2023/11/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるため出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。

「…ん」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にソアエルさんが現れました。
ソアエル > 急に寒くなった冬の夜。
旅人に身をやつし人間の世界をつぶさに見て回っている力天使が通りをゆっくりと歩いている。
人の世界は思っていたよりも弱肉強食の論理がまかり通る世界だった。
強弱は何も戦う力だけではない。
身分や財産、名声、知力、知識……様々な種類の力を用いた闘争が絶え間なく繰り返される。
決して魔族が裏で糸を引いているものばかりではない。
人もまた人を欺いて食い物にする。

「それでもきっと……」

どこかに光はあるはず。
そんなことを思いながら力天使は王都をあてもなく放浪する。
夜の暗がりの中を歩く白いコートの襟元からは柔らかな金髪がこぼれ出て微かに甘い匂いを振りまいていた。

ソアエル > かつっ……こつっ。
寒風が吹きつける路上にあっても先を急がないゆっくりとしたヒールの音が密やかに響く。
丈の長いコートの裾からはほっそりとした脚が白いタイツに包まれ伸びている。
物憂げな金色の瞳は暗がりの中で前を見つめ。
コートの袖から出ている手は毛皮の手袋に包まれていた。

「地上の冬とは寒いものですね……」

コートの襟からこぼれていた金髪を手で押さえて小さく吐息をつく。

「もっと人のいる方に向かったほうが良いでしょうか」

人の世界を見回るのであれば無人の通りを歩いていても意味がない。
賑やかな方に向かおうと大通りの方へと足を伸ばすことにした。

ソアエル > 夜でも人通りがある地区には大体夜の店がある。
力天使の目からすれば慎ましい生き方とは真逆の世界がそこにあった。

「……」

少し顔を赤らめながら歩く足を早めてしまう。
通りすがりの人々を見るとそれなりに良い気持ちになっている顔が多い。
慎ましさばかりを押しつけられては人は幸せに生きられないのかもしれない。
正しい信仰がこの地上に根付かないのはそのためなのだろうか?
そんなことを思いながら人の世界をただ眺めて通り過ぎていく。

ソアエル > 夜中に街を歩いてもそう簡単に成果があるわけではない。
それでもどこかにいるかもしれない救世主を力天使は探し続ける。
──見捨てられてしまった人間を救済するために。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からソアエルさんが去りました。