2024/02/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアルテミィさんが現れました。
アルテミィ > 「ふんふん。」

(路上で販売をしている店先にしゃがみこんで、
 マジックアイテムや本を熱心に眺めている。
 けれども…)

「……うぐ。」

(金銭面の方の問題。
 喉から手が出るほど欲しいものは、
 目玉が飛び出るくらい高いものが多いのである。
 それでもまだ、路上販売というだけあって良心的な値打ちではあるが…)

アルテミィ > 「くうっ…。」

(泣く泣く諦める。
 毎日霞食べて生きられれば買ってもいいかもしれないけれど。
 残念、そこまで熟達した導師ではないのである。
 また来ます、とぺこんと店主の男に頭を下げてから、
 てくてくとぼとぼ、と通りを歩いて行く)

「…うー。」

(ギルドで受けられる依頼も、
 一人では限度というものがあるのである)

アルテミィ > 「だからと言って、あんまりお仕事増やしすぎても…。」

(学生としての勉学との両立が…。
 そう思いながらとぼとぼと人ごみの中に消えていく)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルテミィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリセさんが現れました。
リセ >  今日も人々が変わらず果実を売りパンを買い、嗜好品の品定めをする。
 そんなごく当たり前の生活が営まれる街のとある路地裏で響く震える小さな声。

「ぁ……あの、さ、さっき……買い物、した、ばかり……で……持ち合わせ……」

 柄の悪そうな十代の若者数人に囲まれて半泣きになっている女学生がいた。

 その日学用品を求めて放課後、帰宅する生徒の流れとは少し逸れて平民地区の商店が立ち並ぶ通りへ赴いた女学生。
 一応貴族階級なのだから通常であれば買い物するにも富裕地区へ出向くものだが。
 残念ながら没落貴族の家計は厳しい。高級品には手が出せず。数少ない、というか数足りていない使用人に買いに行ってもらう手間もかけられず。
 平民と同じように庶民的な店を選んで文房具などを購入し、最近評判の菓子店で焼き菓子なども土産に買い、いくらか上機嫌になってまだ温かい菓子の袋を抱えてほくほくと往く帰り道。
 良かったのはそこまで。

 通りかかった人気の薄い路地の途中で状況は一変した。
 対面からがやがやと歩いてきた見知らぬ若者達に行く手を塞がれ。
 そのまま押されるようにして狭い路地裏に連れ込まれて囲まれ、冒頭に至る。

 カツアゲ、というやつ。
 平民視点では身形の良い制服姿、ついでに如何にも気弱そうな上独りで歩いている女学生は格好のカモに映ったらしい。
 
 が、ちょうどいろいろと買い込んだ後で手持ちがほとんどない状態。
 はした金程度しか差し出せない状況で――そもそも差し出す義理は一切ないが――集る側からは得心がいかず。
『そんな小銭で全部な訳ねえだろ』『隠してんじゃねえよ』『早く帰りたきゃとっとと出すもん出せ』
 取り囲まれて詰め寄られ、泣きそうに双眸を潤ませて小柄な体躯をさらに怯えて縮こまらせながら、

「ぁ、ありま…せん……ほ、ほんとぅ、です……」

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクロエさんが現れました。
クロエ > 輝く金色の髪は二つにまとめ。
指先は赤青黄緑白に染め上げて。
元気が詰まる肌は小麦色。

そんな少女が見かけたのは、ご同輩の制服少女。
人気のない方にいくなあ、と何となく視線で追っていたらどうにもきな臭い感じな若者たちの姿まで見えてしまう。

「……マジで?」

この街ではありがちかもしれない。
たまたま目にしただけで。
同じ学院でも、もしかしたら見知らぬ娘かもしれないけれど。
それでも、放っておけなかった。

走る、走る。
持てる運動神経のすべてを駆使して、走る。

「……おーい、衛兵さーん。こっちこっちー!
 なんかヤバ気な人たちがヤバげなことしてますよー!!」

若者たちの目に映るように路地裏に姿を現し、手をふるようにして。
言葉はやや意味不明であるが、衛兵を呼んでいるかのように叫びを上げる。

ちょっとしたカツアゲ程度の連中ならこれで逃げるだろうか。

リセ >  何せ身形が良い割に気も力も弱そうなもので、一部の連中には良いカモ、としか映らなさそうな。
 貴族末娘という最弱の生き物。
 若者たちに囲まれて、小柄な体を余計に縮めて小動物のように震えていたが。

「…………え……」

 迫られて差し出す金品もなく瞳を潤ませていたその時。
 誰かの声がその不穏な空気を掻き乱した。

 衛兵を呼ぶ声。
 少し業とらしいくらいの大仰な手ぶり。
 一瞬怯む若者たち。しかし本当に衛兵が駆けつけてくるにしろ来ないにしろ――騒ぎになるのは厄介、と判断したか、舌打ちして『行こうぜ』『文無しには用もねえしな』『他当たるか』口々に億劫そうな声を出して。
 逃げ出すと云うには大分悠然と立ち去っていく。
 まだ実際金品を巻き上げていない段階なのだから本当に衛兵が来たところで何もなかったととぼければいいと思っているのか。
 急いで逃げた方がやましいと認めているようなもの。背を向けて通りの向こうへと何事もなかったかのように消えてゆき。

「………あ……」

 そしてぽつん、と現場に残されるいささか茫然としたような女学生がひとり。

クロエ > 当然、急いで駆けつけた少女が衛兵、なんて大層な手勢を引き連れられたわけもなく。
完全なブラフであった。一か八かの賭けであった。
もしも相手が開き直ったりすれば一大事である。

「……っはー……!」

そんなわけで、どんな思惑があるにしても去っていった若者たちを眺めて大きく息を吐きだす。
荒事ができないわけでもないが、複数相手に何処までできるかもわからなかったので大助かりである。
ちょっとだけ力が抜けるが……それよりも、茫然としている少女が目に入ったので元気も戻る。

「やっほー、大丈夫?やー、よかったよかった上手いこといってさー。
 って、大丈夫じゃないかな。ともあれ、連中は行っちゃったみたいだからまずはこっから離れる?
 それともまだ呼吸が落ち着かなかったりとか?
 それならちょっと休憩とかしていく?まあ、それでも此処にいるよりは移動したほうがいい気もするけど。
 何なら肩貸す?」

元気に相手に走り寄って勢いよく話しかける。
それはもう、元気いっぱいに。

リセ >  囲まれていた状態から一人残されて、とにかく事なきを得たらしい……と認識していれば。
 やはり本当に衛兵を読んだわけでもなく、近づいてきたのは制服姿の少女一人で。

「え…? えっ……あ、あ、えと。えっと……」

 矢継ぎ早に投げかけられる言葉に返答を差しはさむ暇もなく、あうあうと口ごもり。
 買い込んだ菓子の袋を胸の前で抱きしめて反応に困ったように眉を下げて立ち尽くし。

「あ、の……い、いえ……大丈夫……です……」

 危害を加えられた訳でもなく怪我もないので肩を貸すという発想自体きょとんとしていたが、とりあえずそれにはふると首を振って遠慮し。

「あ、ありがとう……ございました……っ」

 遅れてしまったが助けてくれたらしいと理解して慌てて長い毛先を大きく揺らすようにして頭を下げ。

クロエ > 相手がわたわたと口ごもる様子を見て、だいたいのことを察する。
まあ、そもそもそんな反応は慣れっこの少女ではあった。
要するに、自分がアレなのだ。わかってはいても、性分はなかなか直せない。

「あはは、ごめんごめん。驚かしちゃった?
 いやー、あたしの悪い癖でさー。ちょっとは落ち着いて喋れよってやつ?」

けらけらと笑いながら、一応は謝る。
大丈夫そうであることは言葉と様子で納得して。

「ああ、うん。まあなんか成り行き上でねー。
 お礼なんかいいよーってトコだけど、まあ言葉だけならいくらもらってもいいしね。
 もらっとく。」

ひらひらと手を振って応える。
それから改めて少女を眺める。どうみても、同じガクセイ……の、はずだ。
あとは買い物袋っぽいもの。

「ところでー。見たとこ買い物中な感じ?それとも今日はおしまい?
 あたしと同じ学院の生徒さんだよね?」

好奇心もあって聞いてみる

リセ >  引っ込み思案な自分とは相当対照的に社交的の象徴のような少女。
 どうしよう、何かおかしなことを云わないようにしなければ……言葉に気を付けなければ……そんな風にぐるぐると頭の中で焦るあまり気の利いた言葉どころか真面な受け答えさえもできていない。

 そんな自分の不甲斐なさに余計に焦りを覚えながら。

「あ、い、いえっ…いえ、そ、そんな、そんなことは……わたしの方こそ……すみません……あの、助けて、いただいた、のに……」

 きちんとお礼も云えていない。情けない。
 彼女の言葉からすると通りかかって絡まれているのを見かけて助け舟を出してくれた、ということらしい。
 概ね察してはいたが改めて。

「ご親切にありがとうございます。本当に助かりました……あの、あなたも、危なかった、かも知れないのに……わたしのことなんかに……」

 衛兵はいなかったからにはことによっては彼女の方もとばっちりを喰らっていたかもしれない。
 申し訳なさそうに眉を下げつつも。

「あ…はい、一通りは、終わり、ました……え、あ、多分そぅ、ですね……。
 コクマーラジエル学院の……
 あ、その、改めまして、わたしはリセアリア……リセ、と、申します」

 親し気に話しかけてくれる同年代の学生に警戒心はもとよりなく、ひとまず自己紹介。出来ればクラスと名前を伺って後で何かお礼をしなければと考えながら。

クロエ > 自分とは対照的な眼の前の少女。
喋ることもあまり得意ではなさそうで、あわあわとしている雰囲気が伝わってくる。

「あはは。だからいいっていいって―。
 困ってそーな人がいたら助け合い、ってね。
 しかも同じ学院(おながく)っぽい子だったら尚更っしょ?」

お礼を一生懸命に言おうとしている少女に、それだけで好感を抱いて微笑む。
別にお礼が欲しくてやったわけでもないけれど、こうして言われるのはやはり嬉しい。
だから、その分ひっかかる言葉がある。

「はーい、はいはい。
 私のことなんか、とかいいっこナシ無し!
 あたしは助けたくて助けた。それで十分っしょ?」

にぱっと輝くような笑顔でその言葉を訂正する。
まあ、確かに危なかったかもしれない……のは事実なのだが。
こうしてお互い平気なら、まあ結果オーライである。

「あ、ごめんごめん。自己紹介忘れてた。
 リセアリア……リセッち、ね!おけおけ!
 あたしは、クロエ!よろしくね、リセっち!」

勝手にあだ名を付けて、握手握手ー、と手を差し出す。
そこには当然警戒心などなく、ただただ楽しげであった。

「せっかく同じ学院、同じ学生で会ったんだしー。
 今日から友だち、ね?どおどお?」

そんな申し出も一緒に飛び出す。

リセ >  気さくな印象、コミュ力の高さ。自分にない物を持っている相手には少々憧憬を抱く。
 すごいなあ…などとぼんやりと感心しながら。

「だ、だけど……でも……わたしは…意気地がないので……そんな風に人助け、とかも……多分、できなくて……」

 絡まれている生徒を見かけて彼女のように機転を利かせて立ち回れる自信もない。
 かといってばっさり見捨てるほど無情でもないからきっとどうしたらいいのか分からず立ち尽くんで焦って……そんなことしてたらついでにタゲられるという末路さえ見える。

「ぁ、ぅ……え……優しいん、ですね……」

 笑いかけられて自然に、ほわ……と表情が和む。
 こんな人もいるのだ、と学院では虐められているばかりのカースト下位な女学生はしみじみと感心して眩しい物でも視るようにその笑みを眺めて。

「り、せ…っち……?」
 
 予想外の呼称に思わずきょとん、と自分を指さしてそれはわたしのことかと目を丸くする。
 すごい。ガンガン来る。どうしたらこんなに積極的になれるのだろう。
 握手、と差し出される手を、おずおずと握ってはさらに友達、と思いがけない言葉にさらに目を真ん丸くして軽く見開き。

「え。あ、と、とも……ッ…?」

 驚いて声が裏返ってさらに噛んだ。
 舌を噛んでいたそうに少々泪目になりつつも。

「ぉ、おとも、お友達……に…ですか…? い、今お会い、した、ばかり……え、と、あの……わ、わたし……全然その……クラスで馴染んでなくて…変な癖もあって……どちらかと云えばハブられる側で……そ、そんな、感じ、なん、です、けど……」

 いいんですか? 大丈夫なんですか?と恐る恐る、我ながら友達にしたようなタイプではないと思うのだが、と遠慮がちに問いかけて。

クロエ > 相変わらず、あわあわする少女。
ある意味、自分には新鮮なタイプだなーと微笑ましく思ったりする。

「んー……意気地、意気地かー。まあ?たしかに?あたしは、ノリと勢いで走っちゃうタイプだけど?
 意気地かって言われたらどーなのかなー? 正直、今のだって言われた通りあたし自身も危なかったかもだし?
 それなら、大人しく見てる方が正しいかも知んないしさ?
 まー、だから出来るできない、なんていいか悪いかわかんないと思うよ」

正直な所、五分五分くらいな賭けだったりしたわけで。
後で誰かに話したら、お前は馬鹿だ、無謀だ、くらいに言われてもおかしくないかもしれない。
それでもやりたくてやったのだから自己責任。
それができたから偉い、なんてものでもない、とクロエは思っている。

「うん、リセっち。リセアリアっていう名前も綺麗でマジかわって感じの響きだけどさ。
 あたしは親しみ込めたいからリセっちって勝手に呼ぶのだよ。」

ふふん、と勝手にあだ名を付けたことをまるで誇らしいことのように語る。
単なる自分勝手なのだが……

「そうそう、友だち……って、うわー……いたそー……」

唐突な友だち宣言に慌てた少女が思わず舌を噛んだのを見て思わずこちらも痛そうにする。
いや、あれは本当に痛い。なんなら、デキモノができて後々まで痛い。

「え、なんで?あー、そりゃリセっちがメイワクっていうならあたしも考えるけどさ。
 あたしこんなだし、めちゃめちゃ人にメイワクかけるタイプなのはわかってるしさー」

ごめんねごめんね、と軽く謝ったりする。
気さくでグイグイいく、ということは決していい面だけではない。
なんなら身分とか気にせずいってしまうので煙たがられる場合だってたくさんある。
自覚はあるのだが、それを治す気はあんまりなかったりするのだからたちが悪い。
とはいえ、拒否られれば深追いするほど馬鹿でもない。

「馴染んでない、かー。リセっちの言葉をちゃんと聞けば別に普通の子だし?
 変なクセ……は、まだ知らない、と思うけど。
 知らないからまあ気にしても仕方ないし。大概のことは別に気にしないよ、あたし。」

根本的に許容範囲が広い少女は、今のところ目の前の少女はせいぜいが「ちょっとあわあわしやすい少女」という程度の認識でしかない。その程度なら話をゆっくり聞いていればいいだけで特に支障はない。
それどころか、自分が勢い任せのトークをする分、ゆったりのほうがバランスが取れているかもしれない。

変な癖、は……痛そうなのは得意ではないのでそうでないことを祈るばかりである。