2023/11/15 のログ
アルマース > 「お疲れさま。旅路のお掃除をありがとう……
 自由騎士、って危ないところにも駆り出されるのねえ」

冒険者や傭兵の知り合いがいないわけではないが、今の戦況を知るような知人はいないし、いたとて一踊り子にそんな話題を振る人間もそういない。
日常聞くのは、掏りに遭っただの、そういうせせこましい――と言われて掏られた側は怒るだろうが――話くらいだ。

送ると言われれば、ありがとうと軽く頷いて促されるまま宿場通りの方へ歩き出す。
いつぞや食事を共にした宿からねぐらを変えていないので、歩いているうちに見覚えのある通りに出るかもしれない。

「?――ここで何かしていたんじゃないの?

 今夜の寝床、くらいはあるでしょ。騎士様だと宿舎とかなの……?
 あったかい家庭が欲しいなら、その気になった時に作ればいいし」

家出少年は冗談としても、寒いなか目的無くうろついていたとは思わなかったから、用事は済んでいるのかと気にはする。
いつもの微笑みに、逆に真顔になってしまった。こんな時間に外を歩くには、どうも薄着だし。
事もなげに嫁の一人や二人娶ればいいと言って、まばらな街灯の下、橋を進んでいく。

サウロ > 「ありがとう。そう言われると一番嬉しいよ。
 王都だけでなく国内の色んな所にいくからね。
 困っている人がいるなら、その人の為に戦うのが自由騎士(ぼくら)だ」

(元は王都近辺の任務を担当する隊に所属していて、今は国内を転々とする流浪の立場だということも話す。
 踊り子で元は旅人であった彼女であればあちこちを転々することは想像もつくだろう。
 それが踊るか、戦うかの違い。
 そんなことを話しながら橋を抜けて、通りを並んで歩いていく。
 あそこで何かをしていたのではという問いには首を横に振ったし、寝床ならあると頷く。
 詰め所にあった部屋はもう違う誰かが使っているだろうから、今はサウロも宿暮らしだ。
 暫くは滞在するが、また旅支度を整えたら別の場所へ行くだろうと、今はまだその予定も未定なだけで。)

「自分で家庭を作る、というイメージがあんまり湧いてこないなぁ……」

(温かな家庭で育った記憶はなく、育った環境は孤児院の沢山の兄弟たちの中だ。
 だから漠然と、戦いの中で生きるか、剣を振るうことが出来なくなった時には、
 孤児院を経営する側にいつか自分も回るのではないかと、漠然とした未来の展望をぽつぽつと話すぐらいで。
 彼女に孤児院育ちという話はしただろうか? と記憶を辿る。
 どうにも、どういう会話をしたか、記憶があいまいになりやすい。
 切り替えるように、隣を見て彼女にも同じように問いかけた。)

「アルマは、何か未来の展望はある?」

アルマース > てらいの無い言葉が、率直な本音なのは分かっている。
だから、ふふ、と洩らした笑いは揶揄ではなくて、この国にも良心が残っているという安堵のようなもの。

「相棒さんもいるって言ってたっけ。
 仲間と旅するっていうのも楽しそうだねえ。
 一座に混ぜてもらうことはあっても、あたしは余所者だからなあ」

その時々の旅路をたまたま共にしただけで、再会を気軽に約束はしても、連絡はとれない。
またいつか、が叶うのも、偶然か奇跡のようなもの。
そんな生き方が合っているけれど、相棒や隊というものを持つのも面白そうだ。

「そういえば教会育ちなんだっけ。
 子どもたちに囲まれるのも楽しそうねえ。
 今でも教会へ寄ったりするの? そこが家みたいなものとは……違うのかしら。
 幸せなら良いのよ、どんな形だってさ」

孤児院で育つ、というのが逆にどんなものなのか想像できずに首を傾げた。
未来の展望――という言葉には、考えながら、はくはくと夜気に息を吐いて、まだ白くはならないのを確かめる。

「ンー……故郷を出た時点で、あたしの目的は叶ったところがあるからなあ。
 死ぬまでずーっと色んなところへ流れて、踊って、会いたい人に会って、それを続けられたら良いなあって思ってたけど。
 子ども欲しかったんだな~って気づいたから、出来ちゃったら故郷の方に戻るかもね。
 そうじゃなかったらやっぱり旅! 護衛無しでも大丈夫なくらいの力をつけたいなーとも思うけど、あれもこれも追い付かないわ」

サウロ > 「ああ。色々口うるさいけど頼りになる相棒だ。
 もし会う機会があれば、ナンパしてくると思うけど、遠慮なく断ってくれていいからね」

(その相棒がミレー族であることは言えないが、信頼していることは間違いない。
 相棒が彼女を見たら真っ先にナンパしに行きそうだ。美人には目がない。
 冗談めかすように笑いつつ、一座に混ぜて貰うという体験もサウロからすれば新鮮だ。
 踊り子のように、自らの芸で他者を楽しませる彼女たちはすごいと思う。)

「今でもたまに、育ったところに手伝いに行くことはあるよ。
 働ける男手や、子供の遊び相手とか。一緒に育った姉さんや妹はシスターになる子が多いし。
 そこが家……、なんだろうか。結構早いうちに出てしまったから」

(いろいろと考えて、首を捻りながら、幸せの形とはどういうものかを考えて。
 思考を過るのは多幸感に溢れる瞬間────淫虐に関わる記憶で、思わず息が詰まる。
 そんな思考を振り払うように頭を軽く振ってから、詰めた息を吐いて。
 彼女の肩る展望に耳を傾ける。)

「────精力的で素敵だね。
 子供を授かる時は、君を大切にする好い人と出会えることを祈ってる。
 そうだな、良ければいつか、アルマの旅の話を聞かせてくれるかい。
 どんなところで、どういうものを見て、どんな人と出会って、あと美味しいご飯はあったかとか」

(そうしている間にも、見覚えのある宿が見えてくるだろう。
 そこまで行けば、足を止めて彼女の方を改めて振り返り、ここまでで大丈夫かい?と軽く首を傾げて。)

アルマース > 「ナンパ……? サウロとは大分種類が違うのねえ、同じ騎士様でも」

言い方を聞くに仲は良さそうだから、きっと悪い人ではないのだろうが。

――湿った枯葉を踏んで、街灯のまばらな通りを行くのは、人通りがあっても無くても普段なら気を抜けないもの。
今夜は隣にサウロがいるので、暗がりに目つきの悪い連中がたむろしていたりしても、気楽なものだ。

教会もどうやら、自分の知る家とは違うよう。
ふうん、と相槌を打つに留める。
いざとなれば帰れる実家がある、というのが自分の根っこの気楽さの理由になっているところも大きいけれど、
それが無いのは一体どういう感覚なのだろう。

「どこにいたってやりたいようにやらないとねえ……
 旅の話、面白いのあったかなあ」

波乱万丈の冒険譚とはいかない。
時間を共にできて良かったと思える顔はいくつも浮かぶけれど。
いつもの宿が見えてきて、明かりのついていない自分の部屋の窓を見上げ。
一方、隣でサウロが何か振り払うような仕草をする。

時々視線が遠くなり、何かを思い出すような顔をしていることがある。
真面目過ぎて、気楽な身の上の女には計り知れぬ何かを抱え込んでいるのかもしれない。
考えてもわからないので、腰に手をあて、大して差の無い高さにある男の目を見る。

「――なあんだかやっぱり湿気てるわ。
 今夜はあたしの抱き枕になっておけば? 運気上がるわよ」

身体を重ねる重ねないはどっちだって良いのだ。
幸せにしていてほしい相手が、調子の良くなさそうなときに一人にしておきたくないのと、
自分を幸運のお守りだと思っているくらいに自己肯定感が高いのである。

サウロ > (硬物だ真面目だと評価されることが多い己とは正反対。
 不真面目だ不埒だと評価される気まぐれな相棒を「性格は正反対な気がするよ」と評しつつ。
 月明かりと外套だけの夜の空気感、ほとんどの人が灯りを落として眠りにつく時間帯だ。
 スリやらかどわかしやら、酔いに任せた絡みで連れ込み宿に引っ張っていくようなこともこの通りは起きやすい。
 それでも話し合いながら、無事に宿屋までたどり着けたのであれば軽く顔を上げる。
 心躍るような冒険譚よりも、彼女が体験した中で見た美しい景色の話でも聞ければ、程度のもの。
 負担がない程度にねと言いながら、あとは見送りを受けて戻ろうかと思案していたところで、
 引き留めるように腰に手を当てた彼女の言葉に、数度碧い瞳を瞬かせる。)

「抱き枕、って……その、同衾的な意味かい?」

(運気が上がると言われれば惹かれるものはあるが、そんな幸薄そうに見えるのだろうかとも。
 実際幸運かと言われればそうでもないし、色々呪われているので、なんとも反論しがたい。
 が、抱き枕が、ただの添い寝的な意味なのかどうか。
 美しく化粧を施し、ドレスを纏っていた彼女とのあの日の夜のことを想起すれば、じわ、と頬に火照りが募る。
 どちらでもいいのだと言うような様子に、相手をしろ、という意味で言っているわけではないとわかってはいるが。
 困ったように眉尻を下げるのは、真面目が故の良識的なものが邪魔しているのだろう。
 とは言え、腕を掴んでしまえば振り払えないだろうことは、彼女も良く知っているはずだ。)

アルマース > 「ドーキン……? やるかやらないかってことならどっちでも良いよ。
 このまま放っておいたら、また寒い中ふらふらしそうなんだもの。
 友達が湿気た顔してるの気に食わないの」

嫌がったり困ったりするなら、あったかくして寝るようにきつく言って解放しても良かったけれど。
困ったような顔は、角の立たない断り文句を探している、と言う風には見えない。

赤くなる目元に――――あ、と何か思い当たったような顔になる。

「――もしかして外に行ってたから、欲求不満だとか……?
 そんならさくっとやってあったかくしてぐっすり寝て、美味しい朝ごはん。
 それで少しはマシになるでしょ。
 親父さん、実験的にモーニングセットを始めたんだけど、安くて美味しいんだよね」

まったく、良い素材を台無しにして、と部屋に誘う様子とは思えないような色気の無さでずいずいと腕を引っ張って宿のドアの向こうへ。
二階の部屋へ連れて行ったら、手際よく服を剥いで安全な抱き枕にしてしまうのか、自分の方が触発されてその気になるのか。
場当たり的に生きるゆえに、その時になってみないとわからない。

確実なのは美味しい朝ごはん、のみである。

サウロ > 「流石にこの時間からはもう……っ、て、アルマ、うわっ」

(欲求不満というのはなんとも同意しがたい響き。
 油断するとすぐに淫欲が溜まるようになっているので、否定もしづらい。
 しかし美味しいモーニングと聞けばぱっと顔を上げた。食欲の権化。
 前回のも美味しかったから期待できることは間違いないがと考えているうちに腕を掴まれて引きずり込まれ、
 そのまま二階へと上がる階段をぐいぐいと引っ張られて、あれよあれよという間に部屋の中へと。
 さっさと脱ぎなさいとでも言わんばかりの手つきに待ってちょっと待ってと押し問答があったかどうか。
 寒い室内で暖かな人肌の温もりを重ね合わせ、その先へと至ったかどうかは、二人だけが知ることで。

 翌日に二人で食べたモーニングは、きっと美味しいものに感じられただろう──。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルマースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からサウロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にモルガナさんが現れました。
モルガナ > 平民、というには少したくわえに余裕があるような出で立ち。
それを以て大通りを一人歩く。
普段身に着けているティアラも今日はお留守番。流石にアレを身につけておいてお忍びはないだろうと。

道端に並ぶ露店で軽食を食べ歩き、橋でしばし飲み物に口をつけながら水の流れを見送って。

それから、繁華街へと、宿や酒場が立ち並ぶ領域を歩いていく。

「中々賑やかなことですわね。」

気を抜けばすぐに年の瀬が迫り、新たな年を迎える。
その前にあって少しずつ、ちらほらとそういった時期に備えた品を並べた店も目立ってくる。

さて、酒場に向かうか、それとも何か面白い騒動でもないかと考えてしまうのは悪い癖。

それか、目に留まる人材でもいれば、と思うが、さて。

モルガナ > 雑踏に消えていく―
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からモルガナさんが去りました。