2024/03/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアストラさんが現れました。
アストラ > 「も~~~~~……」

ギルドのテーブルに突っ伏してうなだれている美女が一人。
長い蒼銀の波打つ髪、背中がぱっくりと開いて健康的な肩甲骨と白い素肌を丸めた後姿。
細い腰に大きなお尻は椅子に沈めて、たわわに実る乳房は残念なことに今は見えないだろう。
深いスリットから覗く艶めかしい脚線美、むちむちもっちりの太腿を覗かせ、下着の存在は皆無。
そんな痴女的かつ娼婦のような恰好だが、魔術師である。
そこそこの腕前の冒険者。ソロ魔術師。
その魔術師が、だらだらとだらしなく突っ伏している。真昼間から飲んでいるわけではない。

「なんでぇ……直前になってパーティ解散なのぉ……ちょっと遊んだだけじゃないのよぉ……」

理由は簡単、ダンジョンに行こうぜと誘われて承諾して、前日に飲んでパーティリーダーの男とそのまま遊んで(セックスして)、その相手の恋人を名乗る女が激高してなんとな~く居づらくなってパーティ解散の流れになった。
というか恋人がいるならいるでもっとうまくやりなさいよと、アストラとしてはご立腹である。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にゼオンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にルクスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からルクスさんが去りました。
ゼオン > 学院も休みで昼間から酒でも煽ろうかと、仲間も連れずにふらりと足を踏み入れる。

「んー、んーんーんーんー。しょっぼい依頼しかねえなぁ……。」

女を引っ掻ける口実にするにも駆け出しや中堅向けばかり。
体を対価に難易度高めの依頼を受けようかとも思ったがそれも期待できない。

そう思いながら待機勢の利用する席に向かっていけば、

「……おー、いるじゃんいるじゃんイイ女ー」

艶めかしく背中が大きく開かれた衣装に突っ伏して、
装束からも伺える巨大な丸いお尻に肉付きの良い太もも。
スリットが露わになってその肉付きが押し上げている様から下着さえ身に着けてないことが伺える。

痴女めいた出で立ちだが、感じ取れる魔力は相応のもの。

「チィーッスアストラせんぱーぃ? どしたんスかぁー?
 男がらみでトラブっちゃったとかッスカねぇー?」

思い当たるのはアストラ。ソロ傾向が強い腕利きの魔術師。
だがそれ以上に多淫で肉体関係に忌避がないどころか好色な話は聞き及んでいる。

が、そういえば体の相性はどうだろうとふと気になって、声をかければヤれるだろう程度の気持ちで絡みながら近づいて。

「そういうんだったら俺が慰めちゃうんですけど、どっすか?
 今日今から一発やっちゃいません?」

 などと、無遠慮にお尻へ手を伸ばして揉みしだこうとさえ。

アストラ > 恋愛がらみの人間関係はこれだからめんどくさいのよとぶつぶつ。
恋愛感情なんて持たない快楽主義、享楽的に生きているアストラにとって恋人というカンケイは今一理解しかねるところ。
別に体の付き合いがあるからと言って寝取るわけでもないんだし。ぶつぶつ。
そんな風に不満げにして今日一日の予定がぱぁになってしまったアストラの背後からかかる声に顔を上げる。
せんぱい、だなんて軽薄に呼ぶのは、そう言えば過去に話くらいはしたことがあったかという年下の青年。
その年齢で結構な実績を積んでいる若者だったはず。
頬杖をついて気だるそうな金色の双眸がゼオンへと向けられる。

「ん~~……えーとぉ、ゼオンだったかしら?
 元気ねえ、そうよそう、トラブルよ。セックスした相手が女持ちとか聞いてなかったの」

泥棒猫!なんて今時聞かない暴言を吐かれた程度。
慰めるから一発、なんてドストレートな誘い文句はアストラの好むところ。
長身の頭のてっぺんから、がっちりと筋肉質な身体に、褐色の肌。
いい具合に雌扱いしてくれそうな好色具合。悪くないわ、と観察しながら、口元に妖艶な笑みを描く。
大きな手で大胆に尻を撫で揉んでくる力強さも好ましいほどだ。

「いいわよ、一発どころか何発でも。
 あ、でもあなた、彼女とか恋人いないでしょうね?
 めんどくさいことはもう嫌よ?」

確認は大事だと学んだ。男はす~~~ぐ嘘を吐くから嘘吐いたら首絞めるわね、と指先で喉から顎を撫で上げて。
尻を揉む手を咎めるでもなく立ち上がりながら、移動しましょ、と外を促す。

ゼオン > 「おっ、名前覚えててくれたんスねぇー。
 ……っはぁー? なくないっスかそれ。この国で取った取られたってマジ萎えるっスわ。」

 女持ち。恋人関係とも言わずただ付属しているぐらいの感覚。
 大いに同意できる言い回しで、そも、軽薄な後輩でさえ冒険者同士のある程度の肉体関係は
 暗黙の了解があるのは心得ている。

 理由は単純。そうして連携を維持しないと死ぬ局面もあるから。
 そう言う意味では目の前のエロい先輩は無駄な危険から回避できている。
 こうしてつけ入る感じがあればなおさら僥倖だ。

「え、いいんスか? やった。俺も外に暇潰しにいかなくて済むわ。
 恋人っスか? セフレやらならいるっスよ?
 だって一人の女とかめんどいじゃないっスかぁー。」

 つーか、と無遠慮な手つきで尻の肉付きを揉みしだきながらそこに咎めないことに気を良くして。

「今日依頼受けてたらどのぐらい稼げたんスか?
 ……その額と”アストラ”のウリの平均、高い方の三倍出すから今日一日俺の女になれよ。」

 周りに見せつけるように、機会があったのに手を出さなかったのだと見せつけるように、
 雌を女で買う作法を見せながら、そのまま外にともに歩き出して

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からゼオンさんが去りました。
アストラ > 取った取られたというより、そんな潔癖なら首輪をちゃんとつけてなさいという話。
別にアストラとて恋人を浮気だなんだで破滅させたい悪性などではないのだから。
連携を深める為に親睦として肉体関係に及ぶことなんて割と多々あること。
立ち上がったゼオンの言葉に目をぱちぱちと瞬かせて、ふっと笑った。

「あら、いいの? 懐の裕福な男は好きよ」

くすくすと笑いながらつれそうようにギルドを後にし、二人はそのまま雑踏の中へと消えていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアストラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 路地裏」にヘルフリクさんが現れました。
ヘルフリク > がしっ!げしっ!げしっ!
夕方の路地、黒髪ツインテールのエルフが町娘に踏みつけ蹴手繰りににされている。
修羅場だろうか。

「ああっひどい! 何をするんだ! ボクはただ……キミに一目惚れをして……
 その靴を一度でいいから舐めさせてほしいって言って土下座しただけなのに!」
「それが嫌なんだって! このド変態!」
「そ……それがダメならせめて汗の匂いだけでも嗅がせて!この通り!」
「妥協するフリしてより悪化してる!」

やがて町娘は振り返りもせずに去っていき、踏みつけにされていた黒髪エルフだけが残される。
よろよろと立ち上がり、埃を払い、顔面に残された靴跡を、頬を赤らめ陶然と擦る。

「ああ……でも踏んでもらっちゃった……嬉しいな……」

どうしようもない。

ヘルフリク > さすがにこのまま靴跡を残して外に出るとすごい目で見られちゃうな。
ということはわかっているので、適当に壁に寄りかかって休みつつ
ハンカチで顔を拭って汚れを落とした。
若干名残惜しい……

「王都って男の子も女の子もレベル高いよね……
 セックスさせてくれ~とは言わないから
 スカートに顔をうずめさせたり指を舐めさせてくれたりするだけでいいのに……
 ああっそんな想像をしてたらまた大きくなっちゃった……
 はあはあ ボクってダメなのかも」

ショートパンツから露出した太ももをきゅっとすり合わせる。

「はあ……このままじゃ誰か襲っちゃいそう。
 オナニーしてから帰ろっかな ここで」

ここで。

ヘルフリク > 周囲に人の気配がないことを確認してから、
ショートパンツをずらし、自分のものを露出させる。
冬の冷たい空気に、赤らんだ芋虫が湯気を立てる。
うつむいて小さな手でこしこし、にちにちと音を立てながら、慰めていく……

「はあ……ほんとにボクってだめなやつだな……
 今人が来たらどうしよ……通報されちゃうよぉ……」

こしこし……

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 路地裏」からヘルフリクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にシアリィさんが現れました。
シアリィ > 平民地区にある目抜き通り
南門からまっすぐに伸びるその通りには、洋の東西を問わず、
様々なヒトや品が行き交っており、多くの大店もまたこの通りに本店を構えている。
けれど、今日の目的はそこではない。

「授業料で思ったりより、お金が出て行っちゃったもんね。
 少しは稼がないと……」

旅の身なれば、日用品などは事足りているものの、寮に住まうとなれば揃えたいものも多い。
多少の蓄えは残してあるとはいえ、生活費は稼がないといけない。
当初は、素材を取り扱っている店も多いから、薬草でも買って薬にして卸す計画だったのだけれど。
売られていたのは、想像以上のお値段だった。
何より、品質もそれほどでもないのが一番の問題で。

直面した問題に対して、悩むこともなく。
だったら自分で採りに行っちゃおうと。
それも、どうせなら冒険者登録してしまえば、依頼料も稼げるし一石二鳥だと。

「ごめんなさい、ギルド登録をお願いしたいんですけど……」

ごつい冒険者たちでごった返すギルドの受付で、場違いな少女がそんなことを告げ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 王都でも指折りのごろつきが集まる場所である冒険者ギルド。
依頼の斡旋や報酬の受け渡しの受付の他にも、酒場を併設している事が、
その場所にガラの悪い連中が群がってくる事に拍車を掛けている。
そんな所に、品の良さそうな場違いな少女が現れれば、人目を引き寄せる結果となり、
何処ぞの依頼主の遣いだろうかと囁きが飛び交う中で告げられた少女の言葉にドッと場が沸き起こる。

『ふははっ、ギルド登録だってよ。あんなお嬢ちゃんが? 本気か?』
『冒険者になるよりも、学園でお勉強でもしていた方がいいんじゃねぇか』
『辞めとけ辞めとけ、お嬢ちゃん。ゴブリンやオークの苗床がオチだぞ』

酔っぱらったろくでなし達による罵詈雑言と嘲笑の声がギルド内に響き渡る中、
彼女の受付をした厳つい男は怪訝な顔を隠そうともせず、それでも、登録用紙を彼女の前に差し出し。

『あー、登録用紙はこれで、……後はそうだな。推薦人か、保証人でもいるか?
 基本的にギルドは来るもの拒まずだが、幾ら何でも、なぁ?』

男の表情には冷やかしならば帰れと言わんばかりの感情が浮かび上がり。

シアリィ > ある意味、予想はしていた反応と言える。
けれど、これまで旅の途中で冒険者の仕事をしてきた時にも、これほどのことはなかった。
保守的な田舎町よりも、王都の冒険者の方が頭が固いということなんだろうか。

外野で騒いでいる酔っぱらいのことは放っておいて、窓口の手続きを優先する。
この界隈では舐められたら終わりだなんて話もあるのは知っているけれど、
もとより見習いの身で、一目置かれるような立場になる訳がない。
そう割り切ってのことなのだけれど。

「え? 推薦人か保証人……ですか?
 そんな人いないんですけど、どうしたら良いですか?」

窓口のおっちゃんは、まだ話の分かる人だったけれど、
それでも善意からなのか、そんなことを言い出してきた。
受け取った登録用紙を手にしたまま、困り切ったような表情を浮かべ。

「あの、別にドラゴン退治の依頼を受けようってわけじゃないんですし……」

トーラス > 荒くれ者の冒険者達の応対をするギルドの受け付けの男性は、
彼女の言葉に太い眉毛を詰め寄らせて眉間に皴を刻み込むと彼女を改めて眺める。
受け答えはしっかりしているものの小柄な背丈に童顔が相俟って子供にしか見えぬ彼女が、
ギルドの酒場で屯している他の冒険者に混ざってこの業界で渡り合っていけるとは誰の目にも見えないだろう。

『はぁ~、口が悪い連中だが、奴らの言ってる事は間違っちゃいねぇよ。
 そうだな。たっぱが、この位になったら出直すか、保護者でも連れてきな』

手軽に稼げる職業と思われているのか、或いは、それこそドラゴン退治に憧れているのか。
前途ある若者の中には血気盛んな情熱から冒険者ギルドの門を叩く者も多い。
だが、冒険者と依頼主を仲介する以上、誰彼構わず認める訳にもいかず、
また、若者が危険と隣り合わせの職業に身を窶すのは、せめて止めたい善意を覗かせて。

「――――あぁ、だったら、俺がその保証人になってやろう、か?
 折角の若人のやる気の芽を潰すのも何だし、最初の頃の簡単な依頼に付き合っても良いぜ」

強面に似つかわしくない親心を見せる男と少女の会話に割って入ってきたのは中年の冒険者。
少女の姿を見遣りながら口端を緩める彼に、受付の男は双眸を細めて余計な口を挟むなと睥睨する。

シアリィ > 窓口のおっちゃんの言い様に、大人しげな少女と言えども、さすがにむっとした表情を見せた。

「身長のことは、気にしてるのに……」

それでも、激昂して突っ掛っていかない程には、周囲の冒険者ほどに血気盛んでなく。
ただ手にした箒を握りしめる手には、ぎゅっと力を込められ。

「保護者連れでギルド登録に来る方が、よっぽどお子さまだと思いますけど。」

ぷん、と顔を背け。捨て台詞を吐いたところで、周囲から声が掛かる。
周囲も一瞬静まりかえったけれど、「物好きな奴だ」と呆れたような笑い声が広がり。

「えぇーっと……よろしいんですか?
 こんなこと言ってくださってる人がいるんですけれど。」

前段は、声を掛けてきた冒険者に。
後段の台詞は、窓口のおっちゃんに。
渡りに船の申し出ではあるけれど、無償というわけもないだろう。
ちょっとばかり、そこが心配ではあるけれど、ありがたい申し出なのに違いなく。

トーラス > 少女に声を掛けたのはギルドでもベテランの域に達する古株の冒険者。
その輝かしい来歴も、現在の凋落も知れ渡っており、同時に手癖の悪さも広く認知されている。
故に笑い声と共に方々から寄せられた「物好き」の意味合いにはその類の揶揄も含まれていただろう。
尤も、初対面の彼女にそのような事を悟らせるようなボロを出す真似はせず。

「トーラスだ。まぁ、俺も冒険者に成りたての時は、まだ14、5のガキで周りに散々舐められて苦労をしたもんさ」

肩を竦めながら茶化したように己の事を語りながら、受付の男性に一瞥を返す。
中年と少女の二人からの視線を正面から受けて、彼は渋い顔をしながらも後頭部を掻くと、
カウンターテーブルの上に置いた登録用紙を人差し指で小突いて見せて。

『文字は書けるんだろうな? 名前は此処だ。
 最後に忠告だが、冒険者は何が起きても自己責任だからな? そいつを承諾できるならばサインしな』

男性の忠告が向けられた先は、冒険の危険性に対するものなのか、隣りの男に対するものなのか。
中年冒険者は、そのやり取りに口端を緩めながら、カウンター内の他の店員に声を掛けると二杯分の酒を注文して。

シアリィ > 魔術は使えても、人生経験はまだまだその外見相応で。
少女は、周囲の男たちの笑い声に下卑たものが混じっていることには気づかず。

「シアリィと言います。よろしくお願いします、トーラスさん。
 お礼は如何ほどになりますか?」

師匠からは、散々人をすぐに信用しすぎだと口酸っぱく言われている。
それに世の中善意ばかりではないのは、良く知っている。
ぺこりと保護者になり出てくれた相手に頭を下げて。

「はい、それは覚悟の上です。」

窓口のおっちゃんのその言葉は、初めに言って欲しかったもの。
そうすれば、こんな回りくどいことになりはしなかったのに、と少しむくれ。
それでも、おっちゃんの気が変わらないうちに、とサインを済ませてしまい。

トーラス > 「ははっ、ガキの頃の俺よりもしっかりしてるな。
 だが、別に金に困ってる訳じゃないし、若者からせびる気もない。
 そうだな…。一緒に受ける依頼の報酬分配での上乗せと、その間の雑用辺りで構わんさ」

初心者の冒険者が稼げる依頼の報酬などたかが知れているのは同業者ならば百も承知。
そもそも、若者の財布から謝礼を取り立てる暇があるならば、まっとうな依頼を受けた方が稼げる金額も大きい。
少女がサインを済ませると強面の受付は肩を竦め、登録用紙と引き換えに木片にその名前を記載すると彼女に差し出す。
後は隣りの保証人を名乗り出た男にでも聞け、と用紙を手にして後ろへと引っ込んでいき。

「そいつは冒険者の証で、登録したての見習いは木製だが依頼をこなせば金属製になる。なくすなよ?
 ようこそ、冒険者の世界へ。おめでとう、こいつは俺からの奢りだ」

注文した酒の入った木製のグラスの片方を彼女に手渡すと、強引に乾杯するように杯を合わせて口を付ける。
飲み口は軽めの葡萄酒ながら、度数自体は強めの酒で唇と咽喉を湿らせながら、少女を眺め。

「俺は剣を遣うが、見たところ、シアリィは後衛だな?
 冒険者になってどんな依頼を受けたいんだ? 迷宮で一攫千金か、強さを求めて魔物を狩るのか?」

差し障りのない会話を振りながら、相手が手渡した酒に口を付け、飲み進めるかを窺うように目を細め。

シアリィ > 受け取ったタグは木製の簡素なものだった。
それでも、大事そうにそれを握りしめ。

「そんなのでいいんですか?
 私にとっては、ありがたいお話なんですけど。」

師匠もかつては冒険者をしていた頃もあったというから、ちょっとした憧れも有ったりしたのも事実
師匠と一緒に旅をしていた時も、採取や討伐の依頼はこなしていたから大丈夫。
これも目の前の冒険者が保護者に名乗り出てくれたおかげ。
まだ少し納得のいかないところもあるけれど、善意を疑いすぎるのも申し訳なく思えば、それ以上は追及せず。

「え? わっ、えと……はい、乾杯です。んっ……」

言われるがままに、杯をぶつけ。
口に含むと思ったよりも、甘くてさっぱりした味わいだった。
両手で包むように大きな木製のグラスを抱えなおし。

「はい、見たとおりの魔法使いです。
 薬草の採取とかは得意なので、そっち方面かなと。
 迷宮なんか潜ったら、途中で迷子になっちゃいますよ。
 あと薬も作れるので、ギルドで買い取ってもらえる助かるんですけれど。」

自分で、お店に売ってもいいのだけれど、それをするには自分で販路を開拓しないといけない。
その労力を考えたら、多少安くてもギルドを通して方が楽だろう。
そんな見通しを、果実酒をちびちび飲みながら説明していき。
少しトラブルもあったけれど、無事に登録が済んだこともあって、冗談めかした軽口も交え。

トーラス > 「お、言ったな? 雑用も意外と大変だぞ。
 飯炊きや荷物持ち、ほかにも色々と世話をしてもらう事もあるかも知れないぞ」

葡萄酒を咽喉の奥に流し込みながら、軽口を言って笑い飛ばす。
ギルドの受付が心配していたように初対面の男に何の警戒心も抱かぬ様子にほくそ笑みながら、
彼女の口から告げられる説明に相槌を返しながら、耳を傾けて。

「成る程な。
 最初は安めに買い叩かれるかも知れないが、効果と納品量次第ではギルドでの買取が一番安定だ。
 だったら、丁度良いから、まずは薬草採取の依頼から始めるとするか……」

堅実に足が着いた見通しに感心したように頷き、聞き手に回りながら相手の反応窺う。
幸い、一悶着の末に登録を果たした安心感と、説明で乾いた咽喉を潤すように杯が進む様子を見守り。

「よし。依頼や報酬の件、詳細をゆっくりと詰めていくとしようか。
 此処だと人に聞かれる恐れもあるから、奥に行こう」

頃合いを見計らってそんな提案を持ち掛けると、カウンターへと硬貨を置いて店員に目配らせをして、
差し出される鍵を手にすると少女を伴って、酒場奥に用意された宿部屋へと連れ込んでしまおうとして――――。

シアリィ > 「旅の雑用なら慣れてますから、任せてください。
 それに、それってパーティを組んでなければ、全部自分でやらなきゃいけないことですよね。」

さりげなく含みを持たされた色々との内容にまでは気が回らない。
そればかりか、何だか頭がふわふわする。
無理はしていなかったはずだけれど、環境の変化で疲れているのかもしれない。
欠伸が漏れそうになるのを、どうにか抑え。

「はい、初めのうちは近くの森で薬草採取がいいかな、って。
 奥ですか? わかりました。」

お金が絡む話ならば、確かにおおっぴらにするものではないのかもしれない。
立ち上がろうとして、ふらりとたたらを踏む。
ぱちぱちと目を瞬かせて、火照った頬へと手のひらを添え。

(もしかして、結構、酔っ払っちゃってる?)

初めてのことによく分からないけれど、ちょっと危ないかもしれない。
先を行く男の後を付いていくのも、怪しい足取りで―――