2024/10/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユーリさんが現れました。
■ユーリ > 秋の夜。篝火がぼんやりと照らす噴水広場の片隅でのこと。休憩所めいた四阿風の一角に、鼻歌交じりの少女がいる。
上機嫌の理由はそのすぐ前、机上に置かれた今日の晩餐だ。丸々とした梨が二つと香ばしい焼き肉の串が二本である。
梨はお年寄りが零してしまった荷物を拾った時の、焼き肉串は拾った財布を肉屋の店主に届けた時のお礼の産物だ。
主食たりうるパンやら麺やらはないものの、日頃の粗食を思えば十二分に豪華な品々に心躍るのも無理はない。
本当は宿に持って帰って厩で食べることも考えたのだが、育ち盛りの空腹が肉の焦げた匂いに耐えられる訳もなく、
近場の座って休める場所――それも利用料のかからない場所を目指して、ひょっこりやってきた次第である。
「――ふふ、良いことはするものですねぇ?」
にまにま。その表情は堪えきれない喜びに緩んでいる。つい先日まで暑かったのが嘘のように涼しくなったのも嬉しくて。
そう言えば冬を乗り切るための蓄えをしないといけないんだよなぁ、等という日頃の悩みも今ばかりはどこかにすっ飛んでいる。
さぁ、この四阿に落ち着いたのだから、もう我慢することもあるまい。植物の皮を用いた簡素な包みの紐を解く。
より濃くなる美味しそうな気配に、思わず涎がじゅんと溢れて、コクリと自然に喉がなる。そうして、取り出したるはタレ付きの肉串。
ふぅ、ふぅ、猫舌気味な少女は少しばかり息を吹きかけて冷ますと、それからかぷりと小さく噛みついて――幸せを噛み締めていた。
■ユーリ > 夢中になって食べ勧めて、のどが渇いたら梨を齧って。
いつの間にやらなくなってしまう食べ物達。名残惜しそうに指についたタレを舐め取って。
そう言えば自分も随分とお行儀が悪くなったものだ、等と一人思いつつ、少しばかり笑ってからゴミをまとめてこの場をあとにする――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からユーリさんが去りました。