2024/09/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメアリさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエリビオさんが現れました。
メアリ > 平民地区のどこか。
日中であってもそこまで人通りが多くはないその場所は、すっかり夜も更けているこの時間だと誰かと
すれ違うことすら稀であって、そんな場所を女はひとり、ゆっくりとした足取りで進む。

行く先は特にないただの散歩。
悪夢によって感じた不安の余韻を拭いたく、気分を紛らわそうと夜風に当たっていただけ。
ゆっくりと歩みを進める中、気配や物音に敏感な女は、静寂に包まれた夜道で人の気配を感じると
無意識にそちらへ意識が向き、視線の先を移すことだろう。

エリビオ > この時間に外に出たのは何となく。
湯浴みをした肌に夜風は心地よく。
されど眠るには今少し気が昂っている。
そんな気持ちを落ち着けようと閑散とした街並みを歩んでいった。

頼りなげなく揺れるガス式の街灯の明かりが、斑模様に染まる石畳を。
とん、とん、子どものように足を運んでいた所。
ふと、足音が聞こえてくるのに慌てて居住まいをただし。

「こんばんは。」

ちょうど視線がかち合ったその人に、街灯のスポットライトが当たる中ではんなりとした笑みで挨拶をした。

メアリ > 視線が交える。
こんな時間に出歩いているのは酒場帰りの酔っ払いばかりだろうから、無意識に相手の事をしっかりと見てしまっていたかもしれない。

「……こんばんは。あなたもお散歩かしら。」

まさか声を掛けられるとは思っておらず、女は少し驚いたように目を丸くした直後、穏やかな印象を与える
柔らかな笑みをその少年へと返しながらゆっくりと足を止める。

「男の子でも、こんな時間に一人で出歩いては危ないですよ」

ふふ、と笑みを織り交ぜながらゆっくりと言葉を紡ぎその少年に語り掛けて。
女はちら、と先ほどまで歩いてきた誰も居ない夜道を軽く一瞥する。

エリビオ > 「散歩だよ。今日は良い夜風が吹いてるからね。」

共に微笑みを交わし、まじまじと相手の風体を見るが、子供じみた扱いを受けて薄紅の唇がぷくっと窄められ尖る。

「おや。夜道を歩くのを咎められるほど子供じゃないと思うんだけど。
 それとも、お姉さんには小さな子供に見えるのかな?」

相好を、よく言えば気負い無く―――悪く言えば年相応より幼く綻ばせる。
しかし、それ以上追従せずに、相手が眺める先に黒瞳が追いかけて。

「でも、確かにあまりいい雰囲気がしない夜道だね。
 ……ならば一緒に散歩する?」

メアリ > 「あら、ごめんなさい。子ども扱いしようだとか、そんなつもりはなかったの……。
どうか許していただけないかしら。」

子供じゃないなどと言いながら、まるで拗ねた幼子のように唇をすぼませるその可愛らしい姿に笑みは深まってしまう。
まるっきり反省しているようには見えないであろう態度。
それを隠すように口元に手を添えつつ、女は許しを求めた。

「まぁ、お散歩にご一緒しても良いのですか?
……ではお言葉に甘えさせていただこうかしらねぇ。」

一緒に、と誘いを受けると、少し考えるような間を置いた後、嬉し気な様子で是非にと答えを返す。

「一緒にお散歩するならば、お名前くらい聞いても良いですよねぇ。
私はメアリです。あなたは?」

エリビオ > 戯言に共に笑みを交わしながら足を踏み出す。
とん、とん……冷えた石畳の、街灯の光円の中だけに足を踏み出した。
その足音はまるで風の如く軽く、その身は風に揺られる草花のようにたおやかに女性に近づいて。

「どうしようかな?許してあげようか。
 それとも借りを作っておこうか。」

冗談めいたやり取りに、笑みを噛み殺そうとして殺め切れなかったような、朗らかな感情のひとひらが唇へと宿り、揶揄う。
自分も口元に手を添えてシナを作って笑う真似で。

「やった。綺麗なお姉さんと夜散歩だ。
 ……俺の名前はエリビオ。こう見えて冒険者まがいのこともやってるから安心してよ。
 暴漢がきたとしても、メアリさんに指一本触れさせないから」

そしてひどくゆっくり手を差し出す。もし彼女が握るのならば柔く繋ぐし。
握らなくても己の背でもって歩きながら疑問を投げかける。

「メアリさんはなんで夜のお散歩したの?
 俺は風が気持ちよさそうだから家から出たんだ」

メアリ > 「えぇ、借りひとつですか?困りましたねぇ。」

揶揄い混じりの言葉には可笑しそうな笑みが浮かぶ。
やってしまった、なんて言いたげにわざとらしく肩をすくめてみせながら、白々しく困ったなどと口にして。

「――エリビオ様、素敵な名前ですね。
あらまぁ、それならば頼もしいわ。何かあったらその時はよろしくお願いしますね。」

自分よりも年下の相手でも関わらず様を付けて呼んでしまうのは女自身の癖のようなもので。
指一本触れさせないと聞けば、頼もしいと微笑みを浮かべつつ、差し出された手には一瞬躊躇いながらも
自らの手を重ねてエスコートを任せようと。

柔く握った女の手は普通の女性とは違い、柔らかさはあれど普段から剣を握っているからこそ出来る
硬さもしっかりと感じられることだろう。

「今日はとても夜風が気持ち良いですものねぇ……。
……私は少しだけ気分を紛らわしたくて出てきたんです。
とても嫌な夢を見てしまって眠れなくなってしまった……なんて言ったら、子供っぽいと思われるかしら。」

大の大人が、なんて言いたげに告げながら少年の方をみて笑って見せる。

エリビオ > 「いつか返してもらうからね、借り……」

戯れの貸し借りの声が、止まる。
手を繋いだことで並ぶ位置にいる人をまじまじと。
手の方もにぎにぎと柔く握りしめて剣タコ同士を擦らせる。

「メアリさん、もしかして武術してるの?
 話し方からして騎士の家系のお嬢様とかで練習していたり?」

薄く小首をかしげて尋ねかけるのは、続く夢についても。

「笑わないよ。夢は大切だと思う。悪夢なんか見たら一日の気力が奪われちゃうし。
 ……メアリさん、よかったらどんな夢見てたか教えてよ。
 話せば楽になるかもしれないし。」

ぱちり、と片目を瞑り、あは、と明朗な笑みを、相手の笑みに重ねた。

メアリ > 「借りを簡単に作ってしまうなんて私もまだまだですね。
すっかり油断してしまいました。」

なんて戯れに言葉を返しつつ、こちらをまじまじと見つめる少年を見れば、どうしたのかと問うように小さく首を傾げた。

「バレてしまいましたか。えぇ、武術はそれなりに。
ですが騎士の家系でもお嬢様でもありませんよ。ただの冒険者の端くれのようなものです。」

正確には冒険者ではなく傭兵ではあるが、休暇の合間ギルドを経由してクエストを受けることもあるし嘘というわけではない。
続く質問には微笑みを浮かべたまま目を細めて。

「ふふっ、エリビオ様はお優しい方なのですね。
……でも夢の内容は内緒です。」

繋いでいる方とは反対の手を持ち上げると、しー、と口元に指を添えてジェスチャーを浮かべる。

「お話を聞いていただいて、また借りがひとつ増えてしまったら困ってしまいますもの。」

と語る口調はまたもや冗談めいている。

エリビオ > 「へぇ、同じ冒険者なんだ。なんだか親しみが湧くなぁ。
 何かあったときのために連絡先交換しようよ。
 冒険者は縦より横のつながりが大事だから。」

目を嬉々と細めた感情が繋いだ手を軽く大きく振る仕草に現れるかと思えば、
続く秘密の言葉にまたも唇を尖らせたり、表情が鞠のように転がる。

「えー、駄目なの……でもいいよ。」

尖らせていた唇は自分も真似て人差し指を添えて元のかたちに戻って。

「女の人は秘密が多いほうが魅力的だものね……
 それじゃ、その話題の代わりに……俺の夢の話でもしようか?」

きゅ、きゅ、と繋ぐ手に力を込めて顔を覗き込む。

メアリ > 「連絡先ですか?んー、どうしましょうかしら。」

横のつながりが大切というのは同感だが、女は連絡先を簡単には伝えようとはせずに勿体ぶった態度を取る。
目を嬉々とさせて繋いだ手を大きく振るその無邪気な姿には、やはり子供っぽいなぁと感じながら微笑ましくなってしまって、
しばらくは女の笑みが途絶えることはない。

「えぇ、そうですとも。よく分かっていらっしゃいますね。
……エリビオ様の夢のお話ですか?聞かせていただけるのならば、ぜひ。」

秘密と言われ、すんなりと身を引く少年の言葉に、楽し気な様子で言葉を返した。

顔を覗き込む少年の瞳を見つめながら、夢の話を聞かせて貰えると聞いて女の顔に純粋な喜色が浮かぶ。
返事でも返すように、女も一度、繋ぐ手にぎゅ、と軽く力を込めて。

エリビオ > 「それじゃ、連絡先は夢のお話の代金ということで!」

どこか子供っぽく見られてると思えばまたか、と眉が吊り上がるが。
それでも居心地は悪くないから追究はせず。
代わりに星空を見上げながらゆっくりと語りだした。

「俺が見た夢はね。まず白い霧が覆われてるんだ。
 肌に張り付くような何かがあるけれど、決して嫌な気分はしない。
 霧からはいい匂いが立ち込めて。見上げると今みたいに星空も見えるくらい。
 綺麗な綺麗な夢だったんだ。」

徒然と謳うように言葉を紡ぎながら、一息。
ぎゅっと繋ぎ直してくれた人の方へと視線を横に流し。

「そして気がつくとおっぱいがとても大きくて綺麗な裸のお姉さんがいてね。
 あ、これは混浴だな、って気づく夢。」

最後のオチに、あは、とまた笑みを零した。

メアリ > 「まぁ、素敵ねぇ。」

星空を見上げる少年の横顔を見つめながら語られる夢の話に耳を傾け、相槌を打つとともにその情景を想像する。
霧がかった自然の中だろうか、と思いながら、共に月が綺麗に浮かぶ夜空を見上げていた。
そして視線がこちらに向けられたと気付けば、女もまた再び少年の方へと視線の先を向けて。

「……」

続けられた言葉。
その思わぬオチにぱちくり、と目を丸くしながら瞬いた直後、口元に手を添えて噴き出すように笑いだした。

「ふっ、ふふっ……なんです、それは。
それでその夢はそこでおしまいだったのですか?」

変わらず口元に手を添えたまま、声に笑気を滲ませつつ問いかけて。

エリビオ > 「あはは、素敵な『夢』でしょ。
 残念ながら夢はここで、終わり!」

笑い出すその人につられてこちらも大きく笑い出す。
繋いだ手も大きくふって笑気を吐き出した。
そして思いっきり息を大きく吸ってから。

「はぁぁ……夢は夢でも眠るときに見る夢じゃなく。
 こうなったら良いな、という夢でした。
 言わずもがな、胸の大きなお姉さんはメアリさんのことだよ。
 面白かったらご褒美ほしいな。」

背を曲げてまだ笑みをにじませる顔を覗き込みながら、
ちょん、とその胸を指先で突こうとする。

メアリ > 「それはとても残念でしたねぇ。
またみれるといいですね、その夢。」

ふ、ふ、としばらくは余韻が尾を引いているように可笑しそうな笑みが挟まっていた。
ひとしきり笑った後、はーっ、と大きく息を吐き出して、少しだけ乱れた呼吸を整えた。

「えぇ、なんですかそれは。
てっきりベッドでみる夢の話だと思っていたのですけれど。」

まさか願望の方の夢だとは思わず、付け足された言葉には少しばかり苦笑を浮かべて。
転ばない程度にゆるりと歩みを止めると胸をつつこうとする悪い指先へ手を伸ばし、五指を滑らせる
ように絡ませながらぎゅ、と手を握り込み、胸元に触れるのを阻止してしまう。

「だぁめ、夢の話の代金は連絡先でしょう?」

目を細めて口元に緩く弧を描いたまま、小さく首を傾げて少年を見つめる。
だめ、というその口振りはまるで小さな子供を窘めるかのようで。

エリビオ > 「どうせなら夢の続きじゃなくて正夢になること祈ってる。
 あーぁ、残念。」

指先は絡められた掌に阻止され、悔しそうにぎゅっぎゅっと握りしめる。

「でも連絡先が交換できて嬉しいな。
 『それ』俺の住所だから、さ。」

足を止めたのなら、ゆっくりと握っていた手を話していく。
胸を突こうとした指に隠していたのは紙片。それを胸に挟もうとしていたのだ。
どやっ!と得意げに口角を吊り上げるのも、また子供っぽく見られるだろうか。

「メアリさんずっと子供扱いしてるでしょ。
 いつか俺の別の面を見せてあげたいな。
 ……あれ、ここ最初に出会ったところじゃない?
 もう一周してきたんだ。時間、早いね。」

こちらを見るその人に瞳細めて見つめ返した。

メアリ > 「正夢になると良いですねぇ。」

まるで他人事めいて語りながら悔しがるその顔を見つめている。

「まぁ凄い。エリビオ様は手先が器用なのですね。
……実は事情があって住所を教えて差し上げることは出来ないのですけれど
色々とよくしていただいている馴染みの店があるので、そこの場所をお伝えしておきましょうかねぇ。
何かあればこの店のマスターに言伝しておいてください。」

変化に鋭い女はその指に何かを隠しているのは察知していたし、紙の端が見えていれば暗がりの中でも
当然それが何かとすぐに理解できていたことだろう。
得意げな様子を浮かべる少年はやはり子供っぽいと思いながら、偽りない素直な言葉で相手を器用だと褒めて。
紙の内容を確認したついでに、女もまた約束の連絡先となる店の場所を少年へと教えて。

「――別の面ですか?それは楽しみにしておきますね。
一体どんな一面があるのでしょうかねぇ。
……あら、本当。お話が楽しくて全く気が付きませんでした。」

子ども扱い云々は否定も肯定もせず。
最初に出ったところと言われてから軽く周辺を見渡せば、少年の言う通り確かに見覚えのある場所だと気付いて。

「もうそんなに時間が経っていたのですねぇ……。
こんな時間に長々と連れまわしてしまってすみません。」

エリビオ > 「正夢になるといいねぇ。
 ってそれメアリさんのことだけど!?」

他人事に話すその人に驚いてから。
ふは、と思わず吹き出してしまう。天然だと自分は感じた。
その後のこちらの願いにも答えてくれるなら馴染の酒場の有所をしっかりと瞳に焼付。
そしてマントの下に大切にしまいこんだ。

「別の面は男らしい所。
 どっかで暴漢とかモンスターが襲いかかってきて、
 かっこよくメアリさんを助けられたら良いんだけどなぁ。
 ……って話の種が尽きないね。」

名残惜しく手を離してから眉尻を下げて

「ごめん。もう少しお話したかったけれど、俺、そろそろ帰らなきゃ。
 よかったらメアリさんの家の近くまで送ってくよ。
 あ、住所を探ろうって訳じゃなくて怖い夜道を一人で歩かないようにさ。」

その後相手が伴いを了承するならば望まれるまで付き添い。
そうじゃなければその場にて大きく手を振って立ち去ることで…。

メアリ > 「ならばまた今度、こうしてお散歩に付き合ってくれませんか?
運が良ければ酔っ払いの暴漢に出会えるかもしれませんから。」

果たしてそれは運が良いというのだろうかというところは置いておき、少年との会話が想像以上に楽しかった
ものだから、ちゃっかり次の散歩の約束をしようとする。
約束といっても機会があれば、程度の軽いものではあるのだが。

「ありがとうございます。
でもここからそこまで遠くないのでご心配には及びませんよ。
エリビオ様こそ、帰りの夜道には気を付けてくださいね。」

別れの挨拶を交わしたあとは大きく手を振ってみせる少年に、こちらも胸の横で小さく手を振り返しながら帰路につく。
少年と別れたあと、胸の内に絡みつくような不安感はいつの間にか消え去っており、宿を出た時よりも
随分と心が軽くなっていると気が付けば、女の口元にはまた小さく笑みがひとつ浮かんだことだろう――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリビオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメアリさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に青麗さんが現れました。
青麗 > 平民地区、大通りから少し離れた路地裏。
普段は人通りの少ないそこに、珍しいことに人影が二つ。
一人はいかにもシェンヤンの行商人といった風貌の男。
もう一人はかの地のドレスを纏った女。
二人はシェンヤン語でいくつか会話した後、男はいくつかの書状を女に手渡す。
そして、二人は何事も無かったかのように別々の方向に歩き出す。

「……誰かに見られた気配は無し、と。」

シェンヤン人の女…皇帝の勅命を受け派遣された道官の青麗は大通りに出ると小さく呟く。
己の祖国シェンヤン帝国とこのマグメール王国は一応は戦争中ということになっている。
しかし最近となっては大規模な戦闘が起こることは少なく、睨み合いが続く状態。
更に、互いの国の商人等は非公式な密貿易を行っている有様だ。
王都にもそのような商人の姿はあり、シェンヤン人でも富裕地区や王城に近づかなければ怪しまれる事は少ない。

「とはいえ…ね。」

それでも、青麗やあの男は商人ではない。皇帝に忠誠を誓う帝国所属の人間だ。
捕まれば何をされるかもわからない。警戒するに越したことはない。
青麗は街を出る方向に、周囲の気配を探りつつも自然な歩調で向かって行く…。