2023/08/01 のログ
エルビー・カルネテル > 「これは原材料の準備が大変そうだな。
特にこの蛸と言うのは希少な気がするぞ。」

分解したたこ焼きを摘まんで観察しながら口に運ぶ。
余からするとよくわからない粉で作った生地に、蛸と、ネギ?と入っている。
ひょっとすると、蛸以外の食材も入れてみるとウケルかなと思っていた。

観察しながらでも美味い物は美味い。
余は一通り食べ終えると、片づけを済ましてから屋敷に戻って行った。

ご案内:「公園 平民地区2」からエルビー・カルネテルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にサウロさんが現れました。
サウロ > (急に空が曇ったかと思えば、通り雨と雷の音がし始めた。
 屋台を急いで畳む人もいれば、建物に避難する人もいる。
 サウロもまた買い出しの荷物を両手に抱えたまま、軒先へと急いで避難した。
 酒場と宿屋が組み合わさったような建物の前で少しばかり濡れてしまったけれど、
 店主が少しだけ開店前の店を開けてくれたので、そこへ避難していく人が多い。
 サウロも店主に礼を言いつつ、雨宿りに避難させて貰った。)

「困ったな……」

(通り雨程度だから、三十分から一時間もすれば止むだろう。
 買い出ししてきた荷物が入ったカバンを抱えて、濡れた髪を撫で、シャツを軽くパンパン、とはたいて水気を払う。
 時折外が光って、ゴロゴロと唸るような雷の音が重く響いていた。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシアンさんが現れました。
シアン > 通り雨。道路に建物に人に大粒の雨が当たって弾ける音もけたたましい中――
慌てて避難する人、諦めてゆっくり歩く人に混じって諦めて濡れ鼠になって歩く。
空の陰りは見えた、肌に感じる風も少し冷えたから……
一雨来るなとは思ったが一雨来るのが思った以上に早かった。

「しくじった……お?」

舌打ちする音も掻き消される程の勢いと雨の幕で数尺向こうも見えぬところ、
お兄さんもこっちおいで! と、気のいい酒場のオヤジの声に目線を向けて。

「お~。悪ぃな。後で一杯引っ掛けさせてもらうわ」

片手をゆるりと上げて謝意を述べてはのそのそ歩いて軒先へと避難する。
雨水をたっぷりと吸ったヘアバンドを手荷物の中へと放り込んでから、
雨水をたっぷりと吸ってワカメか何かと言うような有様の髪を掻き上げ……
ぼたぼたぼたぼた。大量に雫を落としながら一息つく。
似たような境遇の人たちがあちこちで同じ様に一息付いているのを眺め、
丁度近くに居た……見覚えはないはずだが妙に既視感のある少女へ視線を向けた。

「おう。悪ぃな。只でさえ暑ぃのに暑苦しい様で。まああれだ……
 よくよく見てみると良い男だろ? よく見てそこらで勘弁してくれ」

この水も滴るいい面に免じて!
なんて、彼女に、ぱっと見は強面の顔に人懐っこそうな笑みを浮かべては緩々と手を振って見せる。

サウロ > (すぐにバケツの水をひっくり返したような土砂降りになる。
 白くけぶるような視界に外から悲鳴みたいな声も聞こえてくる中で続々と避難してくる人々の為にスペースを開け。
 そこに見知った人物を見かければ思わず顔を向けて。
 以前森林地帯で見かけた冒険者。その特徴的な髪型には覚えがある。
 その髪も今は水を吸って……大変なことになっているようだけれど。
 視線が向けられれば、以前とは違って身長差がかなりある。
 30㎝程も差のある彼を見上げながら、人懐っこく笑って冗談めかす様子に、くす、と笑い。)

「良い男でも、そのままでは風邪を引きますよ。良ければ、どうぞ」

(良い男かどうかについては、男であるサウロから見ても彼はかっこいいので同意しつつ、
 鞄からタオルを取り出せば彼の方へと手渡そうと差し出す。
 彼の人となりはそう悪い人ではないとわかっているので、碧い瞳を柔らかく細めていて。
 以前会った時とはそもそも性別自体が違うので、そう簡単に気づくものでもないだろうけれど。
 そう言えば、以前は色々警戒していたような、と思い返して、余計なお世話だったろうかと、
 少し心配になって差し出したタオルを見て。)

シアン > 水をたっぷり吸ったワカメかモズクか……
黒黒とした色合いに癖のついた髪は濡れるとこうなる。
ヘッドバンドでたくし上げているにせよそれも取っ払うと、
ボリューミーであった量もすっかりと鳴りを潜めていた。
濡れたシャツに浮かび上がった筋肉が身動ぐ度シャツをみちりと引き伸ばす。
2つにくっきりと割れた胸筋も6つに彫り上げられたような腹筋も顕に、
あーあー……何て嘆息しながらびしょ濡れになっている生地を引っ張って。

「ハハハ。たしかにな? いや、火照った俺も中々のものなんだが風邪引かんに越したこたぁねぇや、ありがと」

愛想良くはしていても、強面。故、怯えられるのも慣れたものだが怯えられない方が余程嬉しい。
良い男云々を否定するどころか肯定までして貰えば機嫌良く肩を揺らし、
差し出されたものをひょいと受け取れば頭から引っ被って髪から拭う。
嘗て彼女もとい彼と遭った時には現場は危険区域であった、
お互い見知らぬ状況で得物も手にしている状況では近付くのも躊躇したものだが……
今の彼女と自分の環境下では『絶対安全』とは言い切れないにせよ、
互いの命がどうのという場合でもないため差し出されたものを手に取るにもさして躊躇はない。

「……な。どっかで遭ったっけ? いや、見覚えはねぇ……んだけど……
 どーーーもなぁ……なーんか……」

どう見ても見覚えはないのだが付き纏う既視感。
髪色。瞳。喋り方。誰かに似ている気がする。
タオルに落ちた視線も、遠慮がちというよりは何か覚えがありそうというか、自分を知っているような気配すらある。
はて? と、訝しげに眉根も寄せては首を傾げて。

サウロ > (差し出したタオルを受け取って貰えればホッと安堵したように息を吐く。
 髪を拭く腕とか、シャツを引っ張る胸筋や腹筋。
 男であれば憧れもする体格に恵まれた彼の体をまじまじと見ながら、
 今は筋肉のきの字もない少女の体である自分の腕を、見てちょっとため息をつく。
 男に戻ったら、あれぐらい鍛えたいなという熱視線を向けつつ。)

「えっ……、えっと、……ある、ような? ないような……?」

(どこかであったことがあるかと言われればある、だが。
 この姿で会うのは初めてだ。どちらで答えればいいのか迷うように視線を彷徨わせる。
 サウロは嘘をつくのがとても下手なので、咄嗟に嘘をつくことも出来ない。
 金髪の短い髪、澄んだ青空のような瞳。意外とこの特徴を持つ存在は王国内にいる。
 目鼻立ちのくっきりした整った顔立ちの、十五歳ほどの少女が、眉尻を下げて困ったような顔で。
 下手に誤魔化すのもかえって怪しまれてしまうだろうか。
 すこし思案した後に、悪いようにはしないと信じて見上げて。)

「────…自由騎士の、サウロです。シアン殿。覚えておられるでしょうか…?」

(そう名乗ってみる。とはいえ今は少女。すぐに森で出会っただけの青年に結びつくかは、彼次第だ。)

シアン > 今の彼女の腕の何倍もあろうか、流石に腰周りを超す程ではないが、
隆々とした肉付きや太い指がタオルと髪を捏ねったあとに首へとぱさりと掛ける。

「今度洗って返すよ。此処らに住んでんならそのうち会え……
 だよな。あるような。ないような。どーも気になってなぁ」

しどろもどろ。といった風情の少女に、はてと傾げられた首はその侭。
どこかで会った事ある? なんて台詞はいかにも軟派男の逢瀬の誘い文句だが、
自分に既視感があって彼女にも似たような感覚があるというなら話は別である。
金の髪も、透き通った青の瞳も、王国内の出なら確かに物珍しくはないが、
口調にしろ仕草にしろがどうにも引っかかりを覚えて仕方なく……
うんうん、と心当たりを示すような言葉に頷いた後、出てきた言葉に、暫し停止。

「……」

目線がゆっくりと左へと動いて。
目線がゆっくりと右へと動いて。
右往左往としながら考え込んでいますとばかりの間が空いた。
サウロ、と、いえば、いつぞやの依頼の折に出会った若き自由騎士の名だ、
金髪と青い瞳がやたらと様になっている美青年といった具合の男だった。

「メグメールの自然地帯以来か。そういや、一杯奢るって約束が未だだったよな。
 久しぶりの再開も祝して此処で一杯やっていくか? 久しぶりだなぁ、サウロくん」

そんな馬鹿な! なんて台詞は果たして飛び出さず。
つかそうならそーと言えよ、とばかり、いや、

「つかそうならそーと言えよ。
 狸に化かされたみてぇな心地がして落ち着かんかっただろーが」

実際言って。肘を立てては加減はしつつの、
じゃれるような気軽さで肘を立てれば肩を突こうとして。
男が女になるという異常事態ではある、彼女が知人を装っているという可能性もある、が……
性転換程度の異常事態ならば普段出会しているもののほうが恐いし装うにしては本人らし過ぎる。
結果、『大したことねーや』と言わんばかりの態度であった。

サウロ > (自分の名を伝えてから少しの空白。
 今まさに記憶をサルベージしていますというように視線を左右に彷徨わせる様子を見ながら。
 出てきたのは否定でも疑念でもなく、カラッとした晴天のような反応。
 喉の奥に引っかかった小骨でも取れたかのようにすっきりした様子で返される。
 肘で小突かれれば男であれば気にならない程度の加減だが、
 力のない非力な少女の姿では加減してもらっても、軽くよろめいて。
 しかし彼が性別について然程気にしていない様子には、ひどく安心したように笑みを零す。)

「! …はい、お久しぶりです。
 切り出すのが難しくて…、驚かせてすみません」

(そんな大袈裟な反応ではなかったことが嬉しかった。
 こういう状況に慣れているのか、元々気にしないタイプなのか。
 約束のことを思い出したように告げる彼を見上げながら、此処で一杯していくかという誘いには少し考えて。)

「喜んで、と言いたいところなのですが、抜け駆けするとジャミルが怒るので…。
 改めてお誘いしてもいいですか?
 ……お恥ずかしい話ですが、この体は少々、お酒に弱くて」

(真面目な性格もあいまって、彼と約束した時にいた相棒の名前を出しつつ。
 もう一つは、この少女の体ではろくにお酒も食べ物も入らないのだと声を少しだけ潜める。
 胸に手を当てれば女性らしい膨らみがある。
 その腹部も腰は細いし、胃袋も体格に見合うものでしかない。
 少々、と言ってるが実際にはかなり弱いようで、すぐに酒癖の悪さが出てしまうのだ。
 彼が自分を酔わせて無体を働くような人物ではないと信用しているので、素直に伝えよう。)

シアン >  
「おう。びっくりしたわ。まぁー? 切り出し難ぃのは分からんでもねぇけどもさぁ。
 俺ぁそんな気にする性質じゃねぇから気楽にしてくれりゃあいいや」

女受けどころか男受けすら香しそうな美青年が美少女になってしまえば気苦労も多かろう。
其れ以上深くは突っ込まずに肩を一つ竦めて見せるだけでこれ以上責めもしない。
軽く小突いたつもりが軽くよろけているのを見て、
もうちょい筋肉付けんのが今後の課題か~?
何て冗談めかして笑っているのも女の境遇がどうというより男友達の力弱さに笑っている感じで。

「したれしたれ、抜け駆け。んで、その怒りっぷりを後で俺に報告して笑わせて、て、そか。
 酒弱ぇんじゃああんま無理にも言えんわなぁ」

タダ酒を逃したと知ったら彼の相棒はどれだけぷりぷりと怒り出すやら。想像するだけでも笑える。
くつくつと喉から肩から揺らして何なら彼女の手も引こうとしたものだったが酒が弱いと知れば、
まだまだ笑みは引っ込まないものだが誘いは引っ込めてから一つ頷くに留めた。
彼女が彼だと知ってしまえばほとほと面影のある顔付きや面影のなくなった体躯へ、
上から下までまじまじと見遣っては胃袋が云々というあたりそちらに視線が集中し。

「やっぱ、不便はあるよなぁ。慣れねぇと色々大変だろ?
 頼りになる人は居んだろーがまぁその内の一人に加えてくれていーぜぇ。ダチだしな」

まだ、酒は交えれていないが、まだ、一回こっきりの出会いではあるが、
危険区域での出会いと会話を経て自分の中では『友達』認識である。
いざってときは任せろー、何て。
笑気を上げながら自分の胸板を叩く。
どん、と大きな拳で分厚い胸板を叩くと結構な音がした。

サウロ > 「したらしたでうるさいんですよ、あいつは。自分はするくせに」

(よろめくのを冗談めかして笑う様子には、自身を女子供ではなく、ちゃんと男として扱ってくれているのが伝わってくる。
 見た目に引っ張られて少女のような扱いを受けることも多いサウロにとって、これほど嬉しいことはない。
 抜け駆けについても、悪どい誘い文句に対して、タダ酒の恨みは強いとばかいに尻尾を膨らませて威嚇する相棒の顔が浮かぶようだ。
 自分はよく抜け駆けするくせに、と悪い所をぼやくよう唇を尖らせる。何度か抜け駆けされたことがあるらしい。)

「────嬉しいです、頼りにしてます、シアンさん」

(この体になってからも気遣ってもらうことも色々あったが、それはあくまで隊の中でのこと。
 こうして外部で、たった一度会っただけなのに、友人と認定してくれる彼の心意気が嬉しくて、
 安心したような、いくらか幼く見える笑顔を浮かべて胸を叩く彼に礼を言う。)

「お酒は無理ですけど、美味しいご飯なら食べたいです」

(ご一緒にどうですか、と今度はこちらから誘ってみる。
 酒場ではあるけれどつまみとなる料理も出してくれるはずだ。
 鞄を持ち直して、雨宿りに使う客に酒や料理を提供して普通に営業を始めている様子を指さす。
 断られなければ、一緒にテーブル席の一角を借りようと。)

シアン > 「ァハハハハハハハ! だろーな! 何か目に浮かぶわぁ……。
 よし。そんじゃさぁ。尚更意趣返ししてやらねーとダメだわな。
 今度ほれ。男んときに。こっそり。な?」

 小突かれても文句一つ出てくるどころか嬉しそうな様子にも気苦労が伺える様だ。
 苦労してんなあ……とは、思いつつも、あんまり表に出さないようにして話してたら、
 耳をぴんと立てて尻尾も膨らませてなんてぷんすか怒る様子が確り浮かんでしまった。
 肩どころか身体も大きく揺さぶっては大笑い。
 後、掌立てて、耳に唇近付け、子供が悪戯提案する時みたく八重歯覗かせ悪戯っ気な顔してひそひそ悪巧み。

「おうよ。俺ぁ大概ギルドん近くか、九頭龍から出てる温泉使ってる旅籠知ってっか?
 あすこに宿取ってっから何かありゃ来なよ」

 どういたしまして。と、一つ頷き、酒はとかく飯だけなら……何て誘いにも一つ頷く。
 彼女の後に続いて水が滴る帆布の鞄を一振りしてから水気を払って席の一つを取って。
 酒は駄目なら何かと探せば生姜を使った辛口と炭酸の刺激が味わいあるジュースを見付け、
 じゃあこれと、あとはー……
 と、ソーセージに、ジャガイモをふかしたもの、等アテにもなるが飯にもなるもの幾つか注文。
 早速ジンジャーエールのジョッキが運ばれてくるので手に取り、

「ほい。かんぱい」

ジョッキを軽く掲げ、彼女の前に突き出す。

サウロ > 「ふは、後で怒られるの俺じゃないですか、それ」

(やはり男として扱われると嬉しくなる。口調も自然と素のものに近く、おかしそうに笑って。
 耳元に顔を寄せて内緒話の体を取る様子にくすぐったそうにしつつも、
 意趣返ししたらしたで、ねちねち言うタイプではないがふてくされて面倒なことになると肩を揺らす。
 九頭龍の旅籠と聞けば有名なところなので頷いた。)

「何度か行ったことが。ご飯もお酒も美味しいし、温泉が気持ちいいですよね。
 ……廊下で、その、いかがわしい声がするのはどうかと思いますけど」

(娼館のような雰囲気もあるので少しだけ目線を反らして恥ずかし気に。
 誘いに乗ってくれた彼と共にテーブルに腰を下ろせば、真剣な目でメニューを見る。
 注文してくれるのに合わせて自分も同じ飲み物を、それからこれもそれもとおススメのものを追加し、
 しばらくもしないうちに届いたジョッキを手に取って。)

「はい、乾杯」

(サイズは彼のものより一つ小さめのサイズ。
 持ち上げてぶつければいい音が鳴って、早速口をつける。
 舌に刺激的な炭酸と、生姜の辛口な味わいが広がって思わず、><、みたいな顔をした。
 生姜が効いていて美味しいが、刺激が強めだったようだ。)

「~~~っ…びりびりひまふ…」

シアン >  
「抜け駆けされて怒るか抜け駆けして怒られるかなら……
 断然、後者の方がいいだろーぅ? ハッハッハッハッ!」

 他人事だと思って! 何て文句でも言われそうなぐらい、
 怒る彼の相棒も怒られる彼の姿も想像しては可笑しくて笑う。

「いいよな、あすこ。俺ぁ元ぁ北の出でね、一日の終わりにゃ湯に浸かりてぇからよく使うんだ。
 ありゃもう慣れだな。それに、女欲しくなっても困らねぇし、なんだ、サウロくんはああいうのダメか?」

 いかがわしい声、なんて控えめな表現や恥ずかしげに伏せる目線に片眉上げて。
 愛らしい女の子相手に女を抱くの云々傍目からすれば大変な事言っているが、
 性自認も男のようだし自分も男友達としか思ってないからってそっちの話題があけすけだ。

「っぷ!」

 ガラスがかち合い炭酸が弾ける良い音の乾杯をしてはジョッキを煽る。
 舌の上で辛味が広がり炭酸がそれを余計に刺激する刺激的な味わいだ。
 ビールのように切れ味の良い苦味がないのは少し物足りないが、これはこれで……
 と、味わっていたら、顔がくしゃっとなってる彼女を見て危うく噴き出しかけた。
 笑気はいいが口の中身まで出そうになって慌てて口を抑えて、ごくり、何とか飲み干し。

「っふ、ふふ、ふふふふふふっ。ふ、ふ……んふふっ。ほ、ほれ、蜂蜜……ふふふっ」

 自分が頼んだもの。彼女が頼んでくれたもの。幾つも並んでいくうち一つに味変用にくっ付いてきていた小瓶を指で摘めば差し出す。これで少しは辛味が抑えられるだろう、と。……ツボに嵌ってしまって含み笑いが収まらないが。

サウロ > 「他人事だと思って!」

(ちゃんと文句は言った。
 笑ってる様子に悪気がないのは分かってるので、そういうことにならないように彼にはちゃんと二人分奢ってもらうことにした。
 相棒の予定も聞いておかなければ。月二回ほど、特定の日を避ければ喜んでついてくるはずだ。)

「北、というと、帝国の方ですか? 毎日湯に浸かるのは贅沢ですね…。
 慣れ……、ダメ、というか……こう、あまり明け透けなのは、不得手と言いますか」

(女性相手に困らないという点は互いに合意ならいいのだろうか、と首を傾げるも、
 やはり育ちのせいか、性欲やいかがわしいものに興味を明け透けにするのは恥という認識が強い。
 興味がないわけでも女性を抱いたこともあるけれど、そういう話題が目に見えて不得手だとわかいやすく、頬を赤らめている。
 乾杯して一口飲んだものの、生姜と炭酸の刺激にやられたサウロに対して笑う様子には眉根を吊り上げながら、小瓶を受け取り。)

「そんなに笑わなくれも……んん゛っ」

(舌が痺れて呂律が回らない。
 蜂蜜を流して軽くかき混ぜながらまだ笑ってる彼に対して、笑いすぎだというように爪先で軽く彼の足に抗議する。
 そして恐る恐る二口目。水を警戒する子猫のような様子。
 薄い目をしながらも、最初の一口よりはいくらかマイルドに、まろやかになていて、息を吐く。
 ほら飲めましたし、と言わんばかりにジョッキを置いて見せて。
 料理も続々と届いてくれば、自分の分と彼の分の小皿を用意して差し出して。
 食べる前には、以前と同じく手を組み指を絡ませ、食前の祈りを紡ぐ。)

シアン > 「他人事だからなぁ!」

 誂っている。明らかに。悪気はないが悪戯っ気たっぷりに。
 結果きっちりと二人分の負担が財布に伸し掛かる羽目になった。

「そ。こっち来た時ゃそーゆー風習ねーってんで驚いたね。
 ハハ。何なら俺よか女にゃ困ら無さそうな面しといてぇ」

 女遊びが派手な様にはとても見えないが女遊びやその方面が不得手なのは、意外。
 ふぅん? 何て。誂って遊ぼうか止めとくか悩ましそうな顔して目線反らしたものの、
 頬が酒を飲んだわけでもないというのに赤らむばっかりな頬へと視線戻してから……
 結局止めた模様。誂ったらお財布の負担がさらに倍増しそうな危険性もある。

「そ、そりゃ笑、わ、ふふふふっ、いてっ。ふふふっ」

 脛へと抗議してくる爪先に太腿を持ち上げて痛ぇとは言っちゃいるがまだ笑う。
 蜂蜜を入れて漸く飲めるようになったがそれで得意気な顔をするからまだ笑う。
 ジョッキを持ち上げて口を付け、ごくり、ごくり、ごくり、ごくり……
 辛味と炭酸が口の中だけではなく喉の中で弾け食堂から胃までを満遍なく刺激し、尚、
 平気そうに一口で一息で杯の中を空にしてから見せ付ける様にジョッキを置いて見せ。
 どや! と、顔に書いてありそうな得意気な笑み。
 気に入ったのでもう一杯追加注文をし。頂きますと手を伸ばす前に、彼女の組まれた手を見て、止まり。

「相変わらずだなあ。こうか?」

 特定の何かを信仰しているわけではないが特定の何かをまるきり信じていないわけでもない。
 それに、祈りの目前でがつがついくのも……と。
 見様見真似で掌をあわせて指を組んでは祈りを捧げる仕草をして。

サウロ > (彼の財布は遠からず寒々しくなるに違いない。
 サウロはともかくもう一人はあの体躯で成人男性の倍以上食べるし飲むのだから。
 揶揄われることはなかったが、女に困らなさそうという点では不思議そうな顔をした。)

「? シアンさん、かっこいいからモテるのでは?」

(男から見ても雄々しく精悍な顔立ちや野性味のある雰囲気に愛嬌のある笑顔は好ましい。
 サウロも自分の顔は女性受けが良いと言う自覚はあれど、真面目というか堅物な雰囲気のせいか、
 娼婦以外の女性がそちら方面でサウロに声を掛けてくることはほとんどない。
 黙ってると目つきが鋭いので、普通の女性から見れば怖いのかもしれない、とまじまじと顔を見ながら観察する。
 向う脛に抗議を入れても笑い続ける彼が、ジョッキを傾けて一気に飲み干す様を両目を見開いて見る。
 喉を鳴らしながら、ジョッキを置いてドヤ顔をする得意満面な表情に、ぐぬぬと悔しそうな顔をした。)

「……まけました…!
 というか、喉痛くならないんですか…!?」

(今はこの体だから、なんて言い訳する気もないけれど、なんとなく悔しい。
 かといって男の体で出来たかと言われれば多分同じようにくしゃ顔をしたと思う。
 どういう強靭な舌と喉をしてるんだろうかとじっと見つめていたが、料理が届けば一旦腰を落ち着けて。
 食前の祈りを捧げるのを真似るように手を組む様子にふ、と笑って。)

「信仰は強要するものではありませんけど、そうですね、日々の糧に感謝を捧げてます」

(今こうして食事にありつけるのは神様のおかげ、という極端なものではないが、
 飢えることなく苦しむことなく、豊作に恵まれ、災害もなく、育てる人運ぶ人作る人、多くの人々の営みのおかげで、
 美味しいご飯を美味しいと味わうことが出来る日々を見守ってくださっているのだ、と。
 サウロはそう教わった。
 なので、糧となる恵みに感謝を込めて、と祈りに感謝を捧ぐ。
 そんな風に祈りをした後は、料理を取り分けよう。
 ジャガイモとブロッコリーを蒸かしてバターを和えたものやら、パンパンに膨らんだソーセージ。
 卵と水で溶いた小麦粉の中に細かく刻んだ野菜を混ぜて平らに焼き上げソースを塗ったもの。
 塊肉と野菜と豆をじっくり煮込んだものや、若鳥を油で揚げたものなどなど。
 ちょっとお肉が多いハイカロリーな気もしたが、男二人(うち一人は少女)にとっては普通だ。
 ソーセージにフォークを指せば、ぶちっと皮が弾けて、じゅわぁぁぁと肉汁が溢れ出した。)

「んん~~~…っ…!」

(口に入れれば熱いけれど、美味しさの暴力。小さい口ながら豪快に頬張る姿は少年にも見えるだろうか。)

シアン >  
「サウロくんが思ってくれてる程は……
 モテねぇなあ」

喋り始めれば愛嬌がある方だという自覚はあるが、
喋り始める迄人避けが効いた風体も自覚が有る。
筋骨隆々とした身体付きに切れ味さえありそうな顔付き目付きに加えて目元の化粧で近付き難い、
とは、何度か言われたもので、彼の推察は正にその通り。

「ふふふふふ。どやぁ?
 痛くねぇわけじゃねぇけど、平気」

舌と喉が強靭であるのもそうだが辛いもの刺激があるものに慣れているのもあっての荒技であった。
一気飲みの最中も一気飲みして見せたあとも解りやすいぐらいに目を真ん丸にしてくれる。
反応が良いのは気持ちが良くて得意気な顔したまま機嫌良さそうにまた喉も肩も一頻り揺らして。

「日々の糧にか。信仰はするこたねぇだろうが素敵な考えだとぁ思うぜ?
 そんじゃ、いただこか」

今目の前にあるものが今こうして目の前にあることに感謝を。今こうしていられる事に感謝を。
幾らか前にも聞いたが今またその信仰とその教えを聞いてみれば……
成る程確かにそう言われてみれば一理あるしそうかも知れないとも思う。
普段は無縁だが興味深くもあるので手を解したあとにも、へえ、とか、ふぅん、とか、相槌は適当かもしれないが一つ一つ頷いて。

いざその恵みを取り分けて貰えばお礼もそこそこ色取り取りに食欲をそそる献立を改めて、頂きます。
女子なら後日大層体重計の前で唸りを上げる事になるだろうその一つにフォークを突き刺してソーセージをばくり。フォークを突き刺した段階から肉汁溢れて口の中に放り込めば炭酸とはまた違った弾け方をする旨味に、
「ん゛~っ」

丁度同じリアクションになった。
それに気付けばまた軽く笑って、

「や。美味ぇなぁ、此処!
 暫く通っちゃうかもなぁ。
 あ、そだ、ところでサウロくんさ――」

 女の子というよりは少年さも滲み出てきた良い食いっぷりに、
 こいつもどう? とは今度は若鶏の揚げ物をよそって返して、
 歓談は続く。
 先日にあった依頼は共同だったのだが相棒になった奴のポカで起きた笑い話だの。雨が降り止むどころか雷は激しさを増していくばかりの様相に『……通り雨じゃねぇのかな……』と悲嘆にくれたりと止め処無い話がぽつりぽつり。料理が尽きるか雨足が尽きるかどちらかはこれからのお天道様次第だろう――。

サウロ > (思っているほどはモテないという事実に驚く。
 男同士でやりとりする分には楽しいと感じられる相手なだけに、真面目な顔をしてみてください、とか言い出して、
 その通りにして貰ったらあぁ、これは……と納得の表情をしたかもしれない。
 頭からバリバリ食べられてしまいそうです、と素直な感想を告げた時の彼の反応も、また笑ってしまったかも。
 刺激に強いらしい様子にどこまで辛いのが平気なのだろうという興味も沸く。
 うず、と好奇心に満ちた顔。無茶ぶりをしそうな顔。たとえば熱々の肉汁溢れる出来立ての揚げ物とか丸呑み出来たり、なんて。
 やって見せてくれたら拍手を擦る程興奮してしまうかも。サウロはそういうところがある。
 相棒がいたら間違いなく煽って競い合って悶絶するだろうが、それはまた次回の楽しみにしておこう。

 主教についてもサウロは敬虔とまではいかないが、頷いてくれる彼が興味がありそうな話題であれば話したり、
 こういう逸話がのこってるとか昔の偉人が愛について語った内容などをお話のように話したり程度で済ませて。
 頬張ったソーセージに同じ反応になれば、おかしそうに噴き出す。)

「すごくおいしいです、俺もまた来ます。
 あ、ありがとうございます。
 そう言えば、シアンさんは────」

(と、頬張り食べながら、美味しい食事に舌鼓を打って、会話を楽しんだだろう。
 冒険者である彼の話は興味深くて面白く、打てば響くような返答や反応に楽しそうに笑みを浮かべ。
 話題になるのは自分のことよりミレー族の相棒。この前は詠唱する魔法を間違えて護衛対象の鬘を吹き飛ばしてしまっただとか、
 雨脚と雷の強くなる気配の中、すごい音だ、すごい雨ですね、と応酬を続けていっただろう。
 少女の体ではあまり入りきらなかったのでほとんど彼に食べてもらう形になったが、満腹の表情。
 ご馳走様でした、と眩しいほどの爽やかな笑顔で、ご飯を奢って貰った筈だ────。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からサウロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にテレサさんが現れました。
テレサ > 平民地区の冒険者ギルド。
様々な依頼が並ぶ中で今回は依頼を探すではなく、募集であったパーティーに参加するために足を運び。
ただ指定の時間に少し早く、まだ予定しているパーティーメンバーは誰もおらず。

「時間まではまだありますけど…一人も来ていないのは」

流石に時間にルーズではと呆れはするが参加する身なので文句も言えず。
時間前にはやってくるはずと信じるしかないのだが、それという人影は見えずであり。
手の込んだ悪戯かと思いもするが、ギルドでそれをすれば後々問題にしかならず。

きっと遅れているだけと思う事にし、ギルド内を眺めつつ待つことにして。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からテレサさんが去りました。