2023/10/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
■ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるため出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座ってハードカバーの本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。
この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。
「…ん」
そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げて
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に夏虎さんが現れました。
■夏虎 > 平民地区大通り。お天気は快晴、お出かけ日和といった具合に日差しは暖かく風は涼しく、
そのうえ安息日もあっていつにもまして人通りも露天商に飲食店の活気も増し増しである。
その一角でいつものように手作り感溢れる屋台を立てて幟を差して営業中の『夏天的药店』。いつものように、薬も湿布もあんまり売行きよくなく、いつものように、林檎やら柿やら薬の材料仕入れついでに採ってきている果物はよく売れている。お昼時に差し掛かるとお昼ご飯を求める人が多く此方の客入りは少なくなってきた頃――
「ぃよし」
桃髪店主も今のうちに飯だ。朝のうちに買い込んでおいたバーガーやらサンドイッチやらに加えて、自分用に取り置きしておいた梨を切り分けほうれん草とマッシュルームにナッツを入れてフルーツサラダ。プラス、葡萄の果実水を、頂きますと手をあわせて、屋台の奥で小さな椅子に腰掛けランチタイム。
早速バーガーを齧りつつもメモ帳開いて今日の売行き計算したりと片手間に作業。
屋台も、営業中の札は張り出したまま。お客さんがいつ来てもいいようにしておく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にレンジュさんが現れました。
■レンジュ > そんなお昼時、タイミングが悪いのか良いのかわからないタイミングで現れた。
すっかり涼しいというか、肌寒いまで行きそうな気温の中で店先を覗き込み。
「失敬、のぞかせてもらっていいかな?」
食事は続けてもらって構わないよ。と、先んじて言っておきつつ、
ちらりと不思議な雰囲気の薬や湿布のほうに興味を示している様子。
というか多分、文字の読み書きもままならない身、
店名に何と書いてあるのかすらわかっていないのだろう。
それでも覗き込みに来たのは興味を示した好奇心と、
鋭い嗅覚で嗅ぎ取った薬特有の匂いに。
これはどんな効果なんだ?と小首をかしげている。
■夏虎 > 大口開けてバーガーをぱくついて三口目あたりで早くも一個平らげ嚥下した時に掛かる声。
ごくんっ! 一気に飲み込み果実水で喉に引っ掛かったものを流し込んでから立ち上がる。
「ぉ。っと、いらっしゃいませ。
お気遣いどうもぉー」
若干の親近感を覚える髪色と、女性にしては上背のある姿に、目を向けて。随分珍しい事に、悲しい事ながら珍しい事に、薬の方に興味ありそうな様子に目を丸めかけたが、瞬き幾度か挟んで屋台越しに向かい合う。
食べたままでも大丈夫と折角のお声掛けだが、
口に入れたまんま接客は勘弁を。
何て笑って遠慮してから飲み薬やら湿布やら並べたスペースに指を向ける。
「何かご入用で?
此方は鎮痛剤ですな、後ぁ腰痛とか肩こり向けの湿布です、他にゃ精力剤なんかも御座いますよ。
ご入用のもんがなけりゃあ、ご用向と在庫次第ですが別途調合なんかもさせてもらいますけども」
彼女の鋭い嗅覚でも、あれの匂いこれの匂いと混じった上に別の戸棚からは果物の匂いまでするせいで匂い一つでどれがどうとまでは判別付かないだろうか。一応、此れはこういう効果で、云々の説明書きはしてあるものの字が読めないのもさして珍しくはないので特段気にした素振りもなく、これはこんなん、あれはこんなん、と指差しながら効能を軽く説明する。
■レンジュ > 相手の姿を見れば、なんというかとても整った容姿に思えた。
あまり異性の顔立ちの優劣に気をやる性分ではないが、
これだけの顔立ちならば男目当ての女性客なんかいそうなもんだがな、とか思った。
見事な一気飲みを見れば、焦らなくていいから、と逆にこちらが慌てた様子で。
「ありがとう、それじゃあゆっくり見させてもらうよ。」
桃色の髪に、自分より少しあるであろう背丈を見つめつつ一礼。
どこか珍しそうにこちらを見られれば、小首をかしげて見せた。
あれ、これ、それ、と、いろいろ教えてもらえればふむふむと頷きながら説明を聞いていく。
「へぇ…そりゃ便利そうだ…効果については自信ありそうだしな。」
そう言うが、自分に精力剤はさすがに間に合っていると思った。
魔力や呪いの匂いで簡単に発情する身としては。
おっと、意識が横にそれた。
いろんな匂いが入り混じった屋台先、一つ精力剤と言われたものを手に取ってくん、と鼻を鳴らしてみる。
匂いで発情するようなものだったらどうするんだ、という話だが、変なところで抜けてる女は、
そこまで考えていないのだろうか。
■夏虎 > 随分と格好良い女の人だなあ……。等と、己の顔立ちを品評されている時丁度同じような事を思ったりもしたもので、お客さんのそれも女人の顔をまじまじと凝視するだなんて失礼働くわけにもいかなったが視線がばっちり合ってしまった。
親指は折りたたんで四指は立てた手を眼前に持ち上げて。
「いや。失礼、ほら、髪がこんなんでしょ?
似た色合い見つけるとどうにも勝手に親近感がね」
異国式だが謝罪一つ入れてはその手が桃髪を一房摘んで揺らす。
根本までしっかり桃色で、染めているのではなく地毛である。
いや申し訳ない、とは重ね重ね謝罪を入れつつの、
一応今並べてあるものは端から端までこれはこうと説明を続けていき。
「まあ半端なもんは店に出しませんや、うちのギルドはそういうとこ結構厳しいので……。
あ、そいつならお安いですし如何です?
その袋ごと口に入れてもらえりゃ袋も口ん中で溶けますし粉ですが飲み込みやすいですよ」
四角形の半透明な、ティーパックの子供、とでもいった様子の精力剤を取ったのを見遣れば、
値段がどうの服用しやすさがどうのといった謳い文句もつらつらと。
彼女の鼻孔を擽るのは薬効のそれだが何処か茶葉めいた香ばしさもどこか含まれたもので、
普通の人間には嗅いだ程度ではどうという事もないが普通の人間以上の嗅覚であると……
ほんの少しばかりではあるものの身体がポカポカする。
性欲を刺激するようなものじゃなく精力剤という名の通り疲れた身体に効く類であった。
「あ。夜用のをお求めでしたらこっちの棚から出しますが」
普通のものもあれば性欲を刺激する類もきっちりある。
お客様のご要望ご入用に向けて種類を分けてあるので、
屋台の内側に備えられた棚のほうへ目線を向けて。
■レンジュ > ばち、と視線が合えば緩く笑みを浮かべて見せる。
お互いにお互いの容姿を品評していただなんてかけらも思っていない様子で。
「いや、此方こそ失礼。ああ、なるほどな…。
まぁ、確かに変わった色合いではあるかな、俺も自分と全く同じ色は見たことが無いし。」
ゆるうく笑みを浮かべながら、そんなに謝罪しなくてもいいからと片手を前に出す。
端から端まで、薬や湿布の扱い方をはじめとした効能などを聞いていて、
鼻先に近づけた精力剤の香りに軽くクラッとした。
「それならよかった、いざというときに使わせてもらうからな、
自信がありませんなんて言われたら、速攻で踵返して帰るところだ…。
………ん、これくらいなら何とか。」
くん、と匂いを嗅いだ精力剤、と言っても疲れた体に効く程度の優しいものならば、
ほふ…とうっすらほほを桃色に染めながら吐息を吐き出す。
というか、単純に香りが気に入ったのか、身体がポカポカする感覚に心地よさを覚えたのか、
とりあえずそれを一つ手に取って。
「い、いや、俺にはそんなもん使う相手がいないから…。」
夜用、と言われればそれの意味が分からないほど子供でもない。
ふるふる、と首を左右に振って。
■夏虎 >
「良い色だとは思っちゃいるんですがね? 我ながら。ふふふ。
只まあ変わってると言われる事も多いんで何だか同じ色とか似た色見つけると安心するっていうか」
謝罪は重ね重ねにさらに重ねそうになっていたが制止を受けると有り難く受け取って、頷き一つ。
摘んだ一房を下ろすと左側へと撫でつけ直し。
薬に、お客さんに、とちょくちょく視線を移動している最中、
彼女の目が薬効を嗅いだ途端くらりと少し泳いだのを見付け。
「嘘でも自信あるっていうのが商売人ですよ、お気をつけを。うちはまぁほんとに自信ありますけど。
……匂い敏感でいらっしゃる? や、強ぇのお勧めせんでよかったです」
敏感とは言ったが、普通の人間の数倍か十数倍あるいはもっとあるかもしれない。
彼女の様子を見てはそのあたりに見当付けつつ、ならこれを……とかやったら匂いのキツいそれこそ媚薬なんざ嗅がせに掛かる商人も居るだろうが自分はそのクチじゃないから余計なもの出さなくて良かったと安堵に肩を一つ竦めて見せて。
お買い上げに、紙袋を一枚用意すると一旦薬包を彼女から受け取って梱包する。
こいつオマケで。
と、お買い上げは一包だったがさらっと更に二つぐらい追加で入れている。
「またまたまた~。お客さんぐらい器量のいい方で縁がないってこたないでしょう?
男はもちろん女の人でもくらっときそう、ていうかくるんじゃないですかね。
俺も顔にゃあ実は自信あるんですけどお客さん見て、負けた……!? とか思いましたもの」
使う相手がいない、だなんて。
そんな言葉に今度こそ目を丸くしてから直ぐに小さく笑気を吹き出して。
梱包進めつつ、商売上の世辞も含まないでもないが大半は本音を零している。
■レンジュ > 「そうだな、とても奇麗な色だと思う。」
口説くつもりとかは無く、単純にそう思ったからこそ頷きながらそう零す。
フードの中の髪を撫でつけながらそう言うと、くつりと一つ笑みを浮かべた。
少し泳いだ視線の中で、ふは、と小さくと息を吐き出す。
「そりゃそうだ。でも嘘をついている奴は胡散臭いとは別の匂いがするからな。
ン、まぁ…少しな。強いのを進めなくて正解だぞ、襲い掛かるところだったかもしれない。」
そう冗談めかしつつ少し熱を持った紫の瞳で男を見やる。
実際何度かそういう媚薬の類を嗅がせに来た奴もいただろうが、
ふすー…、と小さく呼吸を整えるようにしながら代金を支払う。
だが、お買い上げより明らかに多い量を包まれれば眉を寄せ。
「おいおい、それでちゃんと儲かるのか?」
余計なお世話かもしれないがそう問わずにはいられずに。
「んっ…そ、そんなこと無いって。
そんなこと言うのはお兄さんくらいだよ、俺は……ッ。」
くらり、と身体が傾ぐ。
精力剤の影響とは違う感覚でとくんとくんと心臓が脈打ち、
腹の下のあたりがきゅんと切なげに熱を持ち始めている。
まずい、と思えば先ほど男に言った言葉が冗談で済まなくなりそうな気配を感じ…。
■夏虎 > 「ありがとうございます。よけりゃあたっぷり見てやって下さい、ぁ心配いりやせん無料です」
褒められるとやはり嬉しいもので褒められるだけ口角がつい上がる。煽てて気を良くして云々は商売人の領分の筈なのだが商売っ気がさっぱりない笑顔見せつつ、茶目っ気というか悪戯っ気というかに八重歯まで覗かせては、此れは少し態とらしいがもう一度彼女と同じタイミングで髪を撫で付けてみせて。……むふふふ、とか、態とらしさに自分が耐えきれずにまた笑ってしまっている。
「胡散臭さまで嗅ぎ取れるたぁお見逸れしやす。
こういう時こそ真っ当にやってて良かったと思う日はありませんな。
ご心配なさらず。もし気が咎めるようでしたら今後ともご贔屓に?」
料金もきっちり一包分を『これだけ』と提示して受け取ると、お釣りもちょろまかす事もなく返して。
仕入れの都合までは言わないが、儲けは十分出ていると、嬉しい気遣いに頷き一つ。
彼女の冗談にまた一つ二つ笑気が溢れて先程からすっかりと笑みばっかり顔に浮かべ、
オマケも入れた紙袋をと手渡しして、今後とも宜しく、と、普通は別れるところだが。
「んなわきゃないでしょ、もしそうだとしたら世ん中の男共は目ぇ腐ってる。
俺だって商売挟んでなけりゃあ寧ろ相手して下さいてゲザる勢い……て、
あ、ら? ちょ、っとお客さん? あれ? やっぱあれキツかった?」
髪もお綺麗だし。目も凛々しいし。顔立ちだって……云々、詳しく褒め始めると止まらないんじゃないかという勢いですらあったところ、流石に彼女の目線どころか体躯までくらりと傾いだら止まるというもの。薬のせいじゃなくて自分のせいとは思いもしないで慌てて屋台から出てきて。
ちょいと御免なさいね?
と。触れるのに謝りつつ彼女の肩へと手を伸ばしてはぱっと見細身なのだが存外強めの力で肩を抱き、椅子用意して休ませようかと備品入れのほうに視線を向けている。
■レンジュ > そっか、そりゃあ良かった、それならたっぷり見させていただくよ。」
そちらもこちらも、と、店先と男を交互に示す。
茶目っ気のある笑みを見せられればこちらも悪い気はせずに、
さらりと互いに髪をなでつける様子にはクスリと笑みを浮かべた。
「そんなつもりで褒めたつもりがなかったからな。
むう…、わかった。また贔屓にさせてもらうよ。」
しっかりと一包分だけの料金、お釣りを返されれば眉を寄せたまま。
それでも紙袋を受け取れば、仕方ないとばかりに笑みを浮かべる。
けれども、身体の異変を感じればたらりと汗を流しながらその場に膝をついて。
「ン……っく…。
いや…これは…違……ッひゃ。」
どんどんと誉め言葉が身体を苛むようにして身体が熱を持っていく。
魔力の枯渇に合わせて雄を求めるような吐息を吐き出し。
肩を抱かれてしまえば近くに寄ってきた雄の匂いにさらに顔を赤らめ、
ふ、ふ、と息苦しそうに胸を上下させていく。
■夏虎 >
どうせ客入りなんて少ないどころか今日はもう来ないかもしれないからもうちょっとお喋りを楽しんでも良いかも。目の保養にもいいし気さくに会話してくれる彼女をもうちょっと引き止めてもうちょっと駄弁ってその後お見送り……いやでも彼女の予定もあるし……等と考えてその後はと考えていたもののそれも一旦は取り止めて。ついには、汗を流すには涼しい気温の中、冷や汗まで流して膝まで突いての様子には慌てる。
「いやいやいや。違うにしてもこれはちょっと放っちゃおけないでしょうよ」
大きめの掌が、存外力のある腕力が、肩をぎゅうっと抱いて身体を支えてみれば衣類越しにも熱を感じる。
立てる? と、声を掛けながら一度座高をあわせて屈み込んでから何とか立たせてみようと足に力を入れ。
刻一刻といった具合に容態を悪くしていく彼女を伺いつつ、ふと。
吐息の熱が。胸の膨らみが。顔の紅潮が。体調不良というには……甘い色があることに気付く。
「ん……ぁー。えーと……よし、店締めちゃいます。
色んな意味で放っておくとまずそうだ……ちょっと休める場所行きましょ?」
何が原因だろうか? 精力剤はここまで……あれひょっとして……俺? 俺ぇ!?
目線が右往左往。思考がぐるんぐるんと回って自分までじわりと汗が流れる。
それが一層雄の匂いで彼女の嗅覚を刺激してしまう事になってしまいながらも、
屋台の傍で一休みさせるという訳にもいかないらしく付き添いを申し出て。
■レンジュ > 男の言葉に甘えさせていただいていたけれども、
肩を抱かれれば近くに寄るのは男の匂いと男の身体。
視界に映る首筋に今すぐに甘く歯を立てたい衝動を何とか堪えつつ、
ふ、ふ、と荒く呼吸を乱しながら瞳に涙を浮かべ。
「んっぁ……だ、だいじょ…ぶ…だから…。」
立てるかとの言葉にはこくんと頷き、ふら付く足に力を籠める。
大きな掌に、細身に見えてしっかりと力のある腕に、逞しさを感じてしまえば、
きゅん…、と小さく鼻を鳴らした。
道行く人々も何事かと二人の様子をうかがい始めていることだろう。
中には女が明らかに発情しているのを知って、おこぼれに預かろうとする者もいるかもしれない。
「……くぅ…ん…、……んっ…。」
ジワリとにじむ汗の匂いにより一層嗅覚を刺激され、
無意識のうちに男の身体にすりり、とその身体を摺り寄せていく。
鼻先を男の首筋に寄せ、太ももを男の股間に触れさせながら、
コクコク…と小さく首を縦に振った。
切なげに涙を浮かべた目に情欲を滲ませて。
■夏虎 >
タートルネックで凡そは隠されているものの少しちらりと伺える白い肌と引き締まった首筋。
セーターが厚手である事と着痩せする体質のようで近付き抱かれてみれば解る筋肉質な体躯。
ふわり、これだけ近付いてはじめて解る程度に薄っすらと香る程度の甘い香水とそれに交じる雄の体臭。
一つ一つが、彼女の感覚に映り擽るたび、彼女を刺激してしまうだろうか。
事態が全部飲み込めたわけではないが自分が近づくと宜しくないのは漸く分かった。
だからって離れるわけにもいかないし一人で帰すのは以ての外な状況に困り眉である。
「……」
何とまあ目敏い事に甘い汁を見付けて近寄ってこようとする輩へ、
正直その目敏さは感心しかけたものの 駄目! とばかり一睨み。
「ぅ、ん。じゃ、じゃあ、行きましょ。ゆっくり。ゆっくりね。うん。凭れてくれていいから……っ」
彼女の、悩ましげな吐息と共に身体がぴったりと密着してくる感触に、肩がびくんっ! 跳ねる。声も上擦る。潤んだ瞳には生唾さえ飲み込みそうになったが喉を無理くり堰き止めて、何とか立ち上がったら支えながらに、屋台のほうへと寄って。
近くの椅子に一度は座らせたら、悪い虫に攫われてしまわないように目を配りつつ店仕舞い。
戸棚に錠前かけて窓口の雨戸をシャッター代わりに下ろしてとてきぱきと片付けたら、
普段はこのまま屋台を倉庫に引っ張っていくのだが今日はこのまま此処に停車した侭。
改め、彼女を支えに戻れば、下手な二人三脚みたいに少し覚束ない足取りになりつつ、
普段は鍼治療や按摩の施術に協力してもらっている宿屋に向けてよたよたと歩き出そうか――
■レンジュ > こくん…、と小さく喉を鳴らす。
近づいて初めて分かった男の筋肉質な体躯、そして甘い香水に混じる雄の体臭にすっかり身体を高ぶらされていた。
もう大丈夫、と言っても本当にただの強がりでしかないことは明らかだろう。
すん、すん、と少しばかり涙声交じりに香りを嗅ぎながら…。
「ン…。」
ギロ、と一睨みされた男たちはチッと舌打ちをした音が聞こえた。
他に残るのは体調不良を心配した一般市民たちだろう。
「……ん…ありが…と…。」
ぴったりと密着した身体は、ローブの上からはわかりにくいが確かに女性らしいカーブを描いた柔らかいもので、
身体を支えられればこくん…、とまた小さく頷いて小さくお礼の言葉を述べた。
近くの椅子に腰かけた後は、しばらくの間、はぁ、ふぅ、と息苦しそうに息をしながら、
そんな発情した姿に生唾を飲み込む者もいたことだろう。
男が屋台をテキパキと片付けるのをぼやけた視界で捉え、
それを終えた男が再び身体を支えてくれれば申し訳ないと思いつつも、
ふら付く身体を支えてもらいながら男の案内してくれるがままに宿屋へと……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」から夏虎さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からレンジュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエリビオさんが現れました。
■エリビオ > 冒険者ギルドの酒場は夜更けても賑わう。油で汚れた手をエプロンで拭いながら次から次へと皿を運び。
食べ終わる皿を取り下げていく
「あー、忙しい」
片方の手で10枚もの皿を重ねながら厨房に戻れば休む暇もなく新しい料理を運んでいく。
かと思えば客が汚した床にモップがけ。
乱痴気騒ぎが発展して取っ組み合いとなる大男達が迫ってくるのにひらりと身を躱す。
――酒場での日雇い手伝いではよくある光景。
「ふぅ……」
漸く一段落して壁に背を預けて額の汗を三角巾で拭った。
決して楽な仕事ではないが今日ばかりは少しだけ楽しげに周囲を見渡して……要はサボっていた。
■エリビオ > (そのまま一日なにもなく終わって)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエリビオさんが去りました。