2024/03/23 のログ
■スピサ >
王都マグメール 昼の曇り
槌音が響く家屋
路を歩く腰に物を下げた者達
歩く者が限定的になる場所の一つが、こういった鍜治場工房地帯。
鍛冶ギルドで集まり、技術の共有や作業の分散
仕事の振り分けなどなら喰いっぱぐれることもないかもしれない。
しかしここに居る者らは個人や少数人数で集まって行う一つ一つが違う鍜治場の群れ。
夕焼け色の大単眼
薄青い肌 膨らむ筋肉の瘤。
汗が滲んだ赤の三角巾を巻くサイクロプスもまた、一つの家屋で槌を振るっている。
「―――っ。 ―――っ。」
鞴で火を焚き続け、燃料を足し、先で膨らむ鉄塊が光っているかのように火を帯びる。
元から硬いという概念を背負う鋼の塊を、無理やり形を変える為に熱と変化を加える作業。
槌で固まりを何度も叩きつける槌の音は鋭い。
ギィンッ
ギィンッ
未だ硬いということを諦めていないかのような鋼の塊
質が良い分だけ、中心まで真っ赤に焼けても槌に意地を張る。
それを力づくで、槌を何度も水に浸し、熱と自身の力で曲がらないように適度に冷やし
再び槌を何度も振るって伸ばしていく音。
金床の上で弾ける火花は、不純物がはじけ飛び、本物の鉄塊になる印。
■スピサ >
鋳造 個人の場合、他の力を借りることも多い槌を振るう作業。
それを独りで行う際の、腕の力。
単眼族故の剛力か、槌で振るう力も受け止める鋼も、変形 摩耗の速度は増す。
槌を水に漬け、水を打って金床を濡らし、その面が平たいままを保つ。
熱で高ぶるのは、火を帯びたこの鉄塊だけでいい。
二時間後、集中していた単眼族特有の大きな目は3度瞬きをする。
乾きやすい眼も、瞼が自然と降りて潤みを増やすように無意識に。
手元には、鉄塊を伸ばす柄の付け根を切り、茎化した根本をヤットコで摘まむ姿
真っ直ぐに伸びる一本の剣がそこには出来上がっている。
切れ味よりも強固を取る 多少鈍らに仕上がげる予定のそれは肉厚なだんびらと化す。
エイコーンの噂は鍛冶屋の話でも広まっていた。
硬い毛並みで覆われた魔獣ならば鋭く、切れ味を求められ
騎士鎧のような叩き落とす、もしくは重い物体ならば打撃の様に与える一撃の重いそれ。
作業はもはや座り込んでではなく、立ったままの姿勢。
金床の上で伸びるそれを真っ直ぐに 切っ先を伸ばして立てるとわかりやすい。
冷やす作業に入れば、真っ赤に焼けた剣の原型を、油に満ちた型の中へとゆっくりと着けて泳がせる。
ボゥッ、と油は火を帯びる。 油は水と違い、熱伝導が高いせいで冷える速度はゆっくりとなる。
油は火が高まり、うっすらと表面に火を灯しながら剣を冷やす故、急激な変形がない。
刀の反り返りのようなものが生まれず、その形は真に真っ直ぐなもののままとなる。
「―――ふぅぅぅ。」
出来上がった黒く浮きがこびりついただんびらを前に、ヤットコで摘まむまま、単眼は一度深く眼を閉じた。
汗がどっと吹きでる。 動きを留めた走者の体が思い出したかのように、火の傍だったのならばなおの事。
うなじの汗が冷たく感じながら、手で撫でていくそれで形状を確かめつつも、一度剣を置きバイザー型の眼帯を身に付けるか。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍜治場工房地帯」にスピサさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアルテミィさんが現れました。
■アルテミィ > (ひらひらとスカートの裾を翻しながら賑やかな通りを歩く。
少女は一人、出店を覗き込んでは興味深そうに商品を眺めて、
時折、触れていいかと店主に許可を取ってからそれに触れたり、
とにもかくにも、ウインドウショッピングを楽しんでいた)
「…あれ?」
(そうこうしているうちに、少しばかり寂しい通路に迷い込んでしまった様子。
怪しげな道具を売っている店先を覗き込んで、これはなんだろう、と小首をかしげて)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルテミィさんが去りました。