2024/11/06 のログ
ヴァン > 男は行事の成り立ちを説明する。
二百年ほど昔、王族を暗殺しようとした主教の異端派を火刑に処したこと。
暗殺阻止を祝い、藁人形を燃やしていること。ラインメタル地方の伝統行事であり、宗教行事でもある。

人間大の藁人形の足元には薪が燃えやすいように組まれている。
男が火を点けると、ぱちぱちと爆ぜた音を立てながら藁人形の足元を燻り、やがて炎の勢いが盛んとなる。
陽が落ちて感じる肌寒さが秋の終わりを感じさせる。
炎に目を向ける少年少女、配られるだろうお菓子を期待してそわそわしている幼子たち、それをあやす大人達。

そんな景色を眺め、自然と男は微笑んでいた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/神殿図書館」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にニュアさんが現れました。
ニュア > 「ねえ、ホントにこんな依頼しかないワケ?」

冒険者ギルドの依頼斡旋カウンター。
壮年のギルド員を前に、カウンターに肘を置く、フードを目深に被った少年容貌がいた。
膚を極力隠す長衣に色白の細面、肩口迄の長さの艶やかな黒髪と切れ長の射干玉彩の瞳。
身体のシルエットを隠すマントを羽織っていても尚薄い体軀は少年のようでもあったし、
その造作の繊細さは少女のようでもあった。
神経質そうな、それでいて何処か横柄にも響く声質は伸びやかなアルトであるところが、
若干にして少年優勢とさせているだろうか。

彼──…或いは彼女は、卓上に置かれた依頼書を見ている。
条件として提示したのは、「面倒のない」「できるだけ肉体労働のない」「短期の」依頼である。
並ぶのは、貴族諸侯の参列する祝賀会の給仕だとか、接待だとか。
『いや、坊主お前さん顔はお人形さんみたいじゃねえか。黙ってニコニコしてりゃ金になるぞ』
そんなことを宣う赤ら顔のギルド員をねめつけ。

「は? ヤだよ。そんなんどう考えても面倒じゃん。
 もっとこぅ、普通のヤツ…調合依頼とか採取とかさァ、そうゆうのでイイんだけど。」

『今そっちの依頼は切らしてんだよ。…もう少し待ってろ』
再度依頼書探しに奥へと引っ込むギルド員の背中を眺め、溜息。

ニュア > 暫くの間、待ち惚けを食らいつつ。
戻ってきたギルド員の手にした依頼書のなかに、
果たしてお気に召す依頼が見つかったのか、さて……?

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」からニュアさんが去りました。