2025/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアメリア・ストライデンさんが現れました。
アメリア・ストライデン > 日が高くなった昼頃の時間帯の大通り。
人で込み合うその道を、買い物袋を片手に歩く。
必要なものは全て買い揃えはしたが、それでもつい店先や露店を眺めるのをやめれずに足は右左へと店を渡り歩き。

「こういうのもあるのね。少し考えちゃうかも」

そして今も一軒の露店の前で足止めて商品を眺める。
店主曰く外国からの貴重な品とのことだが実際はわからず。
ただ珍しいものという事はわかるのでつい興味深いという目で見てしまい。

「買うのも悪くないけど……私には使い道がないのが…んー…」

そう悩んでは商品に手をのばしては戻すと繰り返し。
店の前で身をかがめて悩んでしまう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアメリア・ストライデンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にカイルスさんが現れました。
カイルス > 夜。冒険者ギルドの酒場はオーク討伐の祝勝会の真っただ中であった。
急激に増加したオークによる略奪被害に対抗し、中堅の冒険者パーティー複数と、何人かのソロ冒険者の混成部隊が組織された。
群れを指揮する大型の個体――ヒーローだとか、キングだとか、色々な呼び方をされる――を排除し、一時の平穏を確保できたことを祝ってのどんちゃん騒ぎ。
普段酒を飲まない男もタダ酒ということで一、二杯乾杯し、早速回ってきた酔いを醒ますためギルドの中庭へと出る。
澄んだ空気は心地よく、酒で火照りかけた身体を適度に冷ましてくれる。

「重傷者や死者が出なくて何よりだったな」

古株の剣士が参加してくれたのが助かった。助平だが腕は確かな壮年の男で、なんだかんだ人望がある。
ソロ参加した若い娘にしきりに酒を勧めていた姿を見かけたので、お持ち帰りする気マンマンなのだろう。
戦場での剣士の姿を思い出す。縦横無尽に戦場を駆ける、華がある戦い方だった。

「俺もチヤホヤされたいねぇ……」

心にもないことを呟く。斥候は索敵、密殺、ZoC確保。この繰り返しだ。大規模な戦闘時は増援の足止め、排除など。
どちらも部隊から離れての単独行動。ギルド職員からは評価されるが、同じ冒険者からはさほどでもない。
裏方の役目をしっかりと理解する者もいないことはないが――。

背後から人の気配を感じる。男と同じく涼みに来たか、ぼっちを憐れんで声をかけに来たのか。男はゆっくりと振り返る。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にさんが現れました。
> 賑わう酒場。……から、少し離れた中庭は薄暗く、灯りが遠く夜の闇に半分染まっていた。
斥候やら索敵やらを請け負う日陰者にとっては実家のような安心感があるのだろうか……。
既に日は沈んだあとだが、黄昏る背中には哀愁が漂っている。

「最小限の被害で済み、ギルドからの評価は上々」

その背中へ掛けられた声は、抑揚がなく、男とも女ともつかない奇妙な声だった。

此度の討伐に置ける影の功労者を称え、ギルドの受付から贈られた肴――厚切りのベーコンを串に刺して焼いたシンプルだが美味い定番のツマミ――を持って行ってやれと言われたのは、討伐には参加していないものの、男と同種の仕事を多く請け負う怪しい黒づくめの小柄であった。
小柄は串の乗った皿を其方へ差し出して問う。

「……何故、不満そうなのでしょうか?」

声に感情は乗らないが、小首を傾げる仕草は正直だった。

カイルス > 背後からかけられた声はやや距離があり、驚かせたりする意図がないことを察する。
視線の先には黒づくめの姿。確か東方か南方かの民族衣装か何かだった気がする。
とはいえ流暢な王国語は、相手が王都に来たばかりではないことが伝わってくる。

小皿に乗った串を手にして、軽く首を傾げる。

「お、ありがとさん。えぇと……」

討伐隊の主だった面子は覚えているつもりだったが、記憶にない。他の方面の斥候か、あるいは後方支援か……。
名前が出てこないのを誤魔化すように肉にかぶりつく。
一口食べてから、そうだな、と呟いた。

「ギルドの面々や討伐隊でもベテランの連中からは斥候の有難みを感謝されるが、若い連中はあまりなくてね。
一緒に肩を並べ戦ってるメンバーの方が人気があるのさ。あんな風に」

指をさした先では、熟練の剣士が駆け出しの治療師を口説いているところだった。相手もまんざらではないらしい。
目の前の相手がそういった事にどう反応するかは知らないが、冗談めかして言う。

「裏方はなかなか『一緒に戦ってる』って思ってもらえない事もある。
あぁ……俺はカイルス、っていう。君は……?」

背格好からはわからないが、自分よりよほど年上ということもなかろう。
少しくだけた口調で名前を尋ねる。

> 皿を手渡し、左手に持っていたグラスを両手で包みなおす。
記憶を辿り言い淀むのを見据えつつ。

「……私は、今回の任に参加していません。偶然、相席した通りすがりの冒険者です」

迷いを察して部外者であると告げた。
代わって此方の疑問への答えには、まじまじと男の顔を見た後に、更に首を反対側へ傾ける。

「若い連中……? 人気……」

目の前の男も十分若く見えるが、実際は違うのか。実は半世紀以上生きていたりするのか。
見定めようと、じっくり見てみたが見た目通りにしか見えなかった。
暫し悩み、沈黙を挟んでから口を開く。

「……人気。理解しました」

見目の悪くない年上の男。それも、手練れであることを実際間近で見たなら、女が惚れこむのも理解できる。
なるほど、この赤毛の男もそうなりたかったのかと納得して頷いた。

「カイルス……。戦場の裏で起きることなど、夢物語には記されなくて良いと……私は考えます。
 わかる者だけが、知っていればいい」

淡々と持論を口にしながら、一口啜るようにストールの隙間から酒を飲み。

「――……篝」

ポツリ。付け足し、呟いて名乗る。

カイルス > 「そうなのか。よかった――一緒に仕事をこなす相手のことを忘れたかと思ったよ」

咄嗟に声が出てこなかったことが自分の過失ではないことにほっとする。
疑問の声に対してはどう伝えるべきか、腕を組んで考える。

「ほら、飲んでる連中はだいたい10代後半から20手前って感じが多いだろう? ほとんどが中堅だ。
10代前半から半ばで冒険者を志す人たちが多い。俺みたいに10年も続けているのは長い方さ」

人気、という言葉で納得したようで一安心。持ってきてくれたベーコンを食べながら、相手の言葉を聞く。
どこか達観したような様子に感心したように。

「まぁ、それはそうなんだが……同業の冒険者達は、『わかる者』であって欲しいと思うんだ。
君は――篝は、後衛職か、あるいは軽戦士みたいな感じかな? あるいは、ニンジャってやつかい?」

独特な衣装から連想する言葉をつらつらと並べる。
冒険者にも色々なスタイルがある。相手のスタイルを否定する気はないが、己のやり方は表明しておきたい。

男の“眼”を使えば筋肉のつき方やら何やら、相手の情報は手に取るようにわかるがやめておいた。
服で背格好を隠しているにもかかわらず、わざわざ男に声をかけてきた人物だ。
無遠慮に己のスキルで素性を探るのは好意を仇で返すような気がした。

> 赤い目を瞬かせ、驚きから言葉を詰まらせながら、また少し考える。

「そう……なのですね。私は、まだ冒険者としては年季が浅いので……気付きませんでした」

十代前半で冒険者になるなんて想像もしなかったせいか、若手と呼ばれる冒険者達の平均年齢を気にしたこともなかった。
年下、年上、素人、玄人。それくらいの認識でしか、周りを見ていなかったことに改めて気づかされ、ぼんやりと遠くを見る。

「しかし、なるほど。十年も続けているならば、若いとは言い難いのも頷けます」

反省はほどほどにして、小さく首肯を返す。

「……育てば、いずれは理解者となります。不理解な者は、短命なので」

斥候や索敵の重要性を軽視する者は、策に溺れ、足をすくわれ、この厳しい世界では生き残れない。
それは変えようのない事実であり、そう言う役割を多くこなしてきた熟練の冒険者である相手も良く知っていることだろう。
それを踏まえたうえで、同業に理解者が増えてほしいと考えるならば、小柄も否定をするつもりはない。

「私は、斥候と索敵を専門としています。戦えなくもないです。――が、団体での行動は不得手です。
 私はこの国の出身です。忍者……とは、また別種であると考えてください」

斥候、索敵……本当はそこに暗殺が加わるのだが、冒険者という建前上口にはしないでおく。
忍とやってることは似ているが、父から受け継いだ術は異国の者が使うものとは似て非なるものである。ので、そこだけは否定しておいた。
特殊な眼を隠し持つ男の気遣いを知らないまま、小柄は多くを語らず、魔術を用いて自身の素性を隠して話を続ける。

「カイルスは、どのように仕事をするのでしょうか?」

今回も良い仕事ぶりだったと、一番年上らしい冒険者の老人が男のことを褒めていたのを思い出しながら尋ね返した。

カイルス > 「まぁ、若いうちは大した仕事は回ってこないけどな。身体ができてないから、街の中でできる仕事が多い。
魔術師とか、隊商の護衛とか……前職があってから冒険者になる人もいる」

気付かなかったとの言葉には、気にしないでいいとフォローを入れる。
貧民街で犯罪を生業とするようになるか、一念発起して冒険者になるか――年若い冒険者はそんなのが多い。
育てば、という言葉には深く頷く。

「この稼業の同業者はライバルであり、味方でもある。味方は多いにこした事はない。
最近はギルドの方でも斥候や後方支援――回復や兵站の重要性を教えてるらしいから、助かっちゃいるが。
そうか、ってことはお仲間ってことだな。斥候はせいぜい二人一組だしな。
あぁ、そうなのか? その服は動きやすさ重視で?」

団体行動が不得手、という言葉には思わずにやりとする。男自身得意な方ではないし、そういうタイプが斥候をやるものだという偏見もある。
マグメール出身と聞くと意外そうな表情をした。

「どのように……か。あまり変わらないと思うが……。
今回は本隊と斥候それぞれに魔導具が渡された。掌に収まるくらいの球体で、二つ一組。
握った状態で魔導具に声をかけると、もう一方に伝わる。索敵に行って戻っての手間が省けるのが楽だったな。
あえて言うと……より情報を正確に伝えられるとか、かな? たとえば……あのベンチまで俺から7m20cm、とか」

周囲を見渡して、目についたものとの距離をぴたりと言い当てる。
目視でこの距離なら然程難しくはないだろうが、視界が通らぬ所でも造作なくやり遂げそうな雰囲気があった。