2024/09/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にセカンドさんが現れました。
セカンド > 深夜を告げる鐘が鳴った。黒髪の女は玄関に向かうと戸締りをする。
扉に鍵をかけ、ランタンの灯を落とす。珍しく満室で、宿泊客はこれ以上受け入れられないことを示す合図。
壁の僅かな突起に足をかけ、影のようにするすると動く。二十秒もせずに女は屋根の上にいた。
三階建ての石と木が併用された建物の屋根の地上からの高さは優に15mを超えている。

「大雨が過ぎてからだいぶ涼しぅなったなぁ。えーこっちゃ」

吸入器を口に銜え、一日の疲れを吐き出すように長い息をついた。
深夜とはいえ地上はまだ、思い出したように人が時折道を行き交う。
この高さを生活圏内とする者は少ない。女のようにパルクールめいて屋根を伝い移動する者を見たこともあるが、稀だ。
魔女のように空を飛ぶ者もいないだろう。月夜で明るいとはいえ、危険なことに変わりはない。

セカンド > 歓楽街の方はまだ街の灯が消えないが、他の方向を眺めれば星空が綺麗だ。
木片からハーブを熱した煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

「傭兵っちゅーんも面白そうやけどなぁ……」

平民地区を歩いていた際、新たに傭兵団を結成するような貼り紙の存在に気付いた。
給金はかなり良い物だった。アスピダ方面も大詰めなのだろうか。

錬金術師として後方支援もできるだろうし、ニンジャとして諜報や殺戮もできる。
この十年望んできた目的は果たした。次の生き方を模索するのも悪くはない。ないが――。