2024/10/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシアンさんが現れました。
シアン > 雨粒が横合いから殴りつけてくるような土砂降りと強風。
朝方からお天気模様は宜しくなくって昼過ぎには今にも一雨来そうな様相で遂に来た。
思っていた以上に降ってきた! 何て慌てて傘を差しては傘が吹っ飛ぶ人も居れば、何処かの店の軒先に避難する人やらきちんと用意して雨合羽を羽織る人などなど多種多様な様相の大通り。――の、端っこの方。催し物やら、犬猫の散歩やらご近所の奥様の井戸端会議などやらで使われる大広場。

「……参った……」

びしょ濡れになった男が東屋でどっかりと腰を落として手遅れな雨宿り中。
まるで浜辺に打ち上げられたワカメか昆布みたいな頭をぐっと掻き上げ一括り。
濡れて貼りつき透けて見える肌とたっぷりとある胸等はこれが女性だったらば、
同じく雨宿りしにきた避難客の好奇の視線や何ならナンパもうけたろうが……
みっちりと詰まった筋肉で膨れ上がって綺麗に真っ二つになった胸筋では……
一つ一つの彫り込みも深い腹筋といい、広い肩幅といい、何より厳しい目付き、
おまけにそれがもっと強面に見える赤化粧迄あるカタギに見えない男ときては、
誰も目さえ合わせないし距離も結構取られているという始末である。

「……」

まあいつもの事、と普通にカタギだし何ならこの状況は気不味いが態々男連中に愛想振りまくたちでもないから気にしない事にして雨が止むのを待っている。
雨とはわかっていたのにいっつも準備を疎かにして濡れ鼠になる悪癖に自業自得とはいえ溜息つきつつ、
買い物帰りであれこれ仕入れた戦利品だけは濡らさないよう鞄を革のジャケットでもう一度しっかり包む。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメアリさんが現れました。
メアリ > 平民地区にある小さな酒場、そのカウンター席の一番奥で女が一人グラスを傾けている。
この寒さから逃れるために早々と帰路についたのか、店内は静かで女を含め客は片手で数えられる程しかいない。

――コンッ、と小さく音を鳴らしてグラスをカウンターテーブルに置き、小さく息を零す。
既に何杯目だろうか、グラスの中にはまだ半分ほど安物の果実酒が残っている。
味はそこそこではあるものの、酔うには丁度いいそれは、既にメアリを酔わせて身体を火照らせていた。

そんな時ふと、ドアベルが音を立てて店内に客の入店を伝える。
ひとりで酒を飲み暇を持て余しているメアリは、意味もなく音のする方へ徐に視線を向けた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」に夏虎さんが現れました。
夏虎 > ちりん、ちりん、と。

酒場の主人や給仕が、食器を片付けたり料理をお出しし机に置かれる音もたまに響くようなのんびり酒を楽しめる静けさ、
そこにドアベルの音は割と響くものだから彼女以外にも何人か視線は向けて、まず、頭や顔に目が行く人も多いやも――
染めたにしたって派手がすぎるぐらいに目立つ桃色と、同じぐらいに鮮やかな瞳だから。

「お邪魔しますよと」

ブーツの硬い足音と、ひらりと店主に向ける緩い手付きに緩やかな口調で入ってきては戸を締めて店内へ。
どこか適当な席を探してぐるりと視線を回した折いくつか向けられる視線の内で、ばっちり、花紺青の瞳と目が合い、

「あら。すんごい美人さん。こりゃ一杯奢らせて貰わにゃ。ふふ、こんばんは」

彼女にも、緩ぅく掌が持ち上がって、ひらり、ひらり、と掌が右に左にと揺れながら人懐っこそうな笑みを浮かべた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から夏虎さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に夏虎さんが現れました。
メアリ > 真っ先に目に入ったのは綺麗な桃色。次いで鮮やかな瞳。
酒に酔っていたせいもあり、無遠慮にその客の事をまじまじと見つめていれば視線の先が交わる。

「ふふっ……こんばんは、桃色のお兄さん。
よろしければお隣いかがかしら。」

冗談めいた言葉に小さく笑った後、人懐っこい笑みににへらと緩んだ酔っ払いの笑みを向ける。
とんとん、と指先で隣の席を軽く叩いては、ずっと空席だったそこへ来るよう促してみる。

まさか話しかけられるなんて思ってはいなかったものの、丁度暇を持て余していたところだし、
話し相手にでもなってもらおうかとそんな心算で。

夏虎 > 格好は大人しいものだが髪色と目の色とハートのネックレスのおかげで印象はかなりチャラい、かも。
目が合っただけの女の人に第一声がナンパな内容だから余計に。

「うん? ふふ。嬉しいね。そいでは失礼させて頂いて……。
 はじめまして。銀色のお姉さん。夏虎(シア・フゥ)といいます、夏が苗字で虎が名前。見えないだろうけど、北の出」

目の作り、鼻の形に唇の位置諸々と髪も相俟って、言葉まで流暢な王国のそれだからとんとそうとは見えないけれど。
自分でも嘘っぽく聞こえる、とは、喉をくつくつと鳴らしながら彼女の指に誘われるままにそちらへと寄って、
両手を持ち上げれば掌を胸の前で一度合わせる北方式の礼を一度してからお隣の席へと腰を下ろさせて貰う。

酒場の主人に、お勧めの果実酒を一つと注文してから、彼女の手に持っているグラスの中身を確認して。
『次の一杯は俺に付けといて~』と本当に奢りを申し出ていた。

メアリ > 「しぁ、ふぅ……?あぁ、そういうことですか。
聞きなれない響きの名前でしたから少し驚いてしまいました。
私はメアリです。苗字はありませんので、そのままメアリと呼んでくださいね。」

耳なれない響きに不思議そうに首を傾げるも、北の出と聞けば納得した様子を浮かべて。
見慣れない礼にはまた不思議そうな顔を浮かべるも、今はそれについて尋ねる事はなく。

「あら……奢られてもお礼になるような面白いお話など出来ないですよ?」

眉で緩く八の字を作り、困った様に笑みを浮かべながらそう告げるメアリの頬は僅かに赤く色付いており
既にそこそこ酔っている状態という事が伺えるだろう。

夏虎 > 「呼び難ければ、シーでもフーでも。(シァ)はこちらでいうなら季節の(なつ)なのでナツでも。
 王国の人にはちょっと発音しにくい名前らしいので好きなように呼んだげて下さい、メアリさん。」

シー、フー、ナツ、トラ、と親指だけ折り畳んで四指で名前呼び候補を上げながら首肯を一つ。
彼女の名乗りを受けると口の中で何度か呟いて覚えてから早速呼ばせて貰いつつ、

「美人は大事にしろとの家訓がありましてね?
 ご相伴に預かりまでしてるんだ、一杯二杯はこっちが出さないと罰が当たる。」

酔った女にさらに酒を注ぎ込んであわよくば、何て下心は表情には浮かんでいない。
髪の質ぐらい柔らかな笑みはそのまま笑気も軽く漏らして手がもう一度ゆらりと揺れる。
運ばれてきた果実酒のグラスを持てば一口付けて、ほう、と酒精の混じった息を吐き。

「まあ。下心がないとは言いませんが? 店やってましてね。露天商なんですが。大通りで水色の屋台の。
 薬を取り扱ってまして、ああ、客になれとまでは言えませんがまぁこの顔を覚えてもらえれば幸い。」

この顔、と作りは中々見れたものだろう自分の頬やら鼻先やらをちょんちょんと指で突いて笑う。