2025/02/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカーリアンさんが現れました。
■カーリアン > 夜も更けた頃、下級貴族の夜会で動くメイド姿。
あまり慌ただしさを感じさせない動きで貴族や商人達が楽しめるように努めていく。
斡旋所からの仕事ではあったが、一晩の給金としては悪くない。
酒を配り、望まれた料理を配膳し、希望を厨房に入れる。
基本的な仕事ではあったが―――。
(…まぁ、下級貴族ならこんなものかしら…?)
もう少し忙しい方が好みではあるが、と考える。
周囲には貴族や商人の他、多少護衛の者や楽師に踊り子、様々な層の人物が見える。
情報収集の場としては―――。
(あまり良くない、かしら。それならそれで仕事をするだけ、ね。)
王都に入ってまだ日は浅い。
とりあえず慣らし運転といったところだろう。
不意に屈んで、目の前の人物から落ちたハンカチを拾い上げると声をかける。
「もし。落とされましたよ。」
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルティリスさんが現れました。
■アルティリス > 剣舞巫女は下級貴族の夜会に呼ばれて来ていた。
もちろんそこまで広大ではない場所で剣舞をするわけにはいかないのであくまで踊り子である。
着用している衣装もそこまで淫らなものではないが身体の線がはっきりと出て褐色の肌が映えるようにと色やアクセサリを選んだものだった。
楽士の奏でる曲に合わせてこのあたりでは珍しい褐色の肌を見せつけるようにしながら一つ二つと舞を披露するとひとまず休憩となり他の踊り子に交代をした。
「ふぅ……日銭を稼ぐのも楽ではないわね…。
とはいえそこまで好色な視線がないからある程度は気楽かしら?」
などと呟きつつ喉の乾きを潤すためにテーブルに向かって歩いていると後ろから声がかかった。
人を惹きつけるように計算された所作で振り返る。
「あ、わたくしのハンカチですね。
ありがとうございます……」
小さく首を傾けてにこりと微笑みかければ相手は自分に近い肌色をしていた。
王都ではなかなか出会わない偶然に親近感を刺激されて嬉しくもなった。
「……あの、ついでに飲み物をいただいてもよろしいですか?」
褐色肌の中に煌めく銀の瞳に思わず吸い込まれてしまいそうな気持ちになってしまった。
■カーリアン > 手渡すと微笑みかけてくる女性。
先ほどなかなか見事な舞踊を披露していた女性だろう。
この辺りでは見ない肌色はこちらも印象に残っていた。
「はい。構いませんよ。アルコールになさいますか? それとも果実水などを?」
飲み物を所望されたので、近くに備え付けているボトルからいくつかの種類をグラスに注いでいく。
柔和な微笑みを見せる眼鏡の奥で銀の瞳が煌めく。
(ふふ。なんだか―――。)
ゆるやかに、しかしテキパキとした様子で飲み物を用意していく。
動きの最中に、ちらちらと青いペンダントが輝く。
笑顔の中で相手の様子を伺っている――。
■アルティリス > 「……そうですね…また呼ばれるかもしれませんから果実水をお願いします」
美しいメイドが手際よくグラスに注いでくれるのを見ているのが心地よかった。
知的な眼鏡の奥の銀の瞳がとても神秘的で目を引く。
そしてメイドが動くたびにちらっちらっと青いペンダントが輝くのが見えた。
「…貴女もとても素敵ですけど……」
蠱惑的な表情を浮かべるメイドに夢中になってしまうのを自覚する。
けれど……寒い中に仕事に来ているのだからこのくらいの役得があっても何ら問題ではないと都合よく考えてしまっていた。
踊り子の緑色の瞳は少し潤みながら綺麗なメイドの銀色の瞳を注視しているのだが……
その視界の下の方でちらっちらっとペンダントが光っていてどうしても目で追ってしまう。
「そのペンダントもとても素敵ですね」
飲み物を受け取ると一口だけ飲んだ。
■カーリアン > 「はい、それではこれを。」
そういって柑橘の香りが爽やかな果実水を手渡す。
ちらりちらりと青く煌めくペンダント。そこに視線が引かれる様子が見て取れる。
合わせた視線はどこかうっとりしているような。
「ふふ。ありがとうございます。お褒めに預かり恐縮でございます。」
如才なく微笑みながら、相手の誉め言葉を受け取っていく。
これですか?と金のチェーンを摘まみ上げると青いトップがよく見えるように。
「私もとても気に入ってる一品です。深い青さが吸い込まれてしまうようで―――。」
それを踊り子の視線の先で小さく揺らして見せるだろう。
くす、と微笑みながら、メイドは相手の視線と表情をよく見ている。
あぁ、これは―――手籠めにしてしまうには悪くない、と。
「ふふ。目が離せなくなるようでした。―――あぁ、先ほどの貴女様の舞踊の事です。」
青い宝石に視線を惹きつけながら、言葉遊びのように相手に仕掛けていく。
すっとペンダントを胸元に戻していくだろう。そのまま深い胸の谷間へと視線を誘うように。
■アルティリス > 「今日はわたくしもただの踊り子ですからそんなにかしこまる必要はありませんよ」
銀色の瞳で見つめられているとまるで心の中まで覗かれているかのよう。
けれど、それが少しも不快に感じない。
自分はもっと警戒心が強かったはずなのだけど…
肌の色だけでなく髪の色まで似ているからなのだろうか?
それにとても良い匂いがする。
渡してもらった爽やかな柑橘の香りがする果実水の匂いだけではない。
篝火に引き寄せられる蛾のように麗しいメイドに心を強く惹かれてしまう。
「本当……なんだか吸い込まれてしまいそう……」
まるで夢を見ているかのように感じる。
夜会の様子がまるで気にならない。
ここには美しいメイドと自分だけがいるようにすら感じてしまう。
視線の先で青いペンダントが揺れる…揺れる……揺れる………揺れる。
ペンダントの青い宝石から目が離せない。
踊り子として映えるように濃い色のルージュを刷いた薄い唇が少しだけ開いてしまう。
「……褒めてくださり…ありがとう……ございます……」
目が離せない。
それは踊りを褒めてくれたメイドの言葉だった。
目が離せない。
その言葉(暗示)が頭の中でいつまでも響いている。
他のパーティの参加者から見れば美しいメイドと踊り子が少し打ち解けて話をしているようにしか見えないだろう。
けれど、踊り子は自覚しないうちにだんだん踊り子としての自覚が薄れてきていた。
青いペンダントがメイドの胸元に戻る。
自然と褐色の深い谷間に視線が誘導されてしまう。
踊り子は果実水のグラスを持ったまますらりと姿勢良く立っている。
けれど、見目麗しいメイドにより心を掌握されかけていた。
目元から少しずつ力が抜けてきている。
■カーリアン > 「ふふ。ありがとうございます。
……そうですね。貴女様も今はお休みの時間。気張らず、力を抜いて―――?」
ただお喋りをしているのみ。周囲からはそう見えているだろう。
メイドの微笑の前で、踊り子は徐々に正体を失っていく。
その様子に気づく者はいない。
柔和な笑みを浮かべる唇からはするすると言葉が紡がれていく。
メイドの人差し指が、胸元から誘導するようにメイドの唇を示す。
「その果実水もとてもいいモノですよ。
良い香りがして、ふわー…っと、爽やかないい気分。」
示された薄い唇が動く。
踊り子の視線を誘った上で、自らの言葉を意識させるように。
もう片方の手は、周囲におかしく思われないよう、グラスを落とさないように支えてあげるだろう。
「…力が抜けて、いい気分になったら…何も考えなくていい。そうですよね?
考える力も抜けて―――言葉がしみ込んでいく―――。」
『仕込み』はこんなものか。
軽くくいっと支えていた腕を引いて、ぼんやりした意識を少し覚ましてあげる。同時に、
「……貴女様?
ずいぶん、お疲れのご様子。休憩用のお部屋に案内いたしますわ。」
そう、柔らかいが有無を言わさぬ言葉を投げかける。
まるで優しい命令のように。
■アルティリス > 「ええ……ありがとう…ございます」
そうだ、この美しいメイドの言うとおり、今は休憩の時間だ。
そう、メイドの言葉は正しい。
肩から力が抜けてグラスを持っていない方の手がだらんと垂れ下がった。
耳に心地よくメイドの言葉がするりするりと入ってくる。
青いペンダントに誘導されていた視線がメイドの指先により唇へと移動する。
あまりに自然に視線が動いたので自分で見る場所を変えたのだと思い込まされていた。
「ええ……とても……美味しい…です。
とても……気持ちいい…です」
片手に持ったグラスをまるで人形のように自分の口につけるとまた一口飲んだ。
うっとりとした気持ちのままグラスを落としそうになるのをメイドに支えてもらう。
グラスを持った手を支えてくれているメイドの手の温かい感触が心地よかった。
「はい……とても気持ちがいいので…なにもかんがえません……」
身体がふらついているような気がするけどとても気持ちが良かった。
眠る前のような気持ち。
底しれない安心感に心も身体も投げ出してしまいそう。
「………っ?!」
くいっと腕を引かれて急に我に返った。
二人だけの世界だと思い込んでいたのが夜会の会場だったことを思い出す。
「あ、ありがとうございます。
そうですね……お言葉に甘えさせていただきます…」
美しいメイドの優しい言葉を疑う気になどなれなかった。
そう、メイドの言葉は正しいのだから。
夜会の参加者たちに一礼をするとメイドに誘導されるがままになるのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からカーリアンさんが去りました。
■アルティリス > 【部屋を移動します】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアルティリスさんが去りました。