2024/10/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミンティさんが現れました。
■ミンティ > 陽が落ちて、秋の夜らしいひやりとした風が吹くころ。
暗くなってもまだ、というよりこの時間からの方が人の行き来が多くなる繁華街の中、とぼとぼと歩く小柄な影。
大きな紙袋を一つ抱えながら、行き交う通行人にぶつからないよう、肩をすくめて、身を小さく縮こまらせながら、隙間を縫うような移動の途中。
すでに営業を終了したカフェの窓にぼんやりと映る自分の姿を見て、ぴたりと足を止める。
周囲が明るいおかげで鏡のように表情が投影されたガラスをじっと見つめてから、荷物を落とさないよう腕で押さえつつ、両手を自らの頬に添えて、むい、と持ち上げる。
あわせて吊り上げられた口角が、強引に笑みの形を作らされて。そんな表情をしばし見つめてから小さくため息。
「…はぁ…」
両手を離せば、すぐにいつもの不愛想そうな顔に戻る。陰気だなあと思いながら、竦めていた肩をかくんと下げて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミタマさんが現れました。
■ミタマ > 暑かったり。肌寒かったり。まだまだ安定しない気候の中。
程よい涼しさになったのを良いことに、平民地区の商店でお買い物。
尻尾を器用に操り、荷物を背中に担いで、両手はフリーハンド。
秋に美味しい焼き芋なんて食べながら、繁華街を歩いている最中―――。
「おや?」
繁華街のとあるカフェ。
其処の窓を見遣っている桃色の髪の毛が特徴的な、眼鏡を掛けた女性。
その姿が、以前――この平民地区でお話に乗ってくれて、快眠をいざなうグッズを購入してくれた方ならば。
ついつい、からん、ころん。とあのときも鳴らしていた下駄の音を響かせ、近寄ってしまうわけでして。
「あのー……どうかしましたか? ミンティ様?
なんだかこう、ものすごく幸せが逃げていくような濃厚な溜息を零しているよーですが……。」
小柄なお相手様よりも、更に小柄な狐娘の影が投影するガラスにひょこっと映り込み。
心配するような表情と声色で、覗き込んでいる様子が伺えるでしょうか――。
■ミンティ > ずり落ちかけていた荷物を抱え直して、踵を返し歩き出そうとしたところ。
不意に声がかかって、びくっと肩を弾ませた。
人の目が多い分だけ無理をする者もすくないだろうけれど、夜の繁華街ともなればやはり治安はあまりよろしくないはず。
そんな中で呼びかけられたのだから思わず身構えつつ、ゆっくりと振り向いて。
見知った顔の少女が立っているのを見ると、ほっと息をこぼす。
「いえ、……ぇえと、別に、なにかがあった…というわけ、では」
ぼそぼそとあいかわらず聞き取りづらい声でこたえる。
感情の起伏をあまり反映させない口調や声音は、逆になにかあったのかと心配させかねないもの。それは自覚していたから、猫背になりがちだった姿勢を正し、背筋をまっすぐ伸ばして。
「ただ、ちょっと…、笑うのが下手だと反省…していただけです」
眉をへなりと垂れて、自嘲気味な表情を薄く作り。ただそれだけだから心配はいらないと、ぺこりと頭をさげて。
■ミタマ > 声を掛けた瞬間、文字通り肩を弾ませる女性。
この時間の、この場所。色々と危うい輩が声を掛けてくる事も偶にある。
とはいえ、こっちはこう見えても中級レベルの冒険者。暴漢などはなんとかなりますが、それはそれ。
ゆっくりと振り向くお相手様が此方の姿に気付けば、
ほっと安堵の吐息を零す。それならば、安心させるようにふにゃり――と。もっと柔らかな笑顔を浮かべまして。
「あはー、そうでしたか?
しかし、以前に快眠につながるグッズを見ていた時のミンティ様は、もう少し表情を浮かべていたものでしたのでー……?」
やはりその様子は嫌でも男女問わず「なにかあったのでは?」と錯覚させるもの。
自分自身でも自覚があるからなのか、背筋を伸ばして告げたその素朴な悩みに、少しだけ瞼を瞬かせまして――。
「笑うのが下手、でございますか?
わたしとしては、ミンティ様の顔はとても魅力的なので、微笑まずとも可愛らしい……と思うところではございますが。
……ふうむ。」
自嘲するように表情を変えたお相手様。
その顔を伺うように、少しだけ背伸びをして、吐息の熱すら伝わる距離まで、顔を寄せてみんと。
心配しなくていい。と言われても気にしてしまう。やはり、笑顔が大事な接客業をしているものとしては。
■ミンティ > 笑顔を向けられても、表情は曇ったまま。やっぱり普通はこんな風に、人と話す時は愛想よくするものだと思い。
いつどんな時でも硬い顔ばかりしているわけではないのだから、そんな時の表情を普段から出せるようになればと考えるものの、どうしたらいいのかわからない。
人前だから、またこぼれそうになった溜息だけは、ぐっと飲みこんで。
「…?前…?ぁ、はい…お店、お邪魔させて…いただきました。
ええ…と、そう、だったでしょうか…?あまり……自覚がなくて、その」
小首をかしげながら思い出そうとしてみるものの、その時に鏡を見ていたわけではないから、どんな顔でいたのかは想像もつかない。
ただ、仕事柄から興味を持った骨董品とか、珍しい品物を見ている時は、自然と表情が緩む事もあるらしい。
以前にもそう指摘されていたのを思い出して。
「……醜い顔をしている…とまでは、言いたくは、ないですけど。
もうすこし愛想のいい…顔が、できたらな……って。
すみません……こういう話が、……暗い、ですよね。そもそも…」
放っておくとどうしても後ろ向きな発言ばかりが口をついてしまう。
自分の悪い癖だとは認識していても、そんな性格のまま生きてきたから、いきなり明るくは振る舞えない。
それでも誰かの前にいる時くらいはと、気持ちを入れ替えるように、軽く咳払いをして。
■ミタマ > 「ええ、はい!あの夏場でも快適に眠れる枕を見ていた時のお顔ですっ。
あの時のミンティ様は……頬も緩み、楽しげだと。……わたしは思っておりましたゆえ。
なので、あれをお譲りしたわけですからねっ! …… つまり、ですっ!」
色々と葛藤することがあるのだろう。此方の言葉、笑顔を受けても、その表情が晴れる気配は未だなく。
根深い問題だということはわかっている。一度、二度遭遇した自分が解決できるものでもない。ということも。
それでも、比較的善性な狐の少女は、そんなお相手様を見過ごす事はできないわけでして――。
「愛想の良い顔ができたら。とは言いますが……できないわけではないのです。
興味があるもの。表情が綻ぶもの。まずはそういったものを近場に置いて……。
普段から、色々なものを見て、良いことを考えていく。というのはいかがでしょう!
……あぁ、いえいえ? その程度の暗さ。
このミタマには大した暗さではございませんとも。
……それに、安眠のご相談や、普段の悩みの相談を受け持ってる以上……ご友人。というにはまだ邂逅が足りないとは思いますが。
大事なお得意様になってくれそうな方の悩みを聞いて……変な顔など、しませんとも。」
そうして、ふわりと表情を緩め――てから。
そっと咳払いを終えたミンティ様の口元に差し出すのは……甘い香りを醸し出す焼き芋。
食べかけではあるけれど、蜜の乗った熱々のそれは、自然と口にすれば頬が綻ぶもの。
「まずは、そうですね。このあまぁい焼き芋などを食べて……素敵な顔を浮かべてみてはいかがでしょう!」
■ミンティ > 話題に挙がった枕を頭に浮かべる。
最近は夜になれば冷えこむようになってきたから別の枕を使っているけれど、夏の間はずいぶんとお世話になった。
お風呂上りの就寝前、火照った頬を預けた時の感触を思い出すと、傍目にはわかりづらそうな小さな変化ではあったけれど、口元が微かに綻んで。
「……その節は、ありがとうございました。おかげで…寝苦しい、と感じる事も、あまりなくなって。
…興味のあるもの、ですか。…古い壺とか、書物とか…そういったものを見るのが、好き…ですけど。
扱いが難しいものですし、……そうそう取り出して、眺めるわけにも…
……ありがとうございます。えと、…そう、言ってもらえるだけで…も、すこし、気持ちが楽に…なります」
好きなものが管理の難しいものだから、不用意に扱うわけにもいかない。
他に好きなものはあったかなと小首をかしげて考える傍ら、さほど深刻な暗さではないと言われると、ぎこちなくながらも笑顔になって、頭を下げる。
本心からそう言ってくれているのだろうと伝わる雰囲気だけれど、たとえお世辞だとしても、言われるだけで救われるような気持ちはあって。
「……ん?ぁ、えと…いい、の…ですか?…あなたの、晩御飯…とか、では」
差し出された焼き芋にきょとんとしつつ。荷物を片腕で抱えるようにして、多少バランスが悪くなりつつも空いた手を差し出す。
受け取っていいものか迷ったものの、断る方が不躾だろうと考えて。小さく一礼して受け取ったあと、しばしもたもたと、また姿勢を整え直して。
■ミタマ > もちろん、その一瞬の表情の変化を見逃さない。
あくまでもお客様なので、実は古物店の雇われ店主であることは知らない。
しかし、"もの"に対する興味関心が人一倍あった人だった。というイメージが残っていたからこそ、其れを考えれば矢張り――顔も綻ぶというものか。
「ふふー。そう言ってもらえれば何よりでございますっ! ミンティ様にお渡しした道具も、きっと喜んでいるでしょう!
……ほうほう。ツボに書物。歴史を感じるものでしょうかね。
確かにそれは難しい……。書物に至っては陽に当ててしまうとそれだけで劣化してしまうところもありますしねぇ。
ふむぅ―――。うん? いえいえ、感謝の言葉などっ。単なる本心を述べただけですから!」
それならば。と考えてしまうのは職業柄か。
彼女が興味があり、扱いが難しくなく、それでいて笑顔を浮かべられるようなものが自分の店にあっただろうか。
そう考えて、一瞬考え込む仕草。何せ、基本的に寝具関係。微妙に噛み合わないこの悩ましさ。
感謝の言葉にはどこかズレた返答をしてしまう、長寿特有の謎キャッチボール。
「……あ、いえいえ? これは食後のデザート。
甘い香りに釣られて、ついつい購入してしまった!そんな罪深き焼き芋さんですのでっ!
それに、半分食べてしまっているでしょう? 1本丸々は少しだけ重たかったのです。こんなにちっこい狐ですので! あはー。
―――あ。」
ここで、ふと。閃いた素振り。
焼き芋を受け取ってもらえて、姿勢を整えてもらい、表情もぎこちなくも笑顔になった相手へと。
「……思い浮かびました。ミンティ様の興味を刺激して、それでいて扱いも難しくないもの。
……もし。この後、お時間が有りましたら――わたしの店に来ませんか? 良ければ、ご紹介等、してみたいと思うのですが!」
――投げ掛けるのはお誘いの言葉。
とはいえ、もう既に夜も更ける直前。
この誘いに乗ったら、ある意味お泊りコースかもしれないが。
■ミンティ > 古い商品の手入れなんかもするから、手先は器用な方だと思う。
けれど人前となるととたんにいろいろな動きがどんくさくなってしまって、紙袋を抱え直す簡単な事にも、しばし荷物をがさがさ鳴らして落ち着かない様子。
やっとの事で安定した状態を手に入れると、ほっと小さく息を吐いて。
「…そうですね。古いもの、と、……あとは…珍しい、ものとか。
単純に読書も好きではあるので…、…気に入った小説の一冊でも、携帯…するくらいなら」
頻繁に新しいものを買っている余裕はないという理由からだけれど、同じ本を何度も読んだりする。
今までは持ち歩いていたりはしなかったものの、彼女のアドバイスにならうのなら、そういうものでもありなんだろうかと考えて。
受け取った焼き芋には、すぐには手をつけず。
食後のデザート、半分は食べたと聞いて、そこでようやく素直に貰ってもいいのかもしれないと考える。
まだ熱そうに湯気を立てている焼き芋をじっと見つめて。ふうふうと息を吹きかけて表面を覚ましてから、はむ、と一口。
熱さに慣れていない口の中、しばらくは持て余して、はふはふと吐息を弾ませていたけれど、ゆっくりと噛み締めて味わうと、またすこし表情が緩む。
「おいしい…ですね。……この季節だと、よけいに。
……?え、と、時間は……特に、このあとには予定も、ありません…けど。
……ん…と、じゃあ、その……お邪魔でないの、でしたら……」
甘いものは普通に好きだから、味覚が幸せな風味に包まれている間は、陰気さも多少は薄れて。
そんな時に持ちかけられた誘いに、また小首を傾げる。
彼女の店に立ち寄るとしたら、帰るとしても遅くなりそう。相手の職業を考えると、朝までとなるかもしれないとは思いながらも、忙しい時期ではなかったから、こくりと頷いて。
■ミタマ > 「ふふふ、珍しいもの……かは、わかりませんが。
実際、それは古いもの。そして其れを応用したものでございますっ!
……読書ですか。今度、快眠ストレッチの本でも読んでみます?」
ぽろっと提案した本の内容は間違いなく目の前のお相手様には向かないタイプのそれ。
けど、提案するだけならタダ!ということで言ってみたりもする。
これが屈強な男性だったり、運動能力に秀でた代謝の良い女性なら一人で一つなど、ペロリ。と平らげたに違いない。
けれど、それを差し出した狐娘は外見だけを見れば、まだ10代前半程度に見られるもの。
食べきれない。という言葉にも説得力が生まれ――結果的に、お相手様も共犯者。
熱々ほくほく。ところにより、熱されてとろりとした焼き芋の文字通り、甘美な甘さは口元を、表情を解すには十分すぎるもの。なのでしょう。
「ええ、ええ。もう少し冷えてしまうと、流石に時期が悪く。
この、ちょうどいい涼しさのタイミングにこそ……美味しいものだと思いますよ、わたしは。
……あはー!ありがとうございますっ。ではでは、ぜひぜひ。わたしのお店にどうぞ、来店を!
ミンティ様のお眼鏡に適うような道具がありましたら、是非にっ。――では、ここからなら、あちらを通るのが早いですね。
ささ、ミンティ様。こちらへどうぞっ!」
そう許可を貰うや否や、ふわりと、いつつの尻尾を和装からはみ出させ、彼女へと背中を向ける。
それは長く生き続けた仙狐と呼ばれる存在の証。いろいろな意味で、触れてはいけない存在が、手招き。
向かう先は邪魔者の入らない自分のお店。そこで何が起きるかは――。
■ミンティ > ストレッチという単語を聞いたとたん、緩みだしていた表情に薄く影が差しこむ。
運動と聞いて嫌な思い出がすぐに浮かぶほどには、日ごろから身体を動かしておらず。
読むだけならばともかく、実行できるだろうかと思うと伸ばしていた背筋もまた猫背になりそうで。
「……ぇ、と、ストレッチは、その…、…よ、読むだけに、しておきます。
…いえ、仕事中、ずっと座ってばかりなので…、もしかしたら、必要なのかも…とは、思うんです、けど」
悪気のない提案だろうとはわかっているから、なんとも気まずそうに口の中でごにょごにょと呟く。
下手な事をしたら足を攣ったりとかしそうだと思う程度には自分の運動能力を信用していない
すっかり俯き加減になるものの、それでも一度味わった甘さからは逃れられないのか、はむ、と焼き芋は頬張って。
小さい口でちびちびと食べているせいで、半分の量すらなかなか消費しきらない。
「……ちょうど、旬の時期……ですし、ね。お芋。
……家でも、なにか作ろう…かな。……あ、は、はい…っ」
旬の食材を使ったデザートなんか、作っている間も楽しい時間となるだろう。そんな風に想像していると、つい自分の世界に意識が閉じこもりがちに。
誘う声にはっと我に返ると、いつの間にか開いていた距離を埋めるように、ぱたぱたと追いかけていく。
その先でなにが起こるかなんて警戒もしていないのは、まったく身構えもしない無防備な様子からも明らかで…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミタマさんが去りました。