2024/10/11 のログ
夏虎 > 彼女の視線につられて自分の視線もまた動く。
周りは、若年層から老年迄年齢は幅広く冒険者・商人と職種も様々だが凡そ男性、
給仕は、身体の輪郭ことに胸元を強調した格好や大人びた顔付きの女の人が多い、
彼女がそちらのほうに多く視線を向けているらしいのに気付いて一つ肩を竦める。

「どういたしましてぇ。お嬢さん、魅力ってのは一つじゃないぜ~? 色々需要がある。本当、色々」

女性らしさ。胸元の豊かさ、腰の括れ、臀部の大きさ、明るさはなるほど多くに需要があるが……

「ちっちゃくてあどけないお顔に、くりっとしたお目々。明るい、けど、少し儚いかな? そんな桃色。
 あとリスみたいにちまちま動いてて声と性格がちょっと控えめ。そんな女の子も大変に魅力的だと俺は思う」

彼女自身の過小評価を、場合によっては周りの下馬評も、個人的な意見ですがと前置きはするがこっちがぐんぐんぐんぐん勝手に上げていく。気障な台詞に、右目をぱちりと閉じてウィンク一つと気障ったらしい仕草もするが恥ずかしげもなく……恥ずかしがると世辞を言っているみたいに聞こえてしまうから内心ちょっと恥ずかしいところあるけど外面は自信満々に言い放った。

「お嬢さんの可愛らしさに乾杯、とまでいくと流石に気障が過ぎるかなー? まあいっか、よければほら、乾杯」

給仕に頼んで、自分のいたところに置いたまんまのざくろの果実酒を取ってきて貰えば、ジョッキを向ける。
もう片方の手は、彼女と同じ様に桃髪を一つまみ、とか真似して笑いながらに乾杯してみようと。

ミンティ > 喉を温めていたアルコールの名残が抜けてくると、またジョッキを傾ける。
本当にすこしずつだけれど、時間をかけて根気強く消費しているおかげで、手にかかる重量はずいぶん軽くなってきた。
どうにか、飲み干すのは問題なさそうだと思えてくると、安堵とともに肩から力を抜き。
そうしてまた一口と思ったところで、いきなりいくつも褒め言葉を投げかけられて、小さく咽てしまう。

「っ…、っ…、……やめて、ください。似合わないです…そういうの…
 暗いし、ちゃんと…目を見て話すのも、苦手ですし…、あまり、笑ったりもできません……」

まったく無縁ではないけれど、普通の会話の流れから賛辞を受けるのには慣れていない。
しどろもどろになりながら、首をぶんぶん振って否定する。
自分を卑下する言葉は聞かされる側も面白くないものと、普段は気を付けるようにしているけれど、余裕がなくなるとついそういう言葉ばかりが口をついて。
アルコールの酔い以上に火照りを増したように感じる頬を、手の甲でごしごしと擦る。

「…かんぱい。……その、気をつかっていただいて、……ありがとうございます。
 いえ、その…そういうつもりじゃない、と…言われるかもしれませんが、…とにかく」

お世辞じゃないと返ってきそうな気がして、先回り。もったいない評価をいくつも貰ってしまった事に感謝して、またぺこりと頭を下げる。
なかなか落ち着けない会話の流れを誤魔化すように、先ほどまでよりもジョッキを傾けるペースを上げて。
ジュースに混じる多少のアルコール、さすがに酔いが深く回る事はないけれど、喉の熱さが増すと落ち着かない様子で咳払いをして。

夏虎 > 動揺させるつもりがなかったと言ったら嘘にはなるが咳き込むほど焦るのは驚いた。
ごめんごめん、と、掌を胸の前に立てる異国式ではあるが謝罪を入れつつ、
テーブルの丸みに沿って歩けば彼女の隣へと移動してから背中を軽く叩こうか。

「いや。喉に詰まらせるつもりはなかった。本当に申し訳ない、けど、取り下げも出来んなー。
 引っ込み思案ってこと言いたいんだろうけどさ。まあそうかもしれんけど。だから可愛くない、はイコールじゃないのさ」

性格がマイナスでも顔付きも身体つきも仕草も可愛らしい、つまり、プラスだし、

「さっきも言ったが、控えめも俺にとっては加算ポイント。つまり、マイナスはありませーん」

強引なぐらいの一種褒め殺し。彼女、褒められ慣れていないらしくって必死なぐらいに否定するが……
『アーアーキコエマセーン』とか急に片言になって耳を塞いで態とらしいぐらいに首も頭も右に左に。
おどけが過ぎて、それに彼女があんまりに一生懸命なのも笑っちゃ悪いがつい、笑気がまた口から溢れる。

「はーい、かんぱい。もちろん、お世辞抜ーき。
 ますますナンパくさいがもうナンパでいいわ、
 可愛い女の子に可愛いと言えんぐらいならもう喜んで誤解を受けるね」

先回り、されてしまったけれど、先程から増す強引さはますます増し増し、先回りされても零す世辞抜きアピール。
髪色より鮮やかになってきたその頬を見やってはまた機嫌良さそうにも笑いながらジョッキを傾けつつ、ふと、

「……そういえばまだ名乗ってもなかった、いや名乗るつもりもなかったけどここまでお喋りしたらもう友達でしょ。
 夏虎(シア・フゥ)。王国人ぽく見えるでしょ? ナリも喋りも。北の民なんだなぁこれが。宜しく」

そういえば名乗っていなかったって遅まきながらに、あと勝手に友達認定しつつジョッキの次は握手と右手を差し出した。

ミンティ > 背を軽く叩いてもらって落ち着きを取り戻してからも、喉の調子を整えるように、しばし浅い呼吸を繰り返し。
さほど激しく咳こんでいたわけではないから、数秒と経たずに持ち直すと、ずいぶんぬるくなった水のグラスを手に取り、喉を潤して。

「……はい。その、悪気があっての事ではないと…、わかって…います、から。
 というか、…わたしの方こそ、すみません。…お気持ちには、感謝、しています」

自分がどれだけ卑下しようと、それは欠点ではないと言われるとどうしようもない。特徴の捉え方なんて人それぞれだから、相手の認識にまで口を出すわけにもいかず。
そもそもはっきりとした物言いにしつこく食い下がるような気持ちの強さも持ち合わせていないから、素直に受け止めておくくらいしか対処の方法もなかった。
異性とどうこうの空気になる時は大体力任せに引きずられていくようなタイプだったから、今の状況に落ち着かなさそうに目を泳がせて。

「……ナンパ、でしたら…もっと、素敵な人、たくさん…いると、思いますけど…
 いえ、あの、…やっぱり、いいです。ありがとうございます」

他の女性の方がと周囲を見回そうとして、そんな事を言っていたらまた褒め言葉が飛んでくるような気がしたから、ふるふると首を振り、首長を飲み込んで。
ようやく木のジョッキの中身を空にすると、深く息を吐き出す。結果としては、一人でちびちびと飲んでいるより、時間の短縮ができたかもしれない。

「しあふう…さん。はい。このあたりだと、あまり聞かない…名前の音、です。
 え…と、わたしは…ミンティ、と、いいます。よろしく…お願いします…?」

たまたま酒場で同席になっただけ。よろしくと言っていいものかどうか、対人関係が下手すぎて正解がわからずに小首を傾げつつ、差し出された手をしばし見つめて。
しっかり握手できるほどの積極性はないけれど、だからといって無視でもできない。考えこんでから、ちょっと指先を握るくらいの控えめな握手をして、すぐに手を引き。
ちょうど近くを通りかかった給仕の女性に、水一杯のおかわりと、お勘定の旨を告げて。

「あの、わたしは…そろそろ。その、えと…お話して、くださって……ありがとう、ございました」

夏虎 > 悪く言うなら、人の話も主張もてんで聞いていないし聞くつもりがない。……卑下以外であればとかく『可愛い』に関しては一家言でも二家言でもあるものだから『可愛い』はしきりに推すし褒めるし褒め殺す、このあたり、短すぎるぐらいの付き合いでも彼女もわかったらしくってナンパ云々あたり引っ込めるなら笑って頷く。もし言ったらそれこそまた褒め殺しが飛ぶだろう。

「ほんとにナンパするのはまた今度にさせて貰うよ。するならするで、きちんとしたい」

これだけ褒めておいて彼女にそういう意味での興味もない訳はないが……
こんな流れでそういう事するのは主義に反すると妙な拘り見せて首を横に。

「北の民じゃちょっと判り難かったかな、ごめんごめん。
 北方帝国シェンヤンの出でシェンヤン人ってわけさ。
 よろしく、ミンティさん」

手は、暫く差し出したまま。握手は王国風の挨拶なれど“控えめ”な彼女には難しかったか、握られなければ引っ込めたところだったが、それこそ控えめにちょこんと握られた指を軽く上下に揺らしてからそこでようやく引っ込めて。……何のかんのと話していればこちらのジョッキも彼女のジョッキも中身が底をつく。お会計、となれば、右手をゆらりと持ち上げてお別れの挨拶だ。

「こちらこそお喋りありがと? お喋りはまだしたいけどあんまり引き止めるのも悪い。帰り、暗いから気を付けて」

そうして、お別れして、彼女の背を見送ったあとにはジョッキを返してもう一つ再注文。
自分の席に戻ってのんびりとした晩酌に戻ることになった――……

ミンティ > いっそ首根っこを摘まんで物陰に引きずられていく方が、落ち着いていられるかもしれない。そんな風に思える経歴も、それはそれでどうかと思うけれども。
褒められ慣れていないせいで、不快感こそないものの、どんな顔をしていればいいのかも判断がつかない状態。
持ってきてもらった水入りのグラスを何度も持ち替えたりしているあたりにも、落ち着かなさを露呈させて。

「……ほどほど、で、おねがいします…、…慣れて、いないので……」

嫌な気はしなくとも、なんだか普段の仕事よりもずっと疲れたような気がする。
そもそも初対面の人相手との会話を非常に苦手にしているから、今もまだ、失礼な応対をしていなかったかと気が気でない状態で。

「…もっと、寒いのでしょうね。ここよりも。…たくさん降る雪は、見てみたい…ですけど」

そういった国に住む人からすれば、たくさんの雪なんて辟易するものでしかないのだろうけれど。
絵本で見るような見渡す限りの銀世界をぼんやりと思い描きつつ、喉を潤し終えると、空のグラスを置き。
のろのろとした動きで腰を上げると、まだまだここで過ごすつもりらしい男性に、行儀よく一礼をして。

「あの、お酒も、ほどほどに。いえ…よけいな、お世話かも、ですけど。
 それじゃあ……ぇと、おやすみ、なさい……?」

気安く手を振っていい関係なのかも判断がつかなかったから、再度ぺこりと頭を下げて。
伝票を手に小さな歩幅でカウンターへ。支払いを済ませて酒場を出ると、すこしだけ急ぎ足に家路をたどり…

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」から夏虎さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。

「…ん」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。