2024/03/01 のログ
ランバルディア > 「――おかえり、首尾はメシでも食いながらゆっくり聞かせてもらおうか」

依頼を受けた誰かが、両手に薬草を抱えて帰ってきた。

これまでやってきたのは冒険者以外だと孤児を食わせるのに困窮したシスターだとか、家族に薬を買いたい町人だとか。
見目と覚悟だけ持ってやってくれば、市中における程度の金銭面については都合がつくのだから。
同じ身体を売るにしても、どこぞに所属して色んな意味で当たり外れの大きな客を相手するより数段マシな筈だ。
宿にも困る有様であれば、一昼夜の寝床と食事セットも嬉しいのだろう。
一応、名目上としては採取依頼という建前もある。

そうして今日もひとり、腰を抱かれて隣の宿屋へ連れ込まれて――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からランバルディアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるため出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。

「…ん」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。