2025/04/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアシュラスさんが現れました。
アシュラス > 「ぇー…ちょ、嘘やん……、返してって、まじ、ちょ…、こら!?」

慌てた男の声が響く平民地区の中心部に位置するとある広場の片隅。
街灯が少しばかり届きにくい薄暗い一角に焦燥男。

「そんなん持ってったってしゃあないやん…! いいこやから、ほら、こっちおいで、っちっちっち」

すわ何事か、と窺い見てみるといい年した大柄な男が必死にベンチの下を覗き込んで、そこに向かって何か懸命に訴えかけている。

一見完全なる不審者。
か……なにか宜しくないお薬でも一発キメちゃったの?と疑われそうな。やば気な挙動。
一体全体どうしたというのか、よくよく窺ってみれば、ベンチの下から街灯を照り返す二つの小さな光。
にゃー…と多くの人間に馴染みのある小さな獣の鳴き声。
暗がりに溶け込む黒い野良猫相手に兎角、必死こいて懸命の説得を試みる奇妙な男。

「返してー頼むわー出てきてくれたらハムあげるからー。お腹減ってるやろ?
 食べたない? 干し肉のがええ? 干し魚かな? なんでも食わしたるからほんま……頼んます」
『に゛ー』

その鳴き声の響きからしてまったく通じてない気配が濃厚。当然過ぎるが。
泥棒猫に所持品を強奪されたらしい男。ベンチの下に伸ばした手がギリギリ……届かない。
この無駄に長い手、使えねえ。

アシュラス > しばらく四苦八苦。
泥棒猫と悪戦苦闘していた男であるが――

「あっ!」

猫の方がその内飽きて男を揶揄うのをやめてしまい。
ぽいっ、と放り捨てる様に男から盗ったものを手放して去っていくのであった。

「良かった……けど……なんや理不尽なキモチ……」

デリケートな27歳独身ギルド事務員の心に虚無が差す夜はゆっくり更けてゆく……

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアシュラスさんが去りました。