2024/11/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にズラトさんが現れました。
ズラト > 今にも雨粒がざあざあと降り出しそうな曇天。
日差しがないから気温はより冷え込んで寒気を多く孕んだ風も強い。
道行く人たちも多くは衣替えを済ませて秋・冬の装いの多い大通り。
年の瀬も近いせいか活気や熱気は夏場よりも多そうなそこの端の端。

集合住宅に両隣を挟まれて狭苦しそうに立つ小さな酒場。
木目の扉の真横には、
【Bar『Pšeničné klasy(小麦の稲穂)』】の置き看板が設置されている。
木目の扉のあちこちに、
営業中の札やら本日のおすすめメニューの黒板やらがぶら下がっている。

外観通りに広いとは言えない店内には蓄音機から奏でられるしっとりとした曲が流れていた。それと。

「よ、ほっと」

厨房から鉄フライパンで熱せられて小気味いい音を立てるオムレツがひっくり返される音に店主の掛け声。
本日のおすすめとなっている、チーズオムレツにオニオンスープとバゲット。
一つ仕上げてお皿やお椀にたっぷり盛るとお盆に乗っけカウンター席へ移動。
腰掛けてから両手を合わせて、

「いただきますぅ」

昼食開始。お客さんがいらっしゃらない隙間を見ての昼餉である。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にマカナさんが現れました。
マカナ > 午前中にちょっとで先に出た後で、いつ雨が降るかどうかわからない状況だけれど、どうにもお腹がすいた頃合い。
さっさと帰って家で食べるかなど考えていたが、ふと街並みを見て思い出す。

「あ、多分この辺って……」

何か思いついたかきょろきょろ見渡して、暫しそんな歩き方をしている中で、目的の店を発見する。
にんまり笑顔を浮かべると、踊るようなステップで店先まで足を進めれば、営業中であることを確認してそのまま扉を開いて中へと。

「ちゃーっす♪ 遊び来たよ~。」

いや、食事に来たのだが、ついつい友人の家に遊びに来たのと同じノリで扉の中へと飛び込んだ。
そこで目に入るのは、食事中のズラト。
ぴょん、と一歩目を踏み込んだ後でしばし食事中のズラトと視線を合わせてにらめっこ。

「ごはん中は静かにしまーす。」

テンション多少落ち着かせて、食事中のズラトの近くまで歩み寄る。

ズラト > 大通りへと向かっていく人はちらほら居れど此処らに用事がある人は少ないものだから静かな通り。
大きな看板があるわけでなく大きな建物に挟まれて小ぢんまりと居を構える酒場は、
其処にお店があると知っていないとぱっと見だと見逃してしまうぐらいだが……
彼女にとってはすんなりと見つかるその店の内では、丁度、一口目を口空けて含む寸前の金髪店主。

「……」

口も目もあんぐり開いたまま、不意の来客、突然の友人の姿にちょっぴりの間にらめっこしてから、

「んは。ぃらっしゃぁい、マーちゃん。
 ええよ、こっちゃおいで。食べるー?」

スプーンを口から引っ込めてから、ぷはっと笑気を吐き出してはころころと笑ってもう片方の手で手招き。
寄ってきてくれた彼女に食べる直前だった、
とろんと蕩けた卵とチーズに包まれて香ばしい匂いを上げるチーズオムレツを、
あーん? とかいいながら口元に差し出してみる。

マカナ > 「あー、うん。ちょうどお昼時なぁって思って、ズーねーちゃんとこ近くだなーって。
だから突貫してみたんだけどさ、ズーねーちゃんもごはんじゃん?
だったらあーしはおとなしくしてるから、ご飯終わったらあーしにもなんか作って?」

そんな言葉を口にしながら近づいていったものの、食べるかと問われながら手招きされて、もう少し近づいてすぐ至近にまで至る。
スプーンとズラトの顔としばし見比べてから、差し出されたスプーンにぱくっ、と食いついた。

食いついた後に、とろんと蕩けた卵とチーズ。それらが絶妙に絡み合って、口の中に旨味を広げていく。
ほわ、と幸せそうに微笑んでから

「……おいしぃ……♡」

頬に片手を当て、蕩けた笑顔を浮かべた。
ハイテンションでマシンガントークで、あれもこれもと口から飛びだすマカナだが、
本当に美味しいものに遭遇した時は、言葉少なに表情で、雰囲気で、”美味しい”を全力で表すのだった。

ズラト > 聞けば、腹の具合と用事で相談して、態々ここを探してきてくれたというのだから笑みが引っ込みやしない。
驚いて広がっていた目も口も撓むし眉根までへんにゃり垂れ下がって、
『うへへへ』とかちょいとおっさんみたいな笑い声出てしまっている。

お隣まで来てくれた彼女の前の席に、お盆をずらしてぐいっとランチメニューをひきずる。
若干の迷いがありつつも間もなくスプーンにぱくつく仕草も、可愛いし、食べた後に全身でもう堪らないとばかりに表現してくれるのも、嬉しいし、

「相変わらす可愛(めんこ)すぎるわぁ、マーちゃん……♡
 これ食べ? あたしはまた作るから。お客さんやしな、遠慮せんでええでぇ?」

機嫌良さそうに弾む声音を上げつつスプーンもお皿にことりと置いて自分は席を立つ。
お供に用意しておいたハイボールだけは取って口を付けてから飲み下したあと、
厨房の方にある酒瓶やら冷蔵庫やらに目線を向けてから彼女にもう一度向けて。

「飲みもんも要るやろ。何にする? 昼間っから酒はちょっとなーて感じやったらジュースとかも色々あんでぇ」

今自分が飲んでいるウィスキーの炭酸割り、の他にも赤ワイン白ワイン、スパークリングワイン、カクテル用に果実系のジュースもあれこれ。
カウンターの脇に置いてあるメニュー表をひょいっと取れば広げてお出ししたりもしながら、首傾げ。

マカナ > 自分は後でもいいと思っていたのに、ランチメニューが自分の前にやってくる。
そして、ズラトがまた作るから、と言われれば、へにゃん、と少し眉尻下がるものの、
この店では自分がお客、と言うズラトの言葉は納得のいくもの。
自分のアトリエだったとしたらきっと同じことをするだろうから。

「じゃぁ、折角だし、いただきます。」

しっかりと食事前の礼拝ににた手の組み方をして、流石に祈りの言葉までは口にしなかったけれど。
そして、問われる飲み物に、ちょっとだけ考えてから

「あーしはお酒は嗜まないんで、何か果実系のノンアルがいいなぁ。
今日のランチから、ズーねーちゃんが合うと思うものなら何でもOK!。

よろしく~、と依頼してからまたランチに手を付ける。
普通に美味しいくらいなら、パパっと食べてしまう方なのだけれど、
ここまで極上に美味しいものなら一口ごとに見悶えて。
全身で美味しいを表現しながらゆっくり食べていく。

ズラト > 彼女の眉尻が困ったように下がるのも、申し訳ないが、自分にとっては愛らしいの範疇であった。
『堪忍。堪忍~……♡』云々悪いと思うから謝りつつも二度も三度も笑気が溢れて喉を鳴ってしまった。
遠慮されてもぐいぐいと押したろうが折角と頂く様子に頷き一つ。
厨房のほうへと歩いていく最中ふと顔ではなく手元の『礼』に目線を寄せて、外す。彼女のお店の話や普段の様子からすると結構意外、ではあるものの、信仰に口突っ込むのはいくら友人相手でも野暮ってものであると思い直して口から出そうになった疑問はハイボールと一緒に流し込みつつの。

「あいあい、うけたまわりぃ~。
 そんじゃ、ちょいとこってりめやからな、スタンダードにオレンジジュースといこか」

冷蔵庫を開ければ、冷えたグラスを一つに冷えた蜜柑色の瓶を一つ、取り出して、注ぐ。
冷凍庫のほうに手を向ければ引き出しを開けて『これ、ちゃう、あぁこっち』とか独り言のあとに氷を出すのだがそれも蜜柑色である。
水で造った氷だと味が薄まってしまうからオレンジジュースを凍らせた特性氷をオレンジジュースに投下して、カウンター越しに差し出した。

「んふふ。ほんまおいしそーに食べてくれてまぁ。嬉しいわぁ。
 あれやな。作り甲斐あるっちゅーんはこういうのいう。いいお嫁さんなるでぇ、マーちゃん」

オムレツの中身になっている挽き肉は少々塩気多めだがバターで甘く煮付けた玉葱、そして少し酸味のあるチーズと半熟に近い卵が丁度良いだろう。
スープのほうは味付け逆に薄めなのだがバゲットのほうに岩塩が僅かに散りばめてあってそちらと相性良し。
等、塩梅を考えられてあるランチメニューであった。

一口一口ようく味わって、度、度、ほっぺが落ちそう! なんてリアクションしてくれるのだから笑いも頻りで喉だけでなく肩も揺れ始める。

マカナ > 信仰については問われても答えはするが、その全ては口にしない。
秘中の秘が存在するからで、その部分については同士にしか知らしめないこと。
だが、ノーシス主教を進行してますくらいまでは問題なく説明できるので、聞かれても困らない、と言う点でもある。
だが、問われないなら別に、こちらから話題にすることもなく。

特に組み合わせて食べる料理の場合、一品料理の組み合わせで上手く行くことはほとんどない。
なぜなら、美味しい一品料理を組み合わせただけだと大味さに飽きるから。
だから、うす味のスープとこってりしたオムレツ、そしてひと手間加えたバゲットが全て綺麗に手を取って
スクラム組んで攻めてくるのだからたまらない。

オレンジジュースが差し出されれば、それを一口口にして、ほわぁ……とまた別のリアクション。
これは、口の中がすっきりする事の心地よさを表したもの。
あらゆる感情を、色々な表情で、仕草で表現していくのだから、それらを受けるシェフ側にしてみれば楽しくて仕方ないかもしれない。

「いやいや、だって、本当に美味しいんだもん。
ここまで美味しいご飯作ってくれるズーねーちゃんが凄いんだよ~。
……?……あれ、でも、料理してくれたのはズーねーちゃんだし、
いいお嫁さんになるのはズーねーちゃんの方じゃね?」

そこでちょっとだけ首を傾げた。
このパターンだと、あーしが旦那さんになるんじゃね?と。

ズラト > ノーシス主教なるものがどういうものかを説明するところから始まるだろう何れ突っ込んだ日の会話。
結構、苦労するかもしれない。
一個を主神にして他も崇めて? 全部一緒やのうて?
云々すっごく首傾げるからこの金髪。

本日のランチメニュー。外の扉にも黒板でぶらさげて、お勧め! と自信ありげにデカデカと書いてあるだけはある出来。
店主の腕前ありきにしろ具材の新鮮さもまた一味にも二味にもようく効いている。
で、あるのに、お値段そのものは高くはない、格安ではないにしろ大通りでお腹いっぱい食べればこれぐらいといった値だし、

「やんもう褒めすぎやで嬉しゅうなり過ぎてまう、よっしゃ、今日奢りや」

それも今日は無料になった。

「まぁ腕に自信あるたぁ言えそんな褒められる事そうないけん、やだ顔赤くのうてない?」

掌を頬に当てれば、褐色肌だからわかりにくいがほんのり赤くなっているのが見て取れるし自分でも熱いのがわかった。
照れくさくって頬を擦ったり流れるような金髪は乱れてもいないが手櫛で整えてみたりと分かり易い照れ隠し。
ジュース、にしたって、グラスを取り落としそうなぐらいのおっきなリアクションだ、
シェフ側にしてみれば楽しくない筈もないからちょっと浮かれ気味でもある。

「……ん? ……。……せやな! マーちゃん旦那様やな! んはははは!」

突っ込まれて、はて? うん? と目線が右に寄ったり左に寄ったりしてから吟味すること少し。
自分の言い方だと、自分が嫁で彼女が旦那のほうが正しかった。

片手を持ち上げ、片手を頬から離して、ぱん、ぱん、と叩いてはもう肩の揺れも激しく酒が入ってるからって笑い上戸かというぐらい笑い始めて。

「じゃ、繰り上げや。今日からダーリンて呼ぶわ。ダーリン、今日はこれから何か予定ある?
 ないんやったら晩ごはんもご馳走したいから付き合って欲しいねんけど」

友人、親友からぐぐぐぐぐーっとものすごい勢いの繰り上げ方をしながら旦那様呼びまで普通にしはじめる始末。

マカナ > いつかするかもしれない宗教談義。
ノーシス主教の話をしていて突っ込まれまくった結果、もしかしたらぽろっと裏が出てしまうかもしれないけれど、
それはなってみないと分からない別の話。

ランチメニューは確認済みで、そのメニューがこれで、この味この量なら十分お安い。
これはおススメどころじゃないぞと全身で表現。
そうしていたら、おごりになった。
流石に目を瞬かせるものの、話の流れに乗っていけば、とんとん拍子で色々と進んでいく。

「そうなん?あーしくらいほめる子いてもおかしくないと思うけどなぁ。
多分、富裕地区のお歴々に食べさせても、確かな舌の持ち主だったら絶対ウケるとおもうけどなぁ。

あはは、ズーねーちゃんちょっと赤くなってる~♪
か~わ~い~い~♡」

褐色肌でもほの赤くなっているのが見て取れれば、全力で可愛い!と主張主張。
照れ隠しを含めて全部可愛い。綺麗かわいい。

そして、自分が旦那様じゃね?の問いかけにはそうだった、と笑って同意されれば胸を張る。
でしょ~?と言うように。

笑い上戸なくらいの大笑い。でも同じくらいのテンション持ちなので、こういう空間は楽しくてたまらなくて、
そんな空間を楽しんでいれば向けられる言葉。

「ん~?……今日は予約もないし、あーしは予定はないよ~。
午前中も偶然入ったお使いみたいなもんだし。
え?晩ご飯もご馳走してくれんの?
付き合う付き合う~。全然マイハニーにつきあっちゃう~♪」

旦那様予備されれば、ダーリン呼びされれば、もちろんマカナはハニーと受ける。
こんなにきれいでかわいくて、料理が上手な、あーしの嫁!と。

ズラト > 天に地に風に八百万に御神御座す金髪部族の宗教観は彼女のそれと似て非なるから長々とした講義になるだろう。何が出るにして、きっと、旦那様(ダーリン)かわええ♡ という主張は変わりなく何れにしろ今日にしろ軽々飄々とした関係も変わりあるまい。……一部軽すぎるところは寧ろ変えねばならないところではあるかもしれないが。急の無料(ロハ)とか。急な旦那様(ダーリン)関係とか。

「せやな、でもな、けっこー恥ずかしがり屋さん多いねんてこん国。
 マーちゃんぐらいどストレートに褒めてもらう事あんまり無うてさぁ~……
 あぁやっぱり!? 赤い!? かー! 肌黒いから判らんかと期待したのに!」

可愛い! と、言うのは慣れているにせよ、褒められるの可愛がられるのは経験不足な気がありありあり。
小麦色の肌だからと頬に差した赤色は或いは誤魔化せたのかもしれないが仕草そのもので大バレモロバレ。
恥ずかしさで『むむむ』と口を真一文字にしてみたり眉根を寄せたり目尻を釣り上げてみたりの無駄な抵抗。
それもすぐに笑い上戸で全部ほぐれてしまうのだから、ころころとまるで、百面相。

「んなら、決まりや、ご馳走しちゃうでぇ?
 恥ずいけど褒められはしたいからなー!
 んははははは♪ ダーリンにはサービスしたらなあかんしな?」

テンションのアゲっぷりは間違いなく酒の所為、もあるけれど、同じぐらいノリ良くダーリン呼びだって受け入れてくれる彼女のお陰も多々。きれいで? のあたり。これ見よがしに艷やかな金髪の、馬の尻尾みたく括った髪を弾いてみたり。かわいくて? のあたり。……やっぱり恥ずかしいので目線がすーっと横に逃げたものの。料理上手、のところで胸を張ってみて、

「Miluji tě můj manželi!
 愛してるぜぇい、マイダーリン! て意味♡」

己の第一言語も交えて、愛の告白? までして、また笑う。
初日で親友になって今日で旦那に嫁に。恐ろしいスピードである。
厨房側で、酒を口に含みつつ、卵をほぐして焼いてぱくついたり、タネをつまみ食いしたりと、会話しながらちょくちょく摘んでいたが、わー! なんて上がったテンションそのままに声上げながら厨房から出れば両手を広げて彼女へハグしに小走り。

マカナ > 急の旦那様(ダーリン)呼びはむしろバッチ来いだけど、級の無料(ロハ)はマカナも修正をかけるだろう。
これでも一応経営者だ。今日は自分に対してだから嬉しいけど。
嬉しいけど、無理してロハは認めない。
流石に今日は財務状況知ってるはずもないんで大丈夫だろうと受け入れてしまうけれど。

まるで合わせ鏡のような2人なのだから可愛いと言いなれているズラトが可愛いとマカナに言われまくるのは当然のこと。
2人が面と向かいあっていれば、多分間に鏡がある自分の姿を見ているようなものだろうから。

だからニコニコ笑顔で見つめ続けて、ズラトの百面相を堪能してから笑いこぼれたところでご馳走さま、と。

「うふふ~。嬉しいなぁ。
ハニーが恥ずかしくても、あーしは事実しか言わんからねぃ。
面と向かってまずいとは言わんけど、美味いは言われて嬉しいしかないはずだから、そう思ったら気にせずいうもん。」

ここは胸を張ってしっかりと主張。
そして、ちょっとした仕草で美しさ、可愛らしさを見せてくれるから、全力で褒めたくなるのだ。

聞きなれない言葉を耳にするものの、直ぐに意味も教えてもらえれば破顔一笑。

「もち、あーしも愛してるよん、マイハニー♡」

愛の告白を受けたら愛の告白を返すのは当然でしょう?とさらりと口に。
自分の食事に合わせて色々つまんでいた様子から、きちんと食事は出来てたみたいと把握して。
そして厨房から出てきたズラトを椅子から立って両腕を大きく広げて待ち構え、

「イエ~イ♡ サンクス、マイ、ハニー♡」

今一度言葉にして、しっかりと抱きつく。
この前と同じ、しっかりと柔らかの絶妙なる黄金比を堪能しつつ、
仄かに香る香りを胸いっぱい吸い込んで。

「ん~♡ 風と大地、小麦の香り。ハニーの香り、好き~♡」

しっかりと抱きしめて、体はしっかりしているけれど、心はふにゃふにゃに蕩けていた。

ズラト > お気にのお客さんに気紛れで振る舞うこと実は多し。店舗は貸賃無し、仕入れは自前の腕力とコネ、等々で生計に余裕があるとはいえ気紛れが過ぎてたまに危機を迎えているということ知られたらきっとお説教されること請け合い。ハイ……ハイ……スンマセン……と、そのときにはそれはもう、デカい上背を丸ーく小さーく縮めて叱られる金髪の姿は多分近い内に見られる事になろうか。

生まれが違う、生い立ちも種族も違う、顔形は少し似通っている……程度で凡そが違うのに、まるでそう、鏡合わせ。
傍から見ている・聞いている者もいないが居たとして突っ込みが間に合わないぐらいの“スピード婚”もしかたないか。
それぐらいに合うから弾みに弾むのだ。話。
言われ慣れてない、言われる機会もあんまりない可愛がられには勢いは少し下がったものの取り戻すのも一瞬で、

「あーしも可愛い言う! お粗末様や! んもう! いつでもきぃや、ダーリンにはいつも以上に愛情込めたる♡」

あーし。一人称うつってる。のも気付かず、さらりと告白返してくれる彼女に、だらしがなさすぎる笑み浮かべそうに。
頬とか目尻とかを眼鏡のツル押し上げるみたく人差し指でクイクイ軽く持ち上げてから表情正し両手を広げてしっかとハグ。
受け入れてくれれば、前回と変わらぬ、タイトめとはいえそれでも張りがある胸元の柔らかさに腹筋の締り……
柔らかいとこは沈むぐらいに柔らかくって硬いところは跳ね返りそうなぐらい硬いガタイで彼女を胸元に収め。

「お互い様~。こん前もセクシーで良かったけど今日はちょい甘い感じやな?
 ダーリンはほら、かんばせ、めんこいからこっちもよう合うとる♪」

小麦の発酵したような、麦酒から酒精を抜いたような、風と大地と小麦の香りがふわり、ふわり。
彼女の鼻腔を擽るようにお届けしながら己も鼻を寄せてみれば彼女は先日とは少し変わったそれに、
一度首を傾げるものの結局これもお気にとばかり色取り取りの髪色の中へ鼻を寄せては嗅いで。
くつ、くつ、と嬉しさ一杯とすぐにわかる笑気で喉を鳴らした。

マカナ > 元々ブレーキどころかバックギアすらどこかに置き忘れてきたよく似た二人がアクセルふかしまくればこうなることなど明々白々。
でも、それでもいいのだ。二人が楽しくて、2人が幸せなんだったら。

きっと言い続けるからそのうちマカナの可愛いにも喜びつつも慣れて同テンションが続くことだろうけれど、
まだ慣れるまでにはちょっと時間がかかるのは致し方なし。
それでもお互いに可愛い言い合うぞ、と合意が取れれば大腕振って、かわいいかわいいと言いあうことだろう。

そして、あの日以来のハグはやっぱり心地よい。
腕の中に感じるその肉体も、鼻腔を擽るその香りも。
自分は同じ香りを堪能したけれど、ハニーは少し違う香りに戸惑ったか。

「今日はね、昨夜、きちんとお風呂してるから、石鹸とお気に入りの香油の香り~♪
でもさ、ほら、ハニーのやり方なら……♡」

鼻を寄せる程度ならば石鹸と香油の香りだが、髪の中に鼻を寄せていけば、
先日と比べると薄いけれど、本来の香りも鼻を擽るはず。

ズラト > アクセル全開で遮るもの無し――
もし有ったとして吹っ飛ばす勢いは、勢い付き過ぎの自覚はあるのだが楽しいのだから止められやしない。
偶の“可愛い”発言は今は減速だがきっとこれもそのうち加速になるのだろう。

背丈の差が丁度良く、胸の内にすっぽりと埋まり、乳房の上にちょこんと乗っかる彼女のお顔の距離も心地良い。
お手入れがよくされている肌艶は掌でずうっと触っていたいぐらいだし体躯の柔らかさはこうなると離したくなくなる。
故、ぎゅう、ぎゅうぅうっと二の腕の輪を縮めて、加減はしているけれどそれでも強くなるハグ。

「ああ、香油。優しい香りや思うてたけどなるほどなあ? ふふ。良え~……♡
 ……ぁ♡ ぅんふふふふ。うん。うん。こっちも好きやで、あーしー……♡」

何の花だろう? と、見当を付けていれば香油というから首肯をしながら嗅いでいたものだが、
髪先より深く頭皮にも近いぐらい鼻先を埋めていけば鼻腔を擽ってくる以前のそれ。
すん、すん、と女の子らしいものと男の子らしいもの、“セクシー”と評して止まぬ彼女の匂いに鼻を鳴らし。すん、すん、と音を立てながら鼻先を移動していけば頭をちょっと擽りながら耳の近くに、耳の裏に、香りが強い方へと吸い寄せられている。彼女の腰を引いては軽く持ち上げるように、より、強く、抱き締めるというより抱き上げるに近い形にすらなりつつ、ふと、目線が店の扉へ一度向き。

「な。ダーリン。ダーリン♡ 今日な。閑古鳥鳴いてん。やから、閉めようか迷うてたんやけどー……。
 もう閉めちゃうから、奥で、ゆっくりせぇへん?」

ひそひそ、と耳元で吐息多めに囁いて声音と息とで耳朶と耳孔を擽る。

マカナ > 抱きしめられると自分が嫁と言われても納得はいくし、そっちの方がしっくりくるんだけど、
マカナの料理の腕では多分、ズラトの胃袋はつかめない。
だから、自分の胃袋をつかんでもらってズラトを嫁にすれば二人ともハッピー。

「あーしの髪の毛はさ、セットするのに櫛だけだと難しいから香油をうまーく使うんさ。
だから、香油の香りがちょっとするのね。
でも、奥の奥にはあーしの匂いも残ってるし、ハニーは好きって言ってくれたから、2人っきりの時は香油なしでもいいかも、ね。」

こうして抱きついて、香りを楽しんで居続けるのもいいのだけれど、ズラトから新しい提案。

顔を見上げて、目を瞬かせて、店内を見て、入り口を見て、少し考えて……

「ハニーがそれでいいなら、あーしもそれでいいよ。
むしろ、バッチ来いっていうかぁ……♡」

好奇の表情の奥に少しだけ艶めいた瞳でズラトを見やり、
くすっと小さく笑えば、ん~♡ と目を閉じてキスの要求。
その後で、連れられるがままに奥へと入っていくことだろう。
その奥で何が起きたのかは、2人だけの秘密。

ズラト > 年齢、上背、格好、顔立、何方かというなら凛々しい寄りの自分と何方かというなら可愛い寄りの彼女で『旦那様』と『お嫁さん』が逆転しているのは……不思議としっくり来る感がある。彼女が、旦那様(ダーリン)♡だ。逆じゃね? 等と誰かに問われたって互いに合意なのだから、オールグリーン。

「色。色々あるもんな。見た時びっくりしたもん、かっこえぇー! って。手入れ大変そー。とも思うたけど、やっぱなぁ。
 うん。ダーリンの香りなんかこう癖になる言うか。ふふ。ええの? したら、そうしてもらおっかなぁー」

人によっては癖のある匂いなのかもしれないが自分にとっては癖になる匂い。
抱き締めていると、ずぅっとそうしていたいし、嗅いでいると、ずうっとそうしていたい、
先日もそうだったけれど自分でもびっくりするぐらい宛てられるから誘いも溢れて……
バッチ来い♡ なんて言われてしまえば、んー!♡ って嬉しさに声上げて耳朶にキス。
頬にも、愛らしいお強請りがあるなら勿論唇にだって薄くも艶のあるものをしっとりと重ねる。

――リップノイズだけじゃ留まらず粘ついた舌を絡める音もしばらくはしたかも知れないが、そのあとには、お店の戸締まりと『本日休店』という札を扉にかけ直して後。奥にある階段室と、外観のぱっと見では分かりにくいが実は二階建てになっているそこの内装を案内しがてら二人で“ゆっくり”過ごす事になるだろう。どう“ゆっくり”したかは、そう、秘密――……

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からマカナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からズラトさんが去りました。