2024/05/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にルーシィさんが現れました。
ルーシィ > 戦いが続けば、当然武具を作り出す鍛冶も入用になる。
魔族・魔物との戦闘を始め、数多前線に駆り出される騎士や戦士、冒険者の依頼は最近とみに増えてきているといって良かろう。
今日もそんな仕事を一つ片づけてきたところ。凝った肩を解すようにぐりぐり動かしながら、往来をゆるりぶらついていた。

「やれやれだ。…ま、戦がある限りうちは儲かるんだから、とやかくは言えないけどね」

今日の王都は何やら賑やかだ。
どうやら、遠方で繰り広げられていた戦闘が一段落ついたらしい。
そこらの酒場も存外、繁盛している。思いもよらぬ盛況で、知った顔の店主が額に汗を浮かせていた。

「……おっと」

見れば前方、ここらではまだまだ珍しい着物を身に纏い歩く姿が視界に映り込む。
彼女もまた、戦闘からの帰りであるらしい。
少し横に退いて、レンガ道を歩む邪魔にならぬよう気を付けつつも…

きょろきょろと周囲を物色するような眼差しに、不思議そうな表情を浮かべてしまったのが見えたかもしれない。

タチ > 戦勝の報せを受けて国が大体的に広めたのか、戦場帰りの兵士たちが戦功を自慢して回ったのかは定かでない。
一介の流浪人風情の己には関係のない話だが、どこか暗い雰囲気を漂わせていた王都はどこか祝祭のようなムードを醸し出している。

以前は入店待ちの列など無かった酒場が大規模なものから個人経営の小さな店まで明らかに盛り上がり方が違っている。
雇われの女剣士もその勝利に貢献した一人だが、その働きぶりを直に評価する者は殆ど居ない。
ただ、生きて敵の首級をあげた数だけ金銭という報酬で評価される。いわば脇役といった存在だ。
それでも己が手を尽くした戦の勝利がこれだけの喜びをもたらしたのだと知ると悪い気はしなかった。

ふと、貴女の視界には三度笠を被ったポニーテールの着物姿が一人。
あまり見ない和装だが、激しい戦闘でもあったのか返り血のシミや傷んだ繊維質が雅さを損なっている。

服装だけでも目を惹く女剣士であったが、貴女と互角の体格であり、その体型もまた見入るものがある。
着物を着崩していないにもかかわらず隠しきれない豊満な乳房、くっきりと目立った尻の丸みはあちこちの男がじろじろ視線で追いかけるだけのモノを誇っていた。


女剣士もまた、品定めをするようにしてレンガ道を進んでいると一瞬貴女の表情が視界に留まる。
単に己の装いが物珍しいだけか とすぐさま視線を逸らし、そのまま真っすぐ進もうとしていたが……


「…………んん???」

思わず、じゃり……と爪先に力が入り歩みが止まる。
一度視界に留まるもすぐに一度はスルーしようとした貴女の開放的な姿に、昂りを抱き続けていた女剣士は容易く釘付けになってしまう。

あまりじろじろと眺めるのも失礼にあたる。三度笠を被り直す仕草をして平静を装い、
静かに貴女を横切ろうとするところまで歩くが距離が縮めば縮む程辛抱たまらなくなる。

ついには堪え切れずに歩みを止め

「そなた……拙者に何用か?」

三度笠から、ブラウンの双眸を覗かせて貴女をじっと見つめる……
が、視線は貴女の顔に始まり、タンクトップから覗く谷間や露出した腹、脚線美と身体を何度も上下して安定しない。
貴女への関心をまるで隠せていないのを察するのはよほど鈍感でもない限り容易いだろう。

ルーシィ > 国が広める程に大勝利というわけではないだろうから、大方傭兵や雇われの戦士達が騒ぎ立てたのだろう。
平民地区、貧民地区。富裕地区にはその波はまだ広がりきっていないように思える。

じろじろと眺め回したわけではないが、よく見ると存外に良い体つきをしていた。
己とそう変わらぬ程に豊満な乳房、そして丸みを帯びつつも大きな臀部。
すらりと伸びた長身は此方よりほんの少し高いくらいだろうか。

「……へぇ…」

つい興味を覚えてしまった。
が、どうやら相手も同様であったらしい。
三度笠の下、被り直せば見えなくなったが──すれ違い様、彼女の方から声をかけてきたので少々驚く。

「──え、アタシ?」

はたと瞬き、自分を指さす仕草で首を傾ぐ。
じっ、と此方を見つめるブラウンの双眸。笠の下に覗く顔立ちは、凛と整った美しさを感じさせる。

が…その挙動はそうとも限らない。
顔を始め、身体、脚──と視線がそわそわ舐めるように動くのを間近に感じて。
ひっそりと抱き持っていた遠慮心が消えていく。ルーシィもまた、彼女の着物の下に収まっている乳房や肢体、腰回りを視線で追い始めた。
まるで2人の装い異なる女性がお互いを品定めしているかのように見えるかもしれない状況。

「……いや、つい気になっちまってさ。戦帰りなんだろ?
その格好もそうだけど、腰に下げてる武器とかさ。手入れが必要なんじゃないのかい」

そう口にすると女鍛冶はおもむろに手を伸ばし、彼女の手を取って握ろうとする。

「…アタシ、この街で鍛冶やってんだ。良ければ、見てやるよ?
それに…その格好、着替える場所も欲しいだろ?」

じっ、と見つめ返す赤い瞳は、当然それだけでは終わらないという色をひっそりと含んでいるのが感じ取れるかもしれない。
誘いに乗るかどうかは、かの女剣士次第である…

タチ > ともあれ、己に課せられた任は充分に果たした。
今だけは充分な有り金もある。この時ぐらいはたまの贅沢に走っても罰は当たるまい。

酒や食事は場所さえ選べば望んだ質を味わえる事を冒険者稼業や臨時教官生活の中で知っている。
だが、娯楽についてはイマイチ満たされていない。

流石に女のなりをしている為か、女遊びを自らに紹介してくれるものは居なかったが仕方のない話かもしれない。

「うむ。拙者の身なりが物珍しいだけなら詫びねばならぬが……ごほん」

しまった と内心で冷や汗をかく。
相手側も、不意に声をかけられて困惑している様子を見て申し訳なさがこみ上げてくるが、それでも間近で貴女を見つめていると抑えきれない気持ちがより強くなってくる。

剣士としての精神力のなせる業か、辛うじて衝動に身を任せる真似には至らなかったが、視線の動きが露骨すぎる自覚はあった。
そのまま、詫びだけして過ぎ去ろうとしていたが、続けて発せられる貴女の言葉には目を丸くして聞き入る。

「明察の通り、いつまでもこのような姿で歩く訳にもいかぬ。
 ……それに、拙者にとっては命を預ける武具も、いよいよ手入れにも限度がな……」

貴女の指摘に、腕を組んでどうしたものか と戦人としての思考に戻れば目を瞑って考え込む。
腕利きの職人の存在は耳にしているが人脈はなく、途方にくれる女剣士。

「……鍛冶??……そなた、職人殿であったのか!道理で武具にまで気が回ると思えば……そうかそうか!
 拙者は断(タチ)と申す。うむ、せっかくだから世話になりたい……願ってもない話だから、な」

貴女の生業を知れば、戦人の生命線である武具を生み出す鍛冶職人との思わぬ邂逅に目を輝かせる。
先の戦いで損耗した武具の手入れはもちろんだが……女剣士もまた、貴女と密な時間を過ごす口実が生まれた喜びをかみしめて。

単なる”慰め”としての期待が、予想だにせぬオマケ付きで現れた。
なんという幸運だろう。乗らない訳にはいかぬと、女剣士はすすんで貴女と距離を詰めた。
己の申し出の裏にある思惑を、眼前の職人がどれだけ察していたかなどと露知らず。

ルーシィ > 「まぁ、身なりが珍しいのは確かだね。初めてってわけじゃないが、ここらじゃそういう恰好はあまり見ないから」

ただでさえ物珍しい着物に加え、それがボロボロになっているとあらば人目をいや引くのは仕方ないこと。
そして身体つきが見事ともなれば、男達みな目で追うことは間違いないだろう。

そうでなくとも、王都という街は場所によっては物騒な所なのだ。

「王都は広いし、腕利きの鍛冶も色々いるけど……やっぱり人伝で紹介を得ないと厳しいところはあるかもなぁ。
一見さん歓迎って所も少ないわけじゃないけどさ」

自身の知り合いにもいるにはいるが、常連を主な客としていたり少々偏屈者であったり。
良くも悪くも癖の強い職人が多いのだ。──なぜ偏屈ばかりが自分の知己に集まるのかは知らない。

さておき、生業がまさに鍛冶であるなら渡りに船。お互いの利が合致した瞬間。
正直この形状の武器は今まで片手で数えられる程しか弄ったことがない。だから今から楽しみだ。
…勿論、それ以上のことだって。

「タチ、か。アタシはルーシィ。よろしく頼むよ。
それじゃ店に行くとしよう。その服も着替えなきゃいけないんだろうが……
一旦はアタシの服を貸すよ。家に帰るまでの繋ぎにはなるだろ?」

背丈もそんなに違わないしな、と笑いつつ、彼女の先に立って己の店まで案内していく。

タチ > 目立つ自覚はあれど、戦帰りで物騒な姿になっている事情まで察しがいい者は限られる。
現金なことに、女剣士が貴女と会話を始めたことで第一印象から感じる物々しさが薄れて視線を釘付けにする市民が次々と現れるが、女剣士は眼前の貴女にしか興味がない。

「腕利きの職人殿は忙しい、一見の客……冷やかし者を相手取らぬ事は理解しているが……。
 紹介ともなれば流れの身の拙者には難しい話となる。ちょうど、そなたが現れたのは渡りに船であった」

失念していた訳ではないが、いつまでも後回しには出来ない武具の整備については正直あてがなかった。
貴女の登場で安心した女剣士はやや力んでいた肩から自然と力が抜けて表情も柔和さを増していく。

すっかり貴女には親しみを感じた様子で、にこりと微笑んだまま貴女の意欲的な様子に意気投合。
職人としても、異国の武具を打つ経験は同業者との差別化になり、技を磨く絶好の機会だろう。
……もっとも、実のところは互いに相手の”女”としての魅力に下心をもってのものだが。

「ルーシィ、で構わぬか?職人殿には頭が上がらぬ身と心得てはいるが……拙者の事も構えず接してくれればよい。
 それではせっかくだから、そなたの店でゆるりと語らいながら過ごさせてもらおうか」

貴女の服を借りる 今まさに貴女が着ているようなものを自分が着るのだろうかとやや気恥ずかしくなったが、
背に腹は代えられない。

血生臭さを放ち続けるよりもずっと良い、貴女の言葉には上機嫌に頷きながら、草鞋の音を小さく鳴らして貴女についていこう。
……間近で貴女を眺める視線は、やはり鍛冶職人としてのそれとは異なる何かを欲する様を隠せぬまま。

ルーシィ > 【後日継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からルーシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からタチさんが去りました。