2024/05/29 のログ
■ミスト > 楽しそうに、本当に、楽しそうに、冒険者達は喧嘩に対してヤジを飛ばしている。
其の様子を後ろから、同じようにヤジを飛ばしながらも見ているのだけども。
「ん! ―飽きた。」
けらけら笑っていても、酒を飲んでいたとしても。
殴り合う様を唯々見ているのは、面白いわけでは無い、それを求めている訳でも、ない。
落ち着いた様子を見せて、吐息を吐き出して、酒を呷る。
もう、この辺かな、と周りの冒険者を見て潮時を感じたから。
代金を支払って。
「じゃあ、また来るね―――」
去った。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミストさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にグエンさんが現れました。
■グエン > ▼マグメール王都平民地区・路地
天候は雨。
バケツをひっくり返したような土砂降りが舗装された道を打ち、水が跳ねる音が幾重にも重なる。
春の風が強く吹く夜に雨の湿気が混じる中、防水もせず路地を歩く者はそう多くはない。
軒先に避難し、雨脚が弱まるまで温かい場所でエールを煽り、食事を取る。
あるいは気晴らしに娼館に入って、一晩の宿にする者もいるだろう。
家族の待つ家に急ぎ足で帰る者も。雨の中仕事に励む者も。
濡れて艶めく黒の前髪の隙間から覗いては、男は息を深く深く、吐き出した。
上裸に麻布のズボン一つ。土砂降りのなかずぶ濡れで裸足で路地を歩く姿、その肩の裏には奴隷の焼き印。
本来は性奴隷としての役割である男だが、その身に交じる魔族の血のせいで、こうした悪天候時には労働奴隷として働かされる。
広場から路地を何度も往復して、ようやくその仕事も終わろうかというところ。
どうせシャワーなど浴びさせては貰えないのだろうが、風邪などという病にかかる体でもない。
ごき、と首を軽く鳴らして、作業を終える。
休息ぐらいは許されるだろうが、さてどこで休んだものかと視線を巡らせた。
どこかの店の中どころか、軒先ですら拒まれかねない幅を取る身。腰を下ろす場所も考えなくてはならない。
■グエン > ▼
雨脚は弱まるどころか強くなっていく。
まるで野良犬のようだと笑う声が聞こえてきた。
それが誰かの悪意なのか、幻聴なのかはわからないが、そういうものは散々向けられてきた。
だから今更。
雨の音が、そうした雑音をかき消してくれるのは、悪くない。
雨の中歩く男は、消えていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からグエンさんが去りました。