2023/08/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にサウロさんが現れました。
■サウロ > 「────あつい……」
(思わずつぶやいてしまうくらに、滝のような汗が流れていた。
ハンカチで何度拭っても滲み出る汗。脱水症状が起きないようにとこまめに水分も取っている。
眩しいほど青く晴れ渡る空に白い雲が流れて、時折吹く風が慈悲のよう。
元々短めではある金の髪も短く一つに束ねて、白い項に流れる汗を拭う。
場所は噴水広場。
別行動している相棒と待ち合わせの場所。
涼を求めてなのか、昼前だからか、どこかに食べに行こう出掛けにいこうという者たちが多い。
小柄な少女の姿になっているサウロは密集する人込みを避けて、一本の街路樹の下にいた。
少しでも日差しが遮られる場所、日陰にいたいと。)
「……男と女の身体じゃ体感温度も違うように感じるな……」
(原理も理屈もわからないけれど、唯一分かるのは少女の体が色々と弱いということだけ。
冷たいものが食べたい、なんて欲求も浮かばせながら、流れる汗を拭い、手でぱたぱたと仰ぐ。
木陰のところには、そんな姿があった。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシアンさんが現れました。
■シアン > 炎天下。茹だるような暑さとはよくいったもので気分は茹でられる野菜か何かだ。
汗を吸い過ぎてもはや吸水能力を無くしたヘッドバンドで髪を一括りにして、
タオルで拭いてもまた汗が浮かんではまた拭ってを繰り返しながらの道行き。
噴水広場に通りがかる。
吹き上がる水飛沫と、近くで巧いことやってる果実氷の屋台とに視線を巡らし、
一休みしてくかぁ……。
何て具合に内心呟いているさなかに巡る視界にちらっと移った人相に、
「ん……?」
視線を戻してみると。
木陰でへたっている見覚えのある顔が伺えた。
「ふむ……」
一旦、屋台へ寄って、凍らせた桃の果肉を砕いて混ぜた果実水にさらに桃の果肉を幾つか……と、
女の子受けしそうなものを二つ注文。
受け取った後それを両手に木陰へと歩いていけば彼女に一つをすいと差し出してから声を掛ける。
「よお。サウロくん。最近よく遭うなぁ? ほれ。一つやるよ」
■サウロ > (遅いなアイツ、と遅刻癖のある相棒のことを考えながらの待ちぼうけ。
これなら何か近くの屋台で涼めるものを買うべきだったと視線は足元、葉の木漏れ日が落ちる地面とブーツの足先へと向ける。
不意に歩み寄ってくる重い足音が聞こえて顔を上げれば、差し出されたのはよく冷えた桃の果実水の入ったコップ。
それに剥いた桃の果肉を食べやすい大きさにカットした木皿とフォーク。
澄んだ青空のような瞳をぱちぱちと数度瞬かせれば、それを差しだした人物を見上げる形になる。)
「シアンさん? あ、ありがとうございます…」
(差し出されたそれらを受け取って、礼を伝える。
一人で二つずつ買った、というわけでもなさそうで、わざわざ買ってきてくれたのだろう。
以前会った時は酒場で、突然の雨に見舞われた時に偶然だったか。
最近、という程でもない気もするけれど、ひと月以内なら最近なのかもしれない。
ただ彼がサウロを見て感じ取れるならば、以前と違うことが一つある。
以前は少年とも少女とも取れるような中性的な、よく言えばまだ女の色に染まりきっていない状態だったが、
今は女の快楽、男を知ったような肉体から香る色気やらが垣間見える、少年性を無くした女の身体だった。
とは言え、そんな些細な違いを感じ取れるほど色に精通しているわけでもなければ、見た目自体は変わっていない。
サウロはありがたく貰った果実水を一口飲み、桃の甘やかな香りと冷たい味わいに喉を潤して、ふにゃりと相好を緩める。)
「冷たくて甘くて、とても美味しいです」
(身長差のある鍛えられた身体をしている彼を見上げながら、感想を伝えつつ。
どうしてここにいるのだろうと不思議そうな表情で。)
■シアン > 猪か牛でも丸焼きにして雑把に切り分けた大きな肉を大口開けて齧り付いている方がよくよく似合いそうな体躯と面構えの男が、桃の果実氷入りの果実水と桃の果肉を持っている様は大変似合わないものだ。何なら、屋台に並んでいる時やはり女性客から、意外……! 何て顔されたものだが。面と味覚は別である。
「おう。どういたしましてぇ」
受け取って貰えば空いた掌がゆるゆると緩ぅく振られる。
以前は雨宿りの飯処兼酒場でその前は自然区域だったが、
“彼”としてより“彼女”として会う方が多くなってきた。
とは、いえ、さして長い付き合いでも無いが、いや気分はすっかりマブダチ(親友)なのだが其処は兎角……
遠目からでは分からなかったが近づいてみると少しばかり雰囲気が変わったようにも見受けられる、様な?
例えば、座り方だとか、例えば、顔を上げる仕草だとか、
以前と違ってどこか所作一つ一つが女性的な柔らかさだ。
そしてそれがどうにも白い肌を流れる汗でさえ色気を感じさせる。
男の彼が女になってあれこれ変わったとしても何処となく疑る観察眼に引っ掛かりを覚えて、
ん~~~……? と訝しげに片眉が上がった。
「おうよ。そこの。あすこの屋台。中々美味そうなもん売ってたもんでな?
あ。隣失礼すんぜ」
桃の果肉を桃の果実水に放り込んではコップを傾ける豪快な味わい方しながら、
ああうんマジで此れ美味えな……何て相槌を打ちつつ、彼女の横へと腰掛ける。
「ちょいと野暮用済ました帰りでな。まぁー暑くて参っちまうわ、ここらで一休みすっかと思ったらサウロ君見掛けてさぁ。
サウロ君はこんなとこでどうしたん?」
■サウロ > (強面な人相も相俟って二度見か三度見はされたかもしれない彼だが、その実気さくで話しやすい人だ。
訝し気に片方の形のよい太い眉を上げる様子は子供が見たら泣くかもしれないけれど。
所作や仕草についても無意識で、柔らかそうな身体は雰囲気もまるくなったことで女性特有のいい香りすらしそうな。
実際は今汗だくなので、汗臭いにおいしかしないだろうが。
サウロも座っていたベンチを少しずれて譲り、豪快にコップに入れて飲む様子にふふ、と小さく笑う。)
「僕が立ち寄った時は混んでいて、すぐに移動するかもと思って諦めてたんです。
果肉も美味しいですね」
(フォークで一口サイズのそれを頬張り、じゅわりと口いっぱいに広がる果汁に瞳を輝かせ、とろりと幸せそうな顔をする。
もぐもぐと小さい口を咀嚼に忙しなく動かしながら彼の事情を聞けば成程と頷き。
逆に問い返されれば、果実水で流し込んでから、小さく息をつく。
爽やかな甘味のおかげ暑さで火照った体がみなぎるようだ。)
「まだまだ暑い日が続きそうですね。
こっちはジャミルと合流予定だったんですけど、待ちぼうけです。
……まぁ、あいつがちゃんと時間を守ること自体珍しいんですが。急な人助けかもしれないので」
(もう少し待つつもりではあるけれど、来なければ一人で行動しようと思っていたと伝えよう。
とは言え、やることと言えば図書館や古書巡りになるので、時間には余裕がある様子。
ここで彼と会えたのもまたとない縁。まだ三人で飲もうという約束も果たせていない。
膝に木皿を置き、水分を取ったことでまた流れてくる汗をハンカチで軽く拭う。)
■シアン >
先程は二度見も三度見もされたし今など片眉上げただけで近くの子供がぎょっとした。
金色の瞳が、ぎろり。本人的には只そちらに向けただけなのだが、動き、かけて……
此れ泣かれるやつ。
と、何となく悟る。
伊達に長年この顔ではない。
眼筋総動員で傾きかけた眼球を彼女へと向き直させたので何とか騒ぎにならずに済む。
席を開けて貰えば、ありがと、と手を上げては座り込み、カップを益々傾ける。
「巧いとこに立てやがったもんだよ、憎たらしい。まあ? うめぇから不問。
つかマジで美味ぇな。あれじゃねぇの元は八百屋か何かだろ」
果実水の甘さ。果肉の瑞々しさ。女向けにぽんと立てたにしては上等なもの。
鼻に届く香りといい舌に伝わる甘さといい歯に伝わる感触といい、
はぁー。とか。へぇー。とか。何とも言えない声上げつつ味わい。
八百屋がちょいと出稼ぎにやってんのかね? 何て憶測立てながら、
彼女、一々幸せそうに顔を綻ばせているものだからつられて口元が持ち上がる。
「ジャミルくんのだらしなエピソードがまた一つ……あいつ、ほんとこういう話題に事欠かねぇな……。
じゃあちっと俺も付き合うか。来たら飲みに行こうぜ。来なかったら俺と遊びにでも行くか?」
予定を聞いてみれば一つ頷いて。顎に手を添えて小首を傾げたのも束の間で、自分も暇なので、何て。
何処に行くか何処で遊ぶかはまるで未定なのだが折角暇同士だし一人よか二人のが暇潰しもし易かろう。
そんな誘いを投げかけながらも、
目線がまた汗を拭う仕草に向いて。
「あー。うん。やっぱ気になるから聞くわぁ。デリケートな話だったら御免な? 言いにくかったら良いんだが……何かあったか?
いや。こう。なんだ。どうも……前よか女らしくなってっからさぁ」
気軽に聞くのが憚れるのは確かなのだが聞かぬなら聞かぬで悶々としそうな、彼女の変化。
カップを置いては事前に謝意を示して胸元で手を立てるが。首を傾げては訪ねて。
■サウロ > 「確かに……八百屋も夏の野菜や果物が並びますけど、こういう実物を味わえるならいい宣伝効果にもなりますね」
(その発想はなかったと言うように碧の瞳を見開きながら、この時期は季節の果実水はよく売れる筈。
少しずつその中身を傾けながら隣に座る彼を見上げ、果肉を口に運んで咀嚼する。
隣で口元を吊り上げているのを見れば、美味しいですね、というようにまた笑みを零して。
相棒のだらしなエピソードという名称には、小さく吹き出した。)
「あまり言うと今度は僕のことも言われそうなので、やめときます。
シアンさんが隣にいてくれるのは心強いですね。ジャミルもすぐ見つけられそうです」
(少女化して人込みに埋もれやすい自分よりも目立つ彼が隣にいてくれれば、知り合いということもあってジャミルも近づいてくるだろうと。
来なければ来ないで、急速に二人で交友を深めるのも良いとも思える。
最近はとくに情報集めにも行き詰っている、心身に負担を掛けるのも良くないと、仲間からの忠告もあった。
そんな風に考えていれば、謝意を一つ、それから気になってるということで尋ねられた"何か"に、一瞬目を瞬かせ。)
「えっ、あぁ……ええと、」
(思い当たる節はいくらでもある。前より女らしくなっている、という言葉に、少しばかり衝撃を受けたような顔でもあり。
胸の前に手を当てながら、視線をうろうろと彷徨わせて。
言いたくないというよりは、どう説明すべきかと悩んでいる様子。
とは言え、彼の事は友人だと思っているので、変に隠し立てするのも違うかと、ゆらゆらとコップを揺らす。)
「……その、……こう、大っぴらにするには、恥ずかしい話なのだけど。
……少し、厄介な悪魔に目をつけられて。どうやら、僕の先祖と因縁のあった悪魔のようで。
一時、その、危ない状態にまで、……色々、されてしまって……」
(尻すぼみになっていく声と比例するように、色々と思い出したようにじんわりと眦が羞恥と恥辱に赤らみ。
こんなことを言われても困るだろうと思いながら肝心なところはちょっと濁して省略して。)
「それで……まぁ、たぶん、その影響だと思います。
その悪魔を倒す為にも、身体のことをどうにかしないと、と思ってるんですけど……。
気持ちいいこととか、そう言う欲求を堪えるのは、やっぱりちょっと、難しいですね」
(複数の呪詛を掛けられて、更に記憶まで改変や捏造をされている影響で、女らしい所作が出てきてしまっているのだろう。
そんな事情を話しながら、眉尻を下げて力なく笑う。
悪魔に襲われたのが力のないこの少女の姿だったことも起因して、今現在の少女の身体は快楽や色欲に非情に弱くなっている。
何を言ってるのだろうと思って話を区切り、火照った頬を冷ますようにコップの中身を空にした。)
■シアン > 「出稼ぎと宣伝の一石二鳥ってか?
商人ってのぁ何でも商機に変えやがんなぁ」
宣伝効果もと言われてみれば確かにそれもありえそうだ。
感心するやら呆れるやら……
向けられる笑みに一つ頷き、
括られた髪も肩も揺らしては喉をくつくつと鳴らして。
「多分俺が口滑らせんでもジャミルくんはサウロくんのだらしなエピソードもりもり語るんじゃね?
ハハハハハ! まぁ。目立つかんなぁ」
相棒の彼ったら君の事こんな風に言ってましたよ?
等と告げ口しなくても酒が入った拍子に、いや、普通に、
彼もとい彼女のあんな事こんな事ぺらぺらと喋り出す様子が想像付くような気がする。
その折には――
ばっちり聞くとくぜ!
何て親指立てて悪戯っ気な笑顔を向けては、誂ってますとばかり可笑しそうに笑みを噴き零し。
単体でも目立つ筋肉質な大男。其れが可愛らしい少女と一緒であれば尚更目立って目印になる。
言い分には、こいつめ! 何てまた肘で突く真似をしながら。本当に肘で突いたら以前よろけたので今は真似だけしつつ、然し事実でもあるので笑って流したものだが。……それから明かされた“何か”は笑って流せない。一つ、一つ、ぽつり、ぽつり、最後の方には雑踏の賑わいで消えてしまいそうになるぐらい小さな声だったが零される度一つ一つと頷いて。
「ダチの誼だ。その悪魔? 見付けて。余裕あったら言えや。友達価格で討伐参加してやんぜ?
捜索も付き合ってやりてぇとこなんだけどそういうの不得手でなあ。ど突き合いは得意なんだが」
悩む間も殆どなく、パチンッ! 指と指を組み合わせて弾けば小気味良い音立ててスナップ一つ。
無料で! とは、一応プロであるのでギルドの面子もあれば沽券にも関わる故言ってやれないが、
割引ぐらいは私情を乗せて、指を弾いたあとには人差し指向けて、笑って見せる。
事情はよく解った。と、頷きながらに、
「まあ我慢出来ねぇのは仕方ねぇんじゃね?
いや他人事みたいに言って悪ぃけどさ。
サウロ君がそーゆーの苦手なのもよう知ってるが……
其れで心身疲れ果てちまって、いざ討伐! て時に足腰立ちませんじゃ話にならねぇ。
あれだ、冒険者も自由騎士もここらは同じだと思うが、何かやる時ゃよう飯食ってよう寝るだろ。そういうのと同じ括りで良いんじゃねぇか」
性行為を食事や睡眠と同列にしてしまうのもどうかという話ではあるものの……
心身に影響が出て決戦に支障が出てしまってはというのも確かだろう。
助言、になるかどうかは分からないが、自分は自分なりに真面目に考えてそんな事を零して。
■サウロ > (商人たちの逞しい商魂に対しては彼と同じ感想だというように頷いて見せる。
ジャミルがそういう話を持ち出すのはだらしなエピソードというよりはサウロの天然ポンコツエピソードになるかもしれない。
どちらにしても聞く気満々の悪戯めいた笑みと共に親指を立てられれば「聞かないで下さい!」と声を上げただろう。
すぐに揶揄ってくる年上の友人をじとりと見据えつつも、つられるように小さく噴き出して笑う。
傍からみればごつい男性が小柄な少女に絡んでいる様子にも見えるので周囲の視線がハラハラ向けられていたりもするが。
揃って笑ってる様子を見れば特に声を掛けられることもなかっただろう。
そうして話した"事情"について、真摯に聞き留めてくれた彼にサウロは安堵したように微笑んだ。
眦を下げてまだ少し赤らんだ顔ではあるけれど、心強い言葉を向けてくれたことが嬉しいと言うように。)
「ありがとう、シアンさん。
そう言ってくれるだけで、とても心強いです」
(流石に無料で、なんて彼の職業を思えば言えないが、それでも真っ先に手伝いを申し出てくれるのは嬉しいことで。
指を鳴らすいい音に、人差し指を向けられれば大きさも太さも違うその指先に手を伸ばして、人差し指をちょんと触れさせる。
え、そういうものじゃないの?という感じの顔。拳同士をぶつけ合うようなアレみたいなものだと思ってる様子。
続く助言の言葉には少しだけ眉尻を下げながら、気恥ずかしそうに頬を染めて。)
「……その、…はい。我慢は良くないと、皆に言われて。
今は、あまり我慢しないようにしてます。
前に比べれば、その……ちょっとは、旺盛になった、かな、なんて」
(あくまでもサウロ基準である。性欲旺盛といっても、娼館に通う頻度が少し上がったくらい。
それでもどうしてもいけない時に溜まった欲求がこうして少女の姿に変えてしまう時もある。
真面目な表情で相談にのり、考えてくれる彼に、さすがに食事や睡眠と同比率とまではいかないが、
対処はしてるから大丈夫、と言うように告げて、心配を掛けさせないようにしようと。
そこでふと、思いついたようにまじまじと彼の顔を見る。)
「……シアンさんって、えっち好きですか?」
(以前、そういう話が苦手だと言っていたサウロからの色事に関する問いは、驚かせてしまうかもしれないが。
こんなにも筋骨隆々と逞しく、カッコいい男性なのだ。
相応に性欲もあるのだと思えば、同時に経験豊富でもあるだろう彼に聞いてみたい事があると言った様子。)
■シアン >
いーや聞くね! ぜったい聞くね! ジャミルくんに強請るもんね! 云々――ずいぶんと仲良く騒ぎ立てていたお陰もあってか、自分に向けられている事案か憲兵通報案件かと向けられていた視線や、彼女に向けられていた含みのある幾つかの視線や気配が逸れて散り散りになっていくのを一瞬だけ金の瞳が外側に向けられて確認した。全く……何て内心毒づいたものだがそこは胸の内に仕舞い込み。
話しにくく伝えにくい“事情”だ。話せないなら話せなくとも致し方ない事だ。
其れを態々打ち明けてくれたのだから真剣も当たり前とでも言うように、
肩を一つ竦めては首肯して。
「どういたしましてぇ。
そんじゃそのうち、一緒に討伐にでも出なきゃな?
ど突き合いが得意っつってもやっぱ見て貰わにゃよ。
期待しといてくれて良いぜ、シアンさんメチャ強ぇから」
言葉に、動作に、自信とそれを裏打ちさせる実力がある事は彼も手練に数えられるぐらいの力はある故伝わっても。実際どれほどの実力があるのかはやはりその目で見て貰わない事には“悪魔討伐”なんて危険な依頼も出しにくかろう。協力申請がリップサービスでないこと、依頼があれば参加する意思十分なこと、段取り始めてより示しながらに。
ちょん、と、くっ付けられた人差し指と少し不思議そうな表情にまた噴き出した。
そうそれそれ。
何て、拳を突き合わせる云々に頷いて。
……格好付けただけなのだがそれ言うと格好悪いのでそこは黙っておく。
「やっぱ言われてるわな周りからも。うん、ペースはサウロ君ので良いぜ?
ムリに発散しろったってもそれはそれでストレスだしよ」
猥談一つに狼狽あらわだった嘗てを思い起こせば、
“前に比べたらちょっと……”は大分怪しいのだが。
飯を食いすぎたら吐き戻すし寝過ぎたら頭痛の種になるのと同じ様なもの。
おっけー。なんて具合に親指立てて寧ろ褒めて伸ばす方向に舵を切って……
「お?」
少し間の抜けた声が漏れたし口も半開きになってしまった。
彼からこの手の話題は本当に珍しい。
只そう言うからには何がしろあるのだろう顔を見遣っては、
「ハハ。まさかまさかだ。おう。好きだぜ? えっち。
……ご存知の通りモテねぇけどな! それはそれとして好きよ。
何なら毎日だってシてぇぐれぇだなぁ」
性欲お盛ん過ぎる事を開けっ広げに恥ずかしげもなく宣う。
先の、飯と睡眠を同列に話したのもそうだが、性に関して、冒険者という職柄か生来のものか或いは何方ともか恥ずかしいだの何だのと思うような所持ち合わせていない様子もよくよく伺えるだろう。
■サウロ > (やめてくださいそんな子供みたいな! なんてやり取りもしながら──。
少女の時はいくらも気配に鈍くなるようで、露骨な視線でなければ気付かなかった様子。
男の時であれば周囲をよく見ることも欠かさないし、実際に初対面の時は野営地にあって警戒心も高かった姿を知る彼からすれば、
此方に向けられる視線に気づいていないサウロは、大分無防備で無警戒に見えるかもしれない。
さておき、そのうち一緒に討伐にと聞けば目を瞬かせ、確かにと顎に手を添えた。
言葉で断言する姿と、その体を見ればサウロとて張りぼての筋肉じゃないことは分かっている。
また協力申請も口だけではないことを伝えてくれるようで、きっとジャミルがいれば即座に飛び上がって、
ダンジョンなり魔物が出る区域なりに引っ張っていきそうである。)
「はい、それじゃあ、ジャミルが来た時に詳細を詰めましょう。
自然地帯には狩っても狩っても沸いてくる魔物が沢山いますし」
(この後ジャミルが合流したら、食事も兼ねて相談するのもいいかもしれない。
そんな風に話しを進めつつ、指先をつつくのはあってたらしい。
それにしてもやっぱりと大きな指や手だなと、少女の視点から見る男性の体に、以前よりは意識を向けるようになりつつある。
──この大きな手で触られたら、どれだけ気持ち良いんだろう、と。
そんな"女"の欲が一瞬過って、しかしギリギリ言葉には出さなかった。危なかった。
やましい思考を祓うように軽く頭を横に振りつつ、自分のペースでいいと肯定してくれる言葉には頬を赤らめたまま何度か頷いてみせる。)
「毎日……?! え、そんなに……??」
(そして此方の質問に対しては、開けっ広げに堂々とした振る舞いで答える様子に男らしさを感じながら、
毎日だってしたいという性欲旺盛さに驚愕で目を見開いた。
モテないという辺りそう言えばそんなことも言っていたような。それはそれとして好きだと豪語する彼の言葉に、思案する顔。
恥ずかしげもなく言うあたりは、彼の剛毅な性格や気質のようなものなのだろうかと。
そういうところは所属していた隊の隊長に似て、大人の男という感じがしてかっこいいなとも思う。
軽く咳払いを一つしてから、疑問を掛けてみる。)
「んんっ……、その、具体的な事は言わなくていいんですけど、
人に中々言えないような……なんというか、ちょっと特殊な興奮する行為……とか、あった場合って、
それも相手に伝えたり、しますか? それとも、内緒にしますか?」
(抽象的なものに聞こえるかもしれないが、要するに変わった性癖を持っててそれをプレイに持ち込むかどうかの話。
今現在サウロが抱えてる悩みの種の一つでもある。
経験豊富な先達がいるなら、そういう時はどうしてるのかを聞きたい、と言った、真剣な表情でじっと見上げている。)
■シアン >
「おう。飲みの約束もあるしな。一緒にやっちまうか。
店どうす、ああ、ほら。前食ったとこ行こうぜ?」
以前に雨宿りしたついでに飲み食いした場所を思い付く。
格安というわけでもないが味は確かだったし量も多い、
酒は飲めなかったが飯があの美味さなら期待も出来る。
彼の相方が合流出来れば一緒に。彼の相方が結局来なくともあの周辺ならば彼を塒に送り届けるのもさして難しい話でもないだろう。……“事情”の直接的な影響か、現況そのものへの疲れやストレスか、其処は定かでないにしろどうにも今の彼は周りの警戒が少しばかり緩い、一人で送り返すには若干不安もあるため自分が付いてようなんて画策をこっそり練り上げつつ。
幾度も幾度も剥がれては生えてを繰り返したのか、分厚い爪。何度叩き付けて鍛え上げたのか節くれだち脂肪が削ぎ落とされてきた、指。生ゴムを圧縮して詰め込んだ様な印象すら与えそうな凹凸を張り立たせる、二の腕。筋肉が張り巡らされた各所を、別に見せ付けているわけでもないが撓ませて、顎に手を添えて。毎日!? と、驚く彼に、毎日♡ とは、得意気ですらあるしやはりどこか悪戯っ気もある八重歯を覗かせる笑みで返し。
「朝から晩までシてたっていい。
良い女が相手なら尚更だよな。
まあ。それはさておき……
ちょっと特殊な行為、ねぇ?
もし俺だったら言うね。相手に負担掛けるような話かもしれんがそこは負担かけた分おもいっきり愛したれ。セックスってそーゆーもんだろ、お互いやっぱ思いっ切り満足しねぇとな?」
どんなプレイなのか、どんな特殊嗜好なのかが明確でないので具体性にはどんなプレイでお返しするか、迄は言えないが。
相談という事なら、と、今言われた内容で考えて、
右に左に首を幾度か傾けて暫し考えたものだが……
いざ答えるとなれば持論も含んだ其れ。
■サウロ > 「この前の。いいですね、あそこのご飯美味しかったです!」
(以前の店を提案されればすぐに思い浮かび、あの時食べたご飯類も思い出して頬を緩ませた。
桃を食べたばかりなのでそんなにたくさんは入らないだろうけれど、
その分は相棒が彼に負けず劣らずの食べっぷりを披露してくれることだろう。
美味しい食事に舌鼓を打てれば幸せな気持ちになれるので、サウロとしても大歓迎だ。
彼がそんな画策を立てているとは知らず、この前食べきれなかったものも食べたいですねとウキウキとした表情である。
顎に手を当てて考える姿も様になっている。と、以前濡れた彼にタオルを差し出した時は、
その積み上げられてきた経験がよく表れる筋肉質な身体が男としてうらやましいと思ったものだが、
今見るとどうしても"女"の意識が、記憶が、身体に引っ張られるように色欲を滲ませる。
それこそ"事情"による影響か弊害か────。性自認は男であり、性行為の相手は女性と思っていても。
少女の時に見る男に、柔肌を掴まれたいという欲が過るようになっていた。
これ以上はだめだと、滲む汗を拭う素振りで彼の体から思いのほか熱っぽくなってしまった視線を引きはがす。
ずっと見てると意識しすぎて危険だと今更ながら実感してしまった。
真剣に相談に乗ってくれる友に対して劣情を抱くなんて、とそんな自信を叱責するように軽く頬を叩きもして気持ちを切り替える。
幸い、悪戯っぽく笑う様子に気付かれていないと思うので、サウロも小さく笑みを零すにとどめて。)
「朝から晩……体力無尽蔵ですか……?
お互い思いっきり……、確かに、そういう考えもあるのか……。
……もしずっとセックスのことばっかり考えるようになったら、大変だとかは感じないですか?」
(うーんと考え込む表情。サウロの場合はあまりにも恥ずかしい事だが、思いっきり楽しむなら、
そういうことも明け透けにしてしまったほうがいっそ楽なのではないかと。
それからもう一つ、と気になることを続けて尋ねてみる。
何をするにしても、性に絡めてそのことばかり考えるようになったりしないのだろうかと。
ある意味そういうことを遠ざけ気味であったサウロからすれば、まだ上手く切り替えるコツが掴めていないようで。
どうやって切り替えているのかと、参考にさせて貰おうと。)
■シアン > 「な。美味かったよなーあすこー。
酒ぜってぇ進むから潰れんようにしねぇとな」
下戸ではないがザルというわけでも無いからからアテにつられて飲み過ぎ注意である。
話していると先日一緒に食べた料理の数々が光景も味も思い起こされて……
果実氷と果肉を腹に入れたばかりだが、いや、下手に入れたから寧ろ腹が減ってきた。
腹の音が響くほどではないにしろ、
腹鳴りそー。
何て笑っては腹部を軽くはたいた。
ぱんっ!
と、結構いい音が鳴る。汗に濡れて貼り付いた薄着には2つにくっきりと割れ上がった胸筋や6つに別れて1つ1つの溝さえ彫り込みが深く深く刻み込まれた腹筋が浮き上がっている、大木とまでは言い過ぎだが腰の細い女性の細腰ぐらいは越していそうな二の腕から続いている肩も膨れ上がっていて、真正面にいるのに広背筋が発達しているのさえ見える広さ。どれもが、絞り上げられ、背丈の大きさと手足の長さが結構なのでスマートな体型に見えるものの実際は相当な筋肉が搭載された身体。
其処に注がれる熱には気付いてはいる。
周りの視線が伺える視界があって、
真正面で突き刺さる視線に気付かない事はない。が。
頬を叩いて気を取り直しているのを見遣って軽く笑い、
一先ず今は相談事にたいしての回答である。
「体力といっしょに精力まで付いてきちゃってな。困りもんだ。
満足できねぇセックスはやらんほうがいいぞ?
そのうち、もうするのヤダ、とかさ、
悪い方向に行きかねんからなぁ……。
で、そうさな、ずっと、ずっとかぁ。んー」
ずっと。何をするにしても。何につけても何においても――
性に絡めてしまうような精神状況になった場合という疑問に対して、
「一つ、区切りをつけてみるってのはどうだ? 先の満足云々の話にも繋がるが、セックスってやっぱ楽しまねーとな、だからまず、セックスを楽しむっつーまぁ開き直り? ていえばいいのかな。うん。開き直りだな。そうやって、開き直ってよ。此れ終わったら思いっ切りヤりまくるぞー、みたいに、後に回しちまって今を集中するようにするとか?」
此れに関しては、自分が割と四六時中そういう事を考えていて苦にしない性分ゆえ結構回答に困った。
あーでもない、こーでもない、んーしかし、だけどな……云々と独り言ちながらに眉根を寄せて……
じゃあこんなプランはどう? と。人差し指立てては案を出してみる。
■サウロ > 「酔いつぶれても運べませんよ、床に転がしますからね?」
(男の身体ならまだしもこの体格では重みのありそうな彼を運ぶことは流石に難しい。
もし酔いつぶれたらそのまま酒場の床に転がすと宣言しておけば、無茶もしないだろうと冗談っぽく笑って告げて。
腹部をはたいて結構いい音が鳴ればびっくりしたような表情を浮かべた。
見ないと決めたばかりなので、汗で濡れたシャツに浮かぶ腹筋やらからもぐりんと顔を背けた。
わざと、わざとやってる!?と言いがかりめいたことも言いかけたがまた揶揄われそうなので、髪を結んで見えるうなじが赤くなる程度。
そもそも彼にも好みというものがあるのだと、熱でのぼせそうな頭の中を過り、いくらか冷静になれた。
誤魔化すように木皿のぬるくなりつつある桃の果肉を頬張り、もぐもぐと咀嚼する。柔らかくなった果肉と甘味の増した果汁が美味しい。)
「……確かに、望まない行為は負担ですからね……」
(となると、自分はどうなのだろうとまた考え込んでしまって揺れる小さな頭。
自身が抱える悩みの種について負担に感じているのかどうか。
真面目な性格ゆえに考え込んでしまうような様子を見せつつ、指を立てて解決策を一つ教えてくれる彼に数度目を瞬かせた。
開き直り、と呟く。ある意味それは現状、受け入れてしまうような言葉に聞こえる。
それを受け入れて、変わってしまうのが怖い、という気持ちはあれど、逆にそれを受け入れて切り替えられるようになれば。
それはある意味精神を鍛えることにもなるのではないか、と。)
「なるほど……、……今はまだ、想像がつかないですけど、それも一種の強い自制心のようなもの、ですね」
(自分の性欲を、自分でコントロールする。それは強い忍耐も必要な気がした。
そんなことを考え、話しているうちに、近付いてくる影がある。
「シアン久しぶりじゃ~ん!」と気さくに馴れ馴れしく声を掛けてきたのは黒髪のミレー族。とは言え尻尾や耳は幻術で隠しているが。
彼も良く知るサウロの相棒。ジャミルである。
「遅かったなと」とサウロがジト目を向ければからからと悪びれた素振りもなく謝罪しながら、何してたのと話したり、
サウロの木皿から桃を奪って食べたり。一層賑やかな様子になるだろう。)
■シアン >
「椅子に安置しといてくれよ、せめて!」
床に転がす。何て宣言に目を真ん丸にして口もぱっくり開けて、猛抗議するが……
直ぐに髪も肩も揺らして笑気を噴き零すから、じゃれ合いの範疇で騒いでるだけ。
一向に赤みが引かない、どころか。目元といわず頬といわず首や項まで赤く染まっていくし此方を見ないように必死になっているのはもう目敏い者でなくとも丸分かりである。……本人これで隠しているつもりなのが、“事情”の根が深いという話にもなるが天然ポンコツエピソードにも繋がってしまって何だか可笑しい。堪えきれずに口元に手をやって、尚堪えきれずに笑気が二度三度と溢れてしまって。御免、とは、胸の前でもう片方の手を立てるが……。
「サウロくんは、セックスを特別視し過ぎだぜ。
子作りってのぁ大切だけどな、スポーツみてぇにカジュアルに見ろとも言わんが……
子作り以外の目的であんな事やらこんな事して楽しんでもいいんだぜ」
彼の貞操観念は彼の信ずる宗派や理想に準じたものなのだろうか? 其れを否と訴えるつもりもない。『それはそれこれはこれ』といった別の見方も有るというのが助言の締めくくりになるだろう。後は彼自身がこの助言で少しでも前向きに気を楽にしてくれれば相談に乗った身としても嬉しい。一つ一つの回答にじっくりと考え込む素振りを見せても今すぐ、成果を見せろ、何て言う事もなく……
「もしなんかまた聞きたいことあったらいつでも聞いてくれ。
踏ん切り付いたって報告でも良いぜ?」
成果はじっくりと待つ事にした。
彼の相方もやってきた、気楽な声に気楽に手を上げて答えて、
「おーす。遅かったな。何してたん? いや。あとでいいわ。飯行こうぜ?
丁度今サウロ君とも話しててさぁ。酒飲みながらでいいから――」
早速彼の果肉を奪い取ったりして食欲旺盛です! 等と言わんばかりの様子とそれに四苦八苦しながら応対してる彼の賑やかさに笑って。彼にも彼の相方にも話すべきこと詰めねばならない事果たさなければならない約束諸々あるし何より、暑い。木陰でいくらかましとはいえど炎天下で、暑い。涼しいところに行きたいのも本音だったので親指を立てては此処の通りからは外れた、先に話した飯処・酒場への道行きを指しては、歩き出して。
……涼しい場所に移動したら暑い場所じゃあ出来なかった大騒ぎを三人纏めて繰り広げる事にもなるだろうか。
兎角、一路、酒も話もゆっくりと交わせる場所へと行くことになるだろう――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からサウロさんが去りました。