2023/10/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるため出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

「…ん…」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ、
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」にレヴィアさんが現れました。
レヴィア > 毎日が祭りのように賑やかな平民地区の大通り。
夜空を見上げると星も月も輝く時間であっても、時間であるからこそ、とてもとても賑やかで、大通りを歩く少女?はずっとニコニコと笑みを浮かべている。

コツコツコツ、と足音を立て大通りを歩く。
宵闇を切り出して縫い合わせたようなドレスの裾を翻し、裏地の赤をちらりと見せつけながら、ニコニコしながら歩く、道行く人々はどれも生命力にあふれて美味しそうで…つい。

さて、どこにしようか。
今夜は人手を探して人通りの多い此処を選んで歩いていて、何処で椅子とテーブルを広げて、人材?血袋?を募集してみようと来たのだ。

出来れば、生命力にあふれる子がいい。
細い子だと壊れてしまうから、為るべく健康的な子。
――…あとはお菓子作りが上手とか踊りが上手とか一芸をもつ子がいい、何より退屈させてくれない子ならどんな子でも。

それなら奴隷市場でも良かったのだけど、昨日行ったので止めた同じ場所だとつまらないし?

「………この辺でいいかしら?」

酒場や宿屋から離れた少し静かな場所で足を止めると、顎先に手の甲を添えて、カク、と小首を傾げて、自分に確認するように言葉を呟くと、もう片方の手を指をパチンッと鳴らす。

すると自分の影がゆらりと揺れて、ずぐぐぐ、と影から真っ赤な椅子とテーブルがせり上がり、あっと言う間にテーブルと一対の椅子が設置され、二度目の指をぱちんと鳴らすと指先から、血の色如く鮮やかな赤い蝶が飛び、テーブルの真ん中にふわふわと浮き、暫くするとふんわりと輝きをなってランプの代わりにテーブルをほのかに照らす。

「………よし。」と小さく声を紡ぎ、満足げに微笑を浮かべると、椅子の片方を引いてワンピースのスカートを手で押さえながら腰を下ろすのだった。


傍目から見れば手品か魔法か。
かなりの場違い感があるし大通りから明らかに浮いている。
通りかかる人間はチラチラと見るし、ひそひそと通報した方がいい?とか声がする程である。

レヴィア > 両手をぱちんと合わせる、忘れていた。
今こうして何をしているのかをアピールしなければ、誰も近づいてこれないではないかと、思いつく。

なので、左肘をテーブルについて頬つえをつきながら、右手の人差し指でコンコンとテーブルを叩く、優しくリズミカルに叩く、叩くと――…真っ赤なテーブルからひょこっと白い板が立ち上がり、そこには。

『人材募集』と一言だけ流暢な文字で描かれていた。

「……そうそう、これこれ、此処でただ座ってるわけじゃないってアピールしないと……。」

うん、自己満足であるが今宵2度目の満足げな微笑を浮かべて、パンプスを履いた足先をぶらぶらとさせながら、人材募集に応募する、その一言に惹かれてくれる、そんな人間…ミレー?エルフ?獣人?がともかく誰か来るかを待つ事にする。

そう、こんな時に肩を揉んでくれたり、紅茶を用意してくれると嬉しいし、血を吸わせてくれれば最高にいい、けど……吸血行為はなくてもいいのだ我慢できるので。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」にアルティリスさんが現れました。
アルティリス > 白い装束を着た褐色肌の女が大通りに通りかかる。
今日はちょっとした仕事で舞ってきた帰りだった。

そこにあったのは、あからさまに怪しげな赤いテーブルと端然と座っている黒いノースリーブワンピースの美少女。
テーブルの白い札には『人材募集』の文字。
ツッコみたい。ものすごく怪しいとツッコみたい。
女はその誘惑に屈してしまった。
こつこつっとヒールの音を密やかに響かせながらテーブルの方へと近寄っていく。

「貴女……その……すごく目立ってるわよ?
 いったい何の人材を募集しているの?」

一つにまとめて三つ編みにした銀髪をさらりと揺らしてひとつ訊いてみた。

レヴィア > 頭上に『!』マークがピンッと浮かぶくらいに、耳に聞こえたニンゲンの声にバッと勢い良く振り向くと、見知らぬ誰かに浮かべている微笑とは違って少しでも印象を良く見せようとニコリと柔らかい笑顔を浮かべる。

「……良くぞ聞いてくれました。」

そしてスくっと真紅の椅子から立ち上がると、漆黒色のワンピースのスカートの中程を指先で摘んで、恭しく深く礼をして見せてから、待ってましたといわんばかりに説明を。

「私レヴィア・スルーク・ビネヴィアは我こそはという人材を求めておりまして、例えば……美味しいお菓子が作れる方、疲れている時は肩を揉んでくれて、お腹がすいたら血を吸わせてくれて、寝る際には膝枕を仕事の際にはその題材に……。」

饒舌に噛む事無く勢い良く一気に言葉にすると、言葉を一度此処で切り、数秒ほどもったいぶる様に沈黙した後に、左手の指先を、見ず知らずの声をかけてくれた勇気ある女性の鼻先にピッと突きつけて。

「そーんな、一芸に、そして、都合よく、私の為に働くニンゲンを此処で募集しておりました。
 さて貴女は?何ができますの?」

応募者と信じて止まぬ吸血鬼。
紅色の瞳をキラキラとさせて、緑色の瞳を見つめるのであった。

アルティリス > 勢いよく振り向いてきた美少女の勢いに押されて半歩後ろに下がってしまった。
けれど、その顔に浮かんだ微笑は思わず好意を感じてしまいそうになる。
美少女が立ち上がるとさらに勢いに押されて半歩下がってしまった。
優雅な礼を見せた美少女に対してこちらも思わず巫女だった頃の礼を返す。

「ああ、なるほど。
 そういうことだったのね。
 何か一芸に秀でていて……?
 ちょっと、い……」

『いま、血を吸わせてくれるって言わなかった?!』
と、ツッコミを入れようとする前に突き出された指先に機先を制された。
思わず視線がその指先に吸い寄せられる。
都合よく働くニンゲンという普通に聞けば恐ろしいワードも勢いで捲し立てられ、思わず求められた答えを口にしてしまった。

「……あ、えと、あの……。
 わたくしは舞を少々……」

美少女に突き出された指先から目を離すことができない。
完全にペースを握られてしまっている。

レヴィア > 応募者と断定して、応募者の鼻先に寄せた人差し指をつーっと下げて、鼻先から唇の方へ、触れるか触れないかの掠めるほどの距離で撫でるように下ろしていき、最後に鎖骨と鎖骨の合間くらいの位置でぴたっと止めた。

ダンス、舞、つまりは健康的な身体ってコト。
エキゾチックな褐色の肌に白い装束は大変悪くない。
――…しかし、それだけで決めてはなるまい。

「舞ですか?
 私(わたくし)舞いを見るのは大好きですの。
 では早速脱いでくださいませ?もうバサっと勢い良く。」

話が二段ほど飛び越すような言葉を向けてまたニコリ。
さささ、早く早くと言わんばかりの好奇心に紅色の瞳を輝かせて促しながら、両手でスカートの裾を押えながら椅子に座りなおして、そして改めて応募者を見あげて、じーっと穴があくほどに見つめる。

言葉の意図はひとつ。
傷が無いかの確認、健康的な肉付きをしているかの確認。
舞を舞う技術があればそれだけ引き締まっているはず、それを確認したくて……脱げ、と前置きもなく、伏線もなく、唐突に。

自由気まま、好き勝手、傲慢でわがまま、典型的な吸血鬼の少女?であった。

相手の都合?そんなモノは知らない。

アルティリス > つつーっと音がしているかのように美少女の指の位置が下がっていく。
それに従って指先に呪縛されていた視線をようやく美少女の赤い目に移した。

「そ……それは良かったです。
 ええっ?!」

『ここ、通りですよね?!』と口は動くけれど発音することができない。
それどころか左手が装束の留め具を外しそうになるのを慌てて止めた。
いけないいけない。ここで呑まれてしまってはいけない。
注がれる赤い視線に困ったように身じろぎをしながら美少女に向かって口を開いた。

「……あの……せめて衝立とか視線を遮れる場所でお願いしたいんですけど」

まだ装束を脱いだわけでもないのに恥ずかしそうに顔を赤らめて右腕で胸を隠し左手を股間に当てた。
銀のハイヒールの爪先が内股気味になっていて、ほっそりと引き締まった脚は気弱げに震えている。

レヴィア > 他人の意見は聞くだが聞くだけで実行する吸血鬼ではない。
私は聞くわ?でも私はいう事を聞くとは言ってないけど?という訳で傲慢がドレスを着て我侭が歩く吸血鬼の少女は応募者の言葉に一瞬だけ悩むように俯く。

応募者の言葉は確かに。
此処は時間的にも賑やかな大通り、片隅であっても先ほどから人が行き来しているし、時々コチラを眺める心地よい視線もある、心地よい視線に何の問題が?と数秒俯いた後に顔をあげて、何で?と言いたげに紅色の瞳を細めて、首をカクと傾げる。

「どうして?貴女は踊り子でしょ?
 人目がある前で舞うのは苦手なのかしら?
 なら……そうね下はいいわ許してあげる。
 だから上だけ脱いで見せて?ほら、こっちに来て?
 通りには背中を向ければ、大丈夫でしょ?」

矢継ぎ早に口にした言葉は少しだけほんの少しだけ苛立たしげになってしまったのだが、ちょっとその苛立ちを押えこむ感じで薔薇の香気混じる吐息を吐き出して、片腕で頬杖をついて――…応募者を見あげる。

するの?
しないの?
どうするの?

紅色の瞳は緑色の瞳に語りかける。
――…強制はしない、強要もしない、でも、どうする?と。