2023/11/09 のログ
■アルマース > 「ふふ、ありがと。拍手を糧に頑張れそうよ」
にっこりとして、商品を探すわけでは――というエリビオの言葉に黒い目が瞬く。
ということは、たまあにいるナンパかしら? と一瞬過った。
そうだとしたら、この若さで……としみじみしてしまうところである。
すぐに胸当てと聞いて安堵する。
「ふんふん、胸当て。軽いやつね……
ちゃちだなんて、あはは、『金物なら底の抜けた鍋でも直してやる』って店長も言ってたし大丈夫よ。
あなただと、そうねえサイズは――……」
今日は踵の無い靴だけれど、踊り子の仕事中ならそれこそ同じ目線だったかもしれない。
エリビオの上背と、マントの中の体躯にじっと視線を注ぎ、ほんの僅かな間、思案顔。
カウンターへ向かうと、奥で事務作業をしていた別の店員へ走り書きの紙を手渡し、すぐにエリビオの元へ戻ってくる。
「ちょっと待っててね~。サイズの在庫を確認してもらってるから。
ン? ああ――そうね、いつもはこの時間は、大体どこかで踊ってるから。
どこかで踊り子アルマを見かけたら、チップをその分弾んで頂戴」
本来気安い性質なので、会話を交わすうちに恭しさもなけなしの敬語もほろほろ解けていく。
胸元の、アルマース、と彫られた名札を人差し指で示して笑う。
■エリビオ > 「あはは、その金物じゃないから困ってるんだ。
どこもかしこも本金属を使った重そうなものばかりで。」
小さく肩を竦めながらもその目は隠された手の方ばかりに向かう。
が、小気味よく走り去る姿で見ることは叶わず、手早く戻ってきた店員の応対にマントの下で腕を組んだ。
「サイズ、まだ測ってないけれど、目測でわかったりするの?凄っ。
――踊り子アルマ?」
不意に出たキーワードに薄く傾げる首はすぐに胸に飾られる名札に視線を馳せて。
「あー、そういうことだったのか。昼も夜も働いて大変だね。
うん。もし偶然会うことことがあれば思いっきりチップを弾むよ。
俺はエリビオ。よかったら覚えていてね。」
そっと手を差し出して握手を求める。
■アルマース > 「なあるほどねえ。てことは盾役じゃないのかしら。動きやすさ重視なのかなー」
本業と違って、武具屋の店員としてはまだまだ勉強中、知らないことばかりである。
そういう需要もあるわけね、と勉強させてもらった顔。
「一からオーダーするなら別だけど、既成のサイズのどれかくらいなら、それは見ればね。
って言っても、きっとまだ成長期よねえ」
若者にはつい微笑ましい眼差しになってしまう。
片手を出して、握手して。
「成長期の若者にチップをねだってしまったわ。
出世払いで待ってまあす。エリビオ、よろしくね。
じゃあご試着どうぞ~」
用意ができた奥の店員から声が掛かったら、素材やら形状やら、諸々また相談の上お買い上げ、になるか。
最高潮の女に乗せられて、余計なものまで買わされないように気を付けてほしいものである――
■エリビオ > 握手した瞬間に高らかに手を上げてくるりとその身を回転させようとする。
叶えばワルツのようにくるりと回してからゆっくりと手を離して。
「それじゃこれがチップ代わりということで。
きっとアルマースさんの踊りとは違うだろうけれどね」
慇懃に腕を折り曲げて会釈した頭をあげて、片目を瞑って笑みを零した。
その後はやけに上機嫌な店員に幾多も勧められるが、それらは丁重に手を差し出して断って退店したことで――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエリビオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルマースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 歓楽通り」にアキアスさんが現れました。
■アキアス > 飲み屋やら娼館やらが立ち並ぶ通り。
平民地区のそこは、貧民地区のものよりいくらか煌びやかで。
それでいて富裕地区のように貧乏人を見下していないのがよい。
いや、中にはそういう手合いもいるが、貴族相手の娼婦たちは金以外も求めたりする。
それはそれでそっちの勝手、とは思うが、貧民出身の冒険者など露骨に下に見られもして。
そういう相手を組み敷くのも一興なのだけれど。
「つっても高けぇし、なぁ。俺にはあんたらくらいが丁度言い訳よ」
そんなふうに客引きしている娼婦に粉掛けながら。
男の調子はいつもこんなものなのだろう。娼婦の方もはいはい、と笑って流している。
その日は馴染みの娼館で普段の用心棒が流行病で寝込んでいるとかで。
ギルド通しての依頼を請けての、ぼちぼち交代でお役御免、というところ。
このまま娼婦を買ってもいいし、適当な女を口説いて宿なり塒なりにしけ込んでもいい。
そんなふうに考えながら、最後まで面倒が無ければいいがと欠伸を洩らして。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 歓楽通り」にギンジョウさんが現れました。
■ギンジョウ > 歓楽通り、その名の通り歓楽を求める場所。
目立つ着物姿でその場所を歩いていれば、
女の身体付きも相成って周りの視線を浴びるというもので。
きょろきょろ、と目的の店を探している姿は少々この場所にしては危なっかしくもあるか。
「……ん…。」
ふらり、と傾いだ身体が男の背中に当たる。
娼婦たちがきゃっ、と悲鳴を上げたりする中、
女はぼやけた視界であたりを見渡し…。
どこか寝ぼけ眼に近い、とろりと蕩けた銀色の瞳で口を開く。
「……これ、は、失礼しました…。」
■アキアス > 結局は大過なく終わりそうな仕事。
何かあった方が楽しいが、店としてはこのほうがいいのだろう。
面白みは無いが労力は少なく澄んだのだし、それはそれでよし、と。
店の中で休んでいたらしい交代の相手が出てきては、声をかけてくる。
それに応えながら、さてこのあとはどうするか、と、首を捻っては凝った関節ポキポキと鳴らしていて。
「じゃ、後は頼むわ。俺? そうなぁ、ここで遊んでっても――……っとぉ?」
とん、と背中に当たる感触。
人の往来もそこそこあるとはいえ、いかつい体格の男はどちらかと言えば避けられるほう。
それにぶつかってくるのはどんな相手かと振り向いてみれば、どこか異国風の衣装を着た女性が居て。
「なんだ、嬢ちゃん。ここの娼婦、じゃ、ない? はぁん?
お疲れかい。俺と一緒にゆっくり休めるとこにでも行くか?」
男好きのする身体をした相手が瞳をどこか浮かせるようにしていれば、客の相手が終わったばかりの娼婦かとも思い。
けれど他の娼婦が違う違う、と言っていれば、ただの通行人かと。
どこか茫洋とした風情の相手の身体をじろじろと見回しては、無遠慮にその尻に手を伸ばしてゆきながら、へらへら緩んだ顔で下卑た誘い文句を投げかける。
■ギンジョウ > ぽすん、と男の背中に軽く身体が当たれば、
よろめいた身体は、ぺたりと地面に座り込んでいた。
そのせいで着物の裾がだいぶ際どいことになっていて、
それに周りの男たちの視線もいっきょに注がれることとなる。
「………、はい、お休みしたいです…。
んっ…お兄さん、一緒に行ってもいいですか…?」
ふわふわとした言葉の中、
よろけた身体のお尻に無遠慮に手を伸ばされれば、
艶っぽい吐息と一緒に男の顔を見上げてこてんと小首をかしげる。
これを見れば、周りにいる男たちはうらやましそうに男を見つめることだろう。
■アキアス > 背中に当たった相手が、ふらりと地面に座り込む。
白い艶めかしい脚が晒されては何事かと視線を向ける男たちが色めきだって。
もちろんアキアスもそこをしっかりと視界に収めながらに、彼女を起こそうとしながら、その柔らかな尻肉に触れて。
布地越しの感触を楽しみながらにゆっくり立たせれば、冗談交じりに告げた誘いに応じる相手。
「……ぁ? まじ? じゃあ――そうな、行くか」
にやにや笑いながらに彼女と連れだって娼館の中にと入っていく。
そこの主に部屋を一つ借りては消えていく後ろ姿を暫く羨む視線が追っていたけれど。
すぐにまた元の喧騒にと戻っていって。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 歓楽通り」からアキアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 歓楽通り」からギンジョウさんが去りました。