2023/12/08 のログ
■リセ > 「あ、じゃ、じゃあ……カナ…カナ君……っ」
閃いた、みたいに愛称めいた呼び方を急に口にしてから。馴れ馴れしかったか、と不安そうに窺い見て。
そして、小刻みに振動している鉈に気づくとびくっ、と肩を揺らして。恐々としたような視線を向け。
「……そ、それは……壮絶、ですね……あ、あの……差し支えなければ……何故冒険者に……?」
希少種です、と大真面目に肯いては。まだ通常は何を目指すかも決まっていないような年頃なのに、もうすでに冒険者として一線で活躍している理由が気になって遠慮がちながら尋ねてしまい。
「い、いえ……よくある、話し、ですし、わたしなんて、全然……カナ君からすればぬるま湯です……
平民地区の……お友達、です、か……
ぁ、ぁの……で、でしたら……そ、その……もし、もしも……よろしければ……カナ、君が……その……教えて……ぁの……ぉ、友達、に……」
もっともな意見にふむふむと肯きつつも、無意識に顔を赤くしてお友達に、なんて云いだしてしまってから。
またもや云ってしまってからさすがに厚かましかったかも知れないと自覚して、真っ赤になりながら慌てて。
「い、いや、ですよね……っ……そんなの……す、すみません……わ、忘れてください……」
■カナム > 「いいねそれ、そういう普通のあだ名は嬉しいよ。」
ちびとか坊主に比べればとてもいいあだ名である
いきなり怯えた様子を見せるリセの様子と小さく振動が伝わる腰
小さくため息をついて鉈の背を撫でて大人しくさせる
若い血に興奮でもしたのだろう、お預けもされた後なので余計に
「子供1人で出来るまだマシな仕事だから…かな。
それにまぁ、荒事に適性があったっていうのもあるから。
そっかぁ、希少種かぁ…」
暴力で何とかするのに向き不向きは存在する
自分は向いていた、だから冒険者になったのだ
真正面から希少種と言われればそうかなと納得してしまう
馬鹿にした様子ではないので余計に言い返しづらいのだ
「辛い事は人と比べても意味ないよ、誰だって辛いのは嫌なんだから…僕が?
…うん、いいよ。お友達としてヤバい道と場所は教えてあげる。
別に嫌じゃないし僕も真面な友達なんてそうそう居ないから嬉しいしね。」
にこりと年相応に笑う
確かに自分が一緒に歩いたりすれば護衛代わりにもなるだろう
首を突っ込んだのだからそれぐらいは付き合うつもりである
■リセ > 「ほんと、ですか……? 良かった。なんだか、少し仲良しみたい、かな、って……」
年下扱いっぽい、とプライドを傷つけることにならないだろうかと心配していたところ快く受諾してくれる返答に安堵したようにほんわかと表情を弛め。
しかし、彼の得物が動いているように見え、それを宥めるような所作を見せるのに、恐る恐ると「生きて…ます…?」と通常有り得ないことを訊いてしまい。
「まし……でしょうか……他のお仕事に比べて生きるか死ぬか、ではとても大変そうですが……。
稀なるカナ君ですね。個性的……?」
こうして話している分には気性が荒いようにも然程見えない。
けれど牙を剥くとなると様相を変えるのだろうと云うことはさっきチラ見したので分からないでもない。
よくいる訳では決してない、マイノリティではあるのだから、希少というのは外れていないと思い、大真面目な顔で肯き重ね。
しかし、個性…?かな…?とそこは自分でも疑うように疑問符をつけて。
「本当に……そうですね……わたしの方がカナ君より四つも上なのに……カナ君の方が本当にしっかりさんです。
え、ええっと……その、つい、調子に乗ってしまって……お友達なんて……うんいいよ……?
え? えっ……ぃ、いいん、ですか……? 本当に? わたし、なんかと……?」
世迷言を口走った、とお友達に、なんて云ってしまってから怒涛の後悔が押し寄せるが、今のなしに…と思ったところで、肯定してくれる声に思わず驚いたように軽く瞠目して。
それから、屈託ないように笑う少年の顔をまじまじと見つめてから、ぱあ、と表情を一転させて急に灯りが点ったように輝かせ。
「い、至りませんが、どうぞよろしく、お願いします……!」
手を差し出してぎゅっと握手しようとしながら嬉し気に弾んだ声を響かせ。
■カナム > 「友達だからね、初めましてで宜しくだけど仲良しだね。
生きてるというか…呪われてると言うか?よく分かんないんだけど血とかが好きなんだよね。
折れない欠けないよく切れる鉈ってだけだからそこまで心配要らないよ。
勝手に動き回って人を襲ったことは今までないから。」
プライドが傷つくなんてこともなく寧ろ好意的な対応に心はとても穏やかだ
鉈に関しては正直正確にすべてを把握はしていないので一先ず安心できる情報を出しておく
アクラが持っている時は少なくとも危険なものではない
「大変なのは間違いないよ、選べる環境だったら絶対に選ばないことを勧める位には。
うん、どうぞよろしくお願いします。
でも学園ではあんまり冒険者と友達になった、とかは言って回らない方が良いと思うよ。
変な奴に目を付けられるかもしれないから。」
気弱だった少女がある日冒険者と友達になったと口にする
いい意味でも悪い意味でも目立つ輩は叩かれるのが世の常
冒険者ギルドでも悪目立ちした輩がどうなるかは見てきているわけで
「さて、じゃぁそろそろ行こうか。
今日は家まで送るよ。それでまた今度このあたりの道を教える。
首はちゃんとした医者に見せてね?」
■リセ > 「わ、わあ……仲良し……ふふ、嬉しいです。
呪、い……ですか……ち、血……あの、でも、それだったら……わたし…呪いも無効化、させて、しまったり、する、みたいなので……間違って触ってしまったり、とか…しないように気を付けますね」
仲良し、と口にしてはほくほくと嬉し気に表情を和ませて。
呪いの類なのだったら、自分の妙な体質でもしも何かあったら一大事だ、と気を引き締め。
持ち主も不明点も多いのだったら用心しようと心がけた。
「カナ君、なら…冒険者以外にだって、なんでも、なれそうで、他にも沢山選べると、思うのですが……とてもしっかりしてますし……
そぅ、ですか……? でも、冒険者と兼任している方も学院には多い、ですよ……?
大丈夫かと思うのですが……
ぁ、で、でも…人に、云ったり…しません、から…きっと…ご迷惑、かかります……」
もうとっくにいろいろ目を付けられた上で学院でのヒエラルキーは最底辺にいる。
その点では完全に今さら感だけれど。
それよりも、自分と友達になったなんて彼が知られたくないのだろう、とそう思い至っては誓って他には吹聴しませんと宣言し。
「あ、はい……家、まで……いいん、ですか…?
すみません、ありがとうございます。
ぁ……あの、これ、良かったら……お嫌いじゃなかれば、どうぞ。さっき買った焼き菓子なんですけど……」
医者には診てもらうと素直に肯いては、お礼、と絡まれる前に購入していた焼き菓子の袋を、少し皺になっているが中身には問題ない筈だから、と受け取ってくれるようならば差し出して。
そして、お言葉に甘えて屋敷まで送ってもらうことにし、二人連れだって歩きだすのであった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からカナムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリセさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 屋台街」にリリット・アリール・ソエティアさんが現れました。
■リリット・アリール・ソエティア > 【待ち合わせ待機中】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 屋台街」にシースさんが現れました。
■シース > 「…ですね。先生はなかなか、特別だと思います…し。
私まだ、他の国には行った事ないのですが。其処に関しては気をつけなければいけないと…思います」
嫌がる事はしない。彼がそう言ってみせるので、其処は信じても良いだろうと思う。
なので其処についてはこれ以上突っ込まず。寧ろ外国の習慣について、其方の方が気になりそうだ。
海を渡り彼方此方に行っている彼ならば。さぞ色々な国について知っている事だろう。
機会が有れば今後。そうした話を色々聞いてみるのも。興味深いかもしれない。
「そういう考え方をすると、何というか。…貴族クラスだけ、休み時間が多いみたいで。ちょっと気になりますね。
差別的だとまでは思いませんけれど…それでも。少しばかり羨ましいというか。
…まぁ実際、そんなちょっとした休み時間の暇潰し、としても。
こまごまとした何かを作るのも、アリ、ですかと」
続ければ成果は出る。確かに、その通りだ。
休憩時間等の暇潰しとして、少しずつ何かしらの小物でも作ってみるのは。悪くないかもしれない。
こちらもこちらで。リボンを送る、という話になった以上。同じように手にしたリボンを、彼の何処にどう似合わせれば良いか。
内心で思案してみつつ。
…そうやって教室で時間を潰す位なら兎も角。貴族達の間等に入っていこう等とすれば、確かに…
何か良くない事に巻き込まれる可能性も有るかもしれない。
というよりは…実際、既に。学院に通い始めた少女は、「良からぬ目」というものに、既に遭遇している訳で。
「自分で、でしたら。確かにそれで良いですけど。
……誰かに贈り物だなんて、滅多に有る事じゃありませんから。少しは気合いも入れてみようかと」
そう、身に着けるのは彼なのだしと。出来や見た目は兎も角、細かくなくても良い…などと。
気を抜いたような形になるのは、まず自分自身が許せない。
結局少女の頑固さと凝り性によって。今後リボンが完成し、彼に贈答されるのは。少々先の事になる…かもしれない。
さて、互いに品を手にし、代金も払ってしまえば。
次に目指す店は何処だろう。…少し首を傾げてから、ぁ、と。
「…せんせ……こほん。リリットさん、のお薦めの店…が、有るんでしたっけ?」
■リリット・アリール・ソエティア > 「ふーむ…シースさんに特別って言われるのは、本来違った意味だとしても嬉しいかも。
揉める理由が慣習とかだと一番困るよ。食べちゃいけない、飲んじゃいけない物とか初めてじゃわからないし」
特別と言う事を少女に言って貰えて、何やらニコニコと微笑んで。
流石に相手を見る程度は、するよねと内心で考えつつ。
例としては軽めの物を、飲食は地域や宗教も絡むので面倒だが、それを守ればいいだけとも言える。
重い方は夜這い習慣や、女性や男性の地位等…男性が低い所もあるので、船員が交渉できないなどあったりする。
「貴族クラスの子達って、学院は脈づくりも兼ねてるからだとは思うよ。
最低限の教育は家で受けてるはずだし…向こうは向こうで平民は気楽そうとかおもってるかもね。
裁縫なんかは一気にしなくてもいいからね、ちょっとの時間で少しずつで良いし。
そうしてる間に、納得できなくなってやり直しとか偶にあるんだけどね」
続けていること成果が出る、腕が上がる。
逆に言うと裁縫などは時間を掛けすぎると、最初の頃の縫い目が納得できなくなったりね、と冗談ぽく笑う。
実際、自分的大作つくってたら、途中で最初の頃の方が納得いかなくなって2回くらい最初からとかあったよと、小さく苦笑し。
そういいながら、少女の髪と手に持った布でなんとなくイメージをふくらませて。
貴族というのは上に行くほど厄ネタを持っているともいえる、仮に貴族と付き合うならある程度の度胸もいるだろう。
少女が頑ななのが、なぜなのか詳しくは知らないがそうなった原因はあるのだろうと頭の隅で考えて。
「そう?、それじゃボクも一寸がんばろうかな。
シースさんのそういう気持ちに負けないように、ね」
互いに身に着ける品を、手作りで送りあう…しかもリボンという裁縫のかかわる品。
そこには相手のことを考えて、一針一針という作業が入る、結果として贈る相手を考える時間が増える事に。
だからこそ、気合を入れるという言葉が嬉しくて、少女を照れさせる艶っぽい笑みが自然と浮かんで。
「うん、屋台街から一本裏の方入った場所だね…目立たないらしいけど美味しいって聞いたよ」
少女を見つめていた所、問いかけられて。
ぽんと手を打って、あっちの方だったはずだねと、屋台街から伸びる少し狭めの道を指さして。
■シース > 「…ぁー…食べ物は確かに。どうあったって、生きていく上で必須ですから。避ける訳にもいかないですし。
それにしたって宗教上で食べられない、とかなら兎も角。味の好みというのは、どうして彼処まで違いが出るのでしょうね…」
何となく渋い顔になった。
彼との接触を避けた、その続き、という訳ではなく。話の流れでつい思い出してしまったのだ……先日。
こうして彼と校外で約束する切っ掛けとなった、食堂での一件を。
彼のように実地での体験等が有る訳ではない、だから少女の想像は。どうしても身近な事柄、飲食等に直結するらしい。
もっと踏み込んだ、それこそ、男女のあれこれ等については。余所に思いを巡らせるまでもなく。今此処だけて手一杯でもある。
「…だからと言って授業を減らす理由にはならないと思うのですが……って、ぁあ。あぁー…なる、ほど?
…そんな事ないですよ。気楽かどうかだなんて。何に苦労するかなんて。身分に関係なく…天は平等です。きっと」
平等に、人は苦労を背負い込まされる。産まれた辛苦を嘆くから、赤ん坊は、産声を上げるのだ。
実際自分にとって一番の苦労は、身体的な物だと考えているし。だとすれば其処には身分など関係ない。
…多からず、かといって、皆無ではなく。同じような性を抱える人間が他にも存在する事を。上京してから知った。
生まれ持つ肉体など、金額や立場で選ぶ事は出来ないだろうから……やはり。不運や苦労は平等に分配されるのだ。
などといった想像は。どうにも面白味の無い物で。この場には相応しくない。
基本ネガティブ思考に陥りがちな頭を振り、考えを追い払い。
「集中して一気に進めてしまう…と。それはそれで、後で直そうと思った時。戻し作業も増えますから。
実際、なかなか納得出来ません。…完成しきらない内に、シーズン過ぎて。次の年にはもう、別の流行になっているなんて。ザラですし」
季節物の作成になると。手の遅さと凝り性は、こんな所にも弊害が出て来るらしい。
だから今年のブーム!と呼べるような物にはせず。年を経ても使い易そうな柄で、リボンは作成しようと思う。
二年だか、三年だか…それ以上かもしれない。見た目よりもずっと年上、それどころか、この先だって長い事生きていくのだろう…
彼は、特別、と。少女の言葉には種の違い、それも含まれていたのだろう。
別に勝負事ではないのだが。負けないように、と言われてしまうと。責任が重くなった気がする。
彼方が本気で来るというのなら、此方もますます、手抜きは許されないぞと。
勝負ではないと思っている癖、内心の推移は完全に、宿敵との間で鎬を削る王道の物語…というか、何というか。
始まる前が既に肝心。そう言わんばかり。店で包装して貰ったリボンを仕舞い込むのも。変な折り目等がつかないよう丁寧に。
「………む。ぇ…と。
本当にその辺りも、お詳しいんですね…私は、まだまだ。
でしたら…お願いします」
ブツを仕舞い込んで、一息。そう表すと怪しげな取引のようだ。
息を吐いて再度彼の方に向き直ると…また。あの得も言われぬ笑みが向けられていて。つい、其処から目を反らしてしまう。
男としても女としても通じる顔の良さと物腰に重ねて、あんな風に笑顔を浮かべてくるというのは。ちょっと反則なのではないか。
思わず色気方面に転げ落ちてしまいそうな思考を、食い気の方へと軌道修正。
示される方向へと歩き出し、彼に導かれ…一本程度の裏道なら。差程掛からず、目的地に辿り着くのだろう。
■リリット・アリール・ソエティア > 「寒い所だと辛いものとか強い酒が増えるのは何んとなく判るんだけどね。
シェンヤンとかでああなるのはボク的には理解不能だねぇ」
辛いのが好きというのは生活上でという感じではない気がするのだ。
普通の食事で育った人が辛いものに出会って嵌る事もよくあるし、甘い物も一緒である。
「実際そうなんだよね…とはいえ学院運営にボクは口出せないし。
あはは、苦労とかにかんしてはボクもそう思うよ…だから互いに互いをうらやんでも仕方ないって事だね」
隣の芝生は青く見える、という理屈だろう、自分と違うから得しているように見える。
其処に関して言えば自分も人と違うからこそ、相手を知りたくなるという性格なので、損を損に感じない強さがあったりする。
これは、少女よりある意味で珍しいかもしれない身体特徴ともいえるだろう。
チラリとみた少女の様子に苦笑しつつ。
「そうなんだよね、終わり間際で最初の方に失敗がとかもあるし。
流行り物は翌年だと使いづらいしね、自分で作ったりするならベーシックので流行りに左右されないのがお勧めだね」
流行り物を使うなら買う方が良いかもと首を傾げる。
其の点今回はリボンなので奇抜な方向に走らなければ何時でも使える物を作りやすい。
少女を見ていると作るリボンは、基本はシンプル、すこしだけ刺繍とか入れても良いかなと、完成品を考えて。
少女に支払いを頼んだ布地をマントの内へしまい込む。
少女の瞳に宿る光がどこか気合が入ったような気がして、嬉しそうに笑みを作って。
「食と酒…は、船乗りが陸で楽しむことのトップクラスだしね。
そういう情報は色々入るよ、甘味に関して多くは無いけど数人はいるから。
りょうかい、それじゃいこっか」
互いに布をしまい込み、指さした方向へ歩いていく。
そうして少し歩いて、細い道へ入り店が見えてくると。
「っの馬鹿…甘味処だけど、美味いんだろうけど女の子連れて入る場所だけど、此処はまずいだろ。
ごめん、シースさんが知ってるところか別を探した方が良いかもなんだけど、どうする?」
思わず口調が荒くなる、普段と少し違った一面を一瞬見せ、そのすぐ後に普段と違い申し訳なさそうな顔で少女に声を掛ける。
先ほどあえて外した買うと食の欲張りセットとは予想外で。
視線が店の看板を捕らえる、入り口には黒板にお勧めのスイーツとしてクレープなどが書かれているが。
問題なのは、店の形態…外からみて大きな窓は無く、いくつかの換気口が見える。
其の上で、スイーツの下に書かれた個室チャージ料の文字。
甘味が美味い喫茶店は間違いでは無い、ただし個室喫茶という少女が入るには中々にハードルが高い店である事が問題。
小さな声で、そのことを説明して少女にどうするか尋ねる、きちんと店の事まで聞いていなかった事を謝りながら。
■シース > 「……まぁ彼方は、高山地域とかも多いようなので…寒暖差は有るのかも、しれません。
それに元々香辛料って、健康の為だったり殺菌の為だったり、も有りますし…何れにせよ。私達の預かり知らない理由は、有るんでしょう。
…理解出来る事と、同意出来るかどうかは。別ですけど」
取り敢えず先日の料理は、二度と口にすまい。それだけは確実な決意。
別に辛い物が嫌いという訳ではないが、あくまで普通レベル。何事にも限度という物がある。
入れれば入れる程幸せになれる、とは。限らないのだ。
「そもそも私にとっては……広い交友関係を強制されるだなんて。それも、苦労だとしか思えませんし。
ぼっちでも、自分なりに。趣味の一つでも見出して、安穏と修学して、卒業して……えぇ。それで良いと思ってますし。
まぁそのせいで、卒業したらどうしようだとか。将来的なビジュアルという物、まだ全然、なのですけど」
勿論、まだまだ通い始めたばかり。卒業なんて何年も後の事だし…それまでに。
何が起きるかも。何を考えさせられるのかもまだ分からない。
今の少女はこう言っているが。場合によっては社交性を復活させる事や。えらい人達と関わる可能性だって。無いとは言い切れない。
…実際、今も。故郷ではお伽噺だとしか思っていなかったような。彼のような種族にも。関わるようになったのだから。
「とはいえ編み物とかでしたら、えぇ。まだマシですよきっと。
出来上がった後、やっぱり駄目だ、がしゃーんって。陶芸家の方とか良くやられるじゃないですか。
そういうのと違ってやり直しが効くんですから。
…ベーシックな…えぇ。それを踏まえて。考えておきますので」
陶芸家含め芸術家という物を。色々勘違いしていそうな台詞。
何はともあれやり直しというのも、手間といえば手間。だから最初の内になるたけ。彼の嗜好をリサーチしておこうと。
淡々と頷き、話題を重ねているかのようで。言われた事はきっちり、頭の中にメモしているのである。
かくして今後どんなリボンを作るか、は一旦此処まで。
暫し歩いて辿り着いた、船乗り達の中でお薦めらしい店。
学生達が足繁く通いそうな、お洒落な外観をしているという訳ではなく。大きな窓から明るい店内を誇張されている、という訳でもない。
看板こそ出ているもののそれ以外は。いっそ秘密の隠れ家というイメージすら感じてしまい、成る程これが、大人の甘味処という物なのかと。
こちらはそんな風に感じていたのだが。何やら口調すら崩してしまう彼の様子からして。これは相手の想定外であったらしい。
少女としては何が何やら。軽く首を傾げてしまいつつ。
「………?いえ…寧ろ良いんじゃないですか?
私としては助かるというか……ほら。良く言うでしょう。誰にも邪魔されず、静かに、楽しめる方がって」
元々少女としては。流行に左右され、人の多すぎる店…というのは、苦手な部類。
先程少し話していた通り。スイーツ含め飲食店について、少女のリサーチは味だけでなく。混み具合にも焦点が向く物。
寧ろ秘密の逢瀬を目撃し、それを噂にしかねない学院生やら。はしゃぎ回る幼子やら、それに注意もしない親やら。
そういった喧噪を気にせずに済むのなら大歓迎だ。そう告げれば、見た事のない場所に興味津々、でもあるのだろう。一足先に店の中を覗き込もうと。
…こういう店の実体について説明するか。少女の勘違いを是正するかは。選ぶ言葉含め彼次第である。
■リリット・アリール・ソエティア > 「あぁ、確かに山脈とかあるもんね…高山ならあったかいものもいるかなぁ。
昔は胡椒とかすごく高かったっていうしね、金と同じ重さでとかだったって。
其れは何事に関しても同じだよね、理解はできても納得はできないとか結構多いもの」
ドンブリは辛い物を食べたいというのは理解はできるが、それをお勧めで出すのは理解できないよ、と苦笑し。
此方も味覚は比較的普通、粗食やゲテモノに耐性がある程度。
極端な味付けは、好きな人以外幸せになれないと頷き。
「人付き合いはねぇ、面倒な相手もいるし無理に広めなくても生きていけるしね。
でもいまは、ボクと一緒にこうしているし完全ぼっちでもないよね?
シースさんはまだ在籍できる年数あるし、その間に見つかるよきっと」
学院に在籍できる期間は長い、というか限界があるか不明である。
幼い子から成人してる者、下手すればち中年学生もいるのだ。
長い在籍聞かなあれば、きっと見つかるんじゃないかと希望的観測を。
「あー、画家の人が出来上がった絵をパレットナイフでずばっととか、聞くよね。
裁縫は糸解けば大体何とかなるしね、パッチワークとかすれば端切れも色合いにできるし。
うん、ボクも普段使いできるのを考えておくね」
此方もそこは勘違いというよりは、半ばネタ、陶芸家に対し画家を上げて。
小女との会話が楽しくて、その言葉は頭に残っている訳で。
そんなわけで、機嫌よく近づいたわけだが。
予想外の店に声を荒げてしまい。
確かに隠れ家的な店なのだろう、この手の店で実際に甘味が美味いと思う人は少ない。
大体は、ついでで頼むものだろう、そんな甘味処を見つけたのはある意味感心するが、どう考えても買った相手と偶然という感じにしか思えない。
「ん……ん-、シースさんがそれでいいなら、いいかな。
まぁ、邪魔される事は無いと思うよ、うん…それじゃ入ろうか、ボクはイチゴクレープとココアにしようかな」
少し考えた後で、結論として出たのは自分が手を出さなければと言う折衷案。
ただし、それを完遂できるかは別問題、こんな邪魔が入らない場所で何が起こるかは分からないのだ。
とりあえず、中にはいる前に自分の注文を決め、少女も決めたら中へ入るだろう。
入り口には案内のウェイターがおり、注文を告げれば自分たちの部屋を教えてくれるので向かう事になるだろう。
追加注文は普通は無いが、受け付けているようだし、此処は防音もしっかりしていそうだ。
なにせ近づいても、そういう行為の声が聞こえないのだ、換気口はあるのにである。
■シース > 「だからこそ、それを手に入れに行く為に…航海技術が発達した、でしょう?
今となっては当たり前になってしまって。それでも、余所の国から色々と仕入れるには。
矢張り船という物に…本当に、お世話になっています、私達は」
極端でなく、普通の味付けだとしても。今や香辛料を使わない料理というのは。まるで想像出来ない。
当たり前が当たり前となるまでの、長い歴史は。彼等海の者達無くしては在り得なかったのだろう。
命を賭け航路を開き販路を開拓してきた者達には。素直に、頭が下がる。
「…私って。どちらかと言えば人という存在ついて。善性よりも悪性の方が強いと思っていますから。
危険を避けたいと思うなら。余程善性の存在を信じられる人…いえ、悪性を善性で押さえてくれると信じられる人、でしょうか?
出来ればそういう人達とだけ、お付き合い出来たらなと。
……そう、ですね。少なくとも今此処に、既に。一人は確実に居て下さる訳ですし」
流石に。人生を賭して追求すべき何かを見付け、研究職に就くでもしない限り。
それこそ普通の人間、普通の学生…普通の一般平民でしかない以上。学費という問題も有るので、平均的な修学期間で済ませたい。
但しそれでも。数年という年月は。精々十数年しか生きていない人間の身からしてみると。長く感じる物なのだろう。
何かしら人生に変化が生じるには、充分な期間かもしれないと。彼の言葉に頷いた。
正しく今日は。その彼と付き合い出掛けているのだから。
「それ等に比べると。やり直しが効くのは、芸術家肌でもない者にとっては。有難い事です。
…というか。生活に則した物を作るんですから。さもなきゃ何の為の、あぁいったお店なのかという訳で」
普通。一般的。其処に少女は拘る。なまじ身体的に、一般的ではないと。自分の事を考えるから。
市民の味方なお手頃価格。そんな端布を手に入れた屋台を後にして歩きつつ。
芸術家…というのも。やはり特別な才能を持っていて、一般人、とは呼べない人達なのだろう。
だから相容れないのだと断言しつつも。
程無く辿り着いた甘味処の隠れ家的外観は。何だか拘りの強い職人気質の菓子職人でも抱えていそうな雰囲気だ。
だとすれば味の方にも期待して良いのではないか…そんな風に考えてしまうご都合主義。
そして、何故秘密めいた外見なのか。その辺を全く以て理解していないからでもあり。
「有難う御座います。私は……ベリーとホイップ、気になります。
それと飲み物は、ぁー…うーん……同じ物、で」
そのまま個室に案内され。景観やらではなく内装。それ等を興味深げに観察しつつ。
注文してしまえば品物が届くまでは。静かな時間を過ごす事になりそうだ。…流石個室。余所からの音が入って来ないので。
■リリット・アリール・ソエティア > 「だね、海の先にしかなかった香辛料とかの苗とか種持ってきて、こっちでとか多いし。
ふふ、シースさんがそう思ってくれるのは嬉しいね、一船乗りとして」
それこそ昔は塩味が基本、シェンヤンの方などはそれに出汁などが増えるが。
今では質素でも塩胡椒での味付け程度はされている。
少女の言葉に、機嫌よさげに鼻歌を歌って、こくこくと頷いて。
「あー、どうなのかな悪い面はどうしても目立つからかもだけど、悪人が減ってないのも事実だよね。
この国は、本気でそこら辺が緩いからねぇ…悪性を抑える人もいるんだけど、軽い気持ちの人もいるし。
…えへへ、そう思ってくれてるんだ、其れは凄くうれしい」
数年は自分にすれば一寸の時もある、その感じ方は共にいる人との関係で決まったりする。
薄い関係の相手しかいなければほんの少しに感じ、濃い関係の相手がいれば長くと。
其処はどうしても長命種の思考になるのだろう…とはいえ人の数年が長い事は理解はしているので。
少女の数年の中に係われる事を喜びとして、しかも褒めてくれるのだから、笑みが勝手に浮かぶというもの。
「普段の生活でやり直し聞かない事はほぼ無いしね。
お店で買うのh質の良いものが欲しいか、手間を減らすためかなぁ…芸術品とかは生活自体には意味ないしね」
見て心が安らぐ芸術品なら飾っているだけである程度効果はあるが。
一般的には無くても困らない品でもある、陶芸家の作る茶碗も本来は使うもので飾る物ではないのだ。
芸術というう点でいえば、一応は音楽家に近い部分もあるが、自分の場合は基本は趣味。
稀に路銀稼ぎや暇つぶしで吟遊楽人の真似をする程度。
隠れ家的甘味喫茶…字面だけ見れば確かにこの店にあっている。
けれど、内実をしればそれじゃ説明が足らないという事実に気づくだろう。
ともあれ、防音を過信せずにいようとは心がけて。
案内された部屋は、喫茶店らしくテーブルと椅子が二脚に、扉近くに移動可能なサイドテーブル。
壁などはシンプルに木材で作られており、外から見た換気口も見える。
少しすれば注文した甘味が運ばれてきて、扉横にある小さなドアのような物が開き、サイドテーブルへ甘味が乗せられる。
それを移動させて、テーブルへと乗せれば。
「さ、それじゃ食よっか…でも同じ注文なのが少し残念かなぁ。
ね、シースさん…それ以外にもう少しお腹に入りそう?」
そう言いながら扉横にある小型ドアに、追加注文の紙を挟んで。
無理そうならボクが全部いくから、と少女に笑顔を向ける。
■シース > ■リリット・アリール・ソエティア > 「だね、海の先にしかなかった香辛料とかの苗とか種持ってきて、こっちでとか多いし。
ふふ、シースさんがそう思ってくれるのは嬉しいね、一船乗りとして」
それこそ昔は塩味が基本、シェンヤンの方などはそれに出汁などが増えるが。
今では質素でも塩胡椒での味付け程度はされている。
少女の言葉に、機嫌よさげに鼻歌を歌って、こくこくと頷いて。
「勿論砂糖や塩だって、元々は同じで。…余分な水分を吸収してくれますから、腐敗を妨げる役割も有った、って。
けれどそれ等だって最初はきっと。海の向こうからもたらされたのかもですし。
…というのを。最近勉強したんですけれど」
なので、つい。講義からの知識を披露したくなる辺り。学生らしく。
船乗り全般についての評価だが、その中に、彼が含まれているのも確か。
その上次の話題に関しては。今度は身近な者達の中から、彼という個人を。明確にトピックした物なので。
二つの話題について、どちらも嬉しい、そう答えが返ってくると。
流石にこれは少女でなくとも。誰だって照れ臭くなるのではないだろうか。
むむむと小さな呻き声をあげ。店へと入り、個室へ向かう途中の歩みが。少しばかりスピードアップ。
「……軽い気持ちで出来る程度の、悪さなら。タカがしれている…と良いんですけど。実際はどうなんだか。
私が考えている善悪の範疇なんて。所詮は学生として、身近な事柄、が大半ですから。
もしかすれば世の中には……もっと。怖い事でも何でも、出来てしまう人。居るのかもしれませんし…ね。
出来るならお近付きにはなりたくないものです」
そういった危険も有るだろう、学院の外の世界。
其処からやってきたであろう彼は。少女が想像出来ない程の悪意…とは、きっと無縁。少なくとも少女はそう考えている。
後は想像範囲外の善悪に。彼が海の上で行うような。この店を教えてくれた船乗りのような。行為についてが含まれるかどうかだが。
その辺については未だ知らないまま。内実を別として。部屋で注文すれば直ぐに提供される甘味へと目を向けて。
「取り返しのつかないといえば、こうした消費物も…ですね。
ちょっとした齟齬くらい気にしないですから、こういう物なら廃棄など必要ないと思いますけど。
実際…高尚な芸術品だと、何だか他人事というか、実感も薄いんですけど。
これが食べ物の話になると………もったいないなぁ…って」
小市民、万歳。外部と隔絶され落ち着いた室内、音だけでなく匂いの類もまた。換気が強い分、余計な物を感じる事はなく。
クリーム等の甘さばかりが際立つからか。ほぅっと思わず息を零してしまう。
甘い物というのは。それだけで、立派な一つのステータスだと思う。早速手を伸ばし、自分が注文した分のクレープを持ち上げて。
「とはいえ中身は違いますから。何なら途中でシェアするのも良いんじゃないですか?
…ん…ー…甘い物とはいえ。流石に別腹には限度も有りますが…半々、でも。良いでしょうか」
正直クレープというのは。矢張り具材が本体だろう。ガワは同じでも大きく違う。
その事を断固として主張しつつも…もう一品、というのは。大変魅力的な誘惑だ。
差し出されるメニューをちらちらと眺め、首を捻り、うんうんと唸り…差程大きくはない、プレートに載ったアイスを選ぶ。
季節が季節だが、此処までずっと人の多い屋台を巡ってきた事と。しっかり閉鎖された個室である為。少しばかり汗ばむ程なのだろう。