2023/10/24 のログ
■ユーゴ > 「違……っ、」
普段の己であれば決してする事のない、不用意な距離の詰め方。
指摘ともつかぬ揶揄交じりの声に反射で返せば、何時の間にか己の背後には壁があった。
背中に覚える壁の硬い感触。
逃げ場を失ってしまえば相手が己の腰を捉えるのも容易だろう。
己の顎先へと触れる指腹から逃れるように顔を背け。
「……いいから、離れ―――ッ!」
離れてくれ、とまでは紡ぎきれぬ内、再び覚え始める違和。
然し、術式を軸に流し込まれるそれを弾くには、気付くのが遅かった。
反射的に手を伸ばして相手を押し返そうとはするものの、一度術式への介入を始められてしまえば、その勢いを削ごうとするのに意識は割かれ、伸ばした腕の力は緩んでしまう。
そうこうする内に、徐々に侵蝕は深まり、煽られる情動に吐息が熱を持ち始め。
■アキアス > 先程は弾かれた淫らな魔力が、今度はしっかりと、彼の身体に根付いた術式に滲み込んでいく。
〝やった〟と、淫魔が悦び、目の前の獲物に歓喜するのが頭に響き。
「……っせェ……な、ぁ? ……はぁん?」
その細い腰を捉え、顎に触れさせた手からは、彼の端正な顔が背けられる。
けれども、押しのけられるかと胸板に触れる手は、そのまま力なく触れさせられるまま。
乱れる吐息を見れば、にやりと笑みを深めて。
「……〝君、大丈夫?〟って、感じか? っくく」
最初に彼がかけてきた言葉をそっくりまねては気遣うふりをして。
そうして、頭の中で五月蠅い淫魔の促すままに、目の前の相手を抱き寄せ、介抱するかのように見せかけながら、手近な連れ込み宿にと、二人で姿を消してゆき――…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からアキアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からユーゴさんが去りました。