2025/02/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシアンさんが現れました。
■シアン > 軒が軋む強風に、一寸は言い過ぎだが一間先もひどく見え難い吹雪がごうごう唸る、正午過ぎ。
平民地区のとある区画に佇む冒険者ギルドもこんな天気ではあちこちの店と同じく閑古鳥が鳴いていた。
其処な戸を潜って入ってくるのは、ボリューミーな髪にこんもり、幅広の肩にこんもり雪を積もらせる男。
「マジで勘弁しろ、ほんっと、マジで……!」
左手と肩を支えに、得物である鉄杖とその先に括られたカンテラ、右手には、『お? やんのか?』とでも言いたげな面構えをしたでっかい白猫の首根っこを掴んで、愚痴と白い息を盛大に零しながら頭を振る。ばっさばっさ。舞い散る雪。入口で落とせるだけ、払えるだけ雪を除けてから、慌ててやってきた受付嬢に猫を引き渡している。
「ばーさんによーーーく言っとけよ、こん中でこんなもん探し回る身にもなれって」
ご近所さんの、もはや定番と化しつつある脱走猫の追走はこんな雪中じゃあ一苦労どころの話じゃない。
依頼主に恨み増し増しな言伝を託しながら獲物も引き渡したあとにもまだぐちぐちぐちぐち……
何度か追いついては引っ掻かれたり噛まれたりで出来た頬やら眉間やらの生傷を撫でながらに、
外套やら鉄杖やらカンテラやらをそこらの椅子にでも放り投げながら早足で向かうのは併設されている酒場。
ホットワインを一つ注文してから近くのテーブル席へと尻をどかんと預けて、大きな大きな、溜息一つ。
「ほんともー毎度毎度……」
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシアンさんが去りました。