2024/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からロイナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリセさんが現れました。
リセ >  今日も人々が変わらず果実を売りパンを買い、嗜好品の品定めをする。
 そんなごく当たり前の生活が営まれる街のとある路地裏で響く震える小さな声。

「ぁ……あの、さ、さっき……買い物、した、ばかり……で……持ち合わせ……」

 柄の悪そうな十代の若者数人に囲まれて半泣きになっている女学生がいた。

 その日学用品を求めて放課後、帰宅する生徒の流れとは少し逸れて平民地区の商店が立ち並ぶ通りへ赴いた女学生。
 一応貴族階級なのだから通常であれば買い物するにも富裕地区へ出向くものだが。
 残念ながら没落貴族の家計は厳しい。高級品には手が出せず。数少ない、というか数足りていない使用人に買いに行ってもらう手間もかけられず。
 平民と同じように庶民的な店を選んで文房具などを購入し、最近評判の菓子店で焼き菓子なども土産に買い、いくらか上機嫌になって菓子の袋を抱えてほくほくと往く帰り道。
 良かったのはそこまで。

 通りかかった人気の薄い路地の途中で状況は一変した。
 対面からがやがやと歩いてきた見知らぬ若者達に行く手を塞がれ。
 そのまま押されるようにして狭い路地裏に連れ込まれて囲まれ、冒頭に至る。

 カツアゲ、というやつ。
 平民視点では身形の良い制服姿、ついでに如何にも気弱そうな上独りで歩いている女学生は格好のカモに映ったらしい。
 
 が、ちょうどいろいろと買い込んだ後で手持ちがほとんどない状態。
 はした金程度しか差し出せない状況で――そもそも差し出す義理は一切ないが――集る側からは得心がいかず。
『そんな小銭で全部な訳ねえだろ』『隠してんじゃねえよ』『早く帰りたきゃとっとと出すもん出せ』
 取り囲まれて詰め寄られ、泣きそうに双眸を潤ませて小柄な体躯をさらに怯えて縮こまらせながら、

「ぁ、ありま…せん……ほ、ほんとぅ、です……」

リセ >  はした金に納得いかなかった連中にそのまま路地に連れ込まれかけたものの、寸でのところで巡回に通りかかった衛兵が助けてくれた。

 役立たずと名高い王都の衛兵であるがたまには機能してくれるものだ……。
 助かりました、と衛兵に丁寧にお礼を云ってついでに自宅付近まで送ってもらい事なきを得たのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリセさんが去りました。