2023/12/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリセさんが現れました。
リセ >  今日も人々が変わらず果実を売りパンを買い、嗜好品の品定めをする。
 そんなごく当たり前の生活が営まれる街のとある路地裏で響く震える小さな声。

「ぁ……あの、さ、さっき……買い物、した、ばかり……で……持ち合わせ……」

 柄の悪そうな十代の若者数人に囲まれて半泣きになっている女学生がいた。

 その日学用品を求めて放課後、帰宅する生徒の流れとは少し逸れて平民地区の商店が立ち並ぶ通りへ赴いた女学生。
 一応貴族階級なのだから通常であれば買い物するにも富裕地区へ出向くものだが。
 残念ながら没落貴族の家計は厳しい。高級品には手が出せず。数少ない、というか数足りていない使用人に買いに行ってもらう手間もかけられず。
 平民と同じように庶民的な店を選んで文房具などを購入し、最近評判の菓子店で焼き菓子なども土産に買い、いくらか上機嫌になってまだ温かい菓子の袋を抱えてほくほくと往く帰り道。
 良かったのはそこまで。

 通りかかった人気の薄い路地の途中で状況は一変した。
 対面からがやがやと歩いてきた見知らぬ若者達に行く手を塞がれ。
 そのまま押されるようにして狭い路地裏に連れ込まれて囲まれ、冒頭に至る。

 カツアゲ、というやつ。
 平民視点では身形の良い制服姿、ついでに如何にも気弱そうな上独りで歩いている女学生は格好のカモに映ったらしい。
 
 が、ちょうどいろいろと買い込んだ後で手持ちがほとんどない状態。
 はした金程度しか差し出せない状況で――そもそも差し出す義理は一切ないが――集る側からは得心がいかず。
『そんな小銭で全部な訳ねえだろ』『隠してんじゃねえよ』『早く帰りたきゃとっとと出すもん出せ』
 取り囲まれて詰め寄られ、泣きそうに双眸を潤ませて小柄な体躯をさらに怯えて縮こまらせながら、

「ぁ、ありま…せん……ほ、ほんとぅ、です……」

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にカナムさんが現れました。
カナム > 冒険者ギルドの帰り道
まとまった収入を得たとなれば偶には贅沢なものでも食べたくなる
日持ちのする干し肉ではなく新鮮な肉でも買って宿で焼いてもらう
近道ついでに裏通りを使えば思わぬ現場を見つける

「何やってんだよ…」

相手は大人しそうな女学生、制服を着ているから間違いない
大して年のそう変わらない男達が寄ってたかって小遣い稼ぎにいそしんでいる

気分が悪い、複数で偉そうに誰かを責める姿は見ていて吐き気を催すほど嫌悪する

「そこのチキンなお兄さん達、何してんの?
金が欲しいなら魔物でも殺せばいいんじゃない?」

気付けばそう声をかけた

リセ > 「え……?」

『ハア?』

 囲まれている女学生と、囲んでいる連中の声が不意にかけられた声に反応してハモった。

 搾取する側とされる側。そこに倫理はまったくないが、弱肉強食的ある種野生の道理はあったかも知れない。
 普段と変わらない営みは路地裏の一角でも同じことで、大して珍しくもない恐喝風景。
 そこへ茶々を入れてくる少年、というのは……少し珍しかったかも知れない。

 振り返ったチキンな若者たちは、そこに小柄な少年が佇んでいるのを確認して一瞬呆気に取られたような目で言葉を失していた。
 そして、すぐに『なんだ、ガキかよ』『誰がチキンだって?』『お前が代わりに有り金出す?』
 と口々にテンプレ的な台詞が響く。
 相手は一式装備を整えた冒険者風…とはいえ小柄な少年と見るや小ばかにしたような目線で。
 多勢に無勢と云うことで強気に出ているが、連中は精々不良学生やら商人の小せがれ、職人の見習い、と云った程度のチンケな武力しか期待できない雑魚にも及ばない雑魚である。

 本来なら冒険者と見受けられる相手に喧嘩を売るような真似は避けるものだが。
 小坊主としてしか認識していないのか、手をしっしと追い払うように振って『痛い目見たくなかったらとっとと行きな』『冒険者なんて所詮貧乏人だろ』『カンパしてくれるほど持ってる訳ねえし』それぞれに彼を邪険に扱い、関係ないのだから首を突っ込むなと億劫そうにあしらっていた。

 絶賛カモ中の女学生は、小刻みに震えながら少年を見ては、ふるふる、と何か伝えたそうに無言で首を振り。
 ただただ、彼が巻き添えを喰らって酷い目に遭うことを危惧していた。

カナム > 「誰が?
頭数揃えて女子供にしか偉そうにできない奴等は文字通りチキンでしょ。」

煽ったおかげで男たちの反応は予想通り
ギルド帰りで武装しているのにこの舐められた返答は…仕方ないと諦めている

「さっき魔物を換金したお金がここに有るんだけど…言いたい事分かる?
別にお前ら全員治療院送りにしても良いけど今日は気分が良いから見逃してやるんだよ。
とっとと消えろ雑魚共が。」

後半は少し口が悪くなってしまったがご愛敬
ジャラ、と鳴る金貨を含めた袋を見れば余程の輩でない限りこれ以上手出しはしないのが殆ど

ここまで言って見せても分からないなら、冒険者らしく行動するまでである

リセ >  人をバカにする方がバカ、というのは一理あるらしく、少年を小ばかに扱う奴らの脳細胞はご覧の通りの残念さで。
 魔物を制圧してきた、という少年の言に一瞬怯んだように顔を見合わせる三馬鹿だったが。
 馬鹿でもお粗末な悪知恵が働くところが、質の悪いもので。
 少年と取り囲んでいる女学生を見比べるように視線を流すと示し合わせたように。

『へえぇ……正義のヒーローってワケ?』『ヤダかっこいい~』『じゃあ人質のパターンー』

「え……きゃあっ…!」

 つまりは、少年はこの絡まれている女学生を見かねた訳かと理解して。
 自分たちの見苦しさの余り、という点には思考が及んでいないまま、連中の内の一人が女学生の後ろから捕まえるように腕を回して拘束し。
 一人は流れるようにポケットから取り出されたナイフを構えてその首筋に当て。
 もう一人はこれ見よがしに掌を上向けて差し出すと

『んで、こいつがカワイソウならその金置いてってくれる? じゃないとお前のせいで気の毒に……ここでロストしちゃうなあ』

 金貨の袋と見るや、見っともないことに人質、と雑魚にもならない一般女学生を捕まえて小物な行動に出やがった。
 
 別に知り合いという訳でもないのだから人質的価値は彼にはないだろうが。
 見捨てるくらいならそもそも恐喝現場にわざわざ首を突っ込んではくるまいと判じたらしい。

 男に捕らえられて成す術もなく震えながら涙を滲ませた双眸で少年を見て。
 首に充てられたナイフに恐怖し助けて、と云いたいが声も出ない様子で。

カナム > 「へぇ…抜くんだ。」

思わず声が冷たくなるのを感じる
どうも冒険者…と言うよりこういった場面で先に武器を抜く意味を理解していないらしい
丁寧に接してやるのはもうやめだ。腰元の黒い鉈を抜き、構える

「お前等は一々僕を苛つかせる天才だよ。
いいさやってみな、そんなポケットに収まる玩具で僕より早くその子を殺せるなんて思うならさ。
失敗したら僕は手加減なんてしない。二度と動けなくする死なんなら殺す気でやるよ。

もし生き残ったら魔物の餌にでもしてみようか?」

文字通り殺意を込めて男達を睨む
やれるものならやってみろ、その代償は払わせる
悪ガキの悪戯で済むラインを超えたのならば後はもう命の奪い合いだ

血…それも人の若い血を味わえると感じた鉈はカタカタと歓喜に震える

リセ >  短剣でもない、ただの実用的なナイフ、やんちゃが過ぎるバカな若者の必需品とも云えるが。
 冒険者の目線ではただの玩具のようなものだろう。
 ただし、ただの玩具でも弱者でしかない女生徒の弱弱しい頸動脈を絶つことくらいはできるし、そうなれば失血死は免れない。

 そこまでしておけば、十年やそこら生きたくらいの少年風情ではやってられないと立ち去るか、運が良ければ多少の金貨くらいは置いていくかも知れない。
 そんな浅薄な連中の考えは……割と速やかに潰えた。

『え……ヤバ…』『ま、マジかよ……ここで抜く……?こいつ死んでもいいってこと?』『お、脅しじゃねえぞ、ほんとに斬るからな!?』
 
 ちゃちな脅しと本職の殺意はレベルが違い過ぎて、小柄な少年からとは思えない圧に及び腰になり始め。
 そして、人質にその価値はない、と薄っすら察してきて。

「っひ……ゃ、や、め……」

 ナイフを握った若者の手が震えるもので、ナイフの刃が首に浅く食い込んで表皮が切れて横に細く赤い筋が走り、つ…と出血が伝い、運も価値もない女学生が怯えてはらはらと泣き出し。

 そして、少年の構えた鉈が奇妙な震え方をすると本能的に拙いと察したか、一人が『こんなん冗談だろバーカ!』怖気づいたのを誤魔化すかのような発言をすると一瞬虚を衝かれたもののすぐにもう一人同調し『えっ? あ、だな、マジになるとかだせえっ』そして、無価値な人質を『どうでもいいし、こんなん!』と、こんなん呼ばわりして、少年の方へぶつけるようにして突き飛ばし。

「っきゃ……」

 ど、っと少年へ向かって投げ出される女子と、その隙に尻尾を巻いて、口々に性懲りもなく悪態をつきながら脱兎する三馬鹿。

カナム > 「…ちっ」

突き飛ばされた少女を抱きとめる
体格的にまだ片腕でスマートにいかず鉈をしまい両腕でしっかりと

本気で脅してもダメな時は殺してもいいか、と考えていたが逃げてくれるなら追いかけはしない

「えと…ごめんね、上手くやれれば良かったんだけど魔法は苦手で。」

助けるつもりが首筋に怪我を負わせてしまった
何もしない方がけがもなかったかとも思いつつ手を放し頭を下げる
結果的に助かったとはいえ自己満足での介入だったのには違いない

リセ > 「っぁ……す、すみ、すみません……っ」

 鉈を収めて突き飛ばされた身を受け止めてくれる、下手をしたら自分よりも小さいかも知れない少年に溜めていた涙を散らしてしまいながらも慌てて謝罪し。
 逃げていく三人はあっという間に路地の向こうへ。

 路地裏に取り残されて、少年が頭を下げるのに驚いたように目を見開いて。

「えっ……? い、え、いえいえいえっ……と、とんでもない、です……わ、悪いのは、わたし、なので……
 た、助けていただいて……ありがとう、ございました」

 別に歩いていただけで何も悪いことはしていないのだが。自分の存在自体が悪いのだと云わんばかり。
 ぺこぺこと長い髪を振るようにして頭を下げて。
 しかし痛みには滅法弱いのか首筋を浅く裂いた痛みにもともと零していた涙を唇を噛みしめて堪えながら喉に近い首筋を抑えて。
 平気を装うが、泣きそうな上明らかに痛そうなのがまったく隠しきれていない。

カナム > 「悪いのはあいつらだよ。
見てて気分が悪かったから、口出しちゃったんだ。ごめんね。」

謝罪をされても申し訳なく感じる
巻き込まれた彼女が悪いなんてことはあり得ないのだから
一番悪いのは三人組、次が事態をややこしくした自分だ

首元を抑える様子を見れ自身の手を見せる

「よければその傷治療しようか?
簡単な治癒魔法なら使えるんだけど…」

嫌がられればそこまでだができれば悪化しない為にも治療をしておきたい
加えて痛みに顔をゆがませているのはあまり見ていて気分のいいものではない、自分がその原因の一端なら尚更に

リセ > 「いえ、そんな……ぼうっと歩いていた、わたしも……悪いので……
 あの……謝らないで、ください……その……う、嬉しかった、ので……」

 独りで絡まれていて怖かった。大半の人間は見て見ぬふりをして通り過ぎた。
 脚を止めたのですら彼だけで。
 止めてくれようとした。助けてもらった。それが嬉しかったと表情を崩すような、再びのごめんにふるっと首を振り。少し不器用な笑みを見せて。

「ぁ……これ…、あの……ありがとう、ございます……。
 で、でも、だ、大丈夫、です……
 わ、たし……魔法……効かなくて……」

 傷を気にしてくれてそう申し出てくれる気持ちがありがたく、深々と頭を下げるも。
 少し申し訳なさそうに体質的に魔法を受け付けないのだと説明し。
 大丈夫です痛くないです、とあからさまに嘘ついて無理をした涙目。

カナム > 「それなら良かった…かな?

魔法が効かない?そんな人も居るんだ…」

攻撃魔法が効かない、なら聞いた事も見たことも沢山ある
だが治癒魔法すら受け付けないというのはそういう体質なのだろうがかなり不便も多いだろうと感じる

「じゃぁ、軟膏と包帯で応急処置だけしとこう。
多分よく知った医者とか居るんだろうけどその人に見せるまでそのままも辛いと思うから。」

小さな鞄の中を探る
冒険者としての職業柄そういった物も常備している
ギルドの帰り道だった事が幸いした

「勿論嫌ならいいんだけど…どうかな?」

リセ > 「はい、ありがとうございます……あなたがいなかったら、どうなっていたか分からない、ので……あ、あの……わたし、リセアリア……リセ、と申します。お、お名前、伺っても……?
 ……はい、すみません……」

 また悪いことをした訳でもないのにやたらめったら謝罪。もう癖になっているようで呼吸のように謝っては表情も申し訳なさそうなものになり。

「え……、あ……いいん、です、か……?
 い、厭なんかじゃ…! ご迷惑……じゃない、ですか……?
 あの…じ、実は……ほ、本当、は……こ、こんな浅い、傷で、情けないん、ですけど……と、とっても……痛くて……痛くて………」

 情けなさ過ぎることに泣きそう。
 手当してくれるという言葉に恐縮しきりではあったが、正直とっても痛い。
 痛いのは物凄く苦手、先程から傷を抑える手もふるふるしている。顔もしっかり半泣き。
 遠慮する余裕もない。お願いします…と泣きそうな声で懇願した。

カナム > 「まぁよく居る不良って感じだからそこまで馬鹿な事はしないと…思いたいけどどうかなぁ。
僕はカナム、宜しくねリセ。」

魔法の効かない特異体質
初対面の相手にここまで低姿勢なのにはそれなりに理由もあるのだろう
謝罪は受け入れ、あまり触れないようにしつつ治療の同意が得られれば道具を揃える

「痛みは慣れないとどんな傷だって辛いよ。
魔法が効かないんじゃ地道な治療になるんだろうし、応急処置はしとかないとね。
ちょっとしみるけど我慢してね?」

制服をちゃんと着ていて不良に脅される様な人物が痛みに強い訳がない
予定にはなかったが痛み止めの軟膏も併せて首にできた切り傷を覆っていく
これで傷が腐ったりはしない筈、痛みもマシにはできるだろう

「最後に包帯を…応急処置だから痛むなら医者に見せた方が良いよ。
痕が残る様な傷でもないしそこは安心していいと思う。」

リセ > 「カナム……さん。はい、よろしくお願いします。
 ……少なく、とも……カナムさんがいなかったら、お金も盗られて、ましたし……た、叩かれてたかも、知れない、ので……」

 自分より年下な少年に助けてもらうとは年上として……なんて考えはない。
 自分よりも余程しっかりした少年に感心しつつ、その上でやはり彼がいなければもっと困ったことになっていたかも知れないと。

「ぅ……で、でも……カルムさん、よりお姉さんなのにこんなの……恥ずかしい、ですよね……いい歳をして…本当に……
 治りは、早い方、なのですが……痛いのは本当に………ぅ、はい……大丈夫です……」

 沁みる、と聴いて身構えるように肩に力を入れて無意識に強張るように背筋を伸ばして。
 慣れた手つきで浅く切られた皮膚に軟膏を塗布してもらい、目をぎゅっと瞑って沁みるのを堪えるように。
 怖がりな小動物のごとくふるふるしていたが。薬効が浸透してひりひりとしたような痛みが少し引けば、肩に入っていた力を抜いて。

「ありがとうございます……そうしますね。
 カナムさん、すごく、手際がいいん、ですね。
 えと、冒険者さん、なんですよね……魔物を退治するなんて、すごいです、小さいのに強いんです、ね……あ、いえあのっ……すみません……っ」

 小さいのに、は余計だった。てきぱきと処置してもらって感謝と感服を覚えつつうっかり失礼を口にした、と慌てて謝罪し。

カナム > 「裏路地まで衛兵も態々見ないからね…
お金もリセさん…は無事じゃないけど大事にならなくてよかった。」

処置が終われば道具を片付ける
痛みが少し引いた様子に一安心

「恥ずかしくないよ、僕はこういう事に慣れてるだけ。
手際良くないと外で危ない目に合うのも多いから自然と覚えるんだ、魔物退治は…お金稼ぎには丁度良かったから。

ち、小さいのはまだ成長する筈…多分。」

小さいのはまぁ…仕方ないのだ
これからまだ成長の余地があるとは思っている
このまま小さいままなのかもしれないが、それはまだ確定していないのだと乾いた笑いが漏れる

リセ > 「そぅ、ですね……それにとても、怖かったので……。
 はい、お陰様で……あの、リセ、で大丈夫、ですよ……?」

 急にさん付けになった。自分の呼称につられたのだろうか。
 こちらは気にしないから、と腰の低さに定評のある貴族は付け加え。
 出血も収まったようだし、薬も効いて、少し慣れもしたのか先程よりは随分楽になって安堵し。

「……優しいん、ですね……笑われると思いました。……慣れ、るのも…とても大変ですね……
 辛いことも怖いこともあったかと思うんですが……きっと沢山沢山、がんばったんですね。
 カルムさんは、とても強いです。

 ………ご、ごめんなさい。あの……おいくつ、なんですか…?」

 しっかりしていてどこか大人びて見えるところもあるが、実際は、と尋ねてみて。
 乾いた笑声が聞かれれば居た堪れなさそうに小さくなって謝罪の一手。

カナム > 「あー…じゃぁその、分かった。リセ…」

一応年上相手に呼び捨ては、と思っていたがそう言われれば素直に呼び方を変える
冒険者どうし、もしくは先程の三人の様な相手なら気にもしないが

「痛いのが辛いなんて当然だよ、そんな事を笑ったりしない。
辛かったり怖かったりも多いけどそういう時は寧ろ食って掛かっちゃうから何とかなったりしたかな。

年?今年13だよ、子供だから色々煩く言われるけどこれでも冒険者として食べていけてはいるんだ。

そういうリサは…学園の生徒なんだよね?
不良共にも不慣れだったみたいだしどこかのお嬢様だったりするの?」

奇麗な制服を見れば学生なのは間違いない
言葉使いや所作を見てれば少なくとも貧民地区出身ではない
では平民地区はどうか?あんなにきれいにタカられていたのを見れば優秀な平民と言うのも怪しい
箱入り娘、この単語がしっくりくるとは思うのだが果たして…

リセ > 「はい、わたしも、えと、カナム、君、とお呼びしますね」

 さん付けは少し大げさな響きだったろうかと顧みては若干気やすい方向に修正してみて。
 生来は礼儀正しい子なのかも知れないと考えながら小柄な体躯に不似合いな大きな鉈を装備する冒険者を眺めて。

「当然、って云わない、笑う人の方が多い、ですよ……? やっぱり優しいんですね。
 ちゃんと、立ち向かえるのは立派なことです。偉いんですね……そうやって自分の力で解決してきたのはすごいことです。偉業です。

 ………13……偉業過ぎます……そのお歳でしっかり自立なさっておられるとは……驚異的です……稀有なる生き物です……。
 
 わたし、ですか……? ええ、学院生、です……え、えっと……」

 爵位持ちの家には生まれた。けれど生活水準がとても貴族のそれではない。
 お嬢様、なんて呼ばれるような大層なものではなさすぎる。
 ので、そう訊かれて返答に窮するように口ごもって。
 しかし、答えないのも失礼か、とへどもどした挙句。

「爵位……はあるのですが……いわゆる没落家……でして……」

 貴族基準で云えば貧乏人だ。平民からしてみたらごく一般的だが。
 没落、と家の恥を話すようで云いにくそうに口にして。

カナム > 「ははっ、それは呼びやすく呼んで欲しいかな。」

カナムでも何でもいい
鈍い黒さの鉈見つめているとカタカタと勝手に揺れたりもする

「立ち向かうか死ぬか、みたいなのが殆どだったから…まぁ誰だって死ぬ気で頑張る時は有るからね、うん。

稀有な生き物…まぁ、確かに?」

そう言われたのは初めてなので首傾げ
稀有と言うか異常と言うか、間違ってはいない

「没落…リセも色々大変な思いしてるみたいだね。
なら、居たらだけど平民地区出身の友達とか作ると良いよ。
やばい道とか近づくとまずい場所も平民地区で暮らしてたら自然と覚えるだろうからさ、そこから色々聞いておくと便利だよ。

護衛とかが居たら話も変わるんだろうけどね。」

学園にも平民地区出身は多く居るはず、だれかそういう人間に聞いておけば今回みたいな事故にあう確率もかなり低くなる