2023/10/31 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からブレイブ・クーパーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  比較的治安のいいとされる平民地区と云えど、表通りを一本入ると。
 貧民地区に近い場所となると。
 それなりに危険な場所もあれば、掏摸やら引ったくりやらカツアゲやら……そんなケチな犯罪で賑わう場所もある。
 ここはそんな、一本路地に入った裏通りの一角で、そういった場所に似合うのは――、

 ばきっ

「一昨日来いって云うのよ…!」

 肉の打ち合うような鈍い音。怒気を孕んだ声。乱れた呼吸も混じる。
 それは、故郷ではゴリラ女の名を欲しいままにした特攻型ヒーラーとチンピラとのタイマンな一幕。

 袋小路になった人気のない通りでストリートファイト繰り広げる、19歳ヒーラー女子とは思えないゴリラと対するのはチンピラ風情の男。黙って歩いてれば一見大人し気に見えるそんな女をカモとして金を巻き上げついでに力づくで――などとヨコシマ満載な。
 しかし、薄暗い通りを一人で歩いていた、ちょろい獲物としか見えなかったその女が予想外過ぎる反撃を見せるのに当初一歩出遅れていた。
『中身ゴリラじゃねえかァ!』
 それは男の実際の声か心の声か。若干後悔した心境ではあったらしいが――そこで易々とこんな小娘に気圧されては名折れとばかりに、安っぽい矜持を抱いていた為――戦いのゴングは鳴ってしまったのだった。

「わたしが云うのもなんだけど! あんた倍くらいはでかいガタイしといてちょっとは手加減しなさいよ!?」

 ゴリラの分際でハンデを求めるが、チンピラからしたら『ふざけんなゴリラ』としか云いようがない。

 ゴリラはゴリラで、相手がただのチンピラにしては腕が立つことに少々焦りを覚え。さらに無手であることに不利を感じていた。

 先ほど、回し蹴りを一発男の脇腹に放ったはいいが、ダメージが軽かったらしく足を振り抜いたところで出来た隙を衝いて拳が容赦なく耳の付け根辺りにヒットして、よろけてしまう。

「ッ……」

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にフィクシスさんが現れました。
フィクシス > 路地裏で繰り広げられる喧嘩騒ぎ――そこに関わる幾人が気づいただろうか。
先刻までただの壁だった場所が音も無く扉へと変じたことに。
女性の背中に現れた扉には、魔力の匂いがうっすら漂っていたから、素養があれば感じ取る者もいたかもしれない。
ドアは押す者も無く外側へ開いた。内側には明かりも無く、低い男の声。

「――――すまない、ドアが開いたからもう行くよ。それではね」

誰かへ別れを告げ、少々小さな扉の頭上の木枠に触れながら、長躯を屈めるようにしてくぐり出て来た男は。
よろけた女性の背を、杖を持たぬ方の掌で軽く支えると、閉じた目を男の方へ向けた。

「喧嘩ですか……? 一対一……加勢してもよろしいですか」

マイペースに加勢の許可を乞う。もちろん女性の側に、である。

ティアフェル >  正直誰も気づかなかった――夜も更けた街灯だけがぽつぽつと照らす暗い街路。通行人の往来もごく薄い。
 端から壁だった場所を注視する者はおらず。
 喧嘩の真っただ中だった当人たちも対峙するのに気を取られて意識の外にあった、出来事。

 だから、急に壁だった背後で扉が開く音が響くとびく!と震えて振り返り。

「え? な、なに……?」

 驚いたように瞠目して、よろけて傾いた背を支えられ転倒を防がれると閉じたその人の目とは対照的に大きく見開いて。

「喧嘩! です! って――誰!? どなた!? 加勢!? わたしに? だったらオーケイ、味方歓迎っ……だけど……あなた、目……?」

 光を知らぬように閉ざされたままの双眸。見上げるような上背の相手を宵闇の中で確認し。
 助太刀は大いに歓迎するし、体格はいいが……盲目ならば助力になるのだろうかと懸念した、が。
 呑気に考えている暇はなく。
 突然現れた加勢に、対峙していたゴロツキの方は一瞬たじろぐが、聖職者のような風体の盲目と分かれば大した脅威ではないと踏んだようで鼻で嗤うと、纏めて片づけてやると息巻いて拳を振り上げると加勢を申し出た長身の青年へ殴りかかっていった。