2024/05/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/『猫の皿亭』」にカルロスさんが現れました。
■カルロス > 【待ち合わせ待機中】
ご案内:「王都マグメール 平民地区/『猫の皿亭』」にエウヘニアさんが現れました。
■カルロス > 通い慣れてるのか働いてきた成果か、結構客としてはあまり知ることのない情報もメニューを選ぶ時には聞けたかもしれない。
目線を奪われるような給仕のかわいらしい制服。男の観点から見ればスカートのすそから覗く脚だとか、エプロンを盛り上げる胸部だとか、きゅっと紐を縛る腰回りだとか。そんなところに目が行ってしまうのだが。アレを目の前の彼女が着ていたらそれはもう可愛らしいだろうとうんうん納得の表情。
そんな風に視線をやっていたのであーあーと慌てて叫ぶ女神に何事かと視線を戻せば、交換してくださいというお願い。数度瞬きをしてから、またぶはっ、と噴き出した。
「何もそんな必死にならなくても……、っくく、……!」
可笑しそうに笑いながらも小皿を差し出してはいどうぞ、と。
女神の方からも交換この小皿を差し出してもらえたなら、蒸した根菜サラダを一口分フォークに刺して口に運ぼう。大丈夫半分も持って行ったりはしない。
料理が届くまでの間に渡したお土産はどうやらやはり錬金術師の女神のお眼鏡にかなったらしく、ドヤ顔である。
びっくりさせたいが為にちょっくら奥地まで行って取ってきた。この男の行動基準はたいがいそんな感じだ。
「ふっふっふ、女神さまを驚かせてやりたくてな。
俺だって錬金術師の端くれ、これが結構な値打ちモンってのはわかってるぜ」
欲しい、けど申し訳ない、そんな風に懊悩する様子をニヤニヤと見て笑う男は、この少しの量でも場所を選んで売ればここの飯代になることは知っている。
お土産、と称したこれも、数としては少ない方だ。ただで手に入るならラッキー程度。
次は買い付けにする、してほしいことがあったら言って、と言い募る女性の百面相を見ながら、真面目だなあと楽し気に笑っている。
「ま、これはまずお近づきの印ってやつと、売り込みってやつだな。
俺ならソロでもここらへんは余裕で行けるってこと。んでもってせっかくの縁だ、もし欲しい素材があるなら指名依頼してくれりゃ、こっちもありがたい。
エウヘニアも、知識がない冒険者より、丁寧な下処理をして納品してくれるやつのがいいだろ?」
冒険者で食ってく以上、顧客は多いに越したことはない。
その一人になってくれるのなら、これぐらいはサービスというやつだ。
「で、だ。そいつは俺の心付けってやつだが――――まだ納品できるぜ?」
採ってきたのは当然それだけじゃない。
コレはお持ちかい? と指でわっかを作りながら、あくどい笑みを浮かべての商談開始である。
今度は申し訳ない気持ちを持たないよう、きちんと買い取りを願おうという魂胆。
■エウヘニア > 自分が担当してるのはいわゆる技術はさほど必要のない洗い場だったり雑用なのだが。
それでもそこで聞けるちょっとした裏話。
味付けについてのちょっとした小技なんかは耳に挟むことがある。再現できるかは置いておいて。
そのあたりのことや、ちらちらと相手の視線が向かってる女性給仕の制服なんかに(ははぁ)と目が細められた。
「……ああいうの好きですか?」
にこにこしながら聞いてみる。嫌いな男性のほうが少ないのは知ってる。
制服が可愛いのは、働く娘のモチベにもなるとかなんとか。
それで持って自分の切実なお願いには一拍おいてから笑われたのにぐ、と赤くなって詰まったけれど。
「なかなかたくさん頼めないですし!おすすめメニューだって材料の仕入れで微妙に変わるんですから!」
胃袋的な意味と、お財布的な意味で。
今日はちょっと相手持ちな分余裕もってる。
だから小皿で提供されたら、にこにこでこちらからも交換食材を差し出すのだ。
持ってかれたら持ってかれた分を相手の皿から補充するつもりだったけれど相手にも人の心があった模様。
素直に交換できて美味しいお顔になりました。
「そりゃあ、そうですよ。
こういうモノのためにバイトしてるんですから……」
不意打ちにははあ、とため息。
ちょっとこれ栽培方法調べて庭で増やしたいなあとか考えながら。
楽しそうにしてる相手が自分のことをどう見透かしてるのかは自覚しつつ。
「……む。それは確かに。
指名料………カルロスさんはお高い人な気がするんですけどー?」
薬剤としてどの部分が必要なのかは、知識がある分彼ならすぐにわかってくれそうだ。
今だって全草持ち帰ってくれてるくらい。根の部分も極力傷をつけずに扱ってくれているから、栽培なんて選択肢も生まれてる。
しかしなんだって、なんだって───、先立つものが必要になってくるのは
相手が作ったわっかのまーくにく、と小さく唸った。
「や、まあそれは、それは相談ですけど…!
………そんな法外には出せませんよ?」
真面目な話、個人経営の零細もいいところなので、の表情。
悪そうで軽い商談の雰囲気に、及び腰だけど前のめり。
(今日いくら持ってきてたかなー……?)
等と自分の今日の手持ちを数えだした。
■カルロス > 制服姿を追っていたら好きですか、と尋ねられてにやりと口端を吊り上げた。そりゃあもちろん。日常の私服とは違う、働くためのお仕着せを乱すロマンはやはりいいものだ。さすがに女性相手にそれを口にはしないが、目の保養という点では考えていることはバレていそうではある。
仕方ない、おとこのこだから。
「はは、エウヘニアは本当にここの飯好きなんだなあ。
前菜全部盛りとかにしたって、それだけで腹いっぱいになっちまうもんな」
メニューを眺めながら、「余裕があるならこのトマトとバジルのピザとかシェアするか?」と、追加注文を考えたりもしよう。一人で食うには多いかと思ったが、彼女から差し出された前菜のシェアで思いついたようで、料理がついたら頼んでみてもいいかもしれない。
「危険料込みだとしても、俺自身は中級をうろうろしてるソロだからチームまるごと雇うよりは安価だぜ?」
経験と知識、そして依頼の内容によっては付加価値がついて色を付けてもらうこともあるが、それだって法外な値段にはならないはずだ。
まあ、無知な低ランクの冒険者パーティを雇うよりは、2、30ゴルド上乗せ程度で十分な結果を持ってくるソロ冒険者の方がいいだろう、と。
受付嬢の仕事も兼任する彼女であれば、低級と上級で指名料の差が大きく出るのは知っているはずだ。
「下手に錬金術師ギルドや商人ギルドを挟んで手数料で跳ねあがる相場からいくら安くできるかは、エウヘニア次第だなァ?」
へっへっへ、と悪党の三下っぽい下卑た笑いを真似ながら軽いノリでの商談。
及び腰の前のめりな姿にまたぶはっ、と横を向いて吹き出しながら、そんなやりとりをしているうちに「失礼しまーす、お待たせしました!」と給仕が頼んだ料理を運んでくるだろう。
自身と彼女の前にそれぞれほかほかと湯気の立つ出来立ての料理を並べられながら、この商談はいったんここで中断だ。
「ま、今すぐじゃなくても、これ食った後にエウヘニアの工房に行ってもいいし、今はとりあえず食おうぜ。――あ、姉ちゃん悪いんだけどこのピザも追加で頼むわ」
とさらっと追加注文もしつつ、カトラリーボックスを彼女の方にも差し出した。
■エウヘニア > 問いかけに対して返ってきたのはどんな言葉よりも雄弁な笑み。
もぐ、と前菜をいただきながら、ぬるい表情で応じた。
「栄養あるのに美味しいとかすごいことだと思うんですよね…?」
ここのご飯が好きかと問われたのなら、ニッコリ笑顔で言い切った。
でも何処か基準がずれてるのは使う食材に薬草のきれっぱしが選択肢として常に存在してるからか。
口当たりがいいように薬草を改良するほうが先なのかもしれない。
「……あれ?………そんなに…かわらない、かも……?」
チームへ払う依頼料が、そのまま個人を雇うことになる。
一人当たりのコストは上がっているのは確かだけれど、そもそも一人分。
こちらが払う分にはさほど変わらない金額なのにううん、と唸った。
でも何より無事に帰ってきてもらえる方が大事。……さほど奥地まで入り込んでもらうことはないのかもしれないけれど。
「錬金術師に商人の値切りスキルまで要求しないでくださーい」
悪い表情に困ったように笑ってつ込み返していたのだが。
料理が届いたのにパ、と表情が変わる。おいしいものは美味しく頂きたい。
そんな心境は相手も一緒だったのか、相手の言葉にこくこく首を上下させた。
差し出されたボックスから必要なカトラリーを取り出し。
「そうですね、お話も楽しいですけど……ご飯も楽しみたいですからねー」
機嫌よく──ついでに追加注文にそわっとしたりもするけれど、ひとまずはおなかを満たしたい。
食前の祈りをささっと済ませて、柔らかく煮込まれた豚と豆の煮込みをお店で焼いてるライ麦のパンで掬うと
パンに美味しいところが沁みて余さず食べられる。
ニコニコでそんなことを言いながら、とくに気負うこともなく食事を進め。
「ここのパンはお店で焼いてるから、ほんのり温かくて甘味が強いんですよ」
いまだされてるのもそう、なんて機嫌よく説明してたり。
■カルロス > 「…………、もしかして女神様はまともなメシ作れない系?」
栄養あるのに美味しい。栄養があっても美味しくない飯を常時、もしや薬草飯を常時?
真顔な表情で問いかけた。大事なことだ。もしかしたら女神は壊滅的に料理がド下手くそなのかもしれない。それはハウスヘルパーを雇うべきではと一瞬考えたが、それを雇う金があるなら素材に換金しそうである。
ちょっと憐れむような視線を向けた。残念で面白い女神様だなァ。
「さすがに駆け出しでも出来るような薬草採取にわざわざ指名入れる必要はねえけどな。
お得なところはちゃっかり利用できるぐらいしたたかになってもいいと思うぜ」
この男個人の感性で言えば話していて楽しいしまっとうな善性も持っていて、かつ悪徳に手を染めているわけでもない錬金術の同士だ。肩入れする理由は大いにある。
「個人経営なら値切りスキルは習得しとけ」と笑いながら返しただろう。駆け引きは必要だ。冒険者も持ってるスキルである。
料理が届いた瞬間に明るくなる表情を見て笑いながら、自分の前にも広がる鉄板の上でジュウジュウと今もいい音を立てて香ばしい匂いを立てるチキンと子羊の肉を抱き合わせたグリルに涎が出そうになる。
空腹を刺激するような香草とスパイスが利いた肉。牛もいいが、こういう柔らかい肉もたまにはいい。
祈りは簡易、というかほとんど適当に述べつつナイフを入れれば、じゅわりと肉汁が弾ける音。
添えられている玉ねぎベースのソースを回しがけて、一口、ぱくり。
はふっ、はふ、と口から湯気を吹き熱を逃しながらも、ほろほろと口の中でほどけていく柔さに「ん~~~~~~めえ」とうなった。うまい。
「パンまで手作りとか凝ってんなあ、大人気なわけだ、わかる」
ちぎったパンに肉とソースを絡ませてひとまとめにして運ぶ。自由。そしてやわらかいライ麦の香りがする甘味のあるパンの触感に、また「ん~~~め~~~」と至福の表情である。肉のもたらす多幸感はすさまじい。
「
■エウヘニア > 「えっ……いやいやそんな、……まっとうな材料使ったら……できてるはずですよ?」
ちょっと手近にある素材でずぼらなご飯作ってるだけで。
常時携帯食料とか固形食糧みたいな携行糧食じみたのか薬草汁みたいになってるだけで。
ぐるぐる最近作ったものが脳内をめぐって。
それから手元のホカホカ湯気を立てて、おいしそうな料理とのギャップに唸った。
……面白がられてるともしれずに百面相が続く。
「いや、ほんとに。作れないとかじゃないですからねー!?」
むしろスキル的には器用まであるんじゃないかと、おもってたの、だけど。
現実がむごい。
その憐みの視線はやめて。
「ううん、そうですね。実際入れない場所はありますし。依頼にも出してるんですから……
カルロスさんが妥当だと思うなら受けてもらってもそれは、全然」
世渡りスキルより、研究スキルに先に振りすぎた結果がこれ、という見本なのかもしれない。
見本になっちゃだめだけど。
眼から、耳から。美味しい料理とはかくあるべき、と言わんばかりに食欲に訴求してくる見た目。
あー、人間のご飯ってこういうのでしたねえ、としみじみ思ったけど、さすがにもう口にしなかった。
ちぎったパンに沁みたスープをかみしめつつ。満足そうに溜息を零す。
向かいの席のお肉もいい感じな音を立てているし、なにより相手の表情が味を物語ってる。
だからこちらも釣り込まれるように笑い声を立てて。
「美味しいですねえ」
ごく当たり前で、普通の感想。でも、心の底からのそれを紡ぐ。
ライ麦と小麦の配分が絶妙なのか、酸っぱすぎることもないし。
何より店で焼いてるから柔らかい。噛み締めると、甘い。
そこにレンズマメのとろっとしたスープを纏ったお肉を乗せて、咀嚼する。
「…………」
笑顔が崩れない。
相手もそんな感じだから、きっと幸せオーラが駄々洩れてるそんなテーブル。
■カルロス > 「ほーお、言ったな? そんじゃ今度材料持ってってやるから、それで何品か作って貰おうか」
だんだん彼女のことがわかってきたぞ。研究に全振りしたせいで何もかも疎かだ。
仕事は真面目に丁寧にこなしているのがわかるが、自分のことを顧みず興味のあることに一直線なタイプだ。それがまた面白くて、百面相を作る様子にクク、と笑いが絶えない。
というわけで、作れないわけじゃないならぜひ作って見せて貰おう。
ちゃんとした飯を食わせなければ、という使命感。なんというか保護欲的な。野良猫が雑草ばっかり食べてるような印象なので、温かい飯を、ちゃんとした材料で作って食わせようという魂胆である。
ついでに女神様の手作り料理もご相伴にあずかれたらいいなと思ってる。薬草汁が出てきたら多分くるっと踵を返して帰る気がするが。
「そうそう、互いに利になる条件ってのが一番健全でいいだろ?」
依頼主には依頼主の考えがあり、冒険者には冒険者なりの理由がある。そこら辺をお互いに理解し合える関係ってのは気持ちいいもので、快適に仕事も出来るというものだ。
というのが男の持論。
小さい口で美味しそうに食む表情が恍惚とした幸せそうな様子で噛みしめるのを見ながら、美味しいですねえと言われればうんうんと大仰に頷いた。
笑顔で、今にも赤らんだほっぺたが落ちそう、と言わんばかりの様子にいい顔で食うなあ、と似たような顔をしながら頬張る。
空いてる小皿に一口大くらいの鶏肉と子羊肉を切り分けて、ほれ、と差し出す。
塩ベースの香辛料が降りかかっていて、香草のかおりが十分移って肉汁も溢れる柔らかな肉だ。
備え付けのマグカップみたいな器で出されたオニオンスープを、そのまま直呑みする。ワイルド。え、こういう飲み物だと思ってる。
「はー……マジでうめえわ。また臨時収入はいったら食いに来るかァ」
その時はもしかしたら、彼女が裏でせっせと皿洗いをしているタイミングかもしれない。
■エウヘニア > 「………いいですよ?材料費もちならっちゃんとしたご飯だって作れますよ!」
そういうことなら受けて立ちますよ、とえへん。
売り言葉に買い言葉な気もするけれど、それで食費が浮くなら素晴らしい。
手料理(?)といえるかどうかは良く分からないけれど。薬草汁がポトフになるくらいだ、おそらく。
相手の心配と、目論見と、魂胆がいろいろごちゃっと混ざってるけれどもそれはそれで
悪い感情ではないからこちらも気軽に頷くことができる。
特に約束ということもなく気が向いたら、な軽さも相まってなのかもしれないけれど。
そのあたりは冒険者らしい自由闊達さを感じたりする。
「なるほど、確かに。じゃあ、頑張ってもらえるように依頼料奮発しますね」
彼らが、危険なところに赴く分を何で返せるかと言ったら、結局は報酬だから。
生業もそうだけど、バイトを増やそう。……皿洗いか、と店の厨房のほうへとちら、と一瞥を向けた。
「ん、くれるんですか?じゃあ、いただきますー♡」
さっきと同じように小皿に取り分けてもらったお肉に、素直に餌付けられてる。
パリ、と焼き上げられた表面の香ばしさ。
それから中の柔らかさと、噛み締めると溢れる肉汁はとても分かりやすい美味しさで。
幸せだなあ、なんてある意味安く幸いを語りながら。
こっちもどうぞ、と自分の料理を取り分ける。煮込みだから、グリルとはまた違った肉の旨味と味わい。
てろ、と浮かんだ脂の艶の乗ったスープには、肉だけじゃなくて豆と野菜の旨味もたっぷり溶け込んでいる。
オニオンスープをマグカップでそのまま啜ってる姿には唇火傷しないんですか!?と慄きはした。
「行くときはまた誘ってくださいねー。……大丈夫です、毎回はたかりません」
でもこうやって誰かと会話しながら食事するのは、悪くない。
皿洗いしてるかもしれない可能性は高いが。
■カルロス > 自分が女を取って食い捨てるような屑男のつもりは微塵もないが、この軽さは信用されているのか相手が無防備なのか少し測り兼ねた。こちらの人柄を信用してくれてるのならありがたいが、ちょっとした危うさなんかも感じつつ「戸締りはしっかりするんだぞ」と留守番をする子供に向けるような言葉。
ご飯を作るという約束の返事にしては一気に吹っ飛んだ返事になったので理解が及ばない可能性はある。
「はは、そうしてくれるとありがてえわ。その代わり、120%の満足感を約束するぜ」
軽いノリでウインクなんて返しながら、友誼を結べたのは幸いだ。あの日公園でグロッキーゾンビになった過酷な依頼も、こうした縁につながるなら悪くないと思えた。二度とやりたくはないが。
こちらが差し出した小皿の上の肉を喜んで食む姿を見ながら、餌付けっていいなあとしみじみ思う。小動物か何かに見えそうだ。職業柄ペットなんて飼えないので、微笑ましく見守るだけ。
幸せなんて安くても感じられるだけ儲けもの。
「お、いただくわ。……んー、あー、すげえこれもったりとまろやか」
肉の旨味がしみだして、レンズ豆と野菜の甘味と合わさって、おそらく下味だってしっかり取ってるんだろう、全体的に味がまとまっていて美味い。
カチャカチャとカトラリーと皿がかろやかな音を立て、会話が混じり、うまいものを食べたときに感じる幸せを共感しあう。
オニオンスープも食べやすい温度になってるので平気平気、と唇を舐めて見せた。冒険者は大概タフにできてるものだ。
「別に奢るくらいは構いやしねえけど、エウヘニアは気にするだろ?
まあまた膝枕して、今度は耳かきとかしてくれんならやぶさかじゃねえなぁ」
と、太腿の感触を思い出し……思い……、――――寝てたから思い出せない。真顔になった。
とりあえず耳かき、なんてさらに要求も付け加えつつ、こちらもまたいつ、なんて決めないで軽い口約束だ。
それでも互いの稼ぎ次第では、そう遠くはない未来だろう。
追加のピザも届く。
小ぶりのサイズだが、トマトソースをベースにオニオンと細かく刻んだベーコンとピーマン、そしてたっぷりのチーズをふりかけてバジルを乗せて、釜で焼いたばかりの熱々だ。
すでに切り分けられているそれを1ピース手に取れば、あちち、と言いながらチーズがとろ~~~りと糸を引く。見ただけで幸せになりそうなそれを一齧り。
「ん~~~~めぇ~~~……♡」とチーズの濃厚さにうっとりした。
■エウヘニア > 「もちろん…ってなんで戸締り?」
へにゃ、と首を傾げて疑問符が浮かぶ。
料理の話にどうして戸締りが…?なんて視線。
でもまあ、そんな会話も食事を囲みながらの楽しみのうち。
「……いい顔のウインクは破壊力抜群ですね…?」
自分がやっても大してこう、なにも釣れないというか。
酒場のおじちゃんたちのヤジが釣れるくらい…?だというのに
相手のそれはこう、そういうのに弱い人が撃ち抜かれそうな威力くらいはありそう。
顔面偏差値の違い狡くないですかね。
そんな言い募りは、でもそこまで深刻ぶってるわけでもなくてじゃれ合いのような言葉の交わし。
始まりはまだそう遠い記憶ではないし、互いのことを知ってるわけでもない。
それでもこうやって楽しく食事できる。
お互いの美味しいものを分け合って、美味しいといいあってるだけなのだけど
悪くはないものだなあ、なんて思いつつ。
冒険者は唇も丈夫、というどうでもいい情報を得た。……本当かなあ?
「構いますよーお金は大事!
第一カルロスさんが頑張って手に入れた上前跳ねる悪い女じゃないですかソレ
…………なんかどっかの繁華街のサービスみたいに聞こえるんですけど」
最近あるらしいですね、と街中が活動だからそれなりに流行り廃れは聞こえてくる。
繁華街だったそうした動きは顕著で。
娼館って程じゃないけど、やっぱり綺麗なおねーさんが集められたお店で
会話やお酒、ちょっとした恋愛気分を楽しめるサービスなんかがあったりするらしい。
その派生でなんかそんなのきいた気がするよーなしないよーな。
真顔になった相手の主張に胡乱気な視線を向けての応答。
相手の軽い調子についうっかり、売り言葉からの買い言葉で乗せられなくもない。
あんまり危機感を覚えてないのは、出合頭の印象だったり、これまでのやり取りがあるのだとは思われる。
そんなテーブルに、焼き立て熱々なピザ。
自慢の窯で焼き上がったそれはまず目に美味しい。
ちょっぴり縁の焦げた感じや、蕩けたソースの上に乗せられた具材。
トロトロチーズが何よりの破壊力。
一足先な相手の声に、自分も一枚取り上げて
じんと熱が伝わる指先をこらえつつ、一口。
カリっとした食感からのもちもちとろーりが口の中で交じり合うのに──
「………」
陥落。
でも舌火傷しそう。はふはふはふはふ、と若干せわしなく咀嚼中。
■カルロス > 「ははっ、惚れんなよ、女神様?」
意外と面食いだな、なんて笑いながら揶揄う。これもこの男が女遊びが激しかった頃の名残である。
今は激しくないのかと言われれば、目を逸らしながら大人しい方だとも、と答えるが。
そっちはそっちでウインクとか出来なさそうだなと素直な感想を零した。あんまりウインクして投げキッスしてみる姿が思い浮かばない。
顔面偏差値的に言えば、目の前に座る彼女も整ってて可愛らしい方だと思うが。もしかして無自覚なのだろうか。ますます危ない、と心配になった。
何でも冒険者だから、という理由にすればまかり通る。たぶん。きっと。
人によっては高い崖から飛び降りてもぴんぴんしているのだから。
「ははっ、上前跳ねるなんてどこで覚えてきたんだよ。
いい女なら、男に貢がせてナンボだろ。男は女にいい夢見させて貰って喜んで金払う生き物だぜ」
繁華街のサービスなんてそんなことそんなこと。どっかの家庭のじいさんばあさんもやってる話だ。そんないかがわしくなんてねえってと首をふるふる。
食事代の代わりにちょっといい枕で気持ちよくしてもらうだけだ、とそこだけ聞いたら語弊があるかもしれない。
熱々でとろとろのピザに陥落する様子に、そうそう、そうなるだろ!?と笑いながら、あっという間に平らげて。
あらかた互いに食事を追えれば最後のサービス。デザートの時間だ。
自分の前にはチーズタルト――――今日チーズばっか食ってる気がする。
そして彼女の前には念願の旬の果物を使ったパイだ。なんの果物かはわからないが、ご丁寧に甘い氷菓子も小さく添えられて届くだろう。
食べ終わった食器類を下げる給仕のトレーにチップ含めた飯代を先に渡してしまえば、あとは満足いくまでデザートを堪能する時間だ。
クリーミィなチーズのなめらかさを乗せた、カリカリ触感のタルト生地を齧る。デザートまで食うのは久々だが、まろやかなチーズの旨味が凝縮されていて美味い。
■エウヘニア > 「なんか普通科白逆では?惚れるのは男性側では??」
釈然としない顔。
しかし、こう、みてて保養にはなりそうなお顔なので様になるのズルくないですか?
揶揄い言葉に納得いってなさそうなまま。
ウインクできなさそうとか言われると───
「………(ぱちん)
……………いや、なんでもなかったことにしてください。」
無駄に対抗心を燃やした結果虚しさが過るから!
一応ちゃんとウインクはできました。効果のほどはお察しください。
行動や生態が残念な方向によってるので、あんまりそうみられないのかもしれない。
「いやあ、常識の範疇の言葉でしょう?
………そーいう、イイ女、ってのはどうもむずがゆくて無理そうですね」
軽く眉尻下げて、肩すくめ。
そういう女性はきっと女性から見ても格好よく見えるのだろうが、自分には向かないなあ、なんて。
こちらの胡乱そうな表情に対して首を横に振る姿や、付け加えられた言葉が余計その怪しさを増長させるんです!が!
……耳掃除くらいならしなくもないけど、耳の中触らせるの怖くないですか…?とおもむろに。
やる側だったら気にしないけれど、される方だとくすぐったくて無理そう。
二人でもちょうどいいくらいのピザのサイズだったからか
あるいは熱々トロトロチーズの魔力か。勢いに負けて完食。ちょっと水で唇を潤して──
ニコニコ顔の給仕の女性店員が(女にとっての)メインなデザートを持ってきてくれた。
今の季節ならちょうど各種苺がゴロゴロ。果肉感をのこした半崩し位のジャムになってタルトの上を美々しく彩っている。
「…………」
やっぱり見た目をかみしめて、うんうん頷いて楽しんでから
す、とカトラリーで崩しにかかる。
焼き上げられたタルトの生地も芳ばしく美味しそう。
甘酸っぱいジャムと、カスタード。さっくりとしたタルト生地を頬張って───。
「─────もう、きょうは、これで一日終りでいいです」
深い深い感嘆の溜息とともにうっとりつぶやいた。
■カルロス > 女神だって惚れさせる顔だぜ、と言わんばかりに顎に手を当ててドヤ顔をしてみせた。顔が煩い。
そして対抗してウインクをしてくる可愛さよ。今度は吹き出さなかったがくくく、と堪えるような笑いを零してる。堪えきれてない。
反応一つ一つが面白くて笑いがこみあげるが、けして馬鹿にしているわけではない。可愛いの一点である。
「っはは、いい女を目指すならまずは三食きちんとした飯だな」
少なくとも薬草の代わりに香水をつけなければ。男としては、香水よりも薬草のかおりを纏ってるほうが好みではあるのだが、そう考えると彼女は今のままでいいのかもしれないとうんうんと頷いた。
「鼓膜ぶち抜いてこねえなら大丈夫だろ」と楽観の構え。まぁぶち抜いてもすぐならヒールでなんとか回復出来るはずだ。ヒーラーで良かったとしみじみ思う。
そうして届いたデザートに目を輝かせて頬張る姿は、これまでの食事のさらに上塗り更新をするようなご満悦の表情だった。
至福――――一日の終わりを宣言する様子にもどんだけだよ、と突っ込みながらフォークを伸ばして、一口分を奪いにかかる。悪い男である。
単純にどんな味か気になったところ。
そうして頬張って、さくさくとろとろ、甘酸っぱくてクリームとの調和も合う。これは確かに、一日を終わりにしてもいい味か……。と納得?の顔である。
流石に怒られたら、チーズタルトの方も捧げさせてもらおう。
怒りに詫びるにせよ、その数秒後には二人で笑い合って美味しい美味いと言い合っていたはずだ。
――――
「いやー……食った食った」
そうしてデザートまでたっぷりと味わって、腹休めの間に商談したりもして、席を立って外に出る頃には陽も傾き始める頃合い。
一日を終わりにすると宣言したことを揶揄うように「お送りしましょうか?」なんて言ったりして、どちらにせよ一度は彼女の工房、店の方に脚を運ぶつもりだったので、そのまま一緒に歩くことになっただろう。
商店街にさしかかって、雑貨を除いたり、フラスコを二人で見たり、本屋をのぞいたり、魔術具店をひやかしたり……。
なんだかんだ和気藹々、男と女が一人、親しい友人のような距離感で時間を過ごしていっただろうか。
いつか、こんな時間が訪れる日も来るだろう――――。
■エウヘニア > 「あー!もう!笑わないでください!?」
自分でも似合わないのは分かってるのだ。
だから、その微笑ましがるのやめませんか!と主張したい所。
ちょっとウインクとかそういう仕草が似合うからって!と明後日なところに怒りをぶつけつつ
それでもデザートを口に運ぶ手はしっかり動いている。
「……栄養は、満点、ですよ?」
錬金術師的には、譲れない。
厳選した薬草類(のきれっぱし)をあーしてこーして、薬じゃなくて食用に転化してるのは立派な技術だと思うのだ
すまし顔でそんなことを言いつつも。
見た目 味 満腹感、どれをとってもパーフェクトなものを今口にした後なので若干目が泳ぐ。
できれば自分だってそうしたい所なんですよ、とも。
耳かきで鼓膜ぶち抜き案件は、痛そう、と表情がしおれた。
想像したらくすぐったいじゃ無くて痛くなって背筋がそわそわとしてしまう。
「あー…あああー…!?」
幸せの一口を奪われたら、若干大き目の口が開いて上がる声。割と情けない。
ただまあそうして強奪された一口が、相手の口に運ばれて納得の言葉をいただいたら──
うん、まあ許さなくもない。好きなものを褒められると嬉しいし。
それからさらに謝罪の一口が送られたら──笑顔が戻った。
チーズもいいですね!ところりとそんな調子で。
楽しい食事を終えたら、もらった薬草を持ち帰りついでに自分の工房への道を案内したり。
あるいはその道中でお互いの興味のかぶる店や、魔道具の店などにより道は──あったりなかったりしたのかもしれない。
見知らぬ相手というには少々濃く。かといって友人というほど相手のことも知ってはいないけれど。
そういった一歩と呼べるのかもしれない時間は、楽しかったの一言に尽きるのだろう──。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/『猫の皿亭』」からエウヘニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/『猫の皿亭』」からカルロスさんが去りました。