2024/09/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 「よお、まだやってる? おお、よかった」

男は入ってきて営業中なのを確認すると軽食を頼んでカウンターについた。

「いやぁ、今日はハズレで、誰も引っかけられなくてさあ」

マスターに愚痴をこぼしながら、軽食を口にして。

「マスターのとこならワンチャン、なんて思ったんだけど……。
 今夜抱けそうな女のアテとかない?」

この宿屋、食事もちょっとした有名店であったが。
出会い系の宿としても知られている。
流石に遅い店には他の客はいなさそうだが。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にウェパルさんが現れました。
ウェパル > ある程度己が力を欺瞞して、王都マグメールに潜り込んだとある魔王格。
勿論、ここで何かをしようと言うものではない。

知識の蒐集者であるがゆえに、人間の世界で、人間の国で、何をしているのかを見るのもまた楽しいことだった。

「……これは、市場でしょうか。」

そんなぶらぶらとやってきたのは、もうだいぶ遅い時間の朝市。
食堂や宿屋兼酒場向けの店はほぼ売り切って店を閉めており、この時間帯では軽食等を販売する店が朝食かわりにと販売の呼び込みをしている程度。

興味は惹かれるものの、さてどうしたものかとひと思案。
まだ少し離れている位置のため、店員たちのターゲットには至っていないかもしれない。

ウェパル > 暫し佇んで考えていたが、結局は興味に負けた。
味も食感も予測できる。正直色々なものを色々な場所で食べてきたから。
恐らくその予測は間違っていない。

間違っていないのだが、もし、何か違いがあったら?
その可能性を否定できない。いや、否定したくない。

故に、ついに足が動き始めた。

「あの、あそこのテーブルはここで食べるものを買った後に使ってもよろしいのでしょうか?」

まず、一番手前にある店の店員にそんな質問を投げる。
朝食替わりとはいえ、腰を据えて食事をするものはそんなにいない。
仕事に向かう途中に買い食いして歩きながら食べるようなもの。
だから、今はテーブルは完全に空いていて。

そして質問には問題ないとの回答。
ならば、と頷いてから

「では……このメニューのここからここまでを全部一つずつ。」

そんな注文に店員は目を丸くするものの、真面目にはっきりと言い切ったことで、了解の言葉が返ってきた。
そして当然支払いも終える。

そして、次の店に行って同じくここからここまで。
そして支払い。

次の店でもここからここまで。
で、支払い。

これをまるまる6店舗。今あいていた全部の店舗でやらかして、テーブルへとつけば

「……結構な量ですが、まぁ、食べられるでしょう。」

しれっとそんな言葉を口にして、順番に食べ始める。
串肉にかぶりついたりなど、食べる手段は上品ではないものが当然の平民地区の食事。
だが、ウェパルが食べているとどこかそれすら上品に思える不思議な光景。

当初、本当に大丈夫か?と見ていた店員たちも、見る見るうちに食べ進めていく様子に段々ぽかんと口が開いて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシアンさんが現れました。
シアン > 深酒で二度寝三度寝繰り返したせいで随分遅起きで立ち寄った、市。
何食うかな~……? と、オレンジジュースを一先ず買って啜りながら、
屋台のあちらこちらを見回しては肉やら野菜やらを物色している最中の事。

「お?」

目線がまるで引っ張られるように向かったのは、ある1席。
絶世の美女がたわわな肉体美と色香を醸している事も、そうだが。
健啖家と言うにも凄まじい量と数が並んだテーブルも、そうだが。
何より。
常軌を逸したといって過言ではない、魔力と存在感と、そして、
其れを近くを通り掛かるまで全く気取れない程に秘された術。

「……」

これでも一流どころの自覚と自信はある身の上。
“一流の冒険者”にとって何が必要かというなら……
戦力だの体力だの色々あるが何を置いても重要なのが、察知力である。
危険を危険と解らなければ命が幾つあっても足りやしない稼業と世界だ。
当然それは磨き上げてあるもののそれでも気付けなかったというのだから、舌を巻く。

「はぇー。こりゃまた。魔王格かぁ? びっくりしたわ、マジで。
 おいーす。おはよー。どうしたん、こんなとこで」

はぇー。とかなんとも間の抜けた声を上げて直ぐ、つい、興味を惹かれて声を掛けにいく。
まるで知古を相手に『久しぶりー』とでも言い出しかねないぐらい気楽に気さくに、
ゆらり、緩ぅく手を挨拶がてらに上げながら、すたすたと、のんびりとした足取りで。
魔王格相手に気が抜けすぎだが……害意らしいものがないし先ずは友好的に、である。

ウェパル > もりもりと、食べ続ける中で、遠巻きに見る人たちは沢山いるけれど、流石に近づいてくる者はいなかった。
好色そうな目を向けてくるものは幾人か。だが、その食事量を見て遠巻きがせいぜい。
この辺りは人間観察にもなって逆に良かったか、などと考えていれば、近づいてくる一人の男。

特に警戒をしている訳ではないのだが、少し食べる速度を落として男に意識を向ける。
そして、男が口を開いたときの第一声。
この手のタイプは口を滑りやすいきらいがあると、情報と知識の蒐集者としての経験が警鐘を鳴らす。
そして、案の定。

「…………初対面に少し、不躾ではなくって?」

男の言葉のうち、『魔王格』の部分だけ、空気の振動を止める魔法を男の口周りにだけ施して、自身の正体だけは周囲から隠匿した。
その後に、口の中に入っていたものを飲み込んだ後に向けた言葉。

そして、つぃ、と視線を上げて男と視線を合わせれば

「とは言え、そうと知って初手が言葉ならば、そういう貴男は好ましいと思いますよ。貴方も食事ですか?
どうしても興味が、とか、目を離しておけない、とか仰るのであれば、同卓でも構いませんが。」

言葉だけを取ればツンとした印象なのかもしれないが、その声色と口調がそのツンとした印象を包み込み、どこか穏やかな理知的な印象を与えてくるかもしれない。
そして、興味があればどうぞ、との誘い。男はどう立ち回るやら。

シアン > 巨漢でも胃袋がはち切れそうな量を涼しい顔でもりもりと平らげていく姿に目を丸くする者。
……あ、あんなに食べるのにあのウェスト……!? と別の意味で驚いている者。
その細腰であるというのに上にも下にもむっちりと柔らかく形も良いものが備わった肉体に舌舐めずりする者。
彼女に向いた視線は多種多様。
或いは、もう数分もしない内、食卓の豪勢さにも気後れしない豪胆なのか馬鹿なのかの軟派男が声を掛けてきたかもしれないが、先を越したのは、作りは強面なのに表情がふにゃっとしているマッチョ。

「っはは。面白い。」

目線が、視界に彼女を入れたままほんの少し下がる。口元。
『魔王格』のところだけが、喋っているのに己の耳にも届かなくなった。
音を操っている? 否もっと広範囲に応用性がありそうな……?
と、不可思議そうなのも一瞬ですぐに口角が持ち上がる。

「と、いやいや、ごめんごめん。寝惚けてたんだ」

挨拶にゆらゆらと持ち上がって揺れている手が手刀のようにも立てられ、胸の前に。
北方式の謝意を示す形にしながら口でも勿論謝罪を。
顔が笑ったまんまなのでいまいち悪びれなく思われるかもしれないが。

「まあ。普通に、食事を楽しんでらっしゃるとこに行き成り棒持って叩きにいくってのもなぁ……
 そこまで仕事熱心でもねぇし、つーか人としてどうかと思うわ。
 つっても、やっぱ興味あるもんでな、うん、ちょいと同席させてくれ。ここには、観光?」

目線が合えば、黙っていればそれだけでも迫力がありそうな金の瞳も目元の化粧もよりふにゃっと崩れて笑みに撓む。
凛とした声音に冷たいとも取れる言葉ではあるものの拒絶も感じない柔らかさ……
嫌がられてはいないなら、と、胸の前でもう一度手を立ててから、真向かいの椅子を引いてはそこにどかりと尻を落とす。

ウェパル > ある意味こちらも不躾なことをしていた。なにせ言葉の一部を消去するという事をしているのだから。
だが、それに特に腹を立てる事もなく笑い飛ばす豪胆さを見せる男。
更には、自分の非を詫びることもすぐできる所作に

「こちらこそ、突然不躾なことをいたしました。
その件につきましてはご容赦を。」

小さく頭をさせることで謝罪の意を向ける。
これでおあいこなにもなし、と言うかのように。
続いて向けられる言葉と質問にくすっ、と小さく笑いをこぼせば

「そういうお役目?……とはいえ、治安側とも思えませんわね。
冒険者、もしくはそれに類するお役目でしょうか。

……私は、観光と言えば観光ですが、より正確に言うのであれば、
個人的な情報収集、でしょうか。
この国、この国民の風習、風俗、食文化、言語、建築様式その他何でも。

蒐集家なのですわ、私は。ただ、知りたいだけです。」

そんな言葉を返していれば、同席を拒否する意図もないため向かいの椅子に腰かける所作の男。
そして、その手に持っているものがジュースだけと理解すれば、小さな袋をテーブルの上、男の前に放り投げ

「……お昼が近づいてきたためか、更に幾店か開店したご様子。
よろしければ、そのお店でもメニュー一そろい買ってきてもらえませんか?
ついでに貴方ご自身が食べるものもそこから買っていただいて結構ですので。」

いかが?と言うように問いかける瞳を楽し気に上がる口角。
受けるにせよ受けぬにせよ、それはどちらでもいい程度のお願いで。

シアン > 思えば、気配をわざわざ封じている程市政に気を使っている相手に、魔王がどうのはそれは少々どころか大変不躾だった。
怒られもする。当然。
で、あるのに、彼女も頭を下げて『おあいこ』と言ってくれるなら『ありがと』で片付けさせて貰おう。

「そ。冒険者。治安側でも良かったんだがあっちはどーにも堅苦しくてね。
 申し遅れた。シアンだ、シアン・デイエン、お見知りおきをよろしく~」

果実を丸ごと絞ったオレンジジュースも一先ずテーブルの上に置かせて貰う。
成る程警邏隊だの治安維持隊だのには見えないのは自覚するところであり、
と肩を揺らし喉を鳴らし頻り笑いながらに頷き一つ加えながらの自己紹介。
シアン・デイエン――知識の蒐集者からするともしかしたらこれが“雷鳴”の意味がある北方の言葉にも気付くやも。
そうでないにしても明らか偽名なのだが正体を隠す、的な意図がとんとない笑顔に加えてウィンク迄して、『かっけぇだろ!』とか吐かす。

目前に放物線を描いて飛んできた袋。机に落ちると、どちゃり、重めの硬貨の音。
何ぞ? と、思えば、お使いらしいので、

「よっしゃ、買ってこよう」

即答。尻を落としたばかりなのだがすぐにでも立ち上がる。
只、袋は持ち上げるものの、手首を返して指を離して、こっちにやってきた経路そのまま彼女の方へと投げ返した。

「美女と相席してお話も出来んだぜ? 金まで出させちゃ男やってる意味がなくなっちまわぁな」

要らん。奢る。等と格好付けてから彼女指名のお店のほうへすったすったと軽い足取りで向かい……
ホットドッグだの、バーガーだの、ケバブだのバゲットに野菜スティックにと紙袋にどっさり詰め込み、直ぐ戻って来る。
こっち主食でこっちスープ類、と紙袋を抱える左手とは別にシチューやクラムチャウダー等が入った盆を右手に持ち、
机はもう結構な手狭さではあるが隙間を縫って他のものを倒さないように配置している。

ウェパル > 「なるほど、堅苦しいのは苦手そうですものね。ご自身に合う仕事をされているのは良いことでしょう。
……あら。電光石火の何かをお持ち?それとも、響きが気に行ってらっしゃるのかしら。

ともあれ、シアン、とお呼びしても?」

名乗りを耳にして、少し変化球にも似たものを投げ返す。
言葉の意味は理解していた様子。
とて、言葉遊びの範疇は出ずに。

そして、自己紹介を受けて返さねばそれこそ無礼と言うもの。
とはいえ、馬鹿正直に自己紹介を返しては、どこにどんな耳があるのか知ったものではないから少しだけ考えて。

「私はウェパル。ウェパル=『グレモリアス』です。よしなに。」

自分も名乗りをしたものの、ファーストネーム以外はシアンの耳にしか届かない。
先ほどシアンに使った魔術を変形使用。今度は自分の声に指向性を持たせてシアンの耳にしか届かないようにしたのだった。

そして、お使いを頼めば快く応じてくれたばかりか、革袋がそのまま戻ってくる。
目を瞬かせてシアンを見やれば、続く言葉にくすっと笑い

「あらあら、それは色男さんですこと。ではお言葉に甘えまして。」

そう言ってシアンを見送り、見送る間にまた食事を再開する。
先ほど自分が買ったものが最初から見て4分の1ほどになった時に戻ってきたシアン。
一通りが数店舗分増えたのだから、またテーブルの上はたっぷりと。
それでも嬉しそうな笑顔をシアンに向ければ

「ありがとうございます。これは、何かお礼をせねばなりませんね。
シアンは何か、欲しいものはございまして?
知識、物品、情報。その他何でも私が出せるものでしたらお出ししましょう。」

そんな言葉を向けて見せる。とあるものと要求されるであろうという予測はあるが、
気風の良さと、見た目に反した女性に対する色男っぷりからそれならそれで構わなかろうと考えたが故。

シアン >  
「そうそう、こんなナリしてるだけあるってこった。
 ……ふふふふふ、どっちもだ、まあ後半の方が結構強ぇけどな?

 ああ。気楽に呼んでくれ。殿とかさんとか付けられたらどうしようかと思ったよ、ほんっと気ぃ効くぜ」

彼女から投げ返されてきた、変化球。
異国の言葉にもしかと長じている様子にくつくつとまた喉が笑気で鳴る。
格好良いからが偽名の凡そだなんて馬鹿な理由を笑いながらに語った。

彼女の名乗りに、目線が、口元に一度と周りに一度すらりと流れるように走る。
魔力の流れ。魔法の範囲。先もそうだったが、目に見えているように。
そうしてから、頷き一つ。

「そんじゃあ麗しきウェパルのために色男いっちょ走るぅ~~~」

最初はのんびり歩きだったが次第に早足。
背丈や肩幅は大きいのにそこかしこにある机やら食事に来た人達をすいすい軽々と避けて、
あっという間……というよりか時間は掛かったものの目一杯には時間もかけず戻ってきて。
その間にもがっつりと減っていた机の上の食事に、

「よく食べる女の子って見ててすっげぇ気持ちいいよな。ただでさえ緩ぃ頬だけどもっと緩くなるわ、ほっこりよ」

このバーガーめっちゃお勧めパテの肉汁やべぇから気ぃ付けて、云々。
このホットドッグちょっと辛いからこのソース付けて食べると、云々。
買ってきたらそれはもう可愛らしい笑顔も見せてくれるのも相俟って、
言葉通りにでれでれなぐらいの笑顔を浮かべつつの注意諸々と一緒に買ってきた品物を並べきった。

自分も余分に買ってきたバーガーを一つ手にとってあーんと大口空けた、ところで。
お礼? と、訝しむように。いや、訝しんで眉根を潜めたあと、軽く噴き出す。
唾が飛んでしまわないように口元を軽く押さえた後。

「何だ。知らんのか? 良ぅし、教えて進ぜよう。
 男ってぇのは女の笑顔見るために生きてるようなもんだ。
 お礼はもう貰ってんだからこれ以上なんぞ要るわけもねぇ」

先の、彼女の笑顔で十二分。
さも当然といった具合に、お礼という彼女にしきり可笑しそうに笑いながら改めてバーガーに齧り付いている。

ウェパル > 変化球の意図を理解する頭の回転の速さ、己が魔術使用に対しての反応。
それはまるで魔力が見えているよう。

「……へぇ」

シアンが買い物に走った時に短く漏れた声。
それはある種感心したような、そして、ある種の興味を惹かれたような。

そして、思った以上に早く戻ってきて並ぶ新しい食事。
それらについてシアンなりの説明を加えてくれれば、
なるほど、ふむふむ、と一つ一つ確認するように食べていく。

その後に向けた礼の話も笑い飛ばし、礼はいらないと告げる言葉。
目を瞬かせて暫くあっけにとられたような様子を見せたが、

「ぷっ……あはははははっ!」

口の中身は飲み込んだ後に噴き出して、笑い出し、ひとしきり笑って落ち着いた後で

「それはごめんなさいね、シアンのことを見くびっていたみたい。
礼が必要と求めて来るなら……」

そんな言葉を紡ぎながら、口元楽し気な笑みを浮かべながら
自分の豊満な胸に左右から手を当てて見せ

「……こういうものでも差し出そうかと思ってたんだけど。
ま、今日の所は借りておきます。色男のシアンが本当に困った時に、その借りをお返しすることとしましょう。」

そう言葉を向けてから、買ってきてもらった食事にも手を伸ばして。

シアン >  
「んふふ」

お店に並んで大量注文しては店員さんの目を真ん丸にしている後ろ姿がふと振り向いて……
彼女に、笑みは笑みでも、悪戯っ気とドヤ顔の半々みたく八重歯を覗かせた口元と一緒に、
人差し指を持ち上げると左耳をとんとんと叩いたりして見せたりなんかしてから戻ってきたとか。

『へえ』が、聞こえていたらしい。

「まあ、流石に、聞くぞー! と思って耳傾けとかんとこの距離は厳しいが」

一番活気づいた時間帯ではないにせよ周りはそれでも人気も騒音もある。
目はもちろん耳がいいのも一つや二つは種があるとは話ながら、

「そうそう、そういうのだ、お礼ちょっと貰い過ぎで申し訳ねぇぐらいだよ。
 つーかさっきから思ってたが笑ってる顔めっちゃ可愛いな?
 きりっとした美人さんだってのに笑顔はキュートとは……反則ものだ……」

お口がぱっくりと広がる大笑いにも、それが収まって湛えるぐらいになった笑みも、
行儀は悪いが頬杖つきながら実に楽しそうに眺めているし何だかしみじみと反則云々零し始めた。
彼女の手指が食べ物ではなく、机のものも目立つがそれ以上にも目立っていそうな豊満な胸を、
もにゅん。とでもオノマトペが飛び出しそうな具合に撓めたのには流石に視線が暫く其処へ。

「差し出してもいいって思ってくれたのぁめっちゃ嬉しいぜ? マジでな。
 だけど色男とも言ってもらってるし実は俺も俺のこと良い男と思ってる、からには、
 そうすんならきちんと口説いてからにしねぇとそれこそ男が廃らぁな」

彼女にそういう魅力がないなんて思っちゃいないどころか目線を外すのに苦労しつつ目線をその顔へ。
笑みはそのまま軽ぅく首を傾げてから、二口目を忘れていたバーガーにもう一度齧り付いたり、ジュースを口に運んだり。
どうぞ、と彼女の手が届きにくい、こちら側にある野菜スティックやらを彼女側のテーブルが空いた折差し出したり。

ウェパル > 「種もしかもあるんでしょうけど、それは私も同じこと。
どういうことをしているのか、と言う興味もありますが、まぁ、それはそれです。」

それよりも今は先の興味を解消すること、と次々と積みあがった食べ物をおなかの中へと収めていく。
そうしていれば、先ほどの笑い顔に対しての評をみみにして、目を瞬かせつつもくすっと笑いこぼせば

「美味しい食事は笑顔を増やすでしょう?
それに、シアンが面白く盛り上げてくださっていることも理由でしょうね。

あら、そう言ってもらえるのは嬉しいわ。
反則でも、今その『お礼』を与えられているのはシアンだけだもの。十分享受なさいな。
もらいすぎでも反則ものでも、全てはあなたの行動への結果であり対価なのですから。

あなたが貰い過ぎだと思っても、私がそれだけ差し出すと言っているのですから、これはシアンへの正当な対価です。」

貰い過ぎの下りには、それだけ笑みを引き出したのだから、ありがたくもらっておけと冗句めかした言葉にて。
だが、もらっておけは心からの言葉。あなただけよ、と言うものも、男としては嬉しいものだろうか。

そして、胸を強調した時に流れる視線。しばし留まるその視線も気にした風もなく受け入れて。
それでも続けて向けてきた言葉には、口元笑みを浮かべつつ

「じゃぁ、今日は一日連れまわしましょうか。
……別に、これ以上食事を、とかいうつもりはないので、シアンが知っている面白い場所、面白い事を一日ガイドしてくださいませ。

勿論、その合間に好きなだけ『対価』を堪能してくださって構いませんから。」

悪戯っぽい笑いを浮かべつつ、差し出されるものを食べ、飲み、干して。
程なくテーブルの上は綺麗に片付くだろう。

あれだけ膨大な食事をしたのに、特に体形は変わることなく。
そしてその先は更なるデートの誘い。
受けたとすれば、二人連れ立って王都をあちこち歩き回るデートとなり、
受けなかったとすればここで挨拶をして別れることだろう。

ただ、1人の魔王との好縁をつないだシアンは、いざという時に本当に助力を得られる魔王の加護がこっそり忍ばされたのだが、
それはまた、時が来た時に知れるお話。

シアン > 健啖な女の子は見ていて笑顔になる。
前言通りに見ていて気持ちのいい食べっぷりを見る目も、緩々。
彼女と会ってからここまで質は変わっても口元といい目元といい、
強面の作りのくせにずうっと強面になっている暇がない。

「うん、確かに。目抜き通りの市ってだけあってここらはちょっとしたもんでもまぁ美味ぇの安いので堪らんね。

 ……ふ、ふふふ、いやあ、喜ばせるのも旨ぇんだから。
 受け渋るのも失礼な話だよな? ああ。思いっきり楽しませてもらうとするよ」

人気がなけば、人目が無ければ、見目には全く似合わないのを解っていて、
冗談めかして傅きもしたかもしれないが今は一先ず胸に手を当てておいて、
『対価』を存分に拝謁することにした。
彼女の思惑通りそれはもう嬉しくって仕方ないとばかりに。

只、凝視し過ぎた件についてはまたひらり、立てた手を胸の前に立てておく。
彼女が見てもいいとばかりの仕草に気にした風もないとはいえ、それでもだ。

「お。いいのか? それじゃあ、是非にだ。いやぁ……今日はもうついてるどころの話じゃねぇな、まったく。
 したら、そうさな、いやぁ食べてるとこも可愛いからそっちもまた見せて貰うが腹ごなしがてら……」

話も弾んでいれば舌鼓を打っていても机の上が綺麗さっぱりにはさして時間も掛からなかった。
二人してそれなり以上に食べるのに二人して食べる間隔も早いとなれば尚更か。
デートの誘いには一も二もなく頷いてから、

「……しまった、俺から誘うべきだったな。色男ポイントが減った気がするぜ。こりゃあ良いとこ見せにゃいかん」

なんて大袈裟に顎に手をやっては首を大きく傾げてわざとらしい仕草でおどけた物言いもそこそこ。
紙はこっち、お盆はあっちでこれか燃えないゴミで……と机に残ったものを片付けた後には彼女に大きな掌をゆるりと差し出した。
その手を取ってもらったかあるいは腕を取って貰ったか、どんな景色を見に行ってどんな美味や珍味を味わったか、は、
ナンパする機会をすっかり失って見送るしかなかった野次馬の目線も振り切って当人同士の思い出に――……


後日。

『ウェパル……まじで良い女だなって何度言わせりゃいいんだ、ええい。良い女だな!?』
と、忍ばされたものに気付いた折には一人空でも見上げながら叫んでいたとか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からウェパルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にズラトさんが現れました。
ズラト > お空は分厚い曇天でお空の下はざあざあざあと雨がしとどに降り頻る。
道行く人達は傘を差して。露天で商う人達も真上に幌を張って。
蒸し暑いなか頭の上で弾ける雨音を聞きながらに各々が行き交う。
そんな正午過ぎの大通りの、端の端。
集合住宅に両隣を挟まれて狭苦しそうに立つ小さな酒場。
木目の扉の真横には、
【Bar『Pšeničné klasy(小麦の稲穂)』】の置き看板が設置されている。
木目の扉のあちこちに、
営業中の札と、本日のおすすめランチの黒板もぶら下がっている。

「ふぁ~ぁ~」

外観通り中身もまた狭い店内には店主が一人退屈そうに、欠伸中。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からズラトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイズミさんが現れました。
イズミ > そろそろ日付も変わる夜時間
通りの人通りもほぼ無くなり
月明かりが平民の家々を静かに照らす

ここは公園。夜の公園
公園と言えば、散歩したり身体を動かす市民憩いの場
そんな公園に現れた平々凡々な街娘もまた、身体を動かす目的でここにやってきていた
夜中なのは人目を避けるため
なぜ人目を避けるのかと言えば


「そんなの恥ずかしいからにきまってるでしょー…」


独り言を言いながら、まずは柔軟体操を念入りに

イズミ > なんとこれからするのはずばり「格闘技の練習」

師範もいないのに?
何の知識もないのに?

まあまあそこは聞いてくださいな。どうして突然格闘技とか言い出したのか
それは今日のお昼間の事
お日様が真上に上った後で起き出して
掃除洗濯をしていたところ、お庭に出たタイミングで近所のワルガキに絡まれた
絡まれたと言っても、3対1でスカート引っ張られたりする感じなんだけど
そこに1人の…多分9歳10歳くらいの目のキレイなお子様がやってきて
その3人を叱り、叩きのめして、立ち去ったのです
はい。その子にめちゃめちゃ感化されて、今格闘技がマイブームになりました

なんでも、ジュウジュツとかいう格闘技の道場が近くにあって、その子はそこで日々体を鍛えているという話

そこで私も身体を慣らしてから、その道場に入門しちゃおう!と考えて…
今ここでとりあえず柔軟体操をしているのです


「格闘技の先生とか落ちてないかな…」


もちろんそんなの落ちてないので
柔軟体操を終えて立ち上がった後は、パンチ(?)キック(?)みたいな動きを我流で反復する
見る人が見ればとりあえず「ああ、体を鍛えようとしてるのかな~?」みたいに見えなくもないはず
たぶん