2023/11/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/街角」にレヴェリィさんが現れました。
■レヴェリィ > ───なんの変哲もない、王都の街角。
いつも通りの日常が繰り広げられるその街に並みに。
一羽の光る蝶が、青い燐光を纏って飛んでいた。
ほのかに輝くそれは目を惹くが、周囲の人々はそれを気にする様子はない。
どうやらそれは、あなたの視界にしか映っていないようであった。
人を夢へと導く蝶。あなたはそれに触れても構わないし、眺めているだけでも構わない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/街角」にリセルシアさんが現れました。
■リセルシア > 夕暮れ時の大通り。
賑やかな雑踏も、路地をひとつ入り込むと、もう暗闇の帳が落ちている。
酒場に繰り出すもの、買い出しを終えて帰宅するもの、はたまた夜の仕事へと向かうものなど、道行く者は様々で。
そんな中に、治療院から白い法衣を身に纏った少女が加わった。
雑踏を避けるように歩みを進めれば、自然と人波の少ない路地へと行き着いて。
「―――あれ、なんだろ??」
ほのかに蒼く輝く何かが目の前を横切っていく。
ほんの少しの好奇心に駆られて、それを追いかけるようにして路地裏へと脚を向け。
追いつけるようなら、そっと触れるように手を伸ばすだろう。
■レヴェリィ > あなたが『それ』に追いつく頃、辺りにはもうすっかり人気はなく。
夕日もほとんど差さない薄暗いで青い蝶は神秘的な輝きを纏っていた。
やがて塀に止まってじっとしていた蝶は、伸ばされる手からも逃げることはなく。
───指先がそれに触れた瞬間、一瞬くらりと眩暈のような感覚があった。
それはすぐに収まって、忘れてしまうほど些細なことだったけれど。
あなたがそれ以上気にする前に、突然背後から声が投げかけられた。
「あら、こんな時間に1人でこんなところに……危ないわ」
いつの間にか気配もなく立っていた少女。
魔女のような服装に身を包んだ彼女は、今はあなたと同じ年頃に見えた。
■リセルシア > 近づいてみて、ようやくそれが蝶だと知れる。
逃げないように、潰さないように、そっとその輝く翅に触れた瞬間に、視界が揺れる。
「え―――?」
ふわりと身体が傾いで、思わずたたらを踏んだ。
それに関して疑問を思い浮かべるより先に、背後から声が投げかけられ。
「はい? あっ……」
振り返って見れば、そこには自分とそう変わらない年頃に見える少女の姿。
自分が纏う法衣とは異なる黒い魔女のような衣裳に身を包んだ少女に指摘されて、辺りを見回し。
「うわ……ここ、どこだろ……?
あのっ ごめんなさい、大通りに出るはどうしたらいいか、教えていただけませんか?」
見知らぬ路地裏に、さぁっと血の気が引く。
いくら平民地区とはいえ、夜の路地裏が安全と言えるわけがない。
忠告してくれた少女に縋るようにして、道を尋ね。
■レヴェリィ > 「この辺りは随分と深いところだものね。
いいわ。『ここから出る方法』を教えてあげる。ついていらっしゃいな」
くすり、と背格好に合わない大人びた笑みを浮かべ。
少女はあなたを先導するように、薄暗い路地を歩き始める。
その間にも陽はどんどん落ちていって。
どんどん暗く、心細くなっていく中、背中越しに質問が投げ掛けられる。
「でも、あなたはどうしてこんなところまで?」
■リセルシア > 一見すれば、自分とそう変わらないように見えるのに、少女のその物腰は随分と落ち着いて見えた。
すっかり暗くなった知らない路地裏で、ただひとつの道標とも言える少女の先導に、付いて行かないという選択肢などあるはずもない。
万が一にも逸れてしまわないようにと、ほぼぴったりと寄り添うようにして、少女の後を付いて行き。
「え? あ、はい。さっき、光る蝶々を見つけたんですけど……」
道すがら言葉を掛けられると、ありのままを口にする。
けれど、言葉として口にしたそれは、冷静になって考えれば、見間違いだったようにも感じられ。
事実、その光る蝶々の影も形も、どこにもなくなっていたのだから。
■レヴェリィ > 距離の近いあなたを気にする風もなく。
少女は規則正しい歩幅で歩き続ける。
路地は入り組んでいるが、その足取りに迷いはなくて。
「光る蝶、ね。それは……そんな子かしら」
ちらりと振り返る視線は、あなたの肩口に。
そこには、いつの間にやら先程の青く光る蝶が止まっていた。
「ふふ、珍しいのはわかるけれど。
こんな人気のない場所まで追って来てしまうなんて。
あなた、結構好奇心旺盛なのね」
くす、くす、と口元に手を当てて。可笑しそうに。
■リセルシア > この暗い中でも迷いのない足取りは、道を知っているのだろうと安心させるもの。
何の疑いもせずに、時折、きょろきょろと辺りを見るものの、やはり見知った景色はどこにもなく。
「はい? ――――え?」
そんな子、と言われて首を傾げる。
少女の視線を追うように、自らの肩口へと視線を向けると、そこには先程見失った青く光る蝶の姿があり。
蝶が飛び立ってしまわぬようにと、慌てて歩みを緩め。
「うぅ……でも、こんな光る蝶々、初めて見たものですから。」
どうやら歩いているくらいでは、逃げはしないらしい。
からかうな少女の笑みに、子どもっぽい行動だと言われているようで。顔を赤く染めて言い訳を口にする。
肩口へと手を伸ばすかどうか逡巡して―――結果、そのまま肩に留まらせたままにすることに。
■レヴェリィ > 「そうね。確かに、どこででも見られるものではないわ」
歩をゆるめ、払い除けもしない。
知識欲故に逃がしてしまうのが口惜しいのか、それとも優しさか。
魔女の口元はますます弧を描いて。
「───面白い子ね、あなた。
ねぇ……その蝶について、もっと知りたい?」
くるりと身体ごと向き直れば、あなたへさらに一歩近づく。
ただでさえ近かった距離がさらに縮まって。
「その子はね、あなたの夢を叶えてくれるの。
一晩の間だけ……どんなことでも」
■リセルシア > こちらを見遣る少女の口ぶりは、その蝶について知っているかのよう。
視線を蝶から少女の方へと向ければ、続いて告げられる問いかけに。
「え? この蝶々のこと、ご存じなんですか?
はい、ご存じなのでしたら、ぜひっ!」
好奇心を隠そうともせずに、素直に頷いた。
宝石などよりも美しく煌めく翅に、興味を引かないわけがない。
少女が立ち止まれば、当然、こちらも歩みを止め。
どんな文献でも見たことのないその蝶について、是非とも教えてほしいと詰め寄って。
「―――夢、ですか?
一晩だけ??」
もっと魔法的な何かや、生態的な何かを教えてくれるものだと思ったのだけど。
告げられた内容は、何かの暗喩かとも思える抽象的なもの。
言葉の意味を噛み砕くように、反芻して。
■レヴェリィ > 「うふふ、本当に知識欲の塊のような子なのね」
想像以上の喰い付きに、思わず愉快そうな声が漏れ。
さらに近付く一歩。文字通り目と鼻の先ともいえる距離から、魔女の瞳があなたを見つめる。
闇の中でも妖しく輝く、底知れぬ深い青色。
「言葉通りの意味よ。あなたは何を望むのかしら。
ふふ、物欲? 食欲? 性欲? それともやっぱり、知識欲かしら」
吸い込まれるような魔女の瞳から、目を逸らせない。
追い込まれた背中に冷たく固い感触が伝わる。
……いつの間にか、先程まで道だったはずの背後が壁になっていた。
■リセルシア > 一歩、更に一歩。
こちらへと歩み寄る少女。
見詰められる瞳の色は、まるで肩口に留まったままの蝶のように蒼く。
「えと……急に何を望むって、言われても……」
少女の瞳に、自身の姿が写り込んでいるのが見えるほどの至近距離。
トン、と背中に硬い壁が触れ。
少女が口にした言葉が、脳裏に浮かび。
「そ、それって……」
整った顔立ちの少女にじっと見つめられると気恥ずかしい。
そんな状況で性欲などと口にされれば、普段、禁欲の生活を送っている初心な少女は顔を赤らめるばかりで。
蒼い蝶のことは気にはなるけれど、それよりも目の前の少女のことの方が気になって。
■レヴェリィ > 「いいのよ、素直になってしまって」
恥ずかしそうな表情、赤くなった頬。
それがどの『欲』に反応したのかは一目瞭然で。
わざと意識させるように、壁際のあなたに柔らかな肢体を押し付ける。
「もし、私のことがもっと『知りたい』なら───もちろん、それも叶えてあげる」
その妖艶な視線は、これから何を教え込むつもりなのか。
あなたの想像を掻き立てるには、十分に蠱惑的なものだっただろう。
■リセルシア > 背中には変わらず、冷たく硬い石の壁
けれど正面に触れるのは、柔らかな少女の温もりで。
自身とそう変わらないような背丈にもかかわらず、押し付けられた肢体の柔らかさは自身とは大きく異なり。
「え、う……あの、そんな……素直って……」
見詰められる瞳の蒼から、視線を逸らすことができない。
心臓の鼓動が相手に聞こえてしまうんじゃないかという程にうるさく響き。
誘うような、その言葉にも抗えず。
少女が教えてくれるというのなら、小さく―――けれどはっきりと頷いて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/街角」からリセルシアさんが去りました。
■レヴェリィ > 【次回継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2/街角」からレヴェリィさんが去りました。