2024/10/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にマカナさんが現れました。
マカナ > 「ふぁ……ぁ……」

昼下がりの平民地区。どちらかと言うと平民地区寄りの商店街。
安くてそれなりに種類が揃う、大してお金がなくてもそれなりに良いモノが買える場所。
そこをギャルルックの少女が1人、歩いていた。

歩いていくと店の前から声がかけられて、そのたびごとに返事を返したり、軽く手を振ったり揚げたりと挨拶を返していくものの、今日はやけに眠そうで。

「……やっぱ、途中でやめて寝るんだったなぁ……」

ぽつり、とひとりごと。
たまたま図書館で見つけた本にハマってしまって夜更かしどころか明け方くらいまで起きていた。
そのまま寝落ちて先ほど起きて、ちゃちゃっと身支度だけしてお昼ご飯を買いに出た、と言う感じ。

身支度も、髪をとかして顔を洗って、軽く体を拭いて出てくるというものだから、正直そこまでさっぱりはしていない。
していないのだが、取りあえず、買い物してご飯を食べて……

「かえってもうひと眠り?なんなら、お風呂行ってもいいかも」

結局は、ノープラン。
思い付きで行動するのはマカナの常である。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にズラトさんが現れました。
ズラト > ショッピングに冷やかしに用事や、そも仕事先、等々、等々で人が行き交う商店街。
日差しで艶めく金髪の毛先を一歩ごとひょこひょこ揺らして歩く女は、仕事終わり。

このあたりの八百屋さんとか肉屋さん魚屋さんとかに、今月はどれぐらい入用で、云々、
打ち合わせをして回って終わって『さてこれからどないしよ』とコーヒー片手に散歩中。

「ぅん?」

今日はお店は空けない予定。明日の夜と明後日分の昼夜の仕込みも済んでいる。
今日はのんびりどっかでお買い物でもするか寝休日にでもしてしまうか……

周りを見ながら、珈琲啜りながらに、首を傾げていたものだがふと目に付いたのは、
カラフルな色の髪と、シャレた格好の女の子。

「なーなー。おじょーちゃん、おじょーちゃん。
 ちょいふらついてんでぇ。だいじょぶ?」

かっこえぇ子やな! とかルックスに感心したものだが足取りが何か、怪しいような?
自分と同じぐらい当て所無く歩いているだけ、ならいいのだが……
ついつい余計なお節介を焼いてしまって後ろから近付いていけば、
顔を覗き込むようひょいっと顔を出して声を掛けに行って。

マカナ > ぶらぶら歩いていれば、不意にかけられる声。
顔を覗き込まれるような体勢であれば、普通なら驚くような反応をするのかもしれない。
だが、マカナは誰かが近づいてきている事は認知していたため、特に驚くことはなく。

「ん?あーし?……あら、かっこいいおねーさん。」

ふらついてて大丈夫か?とかけられる声。
自分のことか?と自分を指さしながら返す質問。
質問返しは失礼かななどと考えつつも、少なくとも相手の視線が自分にむいているのだから自分のことだろうと認識。

「あー、大丈夫よ、多分。むっちゃ眠いだけ。
昨日……いや、もう今日か。
太陽上るくらいまで本読んじゃってさぁ。むっちゃ眠いんよ。」

自分に何が起きているのかを端的に回答する。
ただ、マカナは今日はいつもの10分の1くらいしか頭が回っていない。
なので、今の自分の状況をあまり理解していなかった。

昨日から今日にかけての夜だけお風呂をしていない。
だから、このように至近距離に立たれるとどこか濃厚に、雌めいた、雄めいた、そんな香りを漂わせている事が気づかれてしまうかもしれない。
でも、今日はマカナは頭が回っていないのだ。

「おねーさんも、お節介だねぇ。でも、そういう人は嫌いじゃないよん。
あーしはマカナ。この通りをもう少し貧民地区側に行ったボーダーゾーンにあるタトゥーアトリエやってんの。」

笑顔でそんな言葉を向ければ、気にして心配してくれた人にそんなに悪い人はいないだろ的な発想で自分の身元を明かしていく。
この通り、の下りでは、あっちのほう、と指さし示しながら。

ズラト > 「ん。あーし。んはは」

彼女の指が彼女を指せば、こくり、首肯。
格好良いと開口一番の褒め言葉に口元も目元もにんまり弛めて笑気を上げ、
背筋を正すと顔は引っ込めるが足をちょいと早めて隣に並べば一緒に歩く。

「いきなし声掛けてごめんなー? おねーさん、おねーさんやけどおばちゃん気質やねん。
 あ、本、本か。徹夜するくらい熱中出来るん良えこっちゃな」

近所のよーく知った子に声掛けるみたいなノリでつい行ってしまった事に弁明しつつの、
説明を聞けば、手と手をぽん、と合わせて納得のジェスチャーといい本当におばちゃんみたいな具合。
こうして隣に並んで喋っていると、ふわり、というか、むわり、というか、鼻腔を擽る香り。

すん。と、鼻を鳴らして。首を傾げる。

彼女にも、香るかもしれない。
麦酒の匂いに近い、けれど、酒臭くはない、
醸造された小麦の香ばしさとほろ苦さだけをようく煮出したようなちょっと変わった匂い。

「おばちゃんてお節介な生き物やさかい。どうも最近それが強ぅて齢感じるわぁ~~~……
 あ、マカナちゃんな、お名前ありがと。ズラトや、気軽にズラトお姉ちゃんて呼んだってぇ」

おばちゃん自称する割には他称は“お姉ちゃん”を求める辺り、ますますか。
態と言っている節もありありに、んはははは! と楽しそうに笑いながら指さされた向こうを見遣り、

「あら、お若いのにお店構えてんのえらいな。
 うちも店やってん。そこのなー。大通りのなー。はじっこのはじ~~~のほうで酒場やってん」

こちらも、自己紹介と指差し。自分の店がある方角へ、長い指をすらりと。

マカナ > 会話になれば、歩行もゆるめていつしか止まる。道のど真ん中とかいうはた迷惑な場所にはならないように、道の隅っこの方、店の邪魔にならないようにちょっとした公園めいたそんな場所。
マカナも背は高い方だけれど、ズラト相手には見上げるくらい。

「いやほんと、おねーさん大きいね。あーしも年の割には大きい方だと思うんだけどなぁ」

そして、思ったことは普通に口を突いて出る。
知っている子には距離感0、知らない人でもこれくらいお話ししたらお友達認定の距離感バグ娘はもう友達と話をするように。
そして、マカナ自身は知らないことだが、なんとこの場には、そんな距離感バグ娘が二人いるのだ。

挙句、今マカナは非常に眠い。眠くなると、人間理性は減衰する。
故に、歩いている時から気になっていた香りがついてきて、今目の前から香ってくる。

「ん~……ちょっとごめん。気になっちゃってさ~」

そんな言葉と向けながら、ズラトに両手を伸ばしてむぎゅ、と抱きつこうと。
なお、害意は全くない。単純に、いい香りだなぁという、花の香りに引き寄せられる虫のような本能的な行動で。
抱きつければ、抱き着いて堪能するし、回避されても近づいて香りが強くなることで香りの発生源がズラトだと認識する。

「あは、おねーさん、いい匂いすんね。ちょっとおなかすくような、安心するような、そんな匂い~。」

会話はあちこちに飛んでいく。飛んでいくのだが会話として認識するコミュニケーションおばけ。
名乗りが伝わりかえってきた名前。口元に手をあてて、うーん、とちょっと考えてから。

「おばちゃん気質でも、おねーさんなんだから、おねーさんでいいっしょ。
でも、ズラトさんをズラトおねーちゃんって呼ぶのも芸がないしなぁ……

ん、あーしは、ズーねーちゃん、って呼ぼう。」

いい?と言うように小さく首をかしげて悪戯っぽい笑み。
もちろん、受け入れられればそう呼ぶし、そうじゃなければ芸がなくてもズラトおねーちゃんと呼ぶことだろう。
マカナゆえに、『お姉ちゃん』ではなく『おねーちゃん』。微妙なイントネーションの違いだけれど。

「へぇ、大通りの端っこのはじーっこのほう?
……あのちーっちゃい箱?元々は、昼だけやってるご飯屋さんじゃなかったっけ?」

マカナは基本的にお酒は飲みに行かない。だから、酒場の認識はあまりない。
それでもある程度街の地図は頭の中に入っている。
だから、自分の情報アップデートも含めて質問を向けた。

ズラト > 通りからちょいと外れて日向ぼっこやひと休憩にも丁度いい公園じみたところ。向かう道すがら、露天のほうへ数秒外れて『にーちゃんこれちょーだい!』とかいって彼女を待たせる間もなくカップコーヒーをもう一つ買ってくると『あげるー』とか彼女に眠気覚ましに渡していく。ブラックが苦手ならミルクありあり砂糖ありありで。

「マーちゃんもタッパけっこーあんよねぇ。
 首ぃ痛ぅならへんの助かるぅー」

マカナだから、マーちゃん。
ズラトおねーさんだから、ズーねーちゃん。
気分も接し方も喋り方も呼び方も、
なんかすっかり数年来のダチ同士。
距離感バグ娘が二人揃うとこうなるらしい。

「お?」

彼女が両手を伸ばして近寄ってくると此方も両手両腕拡げてぎゅうっと抱き締める。
ワイシャツから顕になっている谷間が、むにゅり、ワイシャツからやはり顕になっている腹筋が、ぐにり、たわわなところとマッシブなところのそれぞれ違う弾力がマカナの顔やら胸やら肌やらに感じられる事だろう。ビールから酒精をすっきり抜いて爽やかな喉越しもうっかり感じそうな匂いも、一入。――マカナの男の子とも女の子とも取れる濃さも、一入。

「んはは、何かなぁ、ズーねーちゃん匂いキツくてなー香水とか効かへんねん。
 イヤやったらどうしよか思うたけど気に入ってくれて良かったわ~。
 マーちゃんもえらいセクシーな匂いすんで? うちが男やったらいちころや」

くしゃり、と、嫌がられなければ抱き締めたまま、指を下ろすとカラフルな髪を漉くようにも撫でる。

「……さらっっっさらやん……まけたわ……」

白銀に空色、ピンク、黒のメッシュ、本当に色とりどりの髪の感想。
こっちはこっちで、つやっっっつやの金髪だが、さらさら具合に敗北宣言。

「あ、そーそー。よう知ってんね。お昼もランチ営業してんねんけど夜は夜でお酒お出ししてん。
 マーちゃんもよけりゃ飲みに来たってや。お酒以外にもジュースとか色々あるでー」

へえ。とは、思わず零れ出る物知り具合。
このあたりの地理は凡そ入っているらしい事に感心しきりに感嘆の声を出しながら、こくこくと頷く。

マカナ > たどり着いた時に『あげるー』と渡されたカップコーヒー。香りを確認して、一口口にして苦っ、と言う顔をするものの

「苦くないとコーヒーって感じしないよね~。」

どうやらブラック派だったらしい。ブラックが好きでも苦いものは苦いのだと。
とはいえ、カフェインを入れていけば、だんだん目も覚めていく。

「だよね~?あーしも背ぇあるほうだよね~?」

認識間違ってなかったようで一安心。
もう完全にダチ認定。
つい先ほど初めて会話したばかりだとはだれが信じるだろうか。

抱きつきを避けられず、それどころか抱き返されれば、ほわ、と穏やかな笑顔。
抱きつく中で、顔にはたわわで腕にはマッシブ。胸はちょうど半々くらい。

「ん~……ズーねーちゃんの、抱きついててキモチイイ~。これは、人を幸せにする体だねぃ。」

暫し堪能してから腕は解く。でも距離は離れない。
会話距離が恋人だったらイチャイチャ距離に近づいた。
距離感がバグっているのでむしろこっちの方が心地よい。

「ズーねーちゃんの匂い、あーしは好きだよ。
キツいって言う人はいるかもしれないけど、あーしは好き~。

え?あーし?……たは~、そういや昨日本読んでてそのまま寝落ちしてたんだった~。
ちぃと、匂いキツかった?」

毎日入っているお風呂が一日抜けたくらいで、最近は暑さも落ち着いてきているので
真夏みたいなちょっとアレな感じにはなってないけど、理由が理由だったのは少し気になる乙女心。

「でも、あーしはオトコもオンナもいけるクチだから、ズーねーちゃんいちころにしたら、美味しくいただいて……

……うん、何となく違う気がする。ズーねーちゃん相手だと、きっとあーしが喰われる方だ。」

まだズーねーちゃんから抱きしめられたままならおとなしく、楽しく、どこか幸せそうに腕の中、おさまって。
軽口めいた性癖話も、何かを察したのか、最後が少し変化した。食う方から食われる方へ。

そして、ズーねーちゃんが向けてくる、髪を梳く指をそのまま受け入れて。

「ふふふ~。御年18、ピッチピチのギャルの髪だもん。お手入ればっちりよ。」

敗北宣言に、年齢とお手入ればっちりと口にしてVサイン。
言いつつズーねーちゃんの髪にも指を絡めてみれば

「……いや、全然つるつるじゃん。ズーねーちゃんの髪も全然イケてるっしょ。」

基本的に、服装は肌や髪の毛、爪その他のお手入れには決して手を抜かず、シビアな目を持っているのがギャルと言うもの。
なので、全然イケてるは十分な誉め言葉なのだ。
そして、どうやら自分が思っている店と同じ店が夜営業をしていたらしい、と理解する。

「あー、そだったんだ。うん、あーしはお酒は嗜まないので、ジュースとかご飯とかにいこーかな。
ズーねーちゃんのご飯の腕、今から楽しみ~。」

美味しいごはんは幸せなのである。
美味しい店は一件でも知りたい。
そして、多分、ズーねーちゃんのお店に行くのだとすると、退屈は全くしないだろう。
何せ、こんなペースで話がずっと続いているのだから。

ズラト > 「わかるぅー。うちもブラック派ぁー」

苦っ。何て顔になった時には、一応貰ってきておいた砂糖とミルクを追加しようかと思ったが。
同じ派閥の人だったとわかったら、いえーい、とかハイタッチをしようとしたり。

「せやせや。きまっとるでぇ。女の子にモテるんちゃう? マーちゃん」

髪型も、顔付きも、背の高さも格好も“格好良い”もあれば“可愛い”とこもありなマカナ。
それを上から下までじっと見回しては、まぶしー! とか手で目を覆う仕草したり。

周りの目を引く二人なわけだがこれで初対面ですと言っても誰も信じて貰えなかろう。
まして、ボディタッチもしきりだ、ハグなんかしたらずうっとハグしっぱなしときて、
『……恋人同士か……ナンパは無理そうだな……』と周りでそういう目的で伺っていた男連中は諦めて踵を返す始末。

「何言うとんねんこない抱き心地良えボデーしとってぇ。マーちゃんたらも~~~」

髪は、敗北宣言必至のさらさらっぷり、肌艶も張りから潤いからたっぷり云々。
褒められると照れ臭そうにも嬉しそうにも、んはは! と笑いつつ、褒めかえし、褒め殺すつもりかってぐらい褒めたくり、

「折角やし堪能してって、ズーねーちゃんスメル。え? マーちゃんの匂い? セクシー言うとるやろぉ~」

お風呂一日入ってないぐらい何のその、匂いも勿論褒めるし腕はもうっと窄まってもうっと、ぎゅ~っと。
嫌がられないし、逃げないし、何なら気持ちよさそうにしてくれているからって抱き心地良いと謳う
マカナボデーをずーーーっと腕の中に胸の中に収めっぱなしのままずーーーっと喋っている。

食べられる側。の、声に、笑気がまた一つ溢れて、

「たべてまうぞー♡ んー♡」

ちゅー♡ とか口で言っているが、髪か額かに唇近づけて、キスしてしまおうか。

「ほんまに若いんやけど! 18!? それでお店持ってんほんと偉い! うち25やぞ!」

これでも、この若さで一店舗は結構なものと自負しちゃいたが更に若くてお店経営は目も真ん丸になる。
さらっっっさら、と称した髪をくしゃくしゃ、髪型めちゃくちゃにしない程度に撫でたくりつつ仰天だ。

「何か敗北感えぐいわぁー。髪。髪なぁー。まぁなー。うちもええ感じやけどぉー。んふふぅ。あんがとぉ」

マカナの指に振れる金髪は、つるつる、すべすべ、つやつや、掌に乗っけるとつるんと直ぐ落ちそうな質感。
敗北感はエグい、ものの、それにぐぬぬ顔しているよりか褒められてデレデレ顔になっている時間の方が長い。

「ええよぉ。お酒飲めんでも十分楽しませたる、てーか。
 あんま用意はあらへんけど良けりゃ味見で今から来る?」

今日はお店を開く予定がなかったから出せる食べ物もそんなに種類豊富じゃないけれど。
折角知り合えた友人なのだしなんならもっと、ずっとだって喋ってたいぐらい話は弾むし、味見がてら……
と、思いついては、首を傾げて。

マカナ > 「いえーい、同じ~」

ハイタッチが向けられれば当然と言うかのように手が伸びて、パン!とハイタッチ完成。

「ん~、服装って意味ならオンナノコにモテるかなぁ。アッチって意味だと、オンナノコとオトコノコにモテるかも。
あ、あとおねーさま受けもいい方だとおもう。おにーさんにはちょっと受け悪いかも。」

一通りそんなことを口にしてから自分の服装その他もろもろを見て、手で目を覆う仕草をされれば、ふふん、と胸を張ってみたり。

「いや、ホントだって。珍しいのよ?あーしが先に抱き着いたのに甘えんぼモードになるのって。」

どっちかって言うと責めっ気が強い方だと自認している。
ふたなりなので、男性的な、攻撃的な部分が特に性的には出やすいから。
でも、ズーねーちゃん相手には、抱きついて、ふにゃっとして、そのまま抱っこされて落ち着いている。
この辺りは、理由ではない。本能的な何かなのだ。

「うん、思いっきり堪能する~。多分、定期的にズーねーちゃんのスメル摂取したくなる~。
あー、良かったぁ。セクシーって言われんのが一番うれしいかも。」

眠気が抜けてきたから気になった点も問題ないと言われれば一安心。
嫌なら逃げる猫のようなマカナがずっと腕の中におさまって抱かれているのだ。
それだけでもレアである。

そんな中で、食べちゃうぞ、と言う声と近づく顔。
悪戯っぽく笑えば、顔をぐいっと上にむかせて、額に向けられた唇を唇で受け止める。

「うふふ~♡ ズーねーちゃんの唇、ごちそうさま~♡」

してやったりの笑顔を浮かべる。
さっきのナンパ野郎達の見立ては正しい。
どこからどう見てもバカっプルだ。……いや、さっき会ったばかりなんだけど。

「そだよん。18~。ズーねーちゃん25かぁ、じゃぁやっぱり素敵おねーさまだ♡」

店舗も持っているし、経営もしている。だが、そもそもの土台が違っている。
敗北感えぐいの言葉に一旦切り返すのは、経営の方。

「タトゥーアトリエは、どれだけ何を出来るかと、技術力がモノを言うんよ。
あーし、18だけど、彫師歴は4年くらい。マジックタトゥーの勉強はもう2年。
ちっこいころからこれをやる!って決めてたぶん、スタートが早かったんよ。
だとしたら、ゴールも早くなるっしょ?」

あまりしない裏話だが、不思議と口を突いて出た。
相性の良さ、恐るべし。
もちろん、ズーねーちゃんの髪の毛部分は、心地よさげに弄っている様子だけで先ほどの賞賛を裏付けていくだろう。

「お、いいの?行く行く~♪」

味見で来るか、と言われれば、二つ返事、即効で行く、と返事。
もちろん、その『味見』が料理でも、自分でもオッケーと思ったからこそ。
なによりまだまだ話をしていたい。そんな相手はとても希少だ。
行くと決めたらするりとズーねーちゃんの腕から抜けて立ち上がる。
そうしてから、先程示された店の場所に視線を向けて

「用意なんて少なくても、ちょっと楽しめて、ずっと話出来たらたのしいっしょ、ウチらだったらさ♪」

この言葉が全てを物語っていた。

ズラト > 「ズラトねーちゃんウケもばっちりやで~?」

親指立てて、サムズアップ。

「甘えんぼマーちゃんでウケはさらにアップ!」

たしかに責めっ気は強そうだ、ノリといい格好いいがもうそういう感じのある彼女、が、
こうして気持ちよさそうに腕の中にすっぽり収まってくれている特別感がさらに“キュン”。
『んへへへ……♡』とかつい締まりの悪い笑みが溢れ出てしまっているぐらいに“可愛(キュン)”。

「じゃ、うちの店に、うちにもお得意さんになって貰わなな? いーーーっぱい摂取したってぇ。うちもする~♡」

フレンチキスのつもりがホンモノのキス。くん、と上を向かれると唇同士がくっ付いて……ちゅぅ♡ とそのまま僅かに頬を窄ませて、吸って、離して、喉も肩もけたけたと揺らして口の形は先程からずうっとそうだけれど今の変わらず楽しそうなまんま頻りに笑気を上げてからこちらも『ごちそうさま♪』とお礼も一つ。ナンパ野郎達の見立ては、勿論、当人同士でも『あれ? うちら恋人同士やったような……?』とか思い始めかねないぐらいのイチャイチャっぷりはハグを漸く離してからもまだまだ続く。お店行く? 行く! となったら、腕組んだりするから。

「やー。でも。7年差はえぐいて、ほん、ほん、なるほど、やっぱえらいってマーちゃん、アレやろ?
 要は十超えたか超えんかぐらいはもうそっちの事考えとってここまでやってきて18でお店やもんね」

こんな話は滅多にしない、と後から聞いたらそれはそれで喜ぶ裏話も顎に手をやりしきり頷き聞いては、
自分が十代迎える頃はもちろん7年前8年前にこんなに夢を持って慢心していたかを振り返って……
『マーちゃんえらい!』とやっぱり褒める方向性。

「んふふふ、せやね、ちがいない♪
 そんじゃぁ、いらっしゃいませぇ~?」

また、歩き始める。ウチらだったらさ♪ の言葉にもついデレっとするぐらい顔を緩め、頷きながらに、すたすたと。――周りで、聞き耳立てていなかったとしても聞いてしまっていた人達も一安心か、終いにゃ砂糖でも吐く憂い目に遭わずに済んで。これからは、二人っきりでお酒とジュースで乾杯してから話はずうっと弾むし何なら他のことでも盛り上がるかもしれないが、ここからは、二人っきりの秘密である。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からマカナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からズラトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にハクさんが現れました。
ハク > 「~♪」

日がまだ天高くにある昼下がり、まだうっすらと汗を帯びる程度には暑さを感じる日差しを遮るパラソルの下で、椅子に座ってテーブルに乗った冷やした水を飲んでいる。
平民地区の本通りから数本ズレた場所にある、馬車が通れる程度の広さの通りに面している喫茶店のテラス席だ。通りを歩く人が喫茶店に目を向ければ、見られるような場所のテーブルの1つである。
このお店はミレー族にも差別のない少し珍しい喫茶店である。注文すればこうして冷やした水どころか軽食だって出てくる。値段は人種によらずほんの少し割高ではあるが。
味については値段相応、という感じではあるのでそれについては文句を言う客もないだろう。
そもそも、この喫茶店はいわゆる出会い茶屋、のようなもの。貧民地区にあるようなヤリ待ち出会い茶屋とは違って単純に友人募集といったものができる平穏な喫茶店だ。
まぁ、そうは言ってもこのマグメールで性的なものが一切除外されているような場所は少ない。
自分の隣のテーブルについている金髪の女性は堂々と『セフレ募集』の合図である赤い花を一輪挿しに飾っていた。
一方の自分は『友人募集』の白い花だ。別にセフレとしてでもいいので小さな赤い花も挿してあるが、メインは白い花の方。

「誰か来ないかな~……」

んー、とテーブルに上半身を預けながら足を揺らして呟く。
面した通りはちょうど人通りが途切れたので、遠く離れた通りの方の喧騒がBGMのように聞こえてくる中……パラソルの下を心地よい風が通り抜けるのを感じていた。
正直、知ってる人に声をかけられるのでも問題はない。
今日は娼館仕事も完全オフで、冒険者ギルドにも依頼を見てきて――自分ができそうな仕事はなかったのでもう何もやる予定がない、フリーな日だ。