2024/10/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。

「…ん」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシグルズさんが現れました。
シグルズ > 冒険者や市民で夜が更けても賑わう、平民地区の酒場にて。

「――どうかなお嬢さん、もし暇だったらオレに奢らせてもらっても?」

市井の住民に比べれば豪気な性格が多いだろう冒険者然とした女性でも、いきなり見知らぬ男に誘われて、快諾の返答をする者はそう多くない。
冒険者ギルドに登録していて素性の分かる相手ならまだしも、上下とも白いスーツを着て、頭に角を生やした軽薄そうな男から話しかけたとなれば、敬遠するのが当然というもの。
今、声をかけた女性も、邪魔そうに無言で青年を睨めつけて返してきた。
なおも食い下がろうと両手に持っていたジョッキをテーブルに置くと、そそくさと立ち上がって酒場を出ていってしまった。

「……うーん。仕方ない、ひとりで2杯飲むかぁ」

誘い慣れているということは、断られ慣れているということでもある。
さして残念そうにもせず、ジョッキになみなみと注がれているエールに口をつけ、喉を鳴らして一気に飲み干していく。