2024/10/10 のログ
ご案内:「宿屋兼食堂」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 夜も更けてきて一際賑わいを増している酒場の中。わいわいと声が渦巻く店内中央部からは離れた隅の方の席にて。
木製の小さなジョッキを両手で包むように持ちながら、くらくらとする意識に任せて、上半身を前後させている。
秋の味覚を使った新しいドリンクが期間限定で飲めると聞いて楽しみにしていたのだけれど、わずかに入っていたアルコールのおかげで顔が熱い。
一応頼む時に注意はされていたし、まったく飲めないわけじゃないから多少なら大丈夫だろうと思ったのだけれど。

「ぅー…」

さすがにこんなところで突っ伏して寝るのは行儀が悪いし、店員にも迷惑をかけてしまう。
机に両腕を凭れさせたくなる気分をなんとか我慢しながら、背筋をまっすぐするように意識して。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に夏虎さんが現れました。
夏虎 > あちらこちらから、ジョッキ同士がぶつかる音、大きな笑い声、下品なジョーク、騒ぎすぎて店主に店外へ蹴っ飛ばされる酔っぱらいの悲鳴、などなどなどが響いて騒がしいぐらいに活気のある酒場の一角。ルビーのように艶めかしさすらある綺麗な赤色の果実酒、ざくろの果実酒だ、それを傾ける桃髪。
渋みえぐみが少し残っているがそれもアクセントの酸味甘味がよく効いた、秋が旬のそれ。
期間限定品との事で早速飲みに来てこうして楽しんではドライフルーツなんかを摘み、つつ。

「ん? あらま……」

ふと目に付いたのは、珍しい、自分と同じ桃色頭の女の子。
その頭が前にいったり後にいったりとふらついているのに首を傾げて、
カウンター席に酒とツマミは置いて席を立てばそちらへと歩み寄る。

「お嬢さん、お嬢さん。大丈夫ー?
 こんなとこで寝たら、まあ迷惑もそうだけど危ないぞ~」

ひらひら、と手を緩く振りながら、いきなり男が声掛ける訳なので警戒とか吃驚とかさせないように距離詰めすぎない程度の距離感で声を掛けた。

ミンティ > ジュースの風味付けとしてアルコールが混ざっている程度。
さすがにそれで酔いつぶれるほど弱くはないつもりだったけれど、頭がぼーっとしているのは事実。
体調のせいか、たまたまこのドリンクがそうだったのか。そういえば前にも果実酒で悪酔いした事があったな、などと思い出してもあとの祭り。
それでも自分が注文したものを半端に残して立ち去るのも申し訳なく思えて、ちびちびとしたペースでジョッキを傾けていく。

「……?」

梨の甘さの中に混ざる仄かな酸味。一口飲んでは、ふうと吐息を零して。注文前に頼んでいた水のグラスに持ち換えて、酔いを醒まそうとする。
そんな風に繰り返していると、不意に声がかかって。いくらか距離を置いたところからだから、最初は自分に、だとは思わなかったけれど。
顔を上げてみて、明らかにこちらに手を振っている様子に気がついて、ぺこ、と頭を下げる。

「ぁ、ぇ、と、……す、すみません。ご心配、いただいて…
 み、見た目…よりは……多分、だいじょうぶ…だと、思います…」

夏虎 > 彼女の手の内にあるものに目線が下る。
梨? と思われる果実酒だかドリンクだか。確かあれも期間限定の……
等と確認しつつの反応を待っていると、
距離をやや多めに取りすぎて逆に気付きにくかったらしい様子に笑いながら一つ頷く。
礼儀正しくも下がる頭に、まあまあ、何て今度は掌を向けてから。

「どういたしまして。いやお水も飲んでらっしゃるから余計なお世話だと思ったんだけどね?
 ここらはまぁ比較的安全、とはいえ比較的。お嬢さんみたいな可愛い子は気を付けにゃ」

もう数歩近づくと彼女の真向かいに陣取って、机に手持ち無沙汰な手を置いた。

「……我ながらナンパみたいなやり口だとは思うんだが違うんだ、ほんと、余計なお節介。
 女の子にゃ優しくしろって家訓があんの。あとほら、同じ髪色同士の勝手なシンパシー」

本当に、我ながら、端から見たって、彼女からしても、ナンパしている・されていると思われかねない声の掛け方。
派手な髪色や軽い口調も相俟ってそのナンパ感はさらに倍でドン、だけど、首を横に振っておく。
同じ髪色同士、と、頭が揺れる度さらりさらりと艶のある桃髪が揺れ、笑気で肩も揺れて。

ミンティ > 酒場で年頃の女が一人なんて、言われてみれば確かに狙われやすいだろう。
隅でおとなしくしていたせいか、あるいは主張がすくなく気配も薄いからなのか、特に絡まれもせず平穏に過ごせていたけれど。
そんな風に油断をしていたら痛い目にあった、というような事もなくはないから、親切な声かけには、こくこくと小さな首肯を繰り返し。

「……は、い。あの、可愛く…は、ありませんが…、いろいろ、あるのは…わかって、います。
 ……でも、あの、ほんとに、…頭の方は、まだ、しっかりして、いますから…」

どれだけ意識をしっかり保っていても、力ずくでどうにかされたら抗いようもないのだけれど。
一応このあたりのお店ならば、客入りも多く、それだけの人目がある場所で無茶をするような者もすくないだろう。
近づいてきた男性を見上げながら、だいじょうぶです、と示すように背筋を伸ばしてみせて。

「髪…?……ぁ、そ、ですね。…似てる、色……です。
 ……わたしも、そんな風に、もっとはきはきと話せたら…この髪色に、合うのかも…です、けど」

桜色と桃色を見比べて、多少色合いの濃淡に違いこそあるものの、よく似ている。
明るく気さくな男性の口調のように、せめて自分ももうすこしはっきりと声を発する事ができたなら、なんて思って肩を竦めつつ。
また、ジョッキを傾けて。こもった熱を吐き出すように、ゆっくりと深呼吸。

夏虎 > 酒場で年頃の女が一人だなんてそれはもう狙いやすい。酒でふらついているなら尚の事だ。今まさに、誰かが彼女の席へと近付いていたかもしれない。……ド派手な頭の男が近くにやってきて先に声を掛けてしまったものだから舌打ちなんかもしているかもしれない。何か、舌打ち聞こえた気がして、目線が一度右に寄るけれどすぐに彼女へと戻してから、何度も小さくこくこく頷く様子は小動物みたいで可愛らしいつい笑ってしまう。

「んふ。ぁ。いや。失礼。可愛いでしょ。口角上がっちゃうし零れちゃってるもの、俺」

ほらこれ、と人差し指で、緩んでいるが端正で薄い唇やら、持ち上がっている髭のない頬やら、撓んでいる線のはっきりとした目元やらを指差して。
彼女も大丈夫というし背筋をしゃんと伸ばしている様子にも、大丈夫そう、と首肯一つしてから、
『可愛くない』にはそれこそ自分の顔指すしもう片方の手も左右に振って頻り否定。

「ね。そっくり。似ている色って王国でも北でもあんまり見かけないからさ、勝手ながらシンパシー感じる。
 ……いや? 別に聞き取りにくくないけど? ピンクだからって明るく無くてもいいじゃない、控えめなのも素敵だよ」

確かに、声量は小さめ、言葉も所々途切れるところはあるけれど、聞き取りやすい発音ではある。
桃色、桜色、他ではあんまり見かけぬ色だし明るい色ではあるから明るいイメージなところは確かにあれど、とは頷けど、
彼女の見目も仕草も語り口も『魅力的じゃないなんて決してない』って世辞抜きに語っている。

ミンティ > 普段からなにかとびくびくしているものだから、舌打ちや咳払いみたいなものには敏感になりがち。聞こえてきたそれが自分に向けられたものじゃないかと、おどおどと周囲を見回す。
幸いこちらを睨みつけてくるような眼差しはなかったから、ほっと息を吐いて。
戻した視線はそのまま、目の前の男性の指先につられるように動く。

「いえ、…わたし、ぁ、え…と、あの……、その、あ、ありがとう…ございます」

今も酒場の中を忙しく動き回っている給仕の女性たちの大人びた雰囲気や、明るい笑顔と比べてみて、自分の愛想のなさを自覚する。
つい自分なんかと言いかけて、一応褒めてもらったのだから、あまり否定するのもと思い直して。しどろもどろになりながら、また頭を下げた。
癖のようなものだけど、ついぺこぺことしがちで。

「そう…ですね、ときどき…見かけたりはします…けど、それでも多くはない…ですね。
 控えめ…、その、ありがとう、ございます。…いいように、受け取って、いただいて…」

放っておくと、暗いだの愛想がないだのと自己評価を口にしてしまいそうな会話の流れにしてしまっていたから、先に控えめだという表現をもらうと、すこしほっとした様子。
今は男性からの評価に甘んじておく事にして。ふと、自分の髪の先を摘まんでみる。
髪色にあわない性格だとは常々思っていたけれど、それでも自分の髪の色、気に入ってはいるものだから、肯定的な意見は素直に嬉しいもので。