2023/09/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 噴水広場」にシレネさんが現れました。
シレネ > 王都の中でも特に人通りが多い広場には、日夜何らかの市が立っている。
それを求めて周辺諸国からも商人が買い付けに来るから、賑やかになるのは必然のことで。
本来あまりそうした喧騒は好きではないのだけれど、何をするにもお金が掛かるのは世の習い。
となれば、稼ぐしかないわけで。

「―――お花、いりませんか?」

手に提げた籠の中には、色とりどりの花のブーケが覗いている。
溢れる量を見れば、全く売れていないことは推して知るべしというところだろう。
幼げな小柄な少女が、売り子に向いていないことは、そうでなくとも声を掛けている様子を見れば明らかで。

「ふぅ……全然、売れない。
 なんでだろ……」

疲れ切った表情で、噴水の縁に座り込むと、盛大に溜息を吐いて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 噴水広場」にフリージア・ゴールドバーグさんが現れました。
フリージア・ゴールドバーグ > 冒険者の仕事が上手く行き、今のアタシはいつもより財政事情が良かった。
となると、仕事終わりは真っすぐ帰宅…ではなく街に繰り出すもの。

酒場目当てに通りかかった広場で、小さな女の子がお花を売っている。

「どうしたの。
お花、売れ行き悪いの?」

アタシは興味本位で、ため息中の女の子に声を掛けた。
手にした籠の中はブーケがたくさん。
一人で持って帰るとは思えないので売り子だろうと判断した。

シレネ > 背中の翅は隠しているから、普通のヒトが見れば、ニンゲンの少女にしか見えないだろう。
けれども、それが逆に良くないのだろうか。
これまで何度か街で見かけた花売りの娘たちは、今の自分とそうは変わらない年恰好だったはず。
何がそんなに違うのだろうと、考え込んでみるも、これといった答えは出そうにもなく。

「え? う、うん。そうなの。買ってくれ――ますか?」

不意に声を掛けられると、ぱっと顔を上げる。
疲れていたのか、考え込み過ぎていたのか。近づかれるまで気配に気が付かなかった。
見上げた先にいたのは、森でもたまに見かける冒険者という種類のニンゲン。
花を買ってくるかどうかは分からないけれど、ダメ元でもそう声を掛ける。
少しぎこちない感じがするのは、敬語を使い慣れていないからだろう。

フリージア・ゴールドバーグ > 「いいわよ。
とりあえず全部貰える?」

冒険者の仕事柄、黙っていても観察してしまう。
目の前の少女はあどけなさというか、どこかぎこちなさが残る女の子。
ひょっとしたら他にも何か秘密があるかもしれない感じ。

アタシは買取の意思を示すと、少女の隣に腰掛ける。
財布を取り出し、ゴルドを見せてあげる。
これで安心して売ってくれるだろうと。

「ここって結構目立つ通りだけど。
他に買ってくれそうな人いなかったの?」

シレネ > 「えぇっ!? 全部って!? そ、そんなに買ってどうするの?」

さらりと言われただけに、一瞬、そのまま流してしまいそうになったけれど。
やっぱり聞き間違えじゃない。
思わず素の口調で問い返してしまい。

「買ってくれるのは嬉しいんだけど……そんなにお花が好きなの?」

正直、森に来る冒険者も、たまに花を摘んで帰るけれど、それは好きだからという風には見えなかった。
目の前の女性も、どちらかと言えばそんな雰囲気にも見えず。
疑いの目というよりも、純粋に疑問を感じて、問いかけて。

「うん、いくら話しかけても、邪魔って言われたり……
 ここの人たち、何だかすっごく忙しいみたい。
 たくさんいるから、ひとりくらい買ってくれるかなって思ったんだけど。
 ようやく見つけたひとりが、あなたなの。」

言葉の端々から、大変だった!という思いを滲ませて語り。

フリージア・ゴールドバーグ > 「そうねえ…とりあえず、家にでも飾っておこうかしら。」

当たり前だけど、驚かれてしまった。
アタシは舌を見せて笑う。
久しぶりにまとまったお金を持って、気が大きくなってるのがほとんどだけど。

「花は好きよ?
よく見ると一つ一つ綺麗に編んであるしね。」

籠の中のブーケを一つ手に取ってみる。
花の種類も豊富で、店に出してもよさそう。
ま、素人の見立てだからほんとのところは分からないけどね。

「あらら、意外ね。
貴女可愛いし、一人位声掛けてくるかと思ったわ。
この辺で花売りってなるとそっちの方かと思うし。」

なんだか苦労してる様子。
それにしても、誰も声を掛けなかったなんて。

シレネ > 「そうなんだ。お花が好きなら、良いかな。
 でしょ? がんばって作ったんだから!」

お花が好きなヒトに悪者はいない。
そんな謎理論で、相手のことを信用する。
ちゃんとブーケを見てくれたというのも、好感度は大きく。
えへんとドヤ顔を向けて見せ。

「子どもだと思って、相手してくれなかったかなぁ…って。
 でも、他の子たちも似たような年頃だし。
 そっちって、どっち??」

先程悩んでいた理由について、思い当たることを口にしてみる。
可愛いと言われると悪い気はしなかったのか、少し照れくさそうにして。
ただニンゲンの街の常識には疎いらしく、きょとんと首を傾げ。

フリージア・ゴールドバーグ > 「お花は好きだし、こうやって作った人の顔が見えるのはもっといいわね。」

アタシはブーケを一つ一つ取り出し、見比べてから籠に戻す。
女の子もアタシを信用してくれたのか、得意げな顔を見せてくれる。
なんだか可愛らしく、アタシも顔が緩んでしまった。

「どうかな? 見慣れない感じだからかな?
他の子はもうお得意さんがいるのかもね。

…えっとね。」

この街にあまり来たことがない女の子のようなので、予想していた反応が返ってきた。
アタシは耳元に唇を近づけ、小声で伝える。

「売れてる花売りの子ってお客さんとどっか入って行かなかった?」

シレネ > 「お得意さんかぁ……そうなのかも?」

そうでもないと、花売りも何人かいるはずなのに、全く売れない理由が分からない。
有り得そうな理由に頷いて見せ。

「えっと、どうだったかなぁ…?
 そういう子もいたかも??」

そこまでじっくりと観察していたわけではない。
けれど、言われてみれば、いつの間にかいなくなっていた子はいた気がする。
突然のナイショ話に、こちらの声のトーンも自然と低くなる。

けれど、それがどうしたの?と言わんばかりに、頭の上に?を浮かべ。

フリージア・ゴールドバーグ > 「でないと、こっから言う話がちょっとずれちゃうわね…。」

アタシはちょっと自信がなくなってきた。
多分、大丈夫だと思うけど。

「多分、いなくなった子はお客さんとホテルに入ったんじゃないかな。
この街って花屋もあるからお花買うだけならそっちでもいいはずだし。」

まるで想像がつかない様子の女の子の耳元で囁く。
なんでこんな遠慮してるんだろうと思うけど、まあマナーとしてね。
大きな声出さないといいんだけど。
この子、そういうの疎そうだし。

シレネ > 「ホテル…って、宿だよね??」

全く話が噛みあっていないのは、その表情を見れば分かるだろう。
それよりも耳元で囁かれるのが、何だかくすぐったくて、肩を竦め。

「えっと、お客さんと一緒に泊まるの? なんで?」

純真無垢な瞳で相手を見つめて、そんな質問を口にする。
代金の代わりに宿代を奢って貰うってことなんだろうか。
そんな素っ頓狂なことを考えているとは、相手も気づかないだろう。
どちらにしても、買ってくれる人がいなければ、変わりはないのだけど。

フリージア・ゴールドバーグ > 「あら~~~…。」

やっぱりそんな反応が返って来たか。
アタシは肩が落ちそうになる。
この子、いくつくらいんだんろう。

「えっとね…。
お客さんと女の子が裸になって気持ちいいことをしたりするのよ。
アナタはそういうのしたことある?」

見た目よりも幼いのかな?
そんなことを考えてしまう。
それならそれでアタシが教えちゃうのもいいかな、とか思ったり。
勿論、相手が乗ってくればだけど。

シレネ > 何だか、微妙な相手の反応に、悪いことをしてしまったかと心配になってしまう。
せっかくお花を買ってくれると言ってくれているのに、失望させてしまったらそれもふいになってしまうかも。
そんなことを考えて、どうしよう、と少しおろおろしてしまい。

「裸で? きもちいいこと?
 もしかして、子づくりってこと?? あたしはしたことないけど。」

仲間内ではそういうのが好きなのもいたりする。
聞きかじった知識に思い至ると、ぽんとひとつ手を叩き。

「あれって、気持ちいいんだ?」

直接見たことはないから、そんな感想。
これまで興味はなかったけれど、気持ちいいのなら、話も変わってくるわけで。

フリージア・ゴールドバーグ > 「大丈夫よ。
今からどんな風に話が転んでもお花はちゃんと全部買い取るから。」

なんだか不安そうな女の子に安心してもらう為、先にゴルドを手渡そうと。
これからの展開次第では追加で払うかもしれないけど。

「子作りは知ってるんだ。
そうそう、それね。」

アタシはコクコクと頷きながら話を進める。
なるほど、教えてくれる相手はいるんだ。

「うん、すっごく気持ちいいわよ。
良かったら今から体験してみる?
飲みに行くつもりだったから、ホテル代位は出せるわよ。」

シレネ > 「顔に出ちゃってた…?
 でも、ありがと。えぇっと……まいどあり?」

こちらの不安そうな表情を見られたのか、気遣ってくれた相手に素直にお礼を言って。
お金を受け取ると、市場で聞きかじったお礼の挨拶を口にする。
ちなみに代金の方も、きちんと調べてあるらしく、ごくごく普通の相場の値段で。

「うーん、どうしようかな。
 でも体験って……? あたし、女の子だよ?」

誘われれば、結構遅くなってきたから、どうしようかと少し迷うそぶりを見せ。
けれども、そもそもの疑問に気づくと、不思議そうに首を傾げて見せる。

フリージア・ゴールドバーグ > 「うん、割と。
アタシがその辺に目ざといのかもしれないけど。
いい返事ね。 でも貴女の年ならありがと、でもいいわよ。」

物売り自体が初めてのようなたどたどしい返事。
ちょっとぎこちなさも感じさせる様子に、笑顔を向ける。
お花の値段が相場だったのは正直驚いた。

「あれ、知らない?
ここらへんだとそういうの普通よ。
それにアタシってアレが生えてるから。
女の子の方が都合がいいのよね。

…帰りが気になるなら、今日はそのまま泊まっていけばいいじゃない。」

迷う様子の女の子に笑顔のままぐいぐいと。

シレネ > 顔に出ていたのを認められると、恥ずかしそうに頬を手で押さえ。
けれども返事を褒められれば、それも笑顔に戻る。

「普通、なんだ?
 生えてる……? アレって、アレ??
 泊まっちゃって良いのかな……?」

普通と言われれば、そういうものなのかと納得してしまう。
ただアレについては、あれ?っという感じで。
ぐいぐいと押されてしまうと、あまり警戒していないこともあって、流されてしまう。

「んー、お花買ってくれたし。ちょっとだけ、なら?」

そう答えると、相手に促されるままにその手の宿の方へと連れて行かれることで―――

ご案内:「王都マグメール 平民地区 噴水広場」からシレネさんが去りました。
フリージア・ゴールドバーグ > 恥ずかしそうな様子にアタシはくすっと笑ってしまう。

「普通じゃない?
ま、とにかくホテルに行きましょう。
良かったらおいしい晩御飯も用意してあげる。」

こうして、出会ったばかりの少女と夜の街に消えていくのであった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 噴水広場」からフリージア・ゴールドバーグさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるため出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。

この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、立地からくる客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。

「…ん」

そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はわずかに顔を上げて
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者か、それともなんでもない一般客なのか…。