2024/08/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にテンドンさんが現れました。
■テンドン > 「冷で」
第一声が放たれる。
場所は王都マグメールの深夜の平民地区。
夜更けになってもそれなりに都民達の活動は見受けられる。
この一帯に関しては大分人通りも和らいでいるが。
それでも静かに飲みたいという層の為に店が出て来るという事も有る。
牽引されてきた屋台の一つが往来の路傍に陣取り、ランプの明かりを軒先に吊るしているのが見えるかも知れない。
粗末極まりない客人達の為の木造の椅子に今訪問客は一人しか居ない。
それが暖簾をかいくぐった矢先に先の一言を店主に投げつけた人物となる。
昼から夜まで忙しなく多忙に追い掛けられ続け、漸く全ての荷物の配送が終わったので酒の一献で心を慰みに来たという訳だ。
眉のハの字に下がった塩をかけられたなめくじみたいな顔でカウンターテーブルに寄り掛かる。
「ぶは」
むに、と、上着や肌着をぱっつんぱっつんに張り詰めさせている乳肉のボリュームが板面に撓む。
その内包されている脂肪や肉の重みがクッションになると同時に肋骨に対してみしみしと圧力をかける。
肺胞の中身が絞り出されるようにして断末魔みたいな息遣いがあふれ出た。
おっぱいが大きいと、セルフで自分に乳布団が出来るものなのだ。
■テンドン > 「………」
店主が酒の支度をしている隙間に沈み込みかけた体を緩慢と起こす。
押し潰れている肉厚にかかる負荷を和らげ、頬肘を突くような姿勢。
猫背に丸まったままの恰好。暗がりの中に煌々と瞬くランプ照明の光に射られ、眠たそうになっている目の瞳孔が反応に細く窄まる。
口をゆるいへの字に引き結んで投げ遣るように余所見の眼差しを方々の街並みに配った。
まだ夜の街並みの中に行き合う人々がちょいちょい疎らながらに窺える。
中には明らかに夜の寝所を温め合うのが目的と思われるペアも散見された。
「肌恋しい季節って言うけれども。この猛暑の最中でもか…元気だね…皆……」
蔑みだとか呆れだとかそういう色味ではなく。
ただ純粋に凄いパワーだ、という感じの眼差しで見送る。
体力が衰えているような中年や老年層すらも漲っている者は少なく無い、驚くばかり。
対して色の薄れ欠落した老人の如くに気勢のしおれ切った有様であくびをする。
■テンドン > 「いいよいいよ、ボクの夜の蝶は君だからね、仲良くしよーね」
ぐい、と、手で囲って自分の元にへと手繰り寄せる。
良く冷えている清酒に満たされた白い徳利に盃。
酒の肴として小皿には大振りに切り分けた胡瓜の漬物が添えられている。おじさん(店主さん)好き。
程好いしょっぱさととろりとした酒の甘さが良く合うのだ。
ちびちびと舐めるようにして一人晩酌に耽りながら、暖簾向こうの風景に視線を馳せている。
ぎりぎりで両足のつく舗装された路面をとんとん爪先やかかとで叩いてリズムを刻む。
長い牛の尻尾が撫でつけるようにして鞭のようにしなってその音の隙間を埋め立てた。
「なーつーのかがー…かぜがー、はこびー。くーもとともにー、あめのめーぐみをだいちにもたーらすー……♪」
ぶつぶつとつぶやくようにして夜に流しているのは、田舎で田畑を耕す時に農民たちが歌うような古臭い農耕歌の類だ。
何度も都や村々を交互に配送で行き来しているうちにすっかりと覚えてしまった。余裕でそらんじる事が出来てしまう。
■テンドン > 「雨は困っちゃうけどー……」
仰ぎ見るように頤を持ち上げる。
見上げる視線が暖簾向こうの夜空に移った。
雲の量は少なく快晴、鏤められた星々の星明りが地上からは見えている。
くん、と、嗅いだ鼻先にも水の匂いは殆どしないで渇いている。
「少しぐらいは雲っても欲しいなー。炎天下で走り回っていると暑いんだよね……」
ぶらぶらと靴の爪先を持ち上げる。
とても頑丈なブーツの編み紐を蹴るように緩めた。
座り方を屋台内のテーブルからそらして外側を振り向き、片足を振り子のように軽く揺する。
「あーしたくもりにーなーあれっ」
前に振り出すと拍子にぽんっとブーツが宙に舞った。
放物線を描く。
■テンドン > ぺしょんっと重力に引っ張られたブーツはあえもなき。
逆位置とも、正位置とも言えず。中途半端な横倒れとなる。
平たい靴でないのであればそれもむべなる哉。
「これで曇りでしょ」
心底のドヤ顔…。
勝ち誇ったように夜空をすがめた目線で見据えながら、ぐっと盃の残りを呷る。
うまい。ぷはー。吐き出す息遣いが酒臭い。
■テンドン > がむ。奥歯の方に半分ぐらいに切り分けられている胡瓜の漬物を噛んで咥える。
ホロ酔いの自分の酔い加減を試すようにして座した椅子から立ち上がる。
脱げた素足を汚したくないので靴を履いている方の片足立ち。
おお、世界が軽く揺れる。ぐらつく視界にふらっとなった足軸を支え、両腕を左右に広げるやじろべえ。
「けん、けん、ふぁっ」
何度か案山子みたいな姿勢で跳ねた後に転がる靴をかがんで拾い上げ。
そこに自らの足を通して履き直す。ぼりぼり水分補給代わりの瑞々しい漬物を頬張って嚙み砕きながら紐を手で丁寧に結び直し。
■テンドン > 懐に手を入れた。硬貨を数枚掌の上で転がし。
ぴんっとそれを指先で弾くようにして背にした屋台の方に飛ばす。
着弾。かん。ころころ。転がる貨幣がテーブル上に喘ぐように回る。
「釣りは要らないよー。また飲みに来るから宜しくねぇー」
飲み過ぎてへべれけになるとマジでろくでもない事にしかならない。
これぐらいの飲みで丁度良いのだ、まだ自分は自制出来ている、ヨシッ。
そしてほんの僅かにふらふら千鳥足は気分よく帰路につくのであった。
「♪~~~」
鼻歌を囁くように尾を引いて。
進む足運びは間もなくとろりと濃く黒い闇の中に霞んで消える。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からテンドンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にランバルディアさんが現れました。
■ランバルディア > とあるギルド内、酒場の一角。
知らぬ先客がいなければ、指定席のようになりかけているテーブルに腰掛けている男こそ。
そのギルドの掲示板に張り出されている“割のいい採取依頼”の依頼主である。
品物はそう珍しくはない薬草。
持ち帰ってきた時の報酬は、際限無しで量に応じて即時その場で(可能な限り)現金払い。
ギルド所属の冒険者じゃなくても構わない。ギルドへの付け届けは男持ち。
その他諸々都合良く。
ただまあ、報酬支払い後に酒に食事に付き合えというのが御定まりのようで。
この日、やってくるのは――。
■ランバルディア > すい、と白衣の袖を引く指があった。
テーブルにのせられた大きな籠を見て笑う。
あいよ、と一声挟んで籠をひっくり返して検品を始め――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からランバルディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 蒸し暑い夜。寝付けずに夜を歩き出した。
自然と喧騒に向かえば夜の屋台の出ている平民地区。
食べ物屋を中心とする屋台が出ている賑やかな一角。
怪しげな煙草や薬や占いが集まる一角。
少し離れれば端には、立ちんぼの女もいる。
手持ちの紙巻きタバコを吹かしながら、ベンチに座って夜を眺めている。
■グスタフ > 「あっちぃ……今日も蒸すねぇ。一杯くれ」
屋台で麦酒を買って、そのままぐいっと一杯。
ごくごくと喉を鳴らして飲み込み、熱い息を吐いた。
「ぷぁーっ、いいねぇ。夏は麦酒だ」
つまみにゲソを追加で頼みつつ、どうすっかなぁなどと考える。
なにをかといえば、今夜の相手探しだ。
立ちんぼの女を買うのは最後の手段として、ほかにイイ女はいないだろうか。
知った顔の女がいれば話は早いが。