2023/12/15 のログ
ヴァン > わかってはいたことだが、粗品10個。
さきほどすれちがった、肩を落とす人達の気持ちをすこしだけ理解しながら鞄に詰め込む。

「……温泉か」

意気揚々と抽選機に向かう後続の邪魔にならぬよう列から外れて考える。
飛竜便でダイラスまで1時間とちょっと。そこから高速馬車で1時間ほど。
九頭龍の水浴び場の系列だから、水浴び場に聞けばいつが空いているかは確認してもらえるだろう。
旅の計画をぼんやりと形作りながら、男は広場から立ち去っていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/書店街」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/教会懺悔室」にクレイドルさんが現れました。
クレイドル > 王都マグメール。平民地区。
如何なる宗教に属するものか、教会の片隅に据えられている小箱のような一室。
二つのスペースに分けられたそこは懺悔、罪を悔いて謝罪する為の場所となる。
其々の余り広いとは言えない空間には椅子が一つずつ。
区分ける境目となっている壁部分には敷かれた厚手のカーテンが一枚に金属の格子戸が一枚が付属している。
この開けた場所を経由して、訪問者は己の罪を告白し、懺悔を聞く側は耳を傾ける事になっていた。
…だが、本来の意味以外でも此処で扱われていたその証拠に、此処には隠されているが…。
お互いの部屋を通じさせる一枚の隠し扉もまた存在している。
時刻は日暮れを迎えてとっぷりと日照の遮蔽された夜中であり、
教会内もまた薄暗く礼拝に来ている人物はほぼ皆無と言っても良い。
しかし、部屋の懺悔を聞く側の一室には一人のシスターが鎮座している。
灯りとして燭台に置かれた一本の蝋燭を壁からせり出す棚に載せて光源とし。

「神は全ての罪を赦し、洗い清めたもう…己の罪を告白する機会を与えましょう。さあ、何でも仰ってくださいまし…♪」

全てはその様な文句から始まっていた。

クレイドル > 「神はその罪を赦されますわ…♪」

貧民地区の住民が、空腹に耐えかねてパンを窃盗してしまった、という罪を告白しに来た。

「神はその罪を赦されますわ…♪」

平民地区の住民が、店番をしている時に客の支払いが多すぎる事を黙って、そのまま受け取ってしまった、という罪を告白しに来た。

「神はその罪を赦されますわ…♪」

富裕地区の住民が、夫婦間のセックスがマンネリで刺激を求める為に浮気してしまった、という罪を告白しに来た。

様々な地区の住民が罪の告白に訪れ、そしてすっきりした様子で立ち去って行く。
己の抱え込んでいる重さに耐え切れないのか、あるいは自分のやった事をある意味主張したいのか。
余り人気だとは言い難いようなこの教会の懺悔室にも、聞いてくれる人が居る、というだけでそれなりに告白を行う人物はやって来る。

「でも、本当に洒落にならないような罪はまだ聞いておりませんわね…例えば、人を殺めてしまったですとか…♪流石に懺悔室で吐露するような不用意な真似をする者は居りませんのね…ああ、次のお方もお入りくださいまし」

精神的なセルフケアの意味合いも勿論あるのだろう。
扉が開く音が聞こえた。また一人の懺悔を行う者が区分けた片側の部屋の中に踏み入って来る。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2/教会懺悔室」からクレイドルさんが去りました。