して記憶がわくのを待つ。
どちらにせよ座っていても解決はしない。
そう結論付けた少年は木箱から飛び降りると、大通りのほうへ駆けていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からラヴィニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にビーンさんが現れました。
■ビーン > ゆったり賑わう平民地区を歩く少年一人。
久しぶりのお休み。
お昼ご飯まであと少し。
今日は何を食べようかな等と考えながら人波に飲まれぬように大通りの端をとことこと歩いている。
ローブのお陰で冬の寒さはしのげているが、冷たい石畳から伝わる冷たさが足の裏から体温を奪っている。
小さな手で握り拳を作り、口元に寄せると肺の中で温めた空気をゆっくりと吹き込み、冷えた指先を温めて。
■ビーン > 一人での食事は少しばかり寂しくもあるが、基本的に人見知りしてしまう少年にとって友達作りは中々に難しい。
一人でいる時間が長くそれを紛らわすために始めた魔術は少年の中に眠る血を時に揺らしながらも才能として表れて。
お陰で勉強は愉しい。
出店の並ぶ市場の一角に近づけば濃くなる食べ物の香り。
ソースや垂れが焼かれ、焙られ風に乗って広がってくる香ばしい香りに小さなお腹はくぅ…と小さく鳴いて自己主張。
■ビーン > たどり着けば垂れを絡めて炭火で焼かれている肉串。少し離れた炭火に焙られその熱によって空気の流れが生まれ噛香りを少年に届ける。
空腹な自分には暴力的なまでの其の香りに自然と唾を飲み込みじっと見つめてしまう。
其の香りに誘われるようにふらぁっと出店の列に並び、肉串を二本購入。
次に並んだのは果実水の売り場。
酸味の強くさっぱりとしたそれを買ってからベンチへと向かい歩き始める。
■ビーン > 賑わう広場。 端っこの人目のつかない所にあるベンチに目を付けるとトコトコとそちらに脚を進め。
ぽすんっと腰を下ろしてから膝の上にナプキンに包まれたパンをおいてから、包みの結び目を解き、パンを半分に。
先程買ってきた肉串をパンで挟み串を抜いて。
小さな口に大きく開けてかぷり。
綺麗な歯列の歯がパンに食い込み、嚙み千切るともぐもぐ。
幸せそうな表情を浮かべて。
■ビーン > 小さな口でもぐもぐ動かし、唇にタレが着いた事に気づけば、親指で拭いぺろりと小さな舌を出して指先に絡みついたタレを舐める様はどこか妖艶にもみえるか。
其れが人目を集めている事など気付かず。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からビーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にラヴィニアさんが現れました。
■ラヴィニア > 王都マグメール平民地区、とある冒険者ギルド。
今宵はあと少しで雨が降りそうな不安定な空。
けれど今は天候の心配をする必要のない場所へときている。
――…正しハズレであった。
記憶にある冒険者ギルドでない事は冒険者ギルドに一歩踏み込んだ瞬間に理解した。
鼻腔に感じる匂いの中に嗅いだことのあるにおいがない。
聴覚で捉えた声の中に聞いた覚えのある声がない。
視覚で見知った顔を見つけることができない。
無論一番最後のは遭遇した事のある冒険者を含むだ。
ということは、此処は目的の冒険者ギルドでない事が確定。
けれども折角なので冒険者ギルドの中を歩いてみようかと。
多少薄汚い恰好ではあるが他のニンゲンも似たような者で、
自分だけが追いやられる理由など、ないと………思う。
肌をヒリつかせる程の冒険者はいる様子はない。
掲示板?に貼られている『依頼書』にも目を向けるが、
特に記憶を擽るような『依頼』も見当たらない。
一体何時になったら王都から出れるのか。
そもそも、冒険者ギルドに自分は何をしに来たのか。
魔物として力を劣化させて人に擬態してまで、何故。