2024/04/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2「bar」」にカミュさんが現れました。
カミュ > 宿も併設されている平民地区の中でも貧民地区にほど近い名もなきバー。
通りに面した入り口にはカクテルグラスとボトルの意匠が刻まれ、長い年月が刻まれた看板。

店内はカウンター席と、わずかな4人掛け程度のBOX席がいくつか。
程よい狭さと静かさに包まれた薄暗い店内故か、客たちも身を寄せ合い囁きあうような声のみがこの店のBGMとなっている。

春が来たとはいえ、まだ少し肌寒くもある夜。
夜風に冷えた体で男はなじみのその店へと訪れ、扉に手をかけ押していけば油の切れた蝶番が小さく悲鳴を上げると共に扉の上の小さなベルがチリン─と鳴いて店内へ来客を知らせる。

そんな音をきけば壮齢の店主は手元のグラスから視線をチラリと上げ、小さく一礼。
男もその一礼に会釈で答えると慣れたように店の中を進み、店の奥、カウンター席へと腰掛ける。

会話は特にないままに座れど、店主は男のボトルを棚から取り出し、空のガラス製のグラスと、ドライフルーツやナッツが盛られた小皿を男の前に。

男はボトルの口をふさぐコルク。母指球を当て軽く押し込み、キュッと小さな音を立て開けてからグラスの中に茶褐色の蒸留酒を注げば鼻を酒精と共に刺激する芳醇な香りがふわりとグラスの口から立ち上がる。